職種研究

【アートディレクターになるには】仕事内容や年収を徹底解説

アートディレクターに向いているかを見極めよう

多くのデザイナー志望の方がキャリアアップとして目指す「アートディレクター」。日本ではあまり知名度の高い仕事ではないかもしれませんが、デザインや広告を勉強している学生たちにとっては、憧れのポジションだと言えるでしょう。

しかし、この仕事は自分に向いているのか、年収はどれくらいなのか、イマイチ仕事内容がわからないなど、自身の大きな夢ではあるものの、具体的な「アートディレクター」について、知らない方も多いのではないでしょうか。

そんな広告代理店の花形でもある「アートディレクター」について、ご紹介します。まだ先の話と考えるのではなく、夢の実現に向けて、一足先に学んでおきましょう。

アートディレクターとは

アートディレクター(AD)とは、職種の名前通りに仕事内容を捉えてしまうと、いわゆる「アート」(芸術・美術)をディレクション(指揮)するポジションとなってしまいますが、これとは少しニュアンスが異なります。

広告・雑誌・Webサイト・本の装幀などをデザインするプロセスの中で、チームのリーダーとしてそのデザインをディレクションすることが大きな役割です。時には、アートディレクター自ら、デザイン業務に参加することもあります。次にアートディレクターの具体的な業務内容を見ていきましょう。

視覚表現メディアの統括責任者

当然の話ではありますが、どの企業も、自社商品・サービスの認知度を高めたいものです。そして、多くの方に購入・利用して欲しいと考えています。その思いをくみ取り、広告・パッケージ・映像などのメディアで表現して、世の中に伝えていく業務の統括責任者がアートディレクターの立ち位置です。

デザインメディアの中心として、自身の「こうしたい」というアイデアや磨き上げたセンスを作品に落とし込めることは、大きなやりがいにつながるでしょう。

また、自分で生み出した作品が世の中にどれくらい影響を与えているのかが具体的にわかることも、醍醐味のひとつです。イチから作品を作り上げていく責任があるからこそ、仕事のやりがいも格別なのです。

具体的な仕事の流れ

「クライアント先訪問」→「打ち合わせ・コンセプト設計」→「デザイナー・ライター・カメラマンなどの選出(スタッフィング)」→「ビジュアル全体の方向性を確定」→「企画案のプレゼン」→「制作開始」→「作品の完成」。基本的には、この流れで業務を進行していきます。

デザイナーのように制作業務だけに特化するのではなく、コンセプトの決定やデザインの方向性を定めることも業務内容に含まれているのがアートディレクターという仕事です。

ほかにも、制作に携わるスタッフからアドバイスを求められたり、時には、アートディレクターのほうから修正を依頼したり、作品全体の統一感を維持するために、奮闘することはマストになります。

仕事の内容

クライアントにデザインやアイデアを提案し、その実現に向けて行動することは、決して簡単だとは言えません。相手の意見をあまり聞き入れないクライアントと個性の強いクリエイターたちの間に入り、各々の言い分を聞き入れ、高い水準のままコンセプトやビジュアルを調整していく交渉力や折衷力を求められることもあります。

また、制作スタッフひとりひとりの進捗状況を把握することも業務の一環です。納期を守れず入稿できないミスを防ぐために、しっかりとスケジュールを管理することも大切な仕事になります。

納期だけでなく、コスト面の管理も大きな役割のひとつになり、予算をオーバーしていないか、どの会社の外部スタッフに任せるべきかなどを試算していきます。

アートディレクターになるには

アートディレクターになるには美術大学や、専門学校のグラフィックデザイン科などで学んだのち、デザイナーの経験を経てアートディレクターとなるのが一般的です。学校では様々な媒体についての知識や構図などのデザイン術を会得するほか、デザイナーとしての実務に必要なIllustratorやPhotoshopなどのグラフィックソフト、InDesignなどの編集ソフトのスキルを習得します。

