業界研究

ベンチャーとは|知っておきたい企業の特徴と就職メリット

ベンチャーとはどのような企業を指すのか

ベンチャーの意味を正しく理解できているでしょうか。「ベンチャー企業」「社内ベンチャー」など、ビジネスではベンチャーという言葉が頻繁に使われており、就活の際に耳にすることも多いです。ベンチャー=新しい企業、IT系の企業と漠然としたイメージを持つ人が多いですが、詳細な意味はあまり知られていません。

これらの認識も間違いではありませんが、すべてがベンチャーに該当するとは限らないため、注意が必要です。就活をスムーズに進めるためには、身の回りで当たり前に使われている言葉にも疑問を持ち、正しい意味を把握することが大切です。頻繁に使用されるベンチャーとはどのようなものなのか、実態を知って理解を深めましょう。

ベンチャー企業の基本定義


ベンチャーとは何かを理解するためには、ベンチャー企業の基本的な定義を理解しておくことが大切です。ベンチャー企業は就活だけではなくビジネスでも頻出のワードですが、実は明確な定義はありません。ベンチャー企業は和製英語であり、海外におけるベンチャーとは意味が少し違っているため注意が必要です。明確な定義こそありませんが、ベンチャーと呼ばれる企業は、共通した特徴を持っています。どのような特徴を持つ企業がベンチャー企業なのかを知り、基本的な意味を理解しましょう。

新興企業

日本におけるベンチャー企業は、新興企業の意味で使われることが多いです。創立して間もない企業で、高い成長を続ける注目の企業に対し、ベンチャー企業と表現することが多いでしょう。対象が新興企業であるため、月日を重ねてベンチャーから一般企業へと変化する場合もあります。

もともとはベンチャー企業であり、現在では業界を代表するリーディングカンパニーへと成長した企業も少なくありません。新興企業=新しい企業の意味ですが、明確な年数は特に決まっておらず、創立5〜10年程度が目安です。単に創業から歴史が浅いというよりも、創立したばかりなのに世間から大きく注目を集めている、成長を予感させる企業=ベンチャー企業と考えたほうが分かりやすいでしょう。

新技術・サービスを提供している

新技術やサービスを提供する若い企業も、ベンチャー企業と呼ばれます。ベンチャーには「冒険的」という意味もあるため、革新的なビジネスを起こす企業は、ベンチャー企業に該当します。IT業界=ベンチャー企業とイメージされやすいのはこの点にあり、IT業界は先端技術、サービスを用いることが多いことからベンチャー企業も多いです。

もちろん、「新技術・サービス」を提供することがベンチャー企業の条件であるため、IT業界以外でもベンチャーに該当する企業は多くあります。また、IT業界の企業でも、既存の技術やサービスを提供する場合は、ベンチャー企業には該当しません。業界や企業ではなく、企業が扱う技術、サービスが対象になると考えましょう。

ベンチャーキャピタルから投資を受けている

ベンチャー企業は、ベンチャーキャピタルから投資を受けている企業も該当します。ベンチャーキャピタルとは、新興企業に対して投資をおこなう投資機関、企業であり、海外ではベンチャー=ベンチャーキャピタルそのものを指します。ベンチャー企業は新興企業であり、資金力が不足していることも多いため、事業を起こすには投資を受けなければなりません。

しかし、銀行からの融資は、明確な事業プランや実績がなければ難しいことも多く、まったく融資をしてもらえないこともあります。資金力の悩みを解決するのがベンチャーキャピタルであり、銀行よりも融資を受けやすいのが特徴です。また、ベンチャーキャピタル以外でも、個人から投資を受けて設立した企業もベンチャー企業と呼ぶことがあるため、定義の幅は広いです。

ベンチャー企業と似ているものの違い

ベンチャー企業の定義は幅広く、多くの企業が該当します。そのため、どれがベンチャー企業なのか判別するのが難しい場合も多いですが、さらにベンチャー企業に似たものもあるため注意が必要です。ベンチャー企業に似たものでは、「スタートアップ企業」や「社内ベンチャー」が挙げられます。これらは性質、言葉は似ていますが、詳細な意味は異なります。それぞれとの違いを正しく把握し、ベンチャーとは何か、さらに理解を深めましょう。

スタートアップ企業は新ビジネスモデル

スタートアップ企業は、「新しいビジネスモデル」を使って事業を展開する企業です。ベンチャー企業も革新的な技術やサービスを提供していますが、違いは「ビジネスモデル」にあります。新技術、サービスを提供している場合でも、従来型のビジネスモデルで事業を展開している場合は、単にベンチャー企業です。

