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理系就活の進め方ガイド|就職か修士に進むかを早く決断することが鍵
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目次
理系学生は就活と卒業研究の両立が難しく苦戦する人が多い
理系学生は就活と卒業研究の両立が難しく、苦戦する人が多いです。理系学生の場合、卒業研究を行い、一定成果をあげることで卒業単位を取得できます。
そのため卒業研究は時間と労力がかかるでしょう。大学により異なりますが、卒業研究は大学3年生の夏ごろから本格的にはじまります。
またタイミングを同じくして就活もインターンシップが始まります。そして就活にも自己分析や業界研究など時間と労力を要するものが多いです。
そのため修士課程に進まない理系学生は、就活を卒業研究を両立させる必要があるのです。
このような背景から理系学生は就活と卒業研究の両立が難しく、苦戦する人が多いのです。そして両立するためには、対策を講じる必要があります。
そこでこの記事では理系学生で就職を考えている人に向けて「いつ就活を始めるのか」「エントリー企業数」「理系学生の就職の選択肢・応募方法」から「理系学生が就活を成功させるためのポイント」まで詳しく解説しています。
この記事の見出し順に就活の軸を明確化していくと、効率的に就活を進められます。参考にしてみてください。
理系学生は就職以外の道もある
大前提として理系学生は就職以外の道もあります。それは修士課程や博士課程に進学することです。文部科学省の学校基本統計によると理系学生の大学院への進学率は42.3%(理学)となっており、4割以上の学生が就職ではなく、進学を選んでいることがわかります。
しかしこの結果は大学や学部によって大きく変化します。例えば有名なビッグラボを有する大学では進学率が8割を超えるところもあります。このように大学や学部によって進学率は大きく変化します。
しかしいずれにしても理系学生は就職以外の選択をする学生は文系学生よりも多いです。前提として理系学生は就職以外の道もあるということは覚えておくとよいでしょう。
まずは就職するか修士に進むかを決断しよう
ここからは就職するか修士に進むかの決断するサポートするために、就職するメリット・デメリットと修士に進むメリット・デメリットをご紹介します。
メリット・デメリットを理解し天秤にかけて、どちらの道を選択するのかをよく考えてみましょう。
就職するメリット・デメリット
就職するメリット・デメリット
メリット
進学する場合と比べ2年以上早く実務経験を積める 学費がかからない
デメリット
職種の選択肢が絞られる 景気によって就職難易度が変わる
まずは就職するメリットをお伝えします。就職するメリットは実務経験を積めることです。
実務経験を積むことで、理論ではなく実践によってスキルを身に着けられるでしょう。
そしてスキルを活かしキャリアアップできれば、結果的に進学するよりも生涯年収が高くなったり、ある程度の地位に上がることでスキルの成長が早くなる人もいるでしょう。
このように実務経験を積めることがメリットと言えます。加えて、当然ながら修士課程に進む場合に発生する、学費をかからないこともメリットの一つでしょう。
一方デメリットは、職種の選択肢が絞られることが挙げられます。
学部卒理系学生は基本的に研究を活かした職種に就職するのではなく、理系の知識が必要ない企業への就職いわゆる文系就職をすることが一般的です。理由としては、大手企業やそのほかの企業では基本的に研究職は修士卒以上を採用基準として設定しているからです。
このような理由から、理系の知識や研究を活かした職種には就職しずらい傾向にあり、職種の選択肢が絞られます。
また学部卒の場合は理系の専門的な知識を習得していないため、景気状況により就職難易度が変わります。専門的な知識を習得している人は就活生全員と比較すると人数が多くないため競争率が低く、一定景気に左右されず安定して就職先が見つかります。
一方学部卒理系学生は、理系の専門的な知識を習得していないため、景気により就職難易度が変わるのです。これもデメリットといえるでしょう。
修士課程に進むメリット・デメリット
修士課程に進むメリット・デメリット
メリット
専門分野に対する知識を深められる
就職の選択肢が広がる
学部卒理系よりも初任給が高い
デメリット
実務経験を積めない
学費がかかる
修士課程に進むメリットは専門分野に対する知識を深められることで、就職の選択肢が広がることが挙げられます。大学院へ進学するということは大学より高度な教育を受けられることを意味しています。
