キャリア講義

人生の岐路における意思決定には「理由」が最重要|「なぜこの選択をしたか」明確な理由は覚悟につながる

齋藤 皓太 さん(Scoville・教育事業責任者)

Kota Saito●東京大学卒業後、Scovilleに入社。新規事業部に所属し、「プロダクト志向」を教育の根幹とした新しくGeek Salonを立ち上げ事業責任者を務める。現在は人材の育成側面から会社のビジョンを体現するため、教育事業のグロースにも着手している

Q.まずは齋藤さんの就活生時代について教えてください。

私の就活は少し特殊かもしれないですね。もとは理工系の学部だったので、大学院に進学するつもりでいました。大学院に行けば大学とは少し違ったことができるのではと淡い期待を抱えていたのです。

しかし院試を受けた4年生の8月に、院に進学した先輩から「院も大学もあまり変わらない」という話を聞いたことで、院に行く意味を見いだせなくなりました。そこからは進学をやめ、4年の下期を休学し就活に費やしました。インターンを始めたのもこの頃ですね。その後学年を1つ落とし学部卒に切り替えて、5年目の秋に復学しそのまま卒業しました。

就活を始めたのが秋からなので、私の就活はそもそも人よりもかなり遅れてスタートしたということになりますね。

Q.そうだったのですね。就活はどのようにして進められていたのですか?

ウィンターインターンや短期インターンには積極的に参加しました。就活そのものは5年目の6月に終えています。院進学を考えていたこともあり、僕も多分に漏れず就活偏差値が低い学生でしたから(笑)、初めのうちはコンサルなど大手の人気の企業ばかりを見ていましたね。最終的にはIT・ベンチャー企業に興味をもち、現在の会社への入社を決めました。

もともと経営工学にいたことからコンサルを見ていたのですが、あるとき企業と面談をさせていただく中で、コンサルに対し何かしっくりきていないことをお話ししました。すると「コンサルはいわゆる便利屋、さまざまな会社で短いスパンでお手伝いをする。事業会社は自分の事業を子育てのように育て長く付き合うことになる」と、コンサルと事業会社の違いについて教えてくれました。

それを聞いて、自分が興味があるのは事業会社だと思ったのです。そこから企業選びをシフトチェンジしましたね。

Q.就活時代に気をつけていたり意識的に取り組んでいたことはありますか?

やはり人より遅いスタートでしたので、食わず嫌いをせず多くの企業に積極的に足を運ぶことは意識していましたね。事業会社といえども世の中にはさまざまな事業があるので、少しでも興味を持てそうな企業については「とりあえず」で説明会や選考に行っていました。

その中でひとつだけやるようにしていたのが、企業に対し○と×で評価をすること。このときは併せてその理由も考えるようにしていましたね。理由を考えるのは少し難しかったですが、あとで振り返ってもわかるように直感的にそう感じた理由を1つだけ書くようにしました。そうすることで企業の絞り込みにとても役立つようになりましたね。

私自身、この方法で自分の就活や仕事選びにおいて「やりがい」と「自分が頭を使って生み出した価値が残っていてほしい」ということを大切にしたいとまとめることができました。

就活の軸を考える際はなんとなくでも自分で企業を評価してみよう

Q.ちなみに、企業選びの際は就活生にも齋藤さんのようにこういったやりがいは大切にしてほしいですか?

そのほうが仕事は楽しいとは思います。しかし、やりがいがすべてとは限りませんから、自分が本当に大切にしたい嘘偽りない軸を見極めることが何より大切だと思っています。

とはいえその軸が何かわからない人も多いと思いますから、そういった人たちは私がやっていたように企業に対し○と×で評価をしてみると良いと思いますよ。

○と×をつけていくことで、企業に対し共通要素が見つかるはずです。たとえば私は○をした企業には「いきいき働いている人に魅力を感じている」、×には「仕事をやらされている感じがあるのは苦手」という共通要素が見つかりましたね。

そのうえで、こうして企業を評価し共通要素を見つけ軸を作っていくためにも、多くの企業に足を運ぶことが大切だと思いますよ。

Q.軸は人によってそれぞれだと思いますが、逆に軸として「これだけは避けるべき」という要素はありますか?

