業界研究

【自動車部品業界の研究ガイド】就活に役立つ情報を一挙大公開

自動車部品業界とは

自動車の部品を製造する自動車部品業界は、トヨタ系、日産系、ホンダ系、というように、ほとんどが自動車メーカーの系列企業です。実際に子会社や傘下であることも多く、長い間、日本の自動車産業を支えてきました。

自動車部品業界は、現在大きな転換期を迎えています。今後成長の可能性もあり、注目されていますが、そのくわしい内情はあまり知られておらず、主要企業すら知らない方も多いです。しっかりと研究をして自動車部品業界について知っておきましょう。

自動車部品業界

安全性の信頼から、日本自動車の需要が高まっています。日本自動車の需要の高まりは、自動車部品業界にも影響を与えるのです。

自動車部品面ーカーは、自動車メーカーの傘下となっていることが多くあります。例えば、トヨタ系列は大手でいうと、デンソーや豊田自動車織機、アイシン精機があげられます。今年もトヨタ自動車は売上台数を伸ばし、日本国内第1位を売り上げました。そのため、傘下となっているデンソーや豊田自動車織機なども、影響を受けていることが予想されるでしょう。

自動車部品業界の業績推移について

  • 業界規模 29兆円
  • 平均年収 597万円
  • 平均勤続年数 16年

自動車部品業界の業績推移を見てみると、米国サブプライムローン問題を発端にした世界的な経済不況の影響を受け、平成21年頃にかなり落ち込みました。しかしその後は増加に転じています。北米や欧米市場での好調や新興国市場の拡大から、今後も順調に推移する見通しです。

業界規模に比べると平均年収は少なめですが、一方で平均勤続年数は長めです。自動車関連業界は組合がしっかりしているところが多く、安定して就業できる環境が整っています。特に大手企業では平均勤続年数が20年を超える社も多いです。自動車部品業界の業界規模は国内で11位であり、これも安定した働き方を支える一因と言えます。

自動車部品業界の細かい職種分類について

  • 開発
  • 生産
  • 購買
  • 品質管理

開発職は、新しい部品の開発だけでなく、現在ある部品の品質向上や、コスト削減など製法の改良も行う職種です。生産職は、実際に自動車部品を製造する職種ですが、材料の発注や見積もり、スケジューリングなどの生産管理も行います。購買というのは、二次下請け企業に二次部品を発注したり、折衝をしたりする職種で、生産管理との連携が重要です。

自動車部品の製造では、同じ部品または異なる部品を大量に製造する過程から、どうしても欠陥品が混じってしまいます。品質管理職は、欠陥品の調査を行い、データを管理し、社内外で共有していく役目を負っています。

これらの職種は厳密に分かれているわけではなく、一人でいくつもの職種を兼務することもあるでしょう。

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自動車部品業界の主要トピック3つ

自動車部品業界を取り巻いている環境や、今後の動向などをさらにくわしく知るためには業界ニュースに目を向けるのが手頃です。業界ニュースでは多くの場合、関連する他の業界と絡んだ出来事が取り上げられます。そのため自動車部品業界と密接な関係にある自動車業界や、その他の関連業界など、幅広い分野の知識も得られます。

自動車部品業界を深く研究すると同時に、面接や志望動機のネタとしても利用できるので、主要トピックを知っておきましょう。

経営破たんのタカタ 米自動車部品会社に事業譲渡へ

エアバッグの異常破裂の問題で経営破たんとなったタカタは
、中国企業傘下のアメリカ自動車部品企業へシートベルト事業などを譲渡する合意をしました。譲渡価格はおよそ1,750億円であり、2018年3月までには譲渡完了とする予定です。エアバッグのリコール対応関連は引き続きタカタがおこないます。