そのため研究設備などが充実しており、専門分野に対するより深い知識を得られるでしょう。そして深い知識を得た結果、企業は研究職の即戦力として採用したいと考えます。加えて、企業の採用基準もクリアしているため就職した場合と比較すると、進学したほうが就職の選択肢が広がる傾向にあります。
また専門分野に対する深い知識があり、即戦力になりえる人材なので学部卒理系よりも初任給が高いこともあります。
デメリットとしては、実務経験を積めないことと、学費がかかることが挙げられます。修士課程を終えてから新卒で入社するとなると、同期は基本的に2つ年下になります。また実務経験を積んでいる学部卒理系とは2年の実務経験の差が生まれてしまいます。加えて、学費も修士課程に進むだけかかります。このように将来の選択肢が広がる一方で、時間とお金がかかることがデメリットと言えます。
しかし、専門分野の知識を活かし仕事をしたい人や、研究者として働きたいと考えている人は修士課程に進むと目的に近づくことができるでしょう。
理系学生の就職の選択肢は大きく2つ
ここから理系学生が就職する場合の選択肢について解説していきます。就職の選択肢を知ることで、その中から自分はどれを選択するとよいのかを考えることができます。
理系学生の就職の選択肢は大きく2つあります。詳しく見ていきましょう。
理系学生の就職先
専攻分野の専門的な知識が必要な職種への就職
専攻分野の専門的な知識が必要な職種への就職とは、自身が学んだ理系の知識を活かして仕事を進める企業に就職することを指します。職種としては、研究職・開発職・設計職などが該当します。
例えば、機電系学部を卒業予定の理系学生は機械・電気に関連する企業の研究職などに就職し、大学で学んだ理系の知識を活かして仕事を進めます。このように大学で学んだ知識を活かす職種・企業に就職することを専門分野就職と呼び、理系学生の就職の選択肢の一つです。
専攻分野の専門的な知識が必要な職種への就職は、大学で学んだ知識を活かせるため人気ですが、内定を獲得するのは至難の業です。学部卒理系学生は前途の通り、修士卒理系よりも職種の選択肢が絞られます。さらに学部卒理系でも応募できる研究職は人気が高いため、選考の倍率が高い傾向にあります。そのため内定を獲得できる確率は低いです。覚えておくとよいでしょう。
専攻分野の専門的な知識を必要としない職種への就職
専攻分野の専門的な知識を必要としない職種への就職とは、業務を遂行するうえで自身が学んだ理系の知識を必要としない仕事をする企業に就職することです。そしてこの専攻分野の専門的な知識を必要としない職種への就職はさらに2つに分けられます。
それは「理系の基礎的な知識が必要な職種への就職」と「理系の知識を必要としない職種への就職」です。
理系の基礎的な知識が必要な職種への就職とは、大学で専攻し学んだ理系の知識ではない、理系の知識を活かして仕事を進める職種に就職することです。
例えば、大学で機械系学部に属し研究していた学生が、専門分野ではないが理系の知識を必要とするSE(システムエンジニア)職に就職することなどが挙げられます。
職種としてはSE(システムエンジニア)をはじめ、MR(医療情報担当者)・技術営業などが挙げられます。
「理系の基礎的な知識が必要な職種への就職」は「専攻分野の専門的な知識が必要な職種への就職」と比較すると、職種も豊富なため内定獲得率も高いでしょう。しかし中には学部卒文系学生も応募できる理系の基礎的な知識が必要な職種への就職もあります。この場合は文系学生と内定枠を競うことになるため、理系の強みを活かす対策が必要です。覚えておきましょう。
また理系の知識を必要としない職種への就職とは、学部卒文系学生が就職できる理系知識を必要としない企業や職種に就職をすることを言います。例えば、大学で機械系学部に属し研究していた学生が、事務職などに就職することを言います。
主な業界は金融業界とコンサルティング業界で、職種としては非常に豊富で営業職・事務職・マーケティング職など様々です。理系の知識を必要としない職種への就職の場合は、理系の基礎的な知識が必要な職種への就職と同様に文系学生と内定枠を競うことになるため、理系の強みを活かす対策が必要です。
そしてこれらも理系学生の就職の選択肢の一つです。
理系学生の就職先ランキング
ここからは理系学生の先輩が選んだ就職先ランキングをご紹介します。就職先ランキングと傾向をみて業界選びの参考にしてみてください。
キャリタス就活によると以下のような結果となっています。
理系学生の就職先ランキング
1.ソニー
2.トヨタ自動車
3.日立製作所
4.NTTデータ
5.野村総合研究所
6.パナソニック
7.味の素
8.ホンダ
9.旭化成グループ
10.富士フイルムグループ
理系学生の応募方法は2種類ある
ここからは理系学生が企業に応募する方法について詳しく解説していきます。応募方法は自由応募と推薦応募の2種類があります。そして両者にはそれぞれメリット・デメリットが存在しています。
