業界研究
【トラック業界の課題と現状】主要企業6選と求められる人物像
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目次
トラック業界はきつい仕事だと感じている人も多い
トラック業界は従業員にとって厳しく、労働環境が悪いというイメージがあります。シフト制の出勤スケジュールは、生活が不規則になりがちで、体力的に負担が大きいのも事実です。また、長距離の運転では事故の危険も伴います。それでもインターネットショッピングやリモートワークの普及に比例し、トラック業界の需要は年々高くなっています。
人材不足はトラック業界の大きな課題ともいえるでしょう。今後、トラック業界は労働条件を改善するための取り組みをおこない、人材を確保していく必要があります。ここでは、トラック業界の現状や課題を深く堀り下げ、業界で求められる人物像について解説していきます。また、トラック業界の主要企業も紹介していきますので、就職を考える際にぜひ参考にしてみてください。
以下の記事では、運送業界の現状について解説しています。
Eコマース市場の成長によってトラック業界の需要が高くなっている
トラック業界は、近年需要が高まり市場は拡大傾向にあります。インターネット通販の普及により物流の量が増え、Eコマースの市場が拡大し、それに伴いトラック業界の売上も高くなっています。
多くの人がネット通販を利用し、個人宅への宅配需要は数年前と比較すると爆発的に増加しています。スマホやタブレットの普及により、誰でも簡単にインターネットを利用して買い物することができるようになったことが影響しているといえるでしょう。
また、インターネット回線の高速化や、リモートワークを取り入れる企業が増えてきていることもEコマース市場拡大の理由です。ほかにも、物流業務の全体や一部を他の企業に任せる3PL(サード・パーティ・ロジスティックス)も広がっています。3PLをメーカーが取り入れるとコストや環境への負担を減らすことができますが、その分トラック業界への需要はさらに高まることとなります。
以下の記事では、運送会社のランキングを紹介しています。
トラック業界の課題は人材不足
トラック業界の大きな課題のひとつが、人材不足です。需要が高まり市場が拡大している一方で、トラック業界の労働人口は減少傾向にあります。人材が足りていないと、ドライバーへの負担が大きくなり、残業や休日出勤を余儀なくされるなど、さらなる労働環境の悪化へつながる悪循環に陥ってしまいます。
また、労働者の高年齢化も問題になっています。トラック業界では労働条件を改善し、人材不足を解消することが大きな課題といえるでしょう。
以下の記事は、物流業界の企業について解説しています。
仕事量の増加や非正規雇用者が定着しない問題がある
需要が高まっている一方で、深刻な人材不足が問題となっているトラック業界では、ドライバー1人あたりに対する仕事量が多く、時間外残業や休日出勤に頼らなければ業務をおこなえない企業もあります。少子高齢化による人口減少も、トラック業界の人材不足の理由のひとつですが、労働環境や待遇などにも問題があると考えられます。
また、正規雇用と非正規雇用の格差から、トラック業界に労働者が定着しない傾向があります。企業は、人材費削減のために非正規雇用のドライバーを雇いますが、労働に見合わない給与や待遇から、すぐに退職してしまう人が多くなっています。トラック業界の需要自体は安定しているため、いかに労働者を確保し、人材不足を解消するかが今後の鍵となるでしょう。
現状を改善するための取り組みがおこなわれている
トラック業界の深刻な人材不足を改善するために、積極的な取り組みがおこなわれています。そのひとつが「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」です。協議会には、荷主や行政も参加していて、トラックドライバーが賃上げ交渉などをしやすい環境作りに力を入れています。
また、全日本トラック協会が高校新卒者に対し免許取得の支援をおこなったり、国土交通省が「トラガール推進プロジェクト」を立ち上げ女性が働きやすい職場作りをしたりと、さまざまな変革が進んでいます。ほかにも、政府が施行した「流通業界の総合化及び効率化の促進に関する法律」では、トラックドライバーの労働環境をよくするための提案が盛り込まれています。
トラック業界で求められる人物像
就活を有利に進めるために、トラック業界で求められるのはどのような人物なのかを考えてみましょう。まず、トラック業界で働く際は、事故に気を付け安全に業務をおこなうことが重要です。また、複数人でチームを組んだり、幅広い年代の人と関わったりするため、コミュニケーション能力の高さもポイントといえるでしょう。
トラック業界で求められる人物像を理解することは、企業への効果的なアピールのヒントになります。
事故に気を付けて安全に業務をおこなえる人
トラック業界で働くためには、事故などをおこさず安全に業務をおこなうことが重要になります。加えて、業務中はミスを発生させないこと、作業をスピーディーかつ正確におこなうことも必要でしょう。
トラックドライバーは、長距離の運転をおこなうことも多く、体力的にも精神的にも負担が大きい仕事です。十分な休憩が大切ですが、業務によっては多少無理をすることもあるでしょう。
体調管理をしっかりおこない、安全に業務をおこなえるように気を付けられる人が求められています。トラック業界では、運転以外にもさまざまな仕事がありますので、体力がないと働き続けることは難しいといえます。どのような状況でも正確に判断し、事故を防ぐ努力が必要です。
コミュニケーション能力の高い人
トラックドライバーは、一人で仕事をするイメージがありますが、実際には顧客や配送元などさまざまな人と関わる機会が多くなっています。車を運転している時は一人ですが、業務では、他者とのコミュニケーションも大切です。また、複数人でチームを組んで業務をおこなうこともありますので、周囲と連携してスムーズに仕事をこなしていかなければなりません。
