就活その他

数千分の3名。大学生を見極める一瞬。

こんばんは。元採用担当の者です。

前週はあまり反応がなく、寂しかったですが、
これからファンを作るために毎週記事を更新していきます。

今回は私が面接官をしていた際に、普通なら落ちるだろうなと思われる子を
合格にした事があります。

6年間で数千人の面接を行いましたが、そのような学生はなぜか記憶に残っているんですよね。
その際に、何が理由で合格にしたのか、当時を振り返りつつ書いてみたいと思います。

熱くなれる"何か"が君にはある

理系,3年生,男性 のエピソード

彼は明らかに、コミュニケ―ションに難がありました。
視線に落ち着きがなく、挙動不審。
こちらの質問に対しても、間が空くし、話もどもってしまう。
他の学生からも、ちょっとかわいそうな目で見られていました。

「学生時代にやりとげたことは?」
「なぜ弊社を志望しましたか?」
「自分の長所と短所は?」

どの質問にも、「あぁ、ええっと、、」を繰り返すばかり。

唯一、前のめりで話したのは、好きなアーティストの話。
しかしながら、私自身が、そのアーティストについて詳しくなかったため、
そこから話が膨らむこともありませんでした...

そして私は、彼に少しでも他の会社での選考を頑張ってほしいという気持ちも込めて、
ちょっと厳しい言葉をかけました。

「ちゃんとした受け答えができないようでは、弊社ではちょっと難しいかもしれませんね。」
「〇〇が好きだというのは分かりますけれども、結局、何が良いのかもわかりません。」

ここで、最後に言った私の言葉が、彼の何かに火をつけました。
彼はさっきとは打って変わって、別人のような勢いで話し始めました。

「自分は〇〇が好きです。これだけは、誰よりも好きな自信があります。なぜなら・・・(ここから彼の独演会)」
「来年の4月にライブがあるのですが、私は絶対に有給を取ってでも会いに行きます!」

私は、彼を合格にしました。

その熱意に圧倒されたからです。
仕事に関係ないことでも、何かに"熱く"なれる、ということが重要なのです。
近年この"熱さ"を持っている学生は急激に減っています。

ビジネスの世界ではどんな難易度の高いフレームワークを駆使するよりも、
目の前いるクライアントのもとへ駆けつけるような"熱さ"が成果を出す場合もあるのです。

面接で殻を破いたその瞬間

文系,3年生,女性 のエピソード

典型的ないい子。
身だしなみも清楚だし、マナーも言葉づかいも完璧。
普通に考えたら、落とす理由がないくらいの”優等生”でした。

質問に対しての返答も優等生そのもの。

「はい、私は、御社の〇〇という理念に惹かれました」
「はい、私は、学生時代に書道部の部長を務めており、リーダーとしての経験を・・・」
「御社が第一志望です。」

何を聞いても、素晴らしい、マニュアル通りの回答。
しかしながら、私は飽きていました。ロボットと話をしているようで。
まったく、この子の”個性”が感じられないのです。
落とす理由もなければ、合格にする理由もないのです。

ちょっとした圧迫面接。
「個性がないですね...。君みたいな学生多いですよね...」

「・・・。」

彼女は何も言えませんでした。
その後も震えながら、私の質問に答えました。

最後に、「最後の質問ですが将来絶対に成し遂げたいことはありますか?」という質問をしたところ、
彼女はゆっくり、ゆっくり語り始めました。

初めて"人間"らしい回答が返ってきました。
親が厳しい。今まで、人生の選択は全て親に決められてきた。
ずっと家を出たいと思っていた。
就職を機に、絶対に一人暮らしをして、自立をしたい。
だから、御社にどうしても入りたいんです...

そして泣き出してしまいました。

初めて”自分の言葉”で語った答え。
ロジックはとてもではないですが、通っていません。

「うちは厳しいけど、それでもやっていく覚悟はある?」

と聞くと、

「はい、絶対に投げ出しません。」

と一言。

私は、合格を決めました。

親のレールから飛び出し、自分の道を進もうという”意思”が、
彼女の人となりを見事に表していたからです。

ビジネスの世界では結果が全て。商談中に成長する人もいます。
当然、面接中に成長する人もいます。就活中、自分と向き合ってくれる人がいることを忘れないように。

虎の威を借る狐

理系,大学院生,男性 のエピソード

彼は、とがっていました。
上から目線で、自分は合格して当たりまえ、本命の前の練習だくらいの態度です。

椅子に深く腰掛け、背もたれにもたれかかる。
話す際は、手を組んで、テーブルの上に置き、少し笑いながら上目づかいで話す。

「それって、面接に関係ありますかね?」
「自分は学生時代に起業を手伝って、今その会社はこれだけ有名です。」
「いま、色んな会社から声がかかっているんですよ。まぁ一番良い条件のところに行くつもりですけど。」

確かに学歴だけを見れば、どの企業も欲しがる最高ブランドの学生には違いありません。

本当にできる人間ほど、謙虚です。
自分がどれだけすごいかなんて自分からは語りませんし、語らずともわかります。
それをわざわざ話そうとするということは、逆に、自分に自信がないことの表れです。

私は、聞きました。

「では実際、あなたが社会に出たときに、どんな価値が生み出せますか?ここでプレゼンしてみて下さい。」

彼は、黙り込みました。

学生の中では凄くても、社会人の中ではあなた以上の人間はゴマンといます。
今のすごい話なんて、面接官からすれば、ただの自慢話にしか聞こえません。

「うちは、まやかしは通用しないよ。」

最終的には、彼も”改心”したようで、「御社で頑張りたいです。」と言ってくれました。
本当は、友達がコンサルや外銀の内定を採っており、
それに出遅れた彼は、とても焦っていた、とのことです。
なんとか、友達に負けたくない、という思いが、
自分を大きくみせることに繋がってしまいました。

じゃあ、仕事の結果で勝てばいいじゃない、
と、私は彼に伝え、彼も納得しました。

肩書きで勝負するのはやめましょう。
肩書きにこだわると永遠に肩書きに縛られます。
ビジネスは肩書きでできるほど甘くはありません。

以上の、3名は最終的に内定し(私が人事部長にプッシュしたこともありますが)
彼らも入社を決めてくれました。

この経験から、私が伝えたいことは、

面接は時間が限られている。
だからこそ、隠さずに思い切り本当の自分を出し切ってほしい、ということです。

なかなか自分をさらけ出すということは、恥ずかしいことですが、
そんな学生に出会うと、面接官も応援したくなってしまうものなのです。

これからサマーインターンで面接をする3年生の方、
まだまだ夏に就活をする4年生の方、一緒に頑張りましょう^^

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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