タカタと言えばエアバッグが登場した当初から製造を続けており、一時は世界シェア2位になるなど急成長を遂げましたが、製品の不具合をきっかけに不祥事が発覚しました。タカタでは2008年頃から製品に不具合が発生していましたが、対応の遅れが問題となり、またそれを隠蔽(いんぺい)するような証拠が見つかったのです。この一連の事件によって負債額が1.7兆円にものぼり、製造業としては戦後最悪の結果をうみだしました。

国土交通省の公表資料によると、自動車業界ではリコールの件数も対象台数も増加しています。自動車関連業界にとっては大きな痛手であり、業績悪化を招くだけでなく、タカタのような経営危機すら起こし得ます。タカタの例でもわかるように、リコールは早期発見・早期対策が重要です。完成車メーカーと部品メーカー、販売店など全方面で連携を強化することが必須です。

トヨタも認めた自動車部品「メガ企業」の正体 ドイツ勢が日本中に開発拠点を続々解説

トヨタ自動車が発表した昨春の新製品にドイツメガサプライヤー・コンチネンタルの製品が使われたことで、業界に衝撃が走りました。自動車部品メーカーが系列の枠を超えて世界へ進出するだけでなく、メーカーが系列外企業の部品を取りいれる時代が訪れたのです。

採用されたのは自動ブレーキなどの安全運転システムに使われるセンサーモジュールで、搭載される車種も増えています。コンチネンタルは2015年6月にトヨタ向け開発拠点を豊田市に開設し、以降2020年までにマツダ、スズキなど各社に対応した拠点を設ける予定です。コンチネンタルに限らず、ドイツの自動車部品メーカー各社は続々と日本国内へ進出してきており、安全運転支援、自動運転などの日系部品メーカーが未だ弱い先進技術方面を狙っています。

こうした情勢を受け、トヨタ自動車は部品業界の再編を発表しました。海外メガサプライヤーの台頭は脅威ですが、これまでも幾多の試練を乗り越えてきた国内自動車業界がこの先どういった成長をしていくのか、業界内外から注目が集まっています。今後も自動車部品業界は再編が進む可能性が大きく、世界を相手にした競争は激化しそうです。

自動車部品の樹脂化が進む〜島津製作所 高速衝撃試験機を発売

島津製作所は、プラスチックや樹脂複合材料などの引張試験を行う高速衝撃試験機を発売しました。自動車の部品に限らず、近年はさまざまな部品が軽量化や高機能化を理由に樹脂化されており、機能テストの一貫として高度な引張試験が注目されています。欧州連合(EU)における規格にも対応させたことで、全世界で展開していくことになりました。同社は世界トップクラスとなる高速度ビデオカメラも合わせて提案していくことを予定しています。

現在、高速引張試験には公的な規格が存在しておらず、国際標準化機構(ISO)で規格の必要性が議論されていますが、島津製作所は規格の制定推進にも積極的に関わっていく方針です。世界に通用する高い技術力を持ったメーカーは、系列にとらわれずメガサプライヤーとなるべく躍進していき、今後もこの潮流は続く見通しです。競争力を持たない企業は必然的に再編され、淘汰されていくでしょう。

環境技術、EV化などが意識される中、自動車部品の樹脂化により自動車の軽量化が進んでいます。2020年には車両の総重量が現在よりも軽くなると予想されており、樹脂部品は鋼板部品に比べて加工しやすく、製造時間の短縮も可能になるという利点があり、世界で研究が進められています。

自動車部品業界の売上高ランキングTOP10

ここでは、業界動向リサーチを参考に、自動車部品業界の売上ランキングをご紹介します。

    自動車部品業界の売上高ランキングTOP10

  1. デンソー
  2. アイシン精機
  3. 豊田自動織機
  4. トヨタ紡織
  5. ジェイテクト
  6. カルソニックカンセイ
  7. 日本精工
  8. 小糸製作所
  9. 豊田合成
  10. NOK