あるとすれば、自分でコントロールできない軸はやめたほうがいいと思っています。たとえば社会的評価などですね。この社会的評価とは、いつまでもそうだとは限りませんよね。社会において絶大な人気を誇る企業であっても、何かのきっかけでその人気が突然暴落することもないとは言えません。

そして、自分の努力だけではその評価やブランドを良くも悪くもコントロールはできないものです。自分でコントロールできないものを軸とすると、5~10年後に周囲の力でそれが変わったときに、居心地の悪さや働きにくさを感じてしまうかもしれませんから

Q.学生の多くは「やりたいこと」で企業選びを進めやすいと思うのですが、やりたいことの見つからない学生はどうしたらいいでしょうか?

基本的に「やりたいこと」は見つかっていなくて当然だと思っています。就活の時点でやりたいことが明確な人は相当ラッキーか、これまでに充実した経験を送ってきているかだと思いますから。

そもそも私自身やりたいことは別になくてもいいと思ってはいるのですが、もしやりたいことを見つけたいのならば、自分が無理なくやれることや興味が持てるやりたいことっぽそうなことに100%全力投球してみると良いでしょう。そうすることでやりたいかやりたくないかが見えてくるはずです。先ほどのように、その物事に対し○と×をつけ、理由も考えてみるのもさらに可視化につながりますね。

やりたいことを見つけたいのであれば、何かに夢中になって没頭してみることは大切だと思っています。

ファーストキャリアは超重要! 選んだ「理由」だけは明確に持っておこう

Q.では、次は学生がファーストキャリアだからこそ持っておくべき視点についてお聞きしたいです。

軸の強さや偽りのなさが大切かなと思っています。現在、大学卒業後は企業に就職をするという流れになっていますが、就職は必ずしもしなければならないものではないとも思います。そうなると、働く中で誰しも「どうして自分はこんなことをやっているのだろう」と思う瞬間が訪れるはずです。

そんなときに揺らがないために、この軸の強さや偽りのなさが重要になってくると思います。「この会社を選んだのはこうだからだ」という明確な理由を覚悟として必ず持っておくべきですね

成し遂げたいこと・ポジション、得たいスキル、なんでもかまいません。それが得たいから、得られるからという理由で会社を選べば、つらいことがあっても辞めない理由が生まれますよね。

Q.逆に、ファーストキャリアにこだわらず社会人生活のなかで充実したキャリアを描くために必要なことは何でしょうか。

今の話と近くはなりますが、その会社に行くべき理由とその会社で何をどこまで得たいか、この点は企業に入る前に明確にしておき、覚悟として持っておくべきだと思います。

最終的に、結果は必ずついてくるものではないと思っています。どんなに努力しても結果が実らないことは少なからずありますが、その過程の努力はおそらくその覚悟があれば担保できると思います。

努力を最大限した、やりきったと思えれば、転職の際に話せることも必ずあるでしょう。その経験が充実したキャリアを歩むために活きますし、転職しないのであればその達成感がずっと続いていきますよね。会社に求めることを明確にしておいて、そこまでは走り続けること。これがキャリアを充実させるために欠かせないものだと思います。

Q.ありがとうございます。それでは最後に、今就活をがんばる就活生にメッセージをお願いします。

このファーストキャリアで人生の方向性が大まかには決まると思っています。それくらいこの就活は大事な選択です。

とはいえ学生の皆さんにとって、人生のレールを自分で引くための初めての意思決定の瞬間ですよね。こういった大事な選択をするときには理由をきちんと持つことがもっとも大切だと思います。なぜその会社を選んだのか、そして自分が大切にしたい軸は何なのか。選択は自由ですから、どの企業を選んでもかまいません。理由だけはきちんと持っておけばそれが覚悟につながります

誰でも、その企業が「いい」と思うのには必ず理由があります。理由そのものは何でもいいので、ひとまず理由を持っておくこと。これがもっとも重要だと思います!中途半端な意思決定はしないようにしてくださいね。

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