業界研究

【トラック業界徹底研究ガイド】課題と主要企業5選を解説

トラック業界とは

トラック業界は、指定された荷物を指定された場所まで配送する業務を行います。運ぶ距離は短距離から長距離までさまざまですが、長距離となることが多いです。インターネット通販の需要の高まりで、トラック業界の必要性が改めてクローズアップされています。

そんなトラック業界で働きたいならば意識しておきたいのが業界規模や平均年収、人気企業の情報でしょう。そんなトラック業界を、より深く知るための基本情報を解説します。

運輸業界の業界・企業研究を進めよう

運輸業界で働きたいという就活生は、その仕組みや各企業について把握することが大切です。業績推移や各社の強みを知っておくことで、「この企業でなければならない」という入社意欲を志望動機に反映させることができるでしょう。

そこでおすすめなのが「運輸業界の業界研究マニュアル」です。無料でダウンロードできるため、効率的に業界・企業研究を進めたい就活生におすすめです。

トラック業界の概要

トラック業界は長距離を運転することが多いため、仕事は体力勝負な所がありますが、知識と経験も必要です。一般的な勤務形態は、運送会社の正社員や契約社員として働くか、運送会社の下請けとなり仕事を委託されるか2つに分けることができます。

運送会社に雇用された正社員の場合、給料は固定月給以外に取引先件数により変化する出来高報酬の所が多いです。一方、委託契約では歩合制が基本でしょう。しかしトラックは個人所有で、メンテナンス費用などは自己負担です。

そんなトラック業界で働くメリットとして、気楽という意見があります。長時間、一人で運転する時間が多くなりますから人間関係による煩わしさがあまりないことが理由として挙げられるでしょう。

トラック業界の業績推移について

  • 業界規模:10兆0,969億円億円
  • 平均年収:544万円万円
  • 平均継続年数:約19年

トラック業界を含めた運送業界規模を見ると平成20年から21年で下落がありました。しかし22年から上昇し、23年と24年はほぼ横ばいで、25年から増加しています。以降、27年まで上昇傾向にありますから、業界規模で言うと、拡大傾向にあると言えるでしょう。

今後も上昇傾向が期待できる理由として、インターネットの通販市場が大きな存在となっています。宅配便の需要が高まっており、平成27年度で約37億4493万個の宅配便取扱個数がありました。その中でトラック運送を見ると、前年と比べ3.8プラスとなっています。

インターネット通販の需要はまだまだ成長が期待されている市場のため、必然的に今後、宅配ドライバーの人材が必要とされるでしょう。

トラック業界の細かい職種分類について

  • SD職
  • 法人営業(事務職)
  • 管理

SD職とは、セールスドライバーや宅配便のドライバーのことです。個人ごとに決められた担当エリアがあり、顧客へ商品を宅配します。代表的なのはヤマト運輸や佐川急便などの宅配ドライバーが挙げられるでしょう。

ただ、商品の宅配以外にも顧客に対し営業などを行う場合もあります。法人営業では、法人に対し物流に関する問題点を解決するための提案などを行う業務が中心です。既存の顧客に対し問題点や要望を聞き、どうすれば良いのか解決策を提案していきます。しかし既存の顧客以外に新規顧客の開拓営業も求められる業務です。

管理業務は荷物の入荷や保管や出荷まで物流業務や在庫までの管理全般を行う業務です。配送手配やスケジューリング、人員配置などの業務を行います。

トラック業界の課題

トラック業界の賃金水準は、全産業平均より低くなっています。さらに、ドライバーの労働時間も長時間になる傾向があり、労働環境がよくないところもあります。このようなことから、トラック業界に従事する人の数は、ここ数年横ばいで推移しています。

また、自動車運送業は中高年層の男性が最も多く、40歳未満の若い従業員は全体の約28%と少なくなっています。50歳以上が40%を占めるなど、日本の社会と同じく高齢化が進んでいます。これから先も、さらに高齢化が進んでいくと考えられ、人材の確保が大きな課題です。

