キャリア講義

企業選びの軸は「理想の自分に近づけるか」|成長し続ける姿勢がキャリア形成の鍵

菅原櫻子さん(LiLi株式会社/LiLiサービス事業統括 執行役員)

Sugawara Sakurako●前職にて女性活躍推進関連のコンサルティング営業職として企業人事や自治体・官公庁向けに女性が活躍するための環境整備を 担当。これからの時代は女性の環境整備ではなく、女性自身が自らキャリアを選択できる時代へとキャリア教育事業に関心を持ち転職を決意。現在はLiLi株式会社にて、キャリアスクールLiLiの運営責任者として事業設計や運営組織の統括を担う。企業向けに特に優秀層の女性新卒採用支援を行うとともに年間数千名の女子学生を対象としたキャリア教育事業も兼任

大滝うららさん(LiLi株式会社/JWVT認定キャリアメンター)

Otaki Urara●大学卒業後、大手アパレル総合職として2004年に入社。広報などの重要なポジションに抜擢され、産休も2回取得するなど、社内で女性の新しい働き方のロールモデルとして牽引。夫の病をきっかけに働き方を変えるために15年働いた会社を退職し、フリーランスに転身する。現在は今までの経験を活かし、女性の働き方をサポートするためにJWVT認定キャリアメンターとして多くの女性の指導に注力、更にはパラレルキャリアとしてその他7社より業務を請負い、営業・企画・広報なども担当。育児とビジネスをどちらも楽しみながら新しい働き方を体現中

Q:お二人は、これまでどのようなキャリアを歩んでこられたのでしょうか。

菅原さん

子供が生まれたのを機に仕事を辞めていたこともあり、再就職してからが私にとってのキャリアのスタートだったように思います。私が30代前半で子供が1歳になる頃、自分がキャリアを積むラストチャンスと思いベンチャー企業に就職しました。

入社後は人事コンサルティングを行う部署に配属され、法人営業の経験を積みました。クライアントの経営や人事制度の課題解決に取り組む中で、女性社員が結婚や子育てなどのライフイベントに左右されず、働き続けるにはどうすれば良いかを考えるようになったのです。

私自身、結婚・出産を通じて一度キャリアが途絶えた経験があるので、特に子育てをしながら仕事をする難しさは痛感しています。もっとアクティブに働きたいのに、それができないもどかしさを感じている女性も多くいらっしゃるという実感がありました。

この経験を通じ、女性のキャリアにフォーカスした仕事がしたいと強く思うようになり、現職にいたります。

大滝さん

ファーストキャリアはアパレル系の企業で総合職として働き、現在はフリーランスになって3年目です。独立後は複数の企業で営業や広報など幅広く携わっており、LiLiでの仕事はその中の一つです。

独立前に勤めていたアパレル企業には15年間在籍しましたが、その間に産休と育休を2度取得しており、実際に働いていた期間は11年間。その11年間に7個の職種を経験していますが、最も長く携わっていたのはプレス(広報)と営業でした。

その企業に在籍中、2人目の子供が生まれて半年ほど経った頃に夫が病に倒れたことで、今後は自分が収入面でも家庭を支えなければならないプレッシャーや、生活への強い不安に襲われました。

この出来事がきっかけで、自分自身の仕事やキャリアについて深く考えるようになりました。育休が明け会社に復帰しても、今の状況ではお金を稼ぐことばかりが先だって、仕事を楽しむことができないのではないかと悩みました。

この経験もあって、女性のキャリアに関する仕事をしたいと強く思うようになり、前職を辞して独立することを決意し、現在に至ります。

Q:そのキャリアの中で、ターニングポイントになることはありましたか。

菅原さん

2つあります。1つは子供が生まれたことです。子育てと仕事を両立し、どちらも高いレベルで成し遂げることの難しさに直面しました。また自分のためだけでなく、働くことで家族を養うプレッシャーを感じたのも子供が生まれてからでした。

2つ目は、制度作りに限界を感じた時です。

前職では多くの企業で、女性のための制度作りを支援しており、やりがいも感じていました。しかしある頃から、企業側が努力するだけでなく、働く女性側の意識も変えていかなければならないと思うようになりました。

「現時点で会社からのサポートがなければ働けない」「子供が公立の保育所に入れなければ働けない」と思い込んでいる女性も多いようです。しかし実際には自分の工夫・努力次第で、キャリアを切り開ける可能性は十分にあります。

周囲から助けてもらうことに終始するのではなく、女性も自分の力でキャリアを切り開く意識を強く持つことが重要だと感じたのです。

子育てをしながらもパワフルに働いている女性には、企業側もその人のために勤務時間や勤務体制を柔軟に調整したり、新しい制度を用意してくれることもあります。

実際にあった事例としては、ある優秀な女性社員が子育てのため退職せざるを得ない状況になったとき、企業側は彼女に働き続けてもらうため、社内に本格的な保育所を開設しました。保育所の維持費は年間数千万円にも上りますが、企業側はそれだけの意味があると判断したのでしょう。