これらを用いた制作全般の知識を用いて、なおかつそれの進捗の管理、人的管理などを行います。このようにアートディレクターになるには、まずは専門的な知識を習得しなければなりません。

デザイナーの経験が必要

最初からアートディレクターの道が用意されているというのは、一部のコネクションなどを持っている人を除いて他はほとんどいません。多くの人はグラフィックデザイナーとして数年経験をしたのちに、結果的にアートデザイナーになるというケースがほとんどです。

アートディレクターは制作全般に関わるので、人の配置も考えていかなければなりません。一般企業でいうなればマネージャーのような立ち位置です。まずはデザイナーとしてコツコツ目の前の仕事に取り組みましょう。

業務に関連する仕事の知識が必要

アートディレクターは制作全般に関わるので、先に述べたグラフィックデザイナーとしての知識以外にも、写真や映像カメラ、ときには文章を書くライティング能力など、取材から納品に至るまでに付随する全ての業務の幅広い知識が必要とされます。

アートディレクターの前身ともいえるデザイナーとしての知識は必須とされます。デザイナーとしての専門学校を出て、1,2年グラフィックデザイナーを経験してすぐにアートディレクターとなれるほど、簡単なものではないことは理解しておきましょう。

アートディレクターに向いている人

アートディレクターに興味があるのなら、アートディレクターに向いている人の特徴を知っておくことも大切です。どの職業にも向き・不向きはあり、それを見極めないと苦労するケースもあるからです。

「デザインが好き」「広告に興味がある」というだけで、アートディレクターに向いているとは限りません。その熱い気持ちが前提で、絶対条件として、圧倒的なデザインの知識だけでなく、さまざまなスキルが必要なっていきます。自分がアートディレクターに向いていないと思ったからといって、あきらめる必要はありません。ただし、もし向いていない場合には、それだけ大きな努力が必要となる可能性もあるため、その点は覚悟しておいた方がよいでしょう。

多岐にわたる業務を通して習得できることもありますが、事前に理解を深めておき、準備をしておいても損はありません。次にアートディレクターはどんな知識や能力を求められるのか、ご紹介していきます。

コミュニケーション能力がある

まず大切なのは、コミュニケーション能力があることです。まず最初に「コミュニケーション能力」が出てきたことを意外と感じる人も多いかも知れません。実はアートディレクターとして仕事を進めていく上で、コミュニケーション能力は非常に大切です。

なぜなら、アートディレクターとして仕事を進めていくためには、クライアント、自社の営業スタッフやデザイナー、コピーライターといった多くの人たちとコミュニケーションを取らなくてはならないからです。

多くの人たちと関わっていきますので、どこかでコミュニケーションの食い違いが起きると、成果物の質が下がったり、うまく仕事が進まなくなってしまう可能性が高いでしょう。逆にコミュニッケーション能力が高い人であれば、多くの人をどんどん巻き込んでリードできるので有利になる可能性があります。

デザインセンスがある

アートディレクターには、もちろんデザインセンスも求められます。アートディレクターの主要業務はディレクションであり、実際にデザインをおこなうのはグラフィックデザイナーなどでしょう。しかし、デザイナーに指示を出すのもアートディレクターの役割であるため、デザインセンスはなくてはならないものです。デザインセンスがなければ的確な指示をデザイナーに出すことができず、成果物の質が下がってしまうことにつながります。

ビジュアルの総指揮を担うポジションのため、フォント・カラーなどの専門的なことだけでなく、写真や映像などの知識も必要不可欠です。ネットや紙媒体など、メディアによってもデザインに求められるものが異なってきますので、クリエイターとしての素養がなければ、務まらない仕事だと言えるでしょう。アートディレクターとして躍進していくためには、業界にアンテナを張り、日々の学習が欠かせません。

アートディレクターのデザインセンスがそのまま成果物の質につながってしまいかねませんので、デザインセンスはとても重要です。アートディレクターへの就職を考えているのであれば、自分自身のデザインセンスについて、客観的に見つめておいた方がよいでしょう。