トラック業界では、女性の比率も低く全体の18.3%となっています。労働環境の改善を図り、若年層のドライバーを増やしていくことが重要といえます。

トラック業界の今後の動向

インターネットで買い物をする人が増える中、再配達などでドライバーの負担が大きくなっているトラック業界ですが、今後もますます人手不足が進んでいくと懸念されています。解決策として、ドローンを使った荷物配送を実用化する動きが見られます。

小型無人機とも呼ばれるドローンを物流に活用するには、荷物を運んで降ろすという複雑なプロセスが必要になります。操縦する人がいなくても、安全に飛行をおこなうということも重要です。

現在はドローンに乗せられる荷物の重量にも制限があるため、実用に向けて準備が進められている状態です。実際にドローンで荷物の輸送実験などもおこなわれていますが、安全への配慮などの課題をクリアしていく必要があります。

トラック業界で求められる人物像

トラック業界で求められるのは、事故などを起こさずに安全に業務をおこなえる人物です。ミスを防ぎ、素早く作業ができるかという点も重要です。また、荷物をトラックに積み込むことも多いために、体力が必要になります。企業によっては複数名でチームを組む場合もあり、業務管理の能力も問われます。

運送業はIT化が進んでいるため、基本的なパソコン知識もあるとよいでしょう。業務によっては、関連企業や顧客への対応も必要です。円滑なコミュニケーションができる能力も大切だと考えられます。中型免許、大型免許、けん引免許、フォークリフトやクレーンの運転資格などを持っていると就職にも有利になり、仕事の幅も広がるでしょう。

主要企業5選紹介

トラック業界にも、大手企業が存在します。就活を行う際、より経営が安定しており社風も自分に合った企業を選びたいという就活生も多いでしょう。そのためには企業について情報を集めなければなりません。

運送業界=トラック業界と考えた場合、大手主要企業は何処になるのでしょうか?従業員やその歴史、事業内容や社風も含めて紹介していきます。企業研究だけではなく、自分に合っている業界かどうか確かめるためにも参考にしてみてください。

日本通運株式会社

  • 企業名:日本通運株式会社
  • 代表者名:齋藤充
  • 従業員数:32,094人
  • 設立年月日:1937年(昭和12年)10月1日

日本通運株式会社は、自動車輸送を中心に幅広い業務を行っています。それ以外にも、鉄道利用輸送や、海上輸送、船舶輸送や航空輸送、倉庫業、旅行やプラントの輸送、特殊輸送など、物流事業全般から関連事業まで幅広いのが特徴です。日本国内だけではなく、アメリカや中国など複数、海外拠点があります。

社風を見ていくと、男性育児休暇や教育関連などが整っており働く人間にとっては有益でしょう。しかし制度はあったとしても、利用しづらい雰囲気があるという声も上がっています。堅実な社風ですからチャレンジ精神はあまり好まれない傾向です。個人よりチームや協調性が求められる昔ながらの体質が残った企業と言えるでしょう。

 日本郵政株式会社

  • 企業名:日本郵政株式会社
  • 代表者名:取締役兼代表執行役社長   長門 正貢(ながと まさつぐ)
  • 従業員数:2,761名(2017年3月31日 現在)
  • 設立年月日:2007年10月1日

日本郵政株式会社は2007年10月1日に民営化されました。事業内容として、郵便業務や銀行窓口業務、保険窓口業務や印紙の販売などがあります。他にも、地方公共団体からの受託業務、生命保険業と損害保険業の代理業務、国内・国際物流業やロジスティクス事業などさまざまです。

社風は、個人のやり方よりルールを守る傾向があり、規律が重視されます。個性より協調性やチームワークを大切にすることが求められるでしょう。年配者が多いのも特徴で、どこか落ち着いた雰囲気があります。

給料面を見ると契約社員にも有給や寸志があるぐらいなので、安定や安心感はあるでしょう。郵便という個人情報の強いものを取り扱うため、コンプライアンスは厳しい傾向です。