対してこれまでにない、新しいビジネスモデルで事業を展開する場合のみ、スタートアップ企業に該当します。スタートアップ企業は、ビジネスモデルが新しいだけではなく、技術やサービスも革新的なものを提供することが多いです。そのため、ベンチャー企業でありながら、スタートアップ企業になることもあります。ベンチャー企業という大きな枠組みの中に、スタートアップ企業があると考えると、イメージしやすいでしょう。

社内ベンチャーは法人登記なし

社内ベンチャーは、既存の企業内での新しい部署、新しい技術やサービスの研究、開発、提供を目指す部署を指します。ベンチャーという言葉がついていますが、あくまで社内の一部の部署に限られるため法人登記はなく、企業ではありません。ベンチャー企業は企業全体が挑戦的な風土にあり、新技術やサービスの提供をメイン事業に据えていますが、社内ベンチャーは企業内の一部に限られます。

企業のメインの事業は別に構え、特定の部署のみ新しい分野に挑戦するという意味合いが強く、社内でも飛び道具的な位置づけとイメージすると分かりやすいでしょう。社内ベンチャーはサブの位置づけになることが多いため、ひとつのプロジェクトだけで終了することも多いです。

ベンチャー企業の特徴

ベンチャー企業は「新興企業」「新しい技術・サービスを提供している」などの特徴を持っていますが、これらはあくまで定義上の特徴に過ぎません。さらに理解を深めるためには、企業としてどのような特徴、性質を持っているのかを理解することが大切です。ベンチャー企業は革新的な企業が多いため、他の企業とは違った性質を持っています。ベンチャー企業特有の特徴は、ベンチャー企業ならではの魅力とも言えるため、就職するメリットを考えてみましょう。

成長力が高い

ベンチャー企業は、成長力が高い企業が多いです。世の中にない技術やサービスを提供するため、市場の需要とマッチした場合、爆発的に成長することも少なくありません。企業の成長を強く実感できる環境にあるため、企業と一緒に自身の成長も目指しやすいのが特徴です。老舗の企業でも成長力は少なからずありますが、幅は狭く成長も緩やかです。

いわば成長しきった状態とも言えるため、企業の成長を経験できることは、大きなメリットでしょう。ただし、成長力が高い反面、失敗する可能性もあるため企業選ぶには注意しなければなりません。成長の可能性が高い=誰も挑戦していない分野であるため、確実に成長できる保証がないことは理解しておきましょう。

トレンドの最先端を走る

ベンチャー企業は新しい技術やサービスを提供しているため、トレンドの最先端を走っています。トレンドを追いかけるのではなく、自らトレンドを作り出す立場にあるため、何かの真似をすることはできません。模倣ではなく、オリジナリティに溢れた事業であるため、個性を発揮したい人にもおすすめの企業といえます。

トレンドの最先端を走るには、市場をしっかりと分析する必要があり、現状のトレンドや将来性をしっかり見極める力が必要です。単に誰もやっていないことをやるのではなく、やっていないこと、かつ世間から求められるものを目指さなければなりません。トレンドを生み出すのは難しいですが、反面常に最先端に立ち続けることができるのはベンチャー企業だからこその特権と言えます。

出口戦略を意識している

企業によって経営の方針は異なりますが、ベンチャー企業は出口戦略を意識していることが多いです。出口戦略とは、技術やサービスを使って企業が成長した場合、それをどのような形で終わりに向かわせるかということです。新技術やサービスも、提供当初は話題になり、多くの需要を集めますが、時代の流れによって需要は変化し、いつまでも需要がキープされるわけではありません。

加えて後追いの企業も登場するため、供給過多になって利益は落ち込んでしまいます。ベンチャー企業は最高の状態で事業を終了させることも目的のひとつであり、他社への売却やM&Aなどを目的にしていることも多いです。短期的に事業を起こし、成長、売却、起業のサイクルを繰り返すことも多いため、出口戦略はベンチャーならではの重要なポイントと言えます。

若年層が多い

ベンチャー企業はトレンドの最先端を走る新しい企業であるため、社員も若年層が中心になっていることが多いです。代表取締役、以下役員クラスが全員20代というケースも多く、若いうちから役職を得られるのも、ベンチャー企業ならではの特徴でしょう。若年層が多い理由は「トレンドの最先端に立つこと」「新技術・サービスの提供を目指すこと」など、挑戦的な風土にあることが関係しています。

また、短期的な事業を意識した「出口戦略」も、若年層がメインになることに関係しているでしょう。若いうちから高い役職に就き経験を積めるため、キャリアアップのために一時的にベンチャー企業に勤める人も多いです。ベンチャー企業に勤め続けるだけではなく、転職に役立てるために、ベンチャー企業で経験を積む人もいます。

