【2016年の就職内定率から学ぶ】就活生が気になる調査方法や数字の推移までを徹底解説!

毎年発表される就職内定率について理解しておこう

近年の景気感の回復、また人手不足の影響などを受け、就職内定率が過去最高に達したというニュースが眼に飛び込んできます。就職を目指す学生にとっては、これはとても良いことのように感じられますが、この就職内定率とは、そもそもどのようなものなのでしょうか。よく耳にするこの「就職内定率」という言葉ですが、実のところその実態について知っていると言い切れる人はあまりいないでしょう。

そこでこの記事では、就活生が知っているようで知らないこの「就職内定率」について、その調査方法から近年の推移などから徹底的に解説します。「就職内定率」について正しく理解し、ぜひご自身の就職活動に役立てていってください。

就職内定率とは

就職内定率とは、「就職希望者がいったいどのくらい就職することができたのか、または内定を受けることができたのか」を調査し、その割合を算出したものです。一般にこの就職内定率は、景気や経済状況の目安としたり、就職環境の指標として利用されています。また大学などの教育機関が自学の就職状況として独自の数字を発表し、学校のPRとしてアピールする場合もあるでしょう。

さまざまな大学や高校などが、それぞれの学校の学生の就職内定率を発表しています。これは学校教育法施行規則によって公表されるもので、それらの学校の就職状況を知るための指針となります。それゆえ、各学校ではPRのための材料として用いているのです。

厚生労働省・文部科学省で調査されたもの

就職内定率とは、該当する年度に卒業する学生が、就職および就職内定を受けた割合をいいます。これは厚生労働省と文部科学省とが共同で「就職内定状況に関する調査」という調査を実施し、これを基に算出した数値です。厚生労働省はこの調査の目的を、「大学や短期大学、高等専門学校及び専修学校の卒業および卒業を予定する学生・生徒の就職内定状況を把握し、就職問題に適切に対処するための参考資料を得ること」としています。

さらに文部科学省と共に、大学の就職相談員とハローワークのジョブサポーターとの連携での取り組みを通して就職支援を図るため、年に4回、定期的な公表を行っています。それにより、その期間における就職内定の状況を周知させているのです。

調査内容

厚生労働省と文部科学省が連携して行うこの「就職内定状況に関する調査」は、国内の大学などの就職相談員、ハローワークのジョブサポーターなどの連携を促進するために行われるものです。調査の依頼先は、国立大学、公立大学、私立大学、短期大学、高等専門学校、専修大学(専門課程)の112校です。これは地域などを考慮して厚労省と文科省が抽出したもので、調査の対象人員は6,250人となります。

調査方法は、対象となる各大学などで、調査の対象学生を抽出し、電話及び面接によって性別や就職希望の有無、就職状況などを調査します。調査の時期は、毎年10月1日、12月1日、翌年の2月1日、4月1日です。発表についてはそれぞれに対応して11月18日、1月20日、3月17日、5月19日となっています。

平成28年度の就職内定率【大学】

就職内定率は、平成28年4月で、過去最高の数値を示しました。就職内定率の現在の状況を、「平成28年度大学・短期大学・高等専門学校及び専修学校卒業者の 就職状況調査(4月1日現在)について」に基づいて解説してみましょう。

ここでは、国立大学、私立大学の卒業生を対象としたデータを参考に就職状況を分析します。これは平成28年度初頭に行われた調査であるため、前年度の卒業者の卒業後の実際の就職状況を知ることができます。

就職内定率は97.6%

平成28年度の大学における就職内定率は97.6%で前年同期(平成27年4月1日)と比較して0.3ポイントの上昇となっています。これは平成9年3月の卒業者を対象とした就職状況調査の開始以降、過去最高となる数値です。ここ6年で連続した上昇傾向がみられたなか、2年連続の最高値を記録しています。国公立大学の97.3%、私立大学の97.7%と、ともに堅調に上昇推移していることを示しています。

これは国内の少子化の影響を受けた人手不足などもありますが、景気の回復基調に沿った伸びであるとも考えられるでしょう。このような状況から、就職氷河期の頃では考えられない、売り手市場といわれる状況があり、就活生にとっては今後も期待の持てる傾向にあります。