ヤマトホールディングス株式会社

  • 企業名:ヤマトホールディングス株式会社
  • 代表者名取締役社長:山内 雅喜
  • 従業員数:210,950名(連結)
  • 設立年月日:1919年(大正8年)11月29日

ヤマトホールディングス株式会社は、宅急便といった小口貨物輸送事業が中心です。他にもロジスティック事業や各種引越業務、食料品や生活必需品の販売事業なども展開しています。また、情報システムの開発やフィナンシャル事業、車両整備や車両管理システムなども行う企業です。各種保険ですが、運送業者やバス事業者に提供しています。

社風は、チームワークや協調性を重視する傾向にあると言えるでしょう。年齢層は若い人と年配者、どちらかに偏ることはなくバランスが保たれています。福利厚生ですが、育児休暇や看護休暇などが充実しているのは魅力でしょう。基本的に個人が頑張れば評価される雰囲気もありますが一方で残業の多さを指摘する声もあります。

株式会社 日立物流

  • 企業名:株式会社 日立物流
  • 代表者名:執行役社長 中谷 康夫
  • 従業員数:25,274名 (2017年3月末現在)
  • 設立年月日:1950年(昭和25年)2月

株式会社 日立物流は国内物流から国際物流まで幅広く物流業務を中心に行っています。一般貨物から貴重品の輸送、搬入などを行う企業です。工場などの大型移転作業、産業廃棄物の収集や運搬業も行っています。輸送以外では、倉庫やトランクルームサービスも提供している企業です。

若い年齢の内から大きな仕事を任せられることもあり、上昇志向が強い人にとってはやりがいを感じられる場合もあるでしょう。仕事内容によって海外出張や駐在員などもあります。

ただ、基本的に堅実な社風で、個性より協調性が重視される側面もあるのが特徴です。それでも企業が行おうとしている方向を理解した上で個人がアイディアを出した場合、採用される器の大きな所もあります。

セイノーホールディングス株式会社

  • 企業名:セイノーホールディングス株式会社
  • 代表者名 代表取締役社長:田口 義隆
  • 従業員数:(連結) 28,023人
  • 設立年月日:1930年(昭和5年)2月11日

セイノーホールディングス株式会社は、貨物自動車運送事業や貨物利用運送事業、倉庫業、航空運送代理店業、通関業、国際複合一貫輸送事業など幅広く行っている企業です。

社風ですが、例えば企業理念の中には社員に対する内容も含まれています。働いていく上で経済的に満たされること、自分の仕事に誇りが持てること、将来に明るい展望が持てることが、社員の幸福につながるという考え方が特徴です。また、運送業全般は顧客に対し信頼される必要があるので、礼節と秩序を重視している傾向もあります。

大手主要企業全般に共通するのですが、個性より協調性やチームワークが求められる社風と言えるでしょう。

トラック業界の内定をもらうために覚えるべき用語

福利厚生や社内規則が整ったこれらの業界大手の企業への就職は、トラック業界を目指す方々の目にとても魅力的に映ることでしょう。しかし当然のことながら、これらの企業は内定競争率が高く、面接を始めとした採用選考に向けてしっかりとした対策が行う必要があります。

その中でも、トラック業界での内定を勝ち取る為に必要な業界知識として、いくつかの用語とそれらの意味についてご紹介します。以下を参考にトラック業界に対する理解を深め、ぜひとも今後の就職活動に活かしてください。

Gマーク制度

公益社団法人である全日本トラック協会が定めた一定の基準をクリアした事業所に対し、「安全性優良事業所」であることを証明するマークを与える制度のことです。交通安全対策などに対する事業所全体としての取り組み具合を基に与えられるこのGマークは、2018年現在で全事業所の約3割程度が所有しています。(参照:全日本トラック協会

このマークを所有している事業者に対しては、国土交通省による違反点数の消去やIT点呼の導入・全日本トラック協会による助成・そして損害保険会社による保険料の割引など様々な場面でインセンティブが与えられます。女性が活躍できる職場作りに取り組んでいる企業に与えられる、「えるぼしマーク」と同様に、業界全体としての安全性やより良い職場作りを目指す為に設立された制度と言えます。