このように一方通行ではなく、双方にメリットがあるのが理想的な形だと考えています。

女性のキャリア形成には企業や国だけでなく、女性自身も変わっていく必要性があることに気づいたのが、私にとっては大きなターニングポイントでした。

大滝さん

私も2つあり、1つ目は出産、2つ目は夫が倒れたことです。

子供を持ったことで「子供を言い訳にしたくない」という新しい価値観や「子供がやりたいことを金銭的な理由で諦めさせたくない」という意識が芽生えました。

また、夫が倒れたことで今後の人生に対する強い当事者意識を持つようになりました。

自分自身のキャリアについても再考するきっかけとなり、妻・母親・従業員などの立場にとらわれず、1人の人間として活躍したいと思いました。それを実現するために、前職を辞めて独立することに決めました。

業界や職種を決めつけるのは危険! 理想の自分から逆算しよう

Q:就活生が業界・職種・企業を選ぶ上では、どのような点に注意すれば良いでしょうか。

菅原さん

まず業界や職種には、こだわり過ぎない方が良いと考えています。自分がどのようなビジネスパーソンになりたいのか、どのように成長していきたいのかを考えて、それが実現できるかどうかという軸で企業を選ぶと良いでしょう。

大学生の時点では、知らない業界や職種が多くあるはずなので、その状態で選択肢を絞ること自体に無理があると思っています。

また、近年では業界などの区別が曖昧になっています。1つの企業が全く異なる事業を複数展開していることも珍しくないので、やりたい仕事は絞り過ぎない方が無難です。

自分の興味や、やりたいことは移り変わるものです。一度自分の固定観念をなくして、どんな経験ができるのか、どんな成長ができるのかといった観点で企業選びをして頂きたいと思います。

大滝さん

私も大学生の時点で、業界や職種を絞り込むのは簡単ではないと考えています。自分にはこれしかないと思い込まずに、色々な分野に興味を持った方が良いと思います。

まずは、仕事を通じて自分が何を成し遂げたいのか深く考えることが大切です。それが実現できる企業を選ぶようにすると良いでしょう。

Q:そのような軸で企業の選考を受けて内定を複数確保したとき、最終的に入社する企業を選択する上で、重要なことは何でしょうか。

大滝さん

最終的には、自分の責任で選択することが最も重要です。親に言われたから、友達に薦められたからではなく、自分がどう思っているかを大切にして欲しいです。

私も就活の支援をする中で、複数内定を確保している方との面談では、どちらの方が良いとは明言していません。

自分の意思で選んだ企業に入る方が、情熱をもって働けますし、活躍しやすいと思います。

求められるのは「生涯成長し続ける姿勢」

Q:就職した後、活躍できるのはどのような人材だとお考えですか。

菅原さん

継続的に学び続ける姿勢を持っていることが、最も重要だと考えています。何歳になっても新しいことを吸収し、成長し続けられる人材が重宝されるでしょう。

今日では、何か1つの分野に特化している人より、様々なスキルをバランスよく有している人材の価値が高まっているように感じます。

スキルや実績に加えて、ストレス耐性やコミュニケーション等の基本的な能力をバランス良く有している人は、色々な企業が求めている人材像のひとつと言えるでしょう。

1つのことしかできない人は、活躍することが難しくなってきています。色々な業務に対応できる柔軟性や、新しいことに自ら挑戦する姿勢が評価される社会になっていくと思います。

大滝さんもよく仰っていることですが、何歳になっても成長し続けるには、謙虚に学ぶ姿勢や素直さといった人間的な部分も重要になってきます。

満足することなく、成長し続けられる人が今後活躍するでしょう。

Q:就活生に向けて、お二人からメッセージをお願いします。

菅原さん

社会に出ると、今できないことをできるようにする作業の連続です。新卒は即戦力ではないのが当たり前なので、今の自分にできること・できないことにとらわれ過ぎず、自分のなりたい姿を見据えて就職先を選んでほしいと思います。

先ほどお話しした成長し続ける姿勢にも共通しますが、特にファーストキャリアはできないことをできるようにしていく修行のようなものです。

仮に複数の内定先があるような場合は、あえて厳しい道を選ぶことも、将来的に活躍できる人材になる上では有効な手段だと思っています。

大滝さん

自分に自信を持って就活に臨んでほしいです。若い人には伸びしろしかありませんから、現在何かができないからといって、それで選択肢を狭める必要はありません。

また就活中に壁にぶつかったときは、素直に誰かに頼ってほしいです。社会に出てからも、困ったときに誰かに助けを求められる人の方が成長は早いです。

ぜひこの点は意識して就活に臨んで頂きたいです。

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