キャリア講義

本気で夢中になれる「志事」に出会おう|社会人最初の3年の働き方が未来を変える

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目次

  1. 浅井慎吾さん(アイ・パッション・代表取締役)
  2. 「仕事」と「人」の2軸から企業を選んでいこう
  3. 入社後3年間はビジネスにおける基礎体力を身に付ける時期!

浅井慎吾さん(アイ・パッション・代表取締役)

Shingo Asai●関西大学社会学部卒。リクルート専属広告代理店・アドプランナーに新卒で入社。入社後は2年目からトップセールスを続け、7年間で1000社以上の企業の採用コンサルティングに従事する。その後はベンチャー企業に特化した採用コンサルティング事業を展開するべく2006年8月株式会社アイ・パッションを立ち上げ、現職。「働くにワクワクを。人生にもっと潤いを。」をビジョンに掲げている

Q.求人広告代理店の営業担当としてキャリアをスタートされたそうですが、ファーストキャリアとしてその選択をした経緯を教えてください。

もともと、広告などの高額の無形商材の営業に憧れを抱いており、広告業界をメインに就活をおこなっていました。無事に複数社から内定を頂いて迷った末に、創設してまだ7~10年ほどと歴も浅く、社員数も30名ほどと小規模な会社への入社を決めました。実は業界最大手の大手企業からも内定を頂いていたりと承諾先については悩みましたが、最終的に決め手になったのは「人」でしたね。

もっとも自分らしく受けられた・ありのままの自分を見てくれたということもありますが、社長以外に憧れる先輩にも出会え、「この人たちと働きたい」そう思えたので入社を決断しました

Q.しっかりと軸を決めて就活をしていらっしゃったんですね。ちなみに、無形商材を選んだ理由は何かありますか?

有形の場合はすでに売る商品が決まっていますよね。そうすると、その商品の購入を促す際は、それが何であれ自分が心から「この商品はイイ!」と思えなければ売れないなと思っていました。

でも無形商材の場合、顧客の顕在ニーズに沿ったモノを提供するというより、潜在ニーズを汲み取って、それを満たす何かを一緒に作っていくようなイメージだと考えています。そしてそのほうが私には魅力的に感じられました。

あと、ここは決め手となった「人」とも被るのですが、無形商材の場合は潜在ニーズを叶えるものを一緒に作っていくものだと言いました。つまり誰かと一緒にワンチームで仕事をする以上、ともに働く「人」は重要になると考えていました。だから、一緒に働きたいと思える人がいるかどうかを決め手にしましたね。

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Q.たしかに、そこは無形と有形の大きな違いですね。またせっかく大手企業からも内定を頂いていたのに、その小規模な会社を選んだのはなぜでしょうか。

大手企業の場合、同期が500人もいることになっていたのですが、この500人がそれはもう猛者ばかりでして。学歴はもちろんですが学生団体のリーダー、高い結果を残した部活の主将、3ヶ国語話せるトリリンガルなど、私よりも素晴らしい経歴の持ち主ばかりでした。もちろん私もその企業でいろいろとやりたいことがあったのですが、この同期の中で抜きん出てやりたいことをやるのは難しいかなと感じたのです。

これは学生さんにもぜひ気にしてほしいのですが、たとえば「若手も新規事業にかかわれる!」などといった謳い文句があった場合は、「新卒~3年目の社員のうち、新規事業にかかわっている社員の割合は?」とぜひ「数字」でたずねてみてほしいです

私はここの数字をとても気にしました。実際、その大手企業の場合は、その社員の割合は1%もありませんでした。つまり、仕事を頑張って頑張って確実に成績を残し、その500人のうちの1%にならなければやりたいことがやりたいようにできない。しかし、自分はそもそも小さい成功を積み重ねたいタイプでしたし、その同期の猛者たちの1%になれるとは到底思えなかった。それで、大手をやめてその企業に入社することにしました。

「仕事」と「人」の2軸から企業を選んでいこう

Q.ここからは学生の話に移っていこうと思います。学生が企業選びをする際に、どのような視点で企業選びをすると良いでしょうか?

3つの軸を大切にすべきであると思っています。

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まずは「仕事」の軸。社会には大きく分けると「売る」「つくる」「支える」の3種類の仕事しかないと思っています。「自分に合うか」は学生のうちでは判断できないと思うので、この中で自分がチャレンジしたいこと、魅力的に感じるものを選ぶと良いと思います。

また2つ目に「事業」の軸も挙げられますが、これは正直その事業そのものへの思い入れが強くない場合はあまり見なくても良いでしょう。大手・ベンチャー問わず基本的にその企業の事業内容は変わっていくものなので、事業だけで企業選びをしてしまうのは危険かなと思っています。

そして3つ目が社風や文化、人などの環境面です。入社してすぐは誰でもどうしても失敗が多くなるものです。そのような状況でも、人に恵まれていればすぐにめげずにがんばろうと思えるのではないでしょうか。私自身も内定先の決め手は人でしたし、私自身先輩や仲間にたくさん支えられて働いてきました。そういった経験からも、ここは最重要視すると良いと思っています。

Q.その「人」など環境について判断するために、就活の段階から何かできることはありますか?

