適性試験とは
多くの新卒就活生が、就活中に直面するのが適性試験です。書類審査と同時に行われる適性試験は、応募者の多い大手企業などを中心に幅広く採用されています。適性試験が採用される背景には、採用側の人手も限られる中、書類審査や面接で分からない部分を適性試験で見極めたいという意図があります。「試験で人間性を決められてしまうなんて納得いかない」と思う方もいらっしゃるかと思いますが、ここでちゃんと対策をしているか否かも、志望度をはかる指標になるので侮れません。
事実、適性試験の対策をきちんとしていないと、「訳が分からないまま試験が終わってしまい、第一志望企業の面接まで進めなかった」という話は、就活ではよく耳にする話です。この記事では適性試験の主な種類と対策方法をお伝えします。きちんと対策して、適性試験をクリアし、適性試験後の面接に挑んでください。
企業によって適性試験の種類は異なる
まず知っておきたいのは、企業によって採用している適性試験が違うということです。ひとくちに適性試験といっても種類は豊富であり、それぞれで実施される内容や範囲が異なります。これは適性試験の問題を提供している会社による違いもありますが、それだけではなく、見極めたい人材像自体が異なっているためです。
適性試験の種類が複数あり、それぞれ内容が違うこと、評価されているポイントが異なることは、頭に入れておきましょう。適性試験の種類が複数あるため、志望先に合わせた対策をすることが大切です。
適性試験の主な種類
まず、適性試験の主な種類をご紹介します。この他にも適性試験はたくさんありますが、新卒でよく目にする試験は、「SPI」・「玉手箱」・「TG-WEB」の3種類です。適性試験の中には、潜在的な適性をはかる、いわば対策をしても意味がない適性試験もたくさんありますが、この3つの適性試験は間違いなくどれも対策が可能であり、必要です。傾向を理解して、対策してから臨みましょう。
SPI
代表的な適性試験の1つ「SPI総合検査」、通称「SPI」はリクルートマネージメントソリューションズが提供する試験です。この試験は、ちょうどオイルショックにより採用数を大幅に制限していた頃の1973年に開発され、2002年にウェブ用にリメイクした「SPI2」が登場しました。その後最新版の「SPI3」が登場し、現在の企業採用試験では、SPIといえばSPI2かSPI3のどちらかです。
SPIは主に性格検査・能力検査の2つに分かれており、どちらか一方を実施する企業もあります。「SPI2とSPI3のどちらの対策をすればいいの?」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれませんが、SPI3はもともとSPI2のオプション検査追加版で、かつすべての試験を自宅で実施できるように作られたものですので、SPI3の対策をしておけば、SPI2に出会っても問題なく対処できるでしょう。
玉手箱
日本エス・エイチ・エル株式会社の「玉手箱シリーズ」もメジャーな適性試験の1つです。玉手箱の特徴はイギリスに本拠地のある会社の試験らしく、言語や英語長文などの問題がガッツリ入っている点です。主にグローバル企業やコミュニケーション能力を重視する企業で採用されています。
画面スクロールが必要ないくらいの長文を読み、15分以内で答えれば良いため、余裕を持って臨みやすい時間設定ですが、日頃から日本語・英語両方の文章に慣れておく必要があります。玉手箱は問題形式1つにつき複数問出題されるため、問題のパターンさえつかめば解きやすいので、他の適性試験よりも対策に割く時間が少なく済むでしょう。
GAB
GABは日本SHL社が提供している適性試験です。主に新卒を対象に実施されており、試験の形式が多数あります。自宅で受験できるWebテストから、テストセンターでの受験、さらには企業でのペーパーテストと種類が多いため、どの時点で実施されるかが分かりづらいでしょう。