COOL CHOICE

地球温暖化対策として温室効果ガスの排出量を減らそう、という国民運動としてのスローガン、またはその為の取り組みそのものを意味する言葉です。環境省は、平成27年に開催された「第29回地球温暖化対策推進本部」において決められた「2030年度の温室効果ガスの排出量を2013年度比で26%削減する」という目標達成に向けて、国民一人一人の意識改革とライフスタイルの改善を呼びかけています。(参照:環境省

これに伴い、様々な業界が独自の取り組みを行う中、トラック業界においても全宅配物の2割を占める再配達を利用者一丸となって防止し、温室効果ガスの排出を減らす取り組みを行うなど、全日本トラック協会を中心にその目標達成と運動への協力を呼び掛けています。

トラック事業における総合安全プラン2020

平成29年に国土交通省が公表した、「事業用自動車総合安全プラン2020」を受けて策定された、2020年までを計画期間とする安全目標達成の為のガイドラインです。具体的な内容としては、2020年までに交通事故による死傷者を200人以下にする為の各種交通事故防止対策の推進・死亡事故件数に関わる新たな数値目標の設定などが定められました。

後者の数値目標に関しては「車両台数1万台に対して死亡事故件数を1.5件以下に抑える」との具体的な基準が定められ、これは、2014年にプラン09の中間見直しとして定められた、「2.0件以下」との数値よりさらに厳しいものとなりました。これらを各都道府県のトラック協会と連携して遵守することで、交通事故防止対策の推進を図ることがこのプランの最大の目的です。

トラック業界研究のおすすめ書籍紹介

トラック業界を研究する上で大切なのは、幅広い情報媒体から価値ある情報を得ることです。インターネットなどでもトラック業界に関する情報は得られます。しかしインターネットだけでは足りないことを意識してください。インターネットは膨大な情報の一部が公開されているだけです。

トラック業界を研究する上で重要な情報媒体として意識したいのは書籍でしょう。お金を払うからこそ得られる情報が、そこには書かれているからです。

図解入門業界研究最新物流業界の動向とカラクリがよ~くわかる本[第3版]

図解入門業界研究最新物流業界の動向とカラクリがよ~くわかる本は、船井総合研究所上席コンサルタントである橋本直行氏による著作です。著者は物流企業の業績アップや、戦略、戦術の立案などを専門的なテーマにしており数多く講演会も行っています。その著者により、物流分野に関連する基本的な情報やビジネスの形、流れまで豊富な情報が網羅されているのがこの著作です。

トラック業界のことを研究するなら、物流業界全般も理解する必要があるでしょう。基本的なことが分からなければ、より深い情報を理解するのは難しくなるからです。トラック業界や物流業界について知ろうとする就活生にとって分かりやすく、役立つ情報が豊富に掲載されています。

仁義なき宅配: ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン前代未聞の潜入労働ルポ!

ヤマトVS佐川VS日本郵便VSアマゾン前代未聞の潜入労働ルポ!は、横田 増生による著作です。昨今、宅配ビジネスは日本で最も注目されている成長産業と言われるようになりました。その中心にあるのが、ヤマト運輸や佐川急便や日本郵便と言った運送業界の巨人大手3社です。成長産業だからこそ、企業はシェアを得ようと競争を激化させています。

一方でAmazonは即日宅配という驚くべきサービスを実現させました。ただ、どのようなシステムで即日宅配を実現させているのか理解している人は少ないでしょう。著者は宅配企業に潜入しこのルポを書き上げています。自分の目で実際に見たことを書いていますから、説得力は十分です。

トラック業界を深く知って就活を有利に進めよう

トラック業界は人材不足などの問題に直面しています。一方でITやロボットなどのハイテク技術を導入し問題を解決をしようとする流れが起きているのです。需要が高まっているトラック業界を目指してはいかがでしょうか。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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