メリット・デメリットを理解し天秤にかけて、どちらの応募方法を選ぶと良いのかを検討してみてください。
自由応募のメリット・デメリット
まずは自由応募です。自由応募とは、学部文系学生と同様の応募方法で、企業のホームページや就活ナビサイトから応募する方法のことを指します。例えば、リクナビなどを用いて企業にエントリーする方法が自由応募に当てはまります。
メリットは、推薦枠のない企業への応募・就職できることが挙げられます。推薦応募の場合は推薦枠のない企業へ応募できませんが、自由応募なら可能です。
また応募し内定を複数社もらった場合にも、内定辞退ができます。そのため自分の特徴と入社後の活躍可能性から、適切な企業はどこかを十分に考える時間を確保できます。したがって進路に納得して就活を終えられる可能性が高いでしょう。
デメリットとしては、推薦応募と比較すると選考の競争率が高いことが挙げられます。自由応募は誰もが企業に応募できる方法です。一方推薦応募は一部の学部の学生のみが応募できる方法です。そのため自由応募は推薦応募と比較すると選考の競争率が高いです。
そして選考の競争率が高いと、その分内定を獲得できる確率は低くなります。このように推薦応募と比較すると選考の競争率が高く、内定を獲得できる確率が低いことがデメリットでしょう。
推薦応募のメリット・デメリット
推薦応募とは、企業が特定の学校・研究室のために特別に設けている採用枠を利用して応募する方法です。そしてその採用枠を利用するためには、学校・教授の推薦が必要になるため、推薦応募と呼ばれています。
そして学校推薦・教授推薦双方の募集方法は基本的に、「○○企業の推薦を希望する人は○○研究室〇〇までお問い合わせください」といった案内がメールや掲示板でなされます。
そしてこの案内に従い学校の担当者に問い合わせることで推薦枠で選考を受ける権利を獲得します。しかし推薦希望者が多い場合は、成績順など一定の基準を満たす学生が推薦枠を獲得します。そしてその基準は大学・研究室により異なります。あらかじめ確認しておきましょう。
基本的に学校推薦の場合は、機械・電気系学部に推薦枠が多いです。一方、教授推薦に関しては学部との相関は見られませんでした。
メリットとしては、内定につながる可能性が高いことが挙げられます。推薦応募は基本的に書類選考がなく、面接から始まります。加えて教授推薦の場合には、よほど面接で失礼に当たる発言をしない限り内定が出ると言われています。
したがって推薦応募はそもそも企業が用意している推薦枠を利用して応募するため、内定につながる可能性が自由応募よりも高いのです。
デメリットとしては、内定をもらうと入社しなければならないことが挙げられます。推薦応募は企業が特別に設けている推薦枠のため、基本的に内定をもらうと入社しなければなりません。
そのため推薦を受けるということは入社する覚悟を持つということになります。推薦を受ける場合には事前に企業について研究を進め、自分の性格的特徴などにマッチしているかを見ておくことが大切です。覚えておきましょう。
理系就活の一般的なエントリー企業数
ここからは理系就活の一般的なエントリー企業数をご紹介します。比較・検討のために学部文系学生の一般的なエントリー企業数も紹介しています。是非比較・参考にしてみてください。
全国求人情報協会によると理系学生のプレエントリー・本エントリーは以下の通りです。
理系学生の一般的なエントリー企業数
プレエントリー:14.7社
本エントリー:8.1社
文系学生の一般的なエントリー企業数
プレエントリー:26.7社
本エントリー:14.1社
理系学生が就活を成功させるためのポイント5つ
ここからは理系学生が就活を成功させるためのポイントを5つご紹介します。
就活の進め方を知りたい方や、なにから始めればいいのかがわからない人は参考にしてみてください。
1.修士課程に進むか就職するかを決める
まずは修士課程に進むか就職するかを決断することがポイントです。早めに決断をすることで研究する場合・就活を進める場合どちらにおいても効率的に進めることができます。
仮に修士課程に進む決断をした場合には、就活をする必要がないため研究に集中できます。
また少しでも就活をする可能性がある場合は、インターンの始まる大学3年の夏までに自己分析を進めておく必要があります。
このように早めに決断をしておくと、その分効率的に就活を進められるのです。
なかなか決断出来ないでいると、目の前にあるやらなければならない研究に日々手いっぱいになり、就活をする場合は失敗しやすいです。
研究に集中する・就活のファーストステップを踏み出すためにも早めに決断しておきましょう。おすすめは就活の始まる大学3年の8月までに決めておくことです。