よく、説明会で出会った採用担当や社長などに惹かれる人がいますが、あれは「戦略」です(笑)。説明会「だけ」の印象で判断をするのはやめたほうが良いですね。採用担当も社長も、その企業の中で最も多く社外に出る人たちであり、その会社を「良く見せる」ことに関しては最も上手だといえるでしょう

そういったキラキラした部分ばかりに目を向けずに、きちんと内部の実際にまで目を向けるようにしてください。選考が進んだ段階で、3~5日程度の実務インターンができないかたずねてみてください。実際の企業の様子や人の様子がわかると思いますよ。

Q.続いて2つ目の事業軸についてですが、こちらはどうして「これだけの判断は危険」なのでしょうか。

先ほども少し触れましたが、大手・ベンチャー問わずその企業でおこなう事業内容は社会情勢との兼ね合いもありどんどん変わっていくものです。特に大手になればなるほどおこなっている事業は多く・広がっていきます。つまりやりたいことができない・できなくなる可能性も多分にしてありますし、その場合はモチベーションの低下にもつながる恐れがあります

基本的に、事業への興味や憧れから「この事業に携わりたい!」と感じるようになると思うのですが、あくまでその感覚とはユーザー側の感覚ですよね。いちユーザーとして利用してきたサービスだからこそ「良い」も志望する理由のひとつになるのはもちろんそうですが、供給する側の視点に立つと、意外と理想とのギャップもあると思います。

「実はこっちの事業のほうが魅力的かも」という別軸の視点も見えてくると思うので、だからこそ事業という軸にはあまりこだわらずに、働きながら事業を見て考えても良いのではないでしょうか。

Q.どちらかというと「事業」よりも実際におこなう「仕事」ベースで見ていくと良いということでしょうか。

そうですね、優先順位としては「何の仕事をするか」「誰と働くか」というところから見ていくと良いと思っています。先ほどお話しした3つの軸の中では1つ目と3つ目ですね。

ただ、もちろん事業軸を重要視するのが悪い、ということではないですよ。過去の経験などに沿って、事業をもっとも重要視する理由がきちんと言語化できれば問題ないでしょう。

入社後3年間はビジネスにおける基礎体力を身に付ける時期!

Q.ちなみに浅井様はベンチャー企業に特化したサービスを展開されていますが、ベンチャー企業に向いている学生さんはどんな人だと思われますか。

ベンチャー企業に向いている人の特徴はこの3つだと思っています。

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基本的に、ベンチャー企業では「常にスタメンである」という意識を持っているべきだと思っています。もちろん練習時間はあるのですが、いきなり実戦投入となることが多い傾向にあります。そうなると、やはり失敗を恐れずに実践できることは重要かなと。

主体性や積極性については、会社という船に乗るにあたりただ「乗る」のではなく「一緒に漕ぐ」という意識でいたほうが良いですね。あとは基本的に仕事大好きな人が多いので、人生のセンターピンを仕事における人たちが向いているのかなと思います。

Q.3つ目とかかわりますが「仕事軸」で働くための秘訣などはありますか。

私が「仕事って何ですか?」と学生に聞かれた際に答えているのは、「仕事は血液」ということ。なくなってしまうと死んでしまうし、変な仕事をしていると変な血液が流れている=不健康になり病んでしまいます。良い仕事をすることで良い血液が流れ心身ともに良くなると思います

働くこと、仕事をすることにワクワクしてほしいです。本気で夢中になれる「志事」に出会うと良いですね。

Q.学生が今後社会人になるにあたり、どのような心掛けを持っておくと良いでしょうか。

私は「社会人最初の3年の働き方が未来を変える」と思っています。

「志事」、やりたい仕事にたどり着くまでには、まずは「任される仕事=must」があります。これをけっこう「つまらない」と感じる人が多いのですよね。数か月仕事に取り組んでみても、なかなかパフォーマンスが上がらないこともあります。いかにこの任されたことを「できること=can」にしていけるかが第一の関門です

このmustの仕事は社会人という長い道のりの中では基礎筋力や基礎体力をつけるためのものだと思っています。そのためにはたとえ向いていないと感じた仕事にも全力で取り組むこと、そして自分の力量以上の仕事も果敢にチャレンジしてみること。そうすることでビジネスにおける基礎的な力がついていくはずですよ。

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