内容は言語と非言語、性格検査が基本であり、試験を受ける場所によって問題数や時間が異なります。GABは適性試験の中でも比較的難易度が高く、就職難易度が高い企業で実施される傾向にあります。商社や金融業界での実施が多く、大手企業で実施されることも少なくありません。事前対策は必須であり、他の適性試験よりも念入りに対策しておかないと、攻略するのは難しいでしょう。
TG-WEB
最後に紹介するのは、適性試験の中でも難易度上位にランクインするヒューマネージ社の「TG-WEB」です。この試験は問題の傾向が少し変わっています。そのため、対策をしていないと、見慣れない傾向の問題に戸惑い、すぐ制限時間になってしまうでしょう。言語と計数は従来型と新型に分かれており、従来型では専門的な内容の長文や暗号・推論問題など、難易度の高い問題が多く出題されます。
制限時間は1問1~2分間ペースとかなりのハイペースで解かないと間に合いません。問題の傾向をチェックし、あらかじめその解法に慣れておくようにしましょう。一方新型は、とにかく従来型以上に時間との勝負です。1分間で5問解くペースでないと間に合いません。しかし、制限時間が来て問題を解ききれなくても、焦らず次の問題に集中しましょう。
適性試験の出題内容
先ほど挙げた3つの適性試験はどれも「言語分野」・「非言語分野」・「性格検査」の3つの項目に分かれています。それとは別に英語が入ってくる場合もあります。適性試験によって難易度や重視する項目は違ってきますが、対策の仕方はどれも変わりません。傾向と解き方さえ分かっていれば、あとは時間との勝負です。まずは傾向をつかみましょう。
言語分野
言語分野は「長文読解」をはじめ、「文章並べ替え」や「穴埋め」などがメインです。出題される題材としては新聞のコラムや新書などからが主です。いずれの問題も、日頃から本や新聞を読んで専門的な内容の文章に慣れておく・知識をつけておくことが大切ではありますが、解法のテクニックとしては、まず問題を読む前に設問を先に確認することです。
大学受験の現代文でも同じような手法を使っていた方も多いのではないでしょうか。設問を先に確認することで問題の答えを探しながら読み進めることができます。そして読解以外にも「二語の関係」や「熟語の成り立ち」など、単語の意味を問う問題も多くあります。これは高校までで勉強している言葉がほとんどです。問題集を解きながら勉強するのも良いですが、分からない単語や意味をあやふやに覚えている単語などが文章を読んでいる時に出て来たら、辞書を引いて調べる習慣をつけましょう。
非言語分野
非言語分野は四則逆算などの「単純計算問題」をはじめ、表や図からの「推論問題」や、仮定から正解を導く「理論問題」、展開図のような「空間把握問題」などが出題されます。とにかくこれらの問題は、事前によく問題集で慣れておきましょう。そして、問題を見つめているだけでは整理ができない問題の場合はメモを用意して、整理しながら解くことをおすすめします。
余程の天才ならば簡単に解けてしまうかもしれませんが、何より求められるのは時間内に確実に解く正確さです。制限時間に焦りはしますが、落ち着いて解けば解けない問題ではありません。自分のできることを1つ1つ着実にこなしていきましょう。
性格検査
重要視している企業が最も多い項目が性格検査です。性格検査はどの試験でもあまり傾向は変わりません。受験者は自身に関する大量の質問に答え、その中で同じような質問が何回も言葉を変えて出てくるというものです。この場合、「志望している職種や企業の求める人物像に合わせて回答する」というのも手ですが、作りすぎると面接などで失敗する可能性が高くなります。「なるべくうそをつかない」というのも1つ大事な要素です。
そのため、まずは自己分析をしてから企業の求める人物像と照らし合わせていくと、矛盾しない回答をすることができます。自分に合わない部分が少しはあるかもしれませんが、そこは企業側の求める理想に寄せて回答するのも良いでしょう。もし合わない部分が多い場合は、自分の将来のためにも職種自体を見直してみることも大切です。
あなたが受けない方がいい職業をチェックしよう!