2.就活・卒業研究のスケジュールを正しく把握しておく
就活を成功させるためには、就活・卒業研究のスケジュールを正しく把握しておくこともポイントの一つです。
大前提として冒頭でお伝えしましたが、理系学生は就活と卒業研究の両立が難しく、苦戦する人が多いです。
そしてこの原因は就活・卒業研究のスケジュールを理解しておらず、いつまでに何をしておけば良いのかをわかっていないことが挙げられます。
例えば、企業のエントリーはいつからなのかを理解していれば、それまでに自己分析・企業研究を進められます。
しかしエントリー解禁日を知らなけば、自己分析・企業研究をわざわざしようと考える人は少ないでしょう。
そしてこのように自己分析・企業研究が疎かになった結果、就活で失敗してしまうのです。
そのため就活を成功させるためには、就活・卒業研究のスケジュールを正しく把握しておくこともポイントの一つです。
以下に一般的な理系学生の就活スケジュールを載せています。参考にしてみてください。卒業研究のスケジュールについては、大学により異なります。そのため大学のホームページを確認することや、事務室に質問してみてください。
3.推薦か自由応募かを決断する
推薦応募か自由応募かを決断することも、理系学生が就活を成功させるためのポイントの一つです。上の見出しでお伝えしましたが、推薦応募の場合内定をもらうと基本的に辞退できません。
一方自由応募は自由に企業に応募できるうえ、内定辞退も可能です。しかし自由応募ゆえに選考の競争率が高く、内定を獲得できる確率が低いです。そしてこの両者の特徴を理解した上で、推薦応募か自由応募かを決断しましょう。
この決断をすることで、推薦応募に向けた対策・自由応募に向けた対策とその後の動き方が明確になります。そのため適切な対策を講じられるため、内定できる可能性が高くなるのです。こちらも就活の始まる大学3年の8月までに決めておくことをおすすめします。
4.就職する場合は大学3年生の6月から就活を始める
就職する場合は大学3年生の6月から就活を始めると良いでしょう。理由としては8月からはインターンシップが始まるからです。そして2か月前に就活を始める理由は、インターンシップに参加するために自己分析・企業研究をする必要があるからです。
自己分析・企業研究は2か月間時間を確保できれば一定の成果を挙げられます。そしてインターンに参加するためには多くの場合ESを提出する必要があるため、自己分析・企業研究は必須です。8月に開催されるインターンシップに参加するためにも、大学3年生の6月から就活を始めると良いでしょう。
以下の記事ではインターンシップについて詳しく解説しています。参考にしてみてください。
5.自己分析と業界研究をエントリーまでに終わらせておく
上でお伝えしましたが、自己分析と業界企業研究はエントリーまでに終わらせておく必要があります。
そもそも自己分析とは、自分がどのような性格・価値観の特徴を持っているのかをメタ認知する作業です。自分の特徴を理解することで、どのような仕事が自分に向いているのかを判断できるからです。例えば冷静な性格の人が熱血という社風の企業に入社すると、活躍できる可能性は低いでしょう。
このように自分の特徴を理解することで、どのような仕事が自分に向いているのかを判断できます。
また業界研究は、自分の興味の湧く業界や企業を見つけるために行います。そしてこの自己分析と業界研究の結果から、自分が入社したいと思う業界・企業とその理由が明らかになるのです。
つまり自己分析と業界企業研究を進めると、志望する業界や企業が明確になるだけでなく、志望動機の作成にも役立つのです。エントリーまでに終わらせておきましょう。
以下の記事では自己分析の進め方について詳しく解説しています。
理系学生におすすめの就活情報ナビサイト
理系学生におすすめのナビサイト
・アカリクWEB・エージェント
・理系ナビ
ある程度自分の志望する業界・企業が明確になると、つぎは就活情報ナビサイトを活用して企業の選考に関する情報を集めましょう。
就活情報ナビサイトとは別名ナビサイトとも呼ばれ、選考に関する情報を集められるサイトではなく、選考情報に加えてエントリー機能も持ちあわせているサイトを指す場合が多いです。
そのため就活情報ナビサイトを利用すると効率的に就活を進められます。上記に理系学生におすすめの就活情報ナビサイトを載せています。是非活用してみてください。
理系就活の基礎知識を理解して内定に近づくために対策を始めよう!
この記事では理系学生で就職を考えている人に向けて「いつ就活を始めるのか」「エントリー企業数」「理系学生の就職の選択肢・応募方法」から「理系学生が就活を成功させるためのポイント」まで詳しく解説してきました。
この記事の見出し順に就活の軸を明確化していくと、効率的に就活を進められます。是非参考にしてみてください。