自動車部品業界の平均年収ランキングTOP10

次は自動車部品業界の平均年収ランキングです。こちらも業界動向リサーチを参照に紹介します。

     自動車部品業界の平均年収ランキングTOP10

  1. IJTテクノロジーHD 941万円
  2. デンソー 834万円
  3. 豊田自動織機 778万円
  4. 日本精工 768万円
  5. アイシン精機 710万円
  6. NOK 708万円
  7. NTN 700万円
  8. ジェイテクト 698万円
  9. テイ・エス・テック 698万円
  10. ユタカ技研 1677万円円

自動車部品業界の主要企業5選紹介

自動車部品業界について大まかな像がつかめてきたところで、さらにくわしい業界研究を進めていくために、自動車部品業界の主要企業5社を紹介します。

自動車完成品1台には3万種類以上の部品が使われており、それらを製造している自動車部品メーカーもまた無数に存在していますが、業界地図を知っておくことはとても重要です。

日本の完成車メーカーで、まず挙げられるのはやはりトヨタですが、自動車部品業界においてもトヨタ系列の企業が大きなシェアを持っています。売上高上位5社はすべてトヨタ系列ですが、ここでは他系列の企業も紹介します。

株式会社デンソー

  • 企業名 株式会社デンソー
  • 取締役社長 有馬浩二
  • 従業員数 連結154,493名 単独38,914名(2017年3月31日現在)
  • 設立 1949年(昭和24年)12月16日

デンソーはトヨタの開発部門が独立して設立され、現在もトヨタグループに属しますが、トヨタ系列のみならず、世界中の自動車メーカーへ製品を輸出しています。自動車部品企業は、トヨタに限らず系列の親会社から社長が選ばれることが多い中、デンソーの社長は常にデンソー社内から輩出しています。

自動車部品に限らず、技術力を応用して多角経営しているのもデンソーの特徴です。QRコードやエコキュート(ヒートポンプ給湯器)など、創業以来のデンソースピリットを脈々と受け継ぎ、他社にまねできない革新的な製品を次々と生み出しています。

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アイシン精機株式会社

  • 企業名 アイシン精機株式会社
  • 取締役社長 伊原保守
  • 従業員数 110,357人(連結)・13,591人(単独)
  • 設立 1965年(昭和40年)8月31日

アイシン精機はトヨタグループに属しますが、日産など国内の他メーカーや、海外への進出も果たしています。自動車部品に限らず各種家電製品やシャワートイレ、電動車椅子などにも長けており、アイシン精機から次々とベンチャー企業が誕生し、現在ではアイシン精機本社と同等以上の企業規模になる子会社もあるほどです。

自動車部品としては、世界で初めて音声案内機能を搭載したボイスカーナビゲーションシステムを開発した経緯があり、自動変速機の技術力は世界トップとも言われます。創業以来の品質至上を基本理念として、今後もより良い社会の実現を目指していきます。

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株式会社豊田自動織機

  •  
  • 企業名 株式会社豊田自動織機
  • 取締役社長 大西 朗
  • 従業員数 52,623人
  • 設立 1926年(大正15年)年11月18日

トヨタと言えば世界に名を連ねる日本の代表企業ですが、その本家となるのが豊田自動織機です。より品質のよいものを、より生産コストを押さえたものを、というトヨタグループ全体に共通する企業精神はここから始まっており、グループ内や同社内では誇りを持って「ショッキ」と通称することも多いです。現在では自動織機や自動車部品の製造のみならず、フォークリフトでは世界トップシェアを保持しています。

今後は2020年ビジョンで掲げた「世界の人々の豊かな生活、温かい社会づくり」に努め、企業体質の強化、リスク管理、技術力向上などに取り組み、人材育成も強化していく方針です。

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カルソニックカンセイ株式会社

  • 企業名 カルソニックカンセイ株式会社
  • 代表取締役社長 森谷弘史
  • 従業員数 22,424人(連結)
  • 創立 1938年(昭和13年)8月25日

