業界研究

【鉄鋼業界の研究ガイド】業界推移と主要企業5選を紹介

鉄鋼業界に就職するには業界研究が必要

鉄鋼業界は生活に大きく関係した産業ではあるものの、就活生にはあまり馴染みのない業界です。鉄鋼業界についての知識を持っている人は少ないですし、業界の動向や職種、実態などはあまり知られていません。

しかし知られいない=人気のない業界ではなく、鉄鋼業界にはさまざまな魅力も詰まっています。鉄鋼業界を目指すのであれば、まずは業界についての正しい知識を身に付けることが大切です。業界の動向などから鉄鋼業界への理解を深めていきましょう。

鉄鋼業界の概要

鉄鋼業界は業績の上下が大きい業界であり、業績は増加と減少を繰り返しています。2008年頃までは業績は好調に推移していたものの、2009年頃から世界同時不況が始まり、一気に業績は落ち込んでしまいました。最悪の業績から立て直しを図り、近年では建設や自動車需要の増加によって、業績は好調に推移しています。

しかし2016年では業績も伸び悩みを見せ、業界としてもマイナス成長となっています。マイナス成長の背景は、中国のインフラ需要の落ち込みや、新興国需要の伸び悩みです。鉄鋼業界は業績が安定せず、現在も業績は減少傾向にあります。

世界的にみると中国のシェア率が60%を超えるなどさまざまな変化が起こっており、今後も業界の変化は起こり続けると考えられています。

鉄鋼業界の種類

鉄鋼業界にはさまざまな種類があるため、就職を目指すならどのような仕事があるのか、理解を深めておくことが大切です。分野によって特徴が異なるため、自分の場合はどこに就職したいのか、それぞれの違いを知って把握しておくとよいでしょう。

ただ鉄鋼業界を志望するのと、鉄鋼業界の中の特定の分野を志望するのとでは、志望度の伝わり方が異なります。それぞれの違いを把握が、円滑に志望度をアピールするためには重要であり、より自分に合った分野をみつけるポイントでもあります。

同じ鉄鋼業界でも、分野によっては得意不得意が出ることも少なくありません。代表的な2つの種類を知ることで、鉄鋼業界全体への理解をさらに深めていきましょう。

高炉メーカー

高炉メーカーは、高炉と呼ばれる設備を使用して、銑鉄を生産します。銑鉄の原材料は鉄鉱石とコークスであり、これらを使って鉄鋼を作ると考えましょう。コークスとは石炭を蒸し焼きし、そこから炭素の部分を残したものであり、いわば純度の高い炭素分を抽出したものといえます。

鉄鉱石とコークスを使用して作る銑鉄は、炭素分が多いことが特徴であり、この作業を製鉄と呼ぶことも覚えておきましょう。製鉄後は製鋼と呼ばれる作業をおこない、これによって銑鉄から不純物を取り除き、鋼鉄を作り上げます。

その後、溶かしている鋼鉄を冷やし固め、一定の形にすることでようやく出荷となります。高炉メーカーの仕事は多く、原材料から鋼鉄を作るところまでが一連の仕事です。

電炉メーカー

電炉メーカーは、電炉と呼ばれる設備を使用して鉄を作ります。電炉は鉄スクラップを電気の熱で溶かして、そこに粉になったコークスや石灰を加えます。これらを加えるのは、溶かした鉄から酸素や硫黄といった不純物を取り除くためです。

不純物を取り除くことで、より純度の高い鉄として出荷できます。電炉メーカーは高炉メーカーと使用する設備が異なるだけではなく、鉄の製鉄の方法も異なります。電炉と高炉は大きく異なるため、それぞれの違いは正しく把握しておきましょう。

鉄鋼業界の業績推移について

  • 業界規模15兆2,341億円
  • 平均年収605万円
  • 平均継続年数16年

鉄鋼業界の業界規模は15兆2,341億円であり、国内の業界としては大きな規模を誇っています。現在では業界規模は減少傾向にあるものの、まだまだ大きな産業であり、日本産業の中でも重要な業界です。