企業で働く際には、どのような職種であっても周りとの関係を良好に保つことが重要です。一人の行動が、企業全体の印象に影響を与える可能性もありますので、丁寧な対応が求められます。相手が何を求めているのかを考えることができると、トラック業界での業務もうまくおこなえるでしょう。
トラック業界の主要企業6選
ここからは、日本のトラック業界の主要企業である6社を紹介していきます。日本通運、日本郵政株式会社、ヤマトホールディングスなど、誰もが名前を聞いたことのある大手企業ばかりですが、それぞれ特徴や得意とする分野が異なります。
志望する企業の詳しい業務内容や企業独自の特色、企業理念などを知ることは、就活での志望動機や自己PRの際に役立ちます。トラック業界への就職を志望している方は、ぜひ参考にしてみてください。
日本通運株式会社
日本通運株式会社は、トラックだけでなく鉄道、海上、船舶、航空運送など幅広い物流事業を手掛けている企業です。全国各地に拠点を持ち、日本でも最大級の運送会社のひとつとなっています。国内だけでなく、海外にも拠点があり、国内外の物流に携わり高い売上を誇っています。
日本通運株式会社では、社会発展の原動力となり物流から新たな価値の創造をおこない、信頼されることを企業理念としています。ただ物を運ぶだけでなく、人間同士、企業同士などのつながりを深め、社会を発展させていくための重要な役割を背負っていると考えています。「日通に運べないものはない」というキャッチコピーから、日本のトラック業界になくてはならない存在であることが分かります。
日本郵政株式会社
2007年に創立された日本郵政株式会社は、日本の郵便事業をおこなう企業です。日本郵政グループは、日本郵政・日本郵便・ゆうちょ銀行・かんぽ生命の4つの事業から成り立っています。日本郵政株式会社は、切手の販売、年賀状のサービス、窓口での受付や郵便物の配達などが主な業務で、郵政民営化によって国営から特殊会社として運営されるようになりました。
郵便物の追跡サービスなど、利用者のニーズに合わせた幅広いサービスを展開していて、国際郵便物なども手掛けています。日本郵政株式会社では、チャレンジ精神を重視しています。顧客の要望に合わせて柔軟に対応し、新たなサービスや商品を求め続けている企業で、積極的に行動できる人材を求めています。
ヤマトホールディングス株式会社
2005年に創立されたヤマトホールディングス株式会社は、宅急便をはじめ、各種運輸に関わる事業をおこなっています。クロネコヤマトの宅急便は知名度も高く、全国各地に支店があり、利用者も非常に多くなっています。
宅配の需要が高まり、トラック業界の現状が混乱を極めている中でも、ヤマトホールディングス株式会社は社員の労働条件の改善などにいち早く取り組んできた企業です。
社員を大切にし、働きやすい職場環境づくりに力を入れていることでも知られています。ヤマトホールディングス株式会社では、自分で考え決断し、行動できる人材を求めています。一つひとつの仕事に真摯に向き合い、挑戦していける人が有利だといえるでしょう。
SGホールディングス株式会社
佐川急便で知られているSGホールディングス株式会社は、事業者間や事業者から個人への物流受託を中心として事業をおこなっています。SGホールディングスの事業は、輸送を取り扱う「デリバリー事業」、物流業務の包括受託である3PLと国際輸送及び海外現地物流を担う「ロジスティックス事業」に分かれています。
佐川急便の特徴は、2万人以上のセールスドライバーが、集配業務だけでなく営業担当者として法人顧客のニーズの把握や解決策の提案などをおこない、自社の物流システムを活用して提供していることです。「信頼・創造・挑戦」を企業理念として掲げていて、失敗を恐れずに目標へ向かって意欲的に挑戦できる人材を求めています。
福山通運株式会社
福山通運株式会社は、1948年に創立されました。貨物自動車運送事業を中心に、さまさまな事業を展開している企業です。運送サービスだけでなく、倉庫業や荷造梱包業なども手掛ける総合物流会社となっています。個人や法人向けに、さまざまな付加価値のあるサービスを展開していて、クール便や往復便なども人気です。
法人向けでは、当日に商品を届けるサービスや、海外184ヶ国への配送が可能な航空便サービスなどがよく知られています。福山通運株式会社は、社員一人ひとりを大切にする社風があり、全国400箇所以上の拠点から構成される全国ネットワークが強みです。既成概念にとらわれない柔軟な思考でチャレンジしていける人材が求められています。
株式会社日立物流
1950年に創立された株式会社日立物流は、陸・海・空を網羅した総合的な物流サービスを展開しています。大きく分けると、国内物流、国際物流、その他の3つのセグメントで構成されています。元々は日立グループの物流会社としてスタートした企業ですが、現在はグループ外の業務にも積極的に携わり、グループ顧客外の売上比率は8割にも及びます。
近年では、小売・家電・自動車関連事業分野にも事業を展開しています。ブランドスローガンに「未知に挑む」を掲げ、事業や業界を超えた新たなイノベーションを創出することを目指しています。日本の物流業界をリードすること、国際物流市場への注力が企業の目標です。新しい分野へも、積極的に取り組んでいける人材が求められています。
トラック業界の現状を理解して就活を進めよう
トラック事業は、現在の日本になくてはならない存在です。多くの人がインターネット通販などで買い物を楽しみ、運送業界の需要は急増しています。しかし一方で、少子高齢化による人口減少や、厳しい労働条件が原因で業界の人材不足は深刻な問題となっています。
政府や協会では、労働者を確保し正規雇用者として長く働き続けられるように、さまざまな取り組みがおこなわれています。それぞれの企業でも、問題解決のために働きやすい環境づくりに力を入れています。
トラック業界で求められている人物は、事故をおこさずに安全に仕事をおこない、周囲の人とのコミュニケーションが円滑にとれる人です。トラック業界とそれぞれの企業の現状を把握し、就活を有利に進めていきましょう。
以下の記事は、企業研究ノートの作成方法について解説しています。