スケジュール管理能力がある

アートディレクターに向いている人の条件の3つ目として、スケジュール管理能力があることが挙げられます。アートディレクターとして仕事を進めていく上で重要なのが、納期に間に合うように制作を進めていくことです。

1つの成果物ができあがるには、複数のスタッフによる複数の工程が要されます。それらの進捗を上手くコントロールすることができないと、納期までに成果物を完成させることができないでしょう。もちろん、成果物は納期までにただ完成させればいいというわけではなく、その質も問われます。

プロジェクトは順調に進むこともあれば、そうでないこともあります。そのような不測の状況への対応も求められるでしょう。自分はスケジュール管理が得意かどうかについても、振り返ってみるのがよいでしょう。

決断力・調整力なども必須

アートディレクターには、強いこだわりを持ったクリエイターやクライアントをひとつにまとめるリーダー力が必要です。デザインに関わる派手な業務だけでなく、コスト面も頭に入れながら仕事を進めていくため、調整力も欠かせません。

また、企画案に対してクライアントがなかなか「GO」サインを出してくれなかったり、あまりにも高いレベルのデザインを要求され、現場スタッフの手が止まってしまったり、いつでも業務が滞りなく進行するとは限りません。そんな時は、リーダーとしてと大きな決断をくだし、全員を引っ張っていく能力が求められます。

収入は実力と経験でUPする

こうした多岐にわたる業務を担当するため、経験値や能力次第で、高収入を目指すことができます。とはいえ、アートディレクターに成り立ての頃は、そう高いとは言えません。1〜5年目で、年収250~500万円くらいが目安と言われています。

個々人の能力にもよりますが、アートディレクターは、5年目でやっと一人前です。業務を理解し、クライアント・スタッフとのやり取りをスムーズに行えるのは、5年という歳月が必要です。

しかし、さらに経験を積んで行けば、10年目には年収800万円くらいを望めます。デザインの知識を深めて、大規模なプロジェクトを成功すると、知名度や信頼度が上がり、さらに収入がアップする可能性もあるでしょう。

業界で有名な人の仕事を知って自分をブラッシュアップ

では、どうすれば、アートディレクターとしての豊かなキャリアを積めるのでしょう。実務を通して、経験・スキルを磨いていくことは当然ですが、業界で活躍しているアートディレクターがどのような仕事をしているのか、入念にチェックすることが大切になっていきます。

広告賞を受賞している作品を研究したり、デザイン関連の書籍に目を通したり、ネット上や街中にあるデザインを見るクセをつけたり、調べる方法はいくらでもあります。テレビや雑誌で特集されるほどの実力者の仕事であれば、学ぶべきことも多いはずです。

「アートディレクター」というひとつの仕事ではあるものの、ひとりひとりよって、スタイルや得意分野は異なります。研究を重ねて、誰にも真似できない個性を獲得していきましょう。

アートディレクターになるには知識やセンスが必要

上記でご紹介してきた通り、アートディレクターは、お世辞にも楽な仕事内容とは言えません。そして、マスコミ・広告関連の職種は、大変人気がありますが、アートディレクターは、限られた人間しかなれない狭き門です。

もし仮になれたとしても、デスクでぼんやりしていたら、ライバルたちに仕事を取られてしまいます。しかし、自分のアイデアを具現化できたり、その作品が世の中で肯定的に受けとめられたりなど、この仕事でしか味わえない大きなやりがいが手に入るのも事実です。

アートディレクターになるためには幅広いセンスなど、スキルも必要になりますが、ぜひ、夢に向かって目指してみてはいかがでしょう。

※最後に、本記事につきましては、公開されている情報を活用し、当社が独自の基準によってシミュレーションした結果を開示しているものとなります。読者の皆様に企業選択の一助になればという趣旨で情報を作成しておりますため、なるべく実態に近い状態のシミュレーションとなる様に最善を尽くしているものの、実際の報酬額とは異なります。 あくまでも参考情報の一つとしてご活用くださいませ。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

記事についてのお問い合わせ