平均年収は605万円であり、他業界と比べても平均程度です。企業によって若干のばらつきはあり、大手企業であれば平均年収1,000万円を越える場合もあります。しかしこれは特殊な例であり、基本的にはどの企業でも平均程度の年収です。

平均継続年数は16年と平均並み、あるいは若干長い年数です。継続年数については企業間で大きく差があり、最高で23年、最低で3年となっています。企業間で平均継続年数は大きく違っていますので、志望企業を選ぶときには充分な注意が必要です。

鉄鋼業界の細かい職種分類について

  • 研究開発
  • 生産
  • 営業

鉄鋼業界の職種としては研究開発、生産、営業が挙げられます。研究開発は新たな鉄鋼素材の研究、開発やそれらに関する新技術などの研究が主な仕事です。鉄鋼業界は企業ごとの技術力が競争力になり、より高い技術、より優れた素材の開発が企業発展のカギとなっています。

生産は生産管理、在庫管理、資材の発注などを行う職種です。品質管理などの仕事を担当することもあり、製品の品質チェックや改善などを行うこともあります。営業は完成した製品や素材などをメーカ―や建設会社などに売り出していく仕事です。

自社製品の強みをしっかりと理解し、顧客に対して魅力的な提案をすることが求められています。鉄鋼業界ではそれぞれの職種が連動していますので、しっかりと連携を取ることが大切です。

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素材業界の業界・企業研究を進めよう

素材業界で働きたいという就活生は、仕組みや各企業について把握することが大切です。業績推移や各社の強みを知っておくことで、「この企業でなければならない」という入社意欲を志望動機に反映させることができるでしょう。

そこでおすすめなのが「素材業界大研究Book」です。鉄鋼、非鉄金属、ガラス、セメント、紙・パルプ、繊維を網羅しています。無料でダウンロードできるため、効率的に業界・企業研究を進めたい就活生におすすめです。

主要企業5選紹介

就活では業界研究と並行して、企業研究を行うことも大切です。同じ業界内でも企業によっては特徴も強みも違いますし、競争力、業界内の位置づけなどをも異なっています。高いシェアで業界1位の企業に就職することだけが、就活の成功ではありませんし、自身に合った企業を見つけることが大切です。

就活は自分と企業の相性を図り、マッチングする仕事を見つけていく場でもあります。企業研究についてもしっかりと行い、自身に合った企業を探していきましょう。

①日本製鉄株式会社

  • 企業名:日本製鉄株式会社
  • 代表者名:橋本 英二
  • 従業員数:105,796名(2019年3月31日現在)
  • 設立年月日:2012年10月1日 (経営統合)

日本製鉄株式会社は、製鉄、エンジニアリング、化学、新素材、システムソリューションなどの事業を展開している企業です。

売上高、シェア率ともに業界トップの成績を誇り、シェア率は3割を超えています。日本が誇る大規模企業でもあり、粗鋼生産量では世界3位を記録しています。経営統合によって規模を大幅に拡大した企業であり、国内の鉄鋼業界をけん引している企業です。

日本製鉄株式会社では、人材育成制度として上司と部下の対話を通じたOJTが大切にされています。コミュニケーションが取りやすい風通しの良い社風であり、働きやすい環境にある企業です。

②JFEスチール株式会社

  • 企業名:JFEスチール株式会社
  • 代表者名:北野 嘉久
  • 従業員数:44,975名(2019年3月末)
  • 設立年月日:2003年4月1日

JFEスチール株式会社は、鉄鋼メーカーであり、国内2位の高い実績を持っている企業です。JFEホールディングスの中核企業でもあり、日本の鉄鋼業界をけん引している企業でもあります。

東京スカイツリープロジェクトでの鋼材開発でも活躍し、36,000トンもの鋼材を提供したことでも有名です。JFEスチールはグループ全体の収益の大部分を占めており、粗鋼生産量では業界2位を誇っています。また世界では5位の生産量を誇る企業でもあり、世界規模で活躍している企業です。

JFEスチールは、若手のうちからどんどん挑戦することができる風通しの良い社風があります。何事にも挑戦すること、柔軟に対応することが求められており、個性を発揮しやすい企業だと言えます。