2016年度の自動車部品業界売上高シェア第6位のカルソニックカンセイは、創立当初から日産自動車との関係が強い企業でしたが、2017年3月に完全独立を果たしました。自動車用ラジエーターでは高いシェアを誇り、他にも多くの自動車部品を手がけています。ラジエーターとは熱交換器のことで、車内空調の他、低燃費化を実現する部品です。

為替変動による減益にも関わらず、それを補って余りある営業努力により三期連続最高益を達成しています。特に海外や日産圏外での成長が目立ち、四期連続最高益を目指して突き進む勢いのある企業です。

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日本精工株式会社

  • 企業名 日本精工株式会社
  • 取締役代表執行役社長・CEO 内山俊弘
  • 従業員数 31,501人
  • 創立 1916年(大正5年)11月8日

「NSK」のロゴマークでおなじみの日本精工は、創立の経緯からみずほグループに属しておりますが、特定の完成車メーカーとの強い系列は持ちません。ベアリング(軸受)と呼ばれる重要な部品を主力事業とし、自動車だけでなく多くの産業分野で用いられています。ベアリング分野では日本でトップ、世界30カ国に拠点を展開し、常に革新的な技術を生み出している企業です。

日本精工のベアリングが用いられている例としては、自動車、二輪車以外に半導体、風力発電機、医療機器など、実に多岐にわたります。為替変動の影響を受け昨年度は減収減益となりましたが、増配などの状況を鑑みるに、安定して成長していることが伺えます。

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自動車部品業界研究のおすすめ書籍紹介

 

自動車部品業界について理解が進んできましたが、この程度の知識であれば誰でも持ち合わせているので、実際に志望するにはまだ不十分です。

自動車部品業界を本気で志望する方は、書籍等で生きた情報を手にいれましょう。書籍の情報はすぐに古くなってしまうものですが、同時に、時間がたっても当時の状況を手に取るように理解できるものでもあります。

実際に足で情報を稼ぎに行ってみると、PCの前に座っているだけでは決してできない経験を得られます。

成長力を採点!2020年の「勝ち組」自動車メーカー

成長力を採点!2020年の「勝ち組」自動車メーカー』は、100年に一度とも言われる大きな転換期を迎えた自動車業界にスポットを当てています。EV化、自動運転技術、人工知能(AI)開発、安全運転システム、環境技術、設計標準化など、近年の革新的技術の多くは欧州によって生み出されたものです。メガサプライヤーが次々と革命を起こし続々と日本へ進出してくる一方で、日本は先進技術面には大きく遅れを取っています。

この本は自動車部品業界を解説したものではありませんが、欧州主導で動き出している各種技術革新や、今後の展望が細かく調査されており、自動車部品業界を志す方にとっても業界の動向や勢力図、目前の課題などがイメージしやすい本と言えます。

最新オールカラークルマのメカニズム

最新オールカラー クルマのメカニズム』という本は、「自動車関連業界を志望しているがあまりクルマには詳しくない」という方におすすめの一冊です。自動車の部品を細かく分け、それぞれの仕組みや働きについてわかりやすく図解しています。2013年に出版されたもので最新技術の情報は得られませんが、基本的な自動車の構造は技術革新があっても変わりません。

自動車部品業界は、ひとつの企業で何種類もの部品を手がけているところから、専門的に限られた種類の部品だけを手がけるところまで、さまざまです。自動車の構造を知ることで、志望先選びの参考にもなります。写真が多く、視覚的・直感的にイメージをつかむことができるこちらの本は、大いに就活の助けになります。

自動車部品業界を深く知って就活を有利に進めよう!

自動車部品業界は、現在大きな転換期を迎えているところで、その中で新しい時代の核となりうる人材が求められています。
そのためには自動車部品業界や関連業界に限らず、いろいろな業界を研究して、世界で通用する戦力を蓄えていきましょう。

監修者プロフィール

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吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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