ベンチャー企業で働くメリット

就職を考えるときに、大企業ではなくベンチャー企業に絞って就職活動をする人もいるでしょう。大企業もベンチャー企業も、それぞれに特徴やメリットがあります。大企業に向いている人、ベンチャー企業に向いている人、総合的に考えて自分がどちらに向いているのか判断することも大切です。ここではベンチャー企業で働くメリットを紹介していきます。

新しいことへ挑戦する積極性や行動力がある人はベンチャー企業に向いていると考えられます。歴史が浅く、自由な社風であることが多いのも、ベンチャー企業の特徴のひとつです。

年功序列ではなく成果主義

大企業や歴史のある会社では、年功序列制度が重視されている場合が多いです。年功序列の場合、勤続年数が長く、年齢が高いほど上の立場になります。一方のベンチャー企業では、年齢や経験よりも、仕事の成果に重点を置く傾向があります。その人がどのような仕事をしているか、どのような成果を残したかが評価のポイントです。

創立してから、あまり年月が経っていない企業も多いため、社員の年齢もそれほど差がないと考えられます。ベンチャー企業で実績を残したいなら、自ら積極的に行動して成果を出すことが重要です。一人一人に対する責任が大きくなりますが、その分やりがいを感じられるでしょう。スキルアップや成長するチャンスも多くなります。

経営者との距離感が近く学べるものが多い

ベンチャー企業では、会社を立ち上げた経営者と社員が、隣のデスクで仕事をすることも珍しくありません。フレンドリーな社風の会社なら、経営者との距離も近く、普段から言葉を交わす機会も多くなります。大企業では、経営者や取締役など立場が上の人と関わる機会は、なかなかありません。直接経営者と話をすることで、様々なことが学べるチャンスがあります。仕事に対する考え方や、アイディアなど参考になるはずです。

自由な雰囲気の企業が多いので、経営者に対して自分の意見や考えを発言しやすい環境にもなっています。年齢や経験に関係なく評価をしてくれるので、色々な経験ができ、自分のスキルアップにもつながります。どんどん学んで、新しい知識を吸収したい人に向いています。

ベンチャー企業では研修制度がないも等しい

大企業の特徴のひとつに、研修制度がしっかりと整っているということがあります。それに比べて、ベンチャー企業では、新卒に対する研修などが用意されていないことも多く、。イチから仕事のやり方や方法を教えてもらうのではなく、自ら実践で仕事をしながら分からないことを調べていくという考えが主流となっています。

丁寧な研修制度は、期待しない方が良いでしょう。手順を教えてもらいながら仕事を進めていく方がやりやすい人、説明よりも実践的に仕事を覚えたい人など様々なタイプの人がいますが、ベンチャー企業では自分から分からないことを調べていく人が活躍できると考えられます。最初は戸惑うこともありますが、新しい知識を取り入れていくことが好きな人には、やりがいを感じられるでしょう。

仕事への意欲が高くチャレンジ精神が必要

ベンチャー企業は「新しいもの・こと」を扱うのが基本のため、チャレンジ精神旺盛な人が向いています。新しいことや環境にも物怖じせず積極的に挑戦できないと、ベンチャー企業で活躍するのは難しいでしょう。ベンチャー企業は扱う商材だけではなく、企業自体も新設であるため、社内の環境や制度が整っていないことも多いです。

新しいことにどんどんチャレンジし、自分で仕事や企業を作り上げていかなければならないため、やるべきことは数多くあります。どのように仕事を進めるべきかというマニュアルもないため、自分で考え、行動しなければなりません。既存のものに頼っていても大きな成功は望めないため、新しいことでも恐れずに挑戦できるチャレンジ精神が必要でしょう。

また仕事はすべて自分で取りにいき、進めていかなければならず、誰かの指示を待っているだけでは務まりません。

そして自ら仕事のやり方、方向性を提案することも求められ、仕事に対してやりがいを持っていないと続けるのは難しいでしょう。ベンチャー企業は成功する保証がないため、給料や安定、労働環境など、条件を求めて就職するには不向きです。純粋に仕事を楽しみ、やりがいを最優先できる人に向いている就職先でしょう。

ベンチャーとは何かを知って就職の選択肢に入れよう

就職先の選択肢は幅広く、ベンチャー企業もそのひとつです。ベンチャー企業への就職を目指すなら、まずは「ベンチャーとは何か」を正しく理解しなければなりません。ベンチャーの企業は幅広いため、多くの企業が該当しますが、共通した特徴を持っている企業も多く、向いている人も限られます。

ベンチャー企業を正しく理解していないと、選考で落とされる、あるいは就職後に苦労する可能性が高いため注意が必要です。ベンチャーは特徴的な企業だからこそ、相性の良し悪しが色濃く表れます。相性が悪いと、どれだけ実力があっても活躍するのは難しいです。ベンチャーとは何かを正しく理解し、自身の適性も把握した上で、本当に自分に合った就職先を選びましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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