③株式会社神戸製鋼所

  • 企業名:株式会社神戸製鋼所
  • 代表者名:山口 貢
  • 従業員数:11,401人 (連結39,341人)
  • 設立年月日:1911年6月28日

株式会社神戸製鋼所は、日本でも有数の鉄鋼メーカーです。素材系・機械系・電力が主要の3事業であり、鉄鋼メーカーでありながら、アルミや銅などの素材にも強みがあります。国内でも3番目の規模を誇る企業であり、日本を代表する鉄鋼企業です。

神戸製鋼所は品質データ改ざん問題などによって、経営の改革が急がれており、今後の展開にも注目が必要な企業です。今後は事業の改革が進むことも考えられ、改革次第によって企業の進退が決定します。

就職の際には将来性なども含めて注目が必要です。神戸製鋼所では物事に対して誠実に取り組み、変革していくことができる人材が求められています。企業の変革期でもありますので、主体的に行動し、誠実な行動を心がけることが求められます。

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④日立金属株式会社

  • 企業名:日立金属株式会社
  • 代表者名:佐藤 光司
  • 従業員数:連結30,304名(2019年3月末現在)
  • 設立年月日:1956年(昭和31年)4月10日

日立金属株式会社は、特殊鋼製品、磁性材料、素形材製品、電線材料の製造・販売などを行っている企業です。鉄鋼業界では4位に位置し、3位の神戸製鋼所に迫る勢いで事業を展開しています。

企業としての歴史も古く、伝統の製鋼技術と鋳造技術に革新的な発想を加え、独自の製品や技術開発を進めています。材料開発をベースとした多角的な事業構造であり、さまざまなニーズ応えて事業を展開をしていることが強みです。幅広い事業基盤により、あらゆる分野に対応し、直実に実績を重ねています。

日立金属ではグローバルな思考で行動でき、挑戦できる人材が求められています。社員の挑戦を後押しする社風であり、個性を発揮しながらさまざまなことに挑戦できる企業です。

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⑤日新製鋼株式会社

  • 企業名:日鉄日新製鋼株式会社
  • 代表者名:栁川 欽也
  • 従業員数:2,537名
  • 設立年月日:1908年7月

日鉄日新製鋼株式会社は、表面処理製品・ステンレス製品などに特化した鉄鋼メーカーです。薄板部門に大きな強みがあり、企業独自の技術によって開発された製品はさまざま企業から高い評価を受けています。

ステンレスの分野では、国内初の国産化に成功するなど、鉄鋼業界の時代を切り開いている存在でもあります。企業としての歴史は古く、蓄積された技術やノウハウが強みです。業界内でも高い売上高を誇り、国内でもトップクラスの鉄鋼企業であると言えるでしょう。

日新製鋼では社員一人ひとりを大切にする社風があり、社員同士で共同して仕事を進めていく風土があります。お互いにコミュニケーションを取ることが大切にされており、切磋琢磨しながら成長していくことができる企業です。

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鉄鋼業界が求める人物像

ここまで鉄鋼業界について、概要を見てきました。では鉄鋼業界で求められている人材はどのような人なのでしょうか。

鉄鋼業界を志望するのであれば、その業界が求める人物像を把握しておくことは重要なポイントです。「スピーディーに仕事を進める人物」を求めている業界に、「手先の器用さ」をアピールしても響くことはありません。

その業界、企業が何を求めているのかを知ることで、アピールするべきポイントも自ずと見えてくるのです。以下、鉄鋼業界が求める人物像として2つ挙げ、解説していきます。しっかりと押さえ、これらに沿ったアピールを出来るように準備を行っておくようにしましょう。

誠実に責任感を持って仕事ができる人

鉄鋼業界が求める人物像として、「誠実に責任感を持って仕事が出来る人」が挙げられます。鉄は国の成長の根幹にかかわるものです。鉄を作り出し、流通させることで、場合によっては、世界中の産業に大きな影響を与えることになるのです。

そのため鉄鋼業界の仕事は「ちょっとくらいなら良いだろう」と気を抜いてしまうと、その企業だけでなく、世界中の産業にダメージを与えてしまう恐れのある仕事となります。鉄鋼業界で働くには「鉄のような固い決意」が不可欠になります。