就職内定率【男女別・文系理系別・地域別】

男女別では、男子が96.9%で前年同期比0.2ポイントの上昇、特に国公立は97.1%で1.1ポイント上昇しています。女子にいたっては98.4%で、これは0.4ポイントの上昇です。気になる文系と理系別の就職内定率ですが、文系が97.3%で0.2ポイントの上昇、理系が98.7%で0.5ポイントの上昇です。依然理系が強い傾向はあるものの、その差は僅差にすぎません。

地域別では、関東地区の就職率が98.8%と、最も高く0.9ポイントの上昇です。続いて九州地区の97.6%、近畿地区の97.1%とそれぞれポイントが上昇しています。中部地区は97.4%を示していますが、前年同期比では0.9ポイントの減少、北海道・東北地区は96.5%、中国・四国地区は95.5%となっています。数値としては、各地域の中核地区の就職率の上昇を指摘することができるでしょう。

就職内定率の推移【大学】

就職内定率はこの数年間上昇傾向で推移しており、景気の回復、好調傾向を示していると言えるでしょう。平成20年から平成27年までの3月卒のデータを見ると、平成20年の96.9%から平成23年の91.0%という落ち込み傾向が続いていましたが、翌24年からは6年連続で上昇傾向を維持しています。

平成20年からの就職内定率の落ち込みは世界中の経済をひっ迫させたリーマンショックに端を発します。この影響で日本経済も冷え込む中、さらに平成23年には東北地方太平洋沖地震が発生、国内の企業および株式市場に大きな影響を与え、就職内定率も低い水準となりました。以降は、震災復興計画やさまざまな経済政策により、景気は徐々に回復基調となり就職内定率へと反映してきたものと考えられます。

就職内定率の数字が全て正しいとはいえない

就活生にとっては、就職に関するさまざまな場面で指標として活用される就職内定率ですが、実は注意すべき点もあります。示されている数値が実際の就職状況を正確に反映しているのかどうかというと、実はこの数値がすべて正しい、というわけではない点です。ここからは、就職内定状況調査の調査依頼におけるサンプル数について、また調査方法にみられるその問題点を探ることで、就職内定率が示す数値についての信頼性について考えていきます。

調査依頼先の大学が少ない

まず知っておきたいのが、調査に用いるサンプルの数です。就職内定率の調査では、該当するその年のすべての卒業生を対象としているわけではありません。先述しましたが、これは大学の設置者、地域の別などを考慮し厚労省と文科省が抽出した学校のみの調査です。大学における就職内定率の実際の調査依頼先は、短期大学、高等専門学校、専修大学(専門課程)を除けば、国立大学21校、公立大学3校、私立大学で38校で、62校です。

ちなみに平成28年版の「文部科学統計要覧」によると、全国の大学数は全体で779校(平成27年現在)で、そのうち国立大学が86校、公立大学89校、私立大学が604校でとなっています。ここからわかるように、調査の依頼先は決して多いものということはできず、統計学的にもその算出された割合が必ずしも正しいとは言えないということです。

就職希望者のみを調査対象としている

また注意したいのは、これらの大学の調査で調査対象となっているのは、就職希望者のみです。発表されるデータに「注)なお、就職率とは就職希望者に占める就職者の割合。」という記載があることに注意してください。ここでは就職浪人や就職を諦めて大学院へ進学する学生、また留学をする学生は含まれていません。

ここで分かるのは、就職内定率の数値は、大学を卒業するすべての学生の割合ではないということです。平成28年度の調査では、この就職希望者は、調査対象となっている大学全体の74.7%です。ということは、97.6%という就職率は、この74.4%の就職希望者を対象とした就職率であるということになります。

就職内定率の数字には惑わされないようにしよう

就職内定率が近年、堅調な伸びを見せており、世間では売り手市場であるという声も聞こえ、就活生にとっては安心できる就職市場の状況が続いています。しかし、ここまで見てきたように、この就職内定率というのは、100%の信頼性を持つものではありません。全国の大学で国立大学の割合は全体の11%ですが、就職内定状況の調査では調査対象の33.9%が国立大学になっています。

国立大学の場合、比較的高い偏差値の傾向が高く、就職に有利であることが理解できます。一方、私立大学はこの偏差値の幅がたいへんに大きいということができるでしょう。つまりこの調査方法であると、就職内定率が実態よりも高く算出される可能性が高いのです。このようなことからも、就職内定率はひとつの目安でしかないと言えます。就活生は自分自身の立ち位置をさまざまな方法でしっかり把握し、数字に惑わされない就活を地道に推進していくことが必要だと言えるでしょう。

監修者プロフィール

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吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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