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
・インターンの志望先を決められない人
・楽しく働ける仕事を見つけたい人
・簡単に自己分析をしたい人
おすすめの適性試験対策4つ
適性試験の種類や傾向を確認しましたので、最後におすすめの対策方法をご紹介します。適性試験は確かに事前の対策が必要ですが、企業研究やエントリーシートの記入など、就活は他にも時間を割く必要のある作業があります。
人によっては研究室やゼミなどやるべきことが山積みの方も多いでしょう。そんな忙しい就活生でもできる、短い時間でも効率よく対策できる方法をご紹介します。
④受ける適性試験の種類を把握しておく
適性試験は種類が複数あり、それぞれで出題内容や範囲が異なります。そのため、まずは志望先でどの種類が出題されるかを見極め、ピンポイントで勉強することが大切です。採用されている適性試験の種類は基本的には公表されていませんが、特定の業界で採用されることが多い種類もあります。
また、100%確実ではありませんが、ネットで得た情報をもとに、ヤマを張るのもひとつの方法でしょう。他にも適性試験の受験を求められるタイミングで、どの種類か判断する方法もあります。確実に見極めることは難しいですが、見極めが上手くいくと特定の種類に絞って勉強できるため、対策がしやすいです。
情報は広く集め、できるだけ確信を持ってからピンポイントで勉強に取り組むとよいでしょう。
②1冊の問題集を何周もする
まず自分の希望する職種で使われている適性試験を知り、問題集を買いましょう。その際には必ず本屋さんで購入しましょう。分かりやすい解説の本や、常に持ち歩きやすい本、問題数が多い本など、問題集に求める用途はそれぞれの生活スタイル・就活スタイルによっても変わります。きちんと自分の目で確かめて選びましょう。
そして、もう1つのポイントはなるべく問題集は複数買わないことです。不安になって何冊も買ってしまう方もいらっしゃるかもしれませんが、たくさんあっても解ききれません。何より大事なのはパターンを覚えて慣れることですから、同じ問題を何回も解く方が効率良いのです。
③時間配分を考えて練習する
適性試験を受ける時に一番のネックは時間です。制限時間が迫ってくると自動的に次の問題に切り替わってしまうので、次々と出題される問題に焦り、他の問題に集中できないという失敗談も多々あります。対策をしていない人がそういう失敗に陥りやすいです。練習問題を解く時にも、時間を意識して取り組みましょう。
自分がどの問題でどのくらい時間が足りないのか分かっておけば、足りなくなった時に焦らずに解き進めていけます。スマートフォンのストップウォッチを駆使して目標とする秒数になるまで練習しましょう。もし、本番までにあまり時間がないようでしたら、以下の2まででも効果的です。
④企業が求める人材像に近づける
企業側の負う採用コストは採用した人間が3年以上働かないとマイナスになると言われています。それだけ企業側も採用には真剣ですので、採用した人間と企業側とのミスマッチがないよう慎重に選考をしています。そのため、より企業の求める人物像に近い人物を採用したいのです。
最も理想的なのは、性格検査の回答内容を企業の求める人物像に近づけるという考え方ではなく、自分自身が企業の求める人物像であること・自分自身が企業の求める人物像に近づくことです。とはいえ、就活はたくさんの企業の採用試験を受けますので、企業の方針を確認し、自分と合う部分と合わない部分を分析しておき、自分に合う部分はより主張して、自分に合わない部分は企業に寄り添っていきましょう。
事前準備をして適性試験をクリアしよう
適性試験について解説してきました。時間制限が厳しいことや他であまり見ない問題の出題など、適性試験だけに見られる傾向が多々あります。冒頭でもお話しましたように、適性試験の対策をきちんとしているか否かも、企業側に志望度をアピールすることにつながります。
適性試験を受ける上で最も大事なことは、本番で焦らずに済むよう事前の準備をしっかりと行うことです。何もせずに適性試験を受けるなど、真夏の格好でシベリアに行くようなものです。しかし、採用試験の本番は適性試験ではなく面接、企業の方と会ってからですので、適性試験をきちんとクリアして次のステップへ行きましょう。