鉄鋼業界で働くにあたっては、鉄を生み出し、流通させることに情熱を注ぎ、世界中の産業への影響を理解したうえで責任感を持って仕事を遂行することが求められているのです。

グローバルな思考で行動できる人

鉄鋼業界が求める人物像として、「グローバルな思考で行動できる人」も挙げられます。鉄鋼業界は上述の通り、海外とのつながりが非常に深い業界となります。鉄鋼業界に就職すると、海外出張や海外勤務を経験することになることも、可能性としては大きいと言えるでしょう。

海外の方々の物事の考え方は日本人とは異なる点が多々あります。広い視野で物事を捉えることでそれらの違いを理解し、その上で行動をしていくことが海外で働く際にはる必要となるのです。

鉄鋼業界で働くにあたっては、単に英語力が求められるだけではありません。英語力はもちろんのこと、国や文化による考え方の違いなどを踏まえて、その上で適切な行動をとることが出来る人材が求められているのです。

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鉄鋼業界研究のおすすめ書籍紹介

業界研究を進める方法はさまざまありますが、さらに専門的な知識を身に付けたいのであれば、書籍を利用することがおすすめです。より専門的な知識を身に付けることができますし、情報が凝縮されていますので、それらを効率よく学ぶことができます。

就活を有利に進めるためには業界研究が欠かすことができず、より高いレベルの知識を身に付けておくことが大切です。おすすめの書籍を参考にして、よりレベルの高い知識を身に付け、就活を有利に進めていきましょう。

図解入門業界研究最新鉄鋼業界の動向とカラクリがよ~くわかる本

図解入門業界研究最新鉄鋼業界の動向とカラクリがよ~くわかる本は、国内と国外両方の鉄鋼業界の仕組みや特徴などを解説しています。鉄鋼業界は国内では伸び悩んでいますが、国外では中国や韓国が業界規模が拡大するなどさまざまな変化が起こっています。

国内でも事業再編が起こり、それが新日本製鉄と住友金属工業の経営統合です。
国内企業でも世界2位の粗鋼生産量を誇るなど、業界内での動きは激しくなっています。

業界内での動きが激しく起こる一方で、業界の将来についても注目が集まっています。この本では主要な企業の動向などを、イラストなどを使って分かりやすく解説しており、入門書としてもおすすめです。
業界の最新情報や将来の課題なども解説されており、就活だけではなく、就職後にも役立ちます。

カラー図解 鉄と鉄鋼がわかる本

カラー図解 鉄と鉄鋼がわかる本は、鉄の生い立ちや鉄鋼製品ができるまでの過程などを詳しく解説しています。鉄から鉄鋼製品が生まれるまでの工程については、あまり知られていません。鉄鋼業界を志すのであれば、応募職種に関係なく、製品ができるまでの過程を知っておくことが大切です。

この本では、鉄鋼製品つくりをオールカラーの図解、写真を用いて解説されており、初心者でも分かりやすい内容になっています。鉄が鉄鋼製品として生産されるにはさまざまな過程を踏まなければなりませんし、多くの人が関わることで製品として完成します。

鉄鋼業界を志望するのであれば、鉄鋼製品ができるまでの苦労を知っておくことも大切です。製品の成り立ちから、その苦労を知り、業界研究に役立てましょう。

鉄鋼業界の現状を理解して就活に臨もう

鉄鋼業界への就職を目指すなら、業界の現状がどのようになっているのかを知っておくことが大切です。鉄鋼業界の現状はどのようになっていて、これから推移していくのか、またどのような仕事があるのかは把握しておきましょう。

鉄鋼業界といっても、さまざまな種類があり、どの分野を目指すかによって知っておくべきことや、求められる能力が変わることも多いです。現状を理解し、業界への理解を深めることが、選考を勝ち抜く一番の秘訣です。

現状を理解しておくことで、選考に臨む前の準備もでき、高評価も獲得しやすくなります。業界の現状や分野ごとの理解を深め、鉄鋼業界とはどのようなところなのかを知り、選考の準備を進めておきましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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