キャリア講義
成功も失敗も挑戦なくしてはできない貴重な経験|避けるべきは何もやらずに成長の機会を逃すこと
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松山 純輝 さん(SALTO 代表取締役)
Junki Matsuyama●18歳で上京し1年間の整体院勤務を経て独立。その後より大きなビジネスを求め不動産会社に転職しトップセールスになる。それからIT企業の営業職に転身し、営業ナンバーワンを獲得。2015年に28歳でSALTO(サルト)を起業し代表取締役に就任
Q.松山さんはこれまでどのようなご経歴を歩まれてきたのでしょうか。
高校卒業後は専門学校で柔道整復師の国家資格を取得。整体院に1年間勤務しました。その後独立をし、一時は関東で7店を展開するほど繁盛していましたが、若さと勢いだけで突っ走った結果、組織が崩壊して事業も維持できなくなりました。
この経験で得た教訓は、今後事業を手掛けていくなら組織マネジメントや経営について本気で学ばなければ駄目だということです。
実は整体院を運営している頃から、平日は不動産会社でマンション販売の営業に従事しており、トップセールスの成績も上げていたので営業力には自信がありました。しかし自分の中には起業への思いが強くあったのに加え、整体院での失敗を取り返したく、もっと経営や組織運営について学べる仕事に就こうと決めてネオキャリアに転職。
ここでも営業成績で年間1位を獲得し、東日本事業部の責任者にも任命されたので、目的だった組織運営やマネジメントのノウハウを学ぶことができたのです。そしてネオキャリアに4年間勤務したあと、念願かなって2015年に28歳でSALTOを起業しました。
Q.起業への思いがあったとのことですが、そのために心掛けていたことはありますか?
「習うより慣れろ」ということですね。知識を学ぶことも大切ですが、現場のOJTを通じて実践から学ぶ姿勢を大切にしていました。ただそれだけではなく、誰よりも結果にこだわり与えられたミッションで成果を上げることも常に考えていましたね。
マネジメントについてより多くを学ぼうと思えば、組織における自分のポジションを上げなくてはなりません。そのためには成果を上げて周りに認めてもらう必要があるからです。
ファーストキャリアはやりたいこと重視で良い
Q.では就活生がファーストキャリアを選ぶ際に重視すべきポイントは何でしょうか。
やはり自分が何をしたいかでしょう。やりたいことをやるのが一番です。
よく、やりたいことで仕事選びをすると後々そのやりたいことが変わったときにキャリアチェンジをするリスクについて考える人もいますが、そもそもキャリアチェンジをリスクと考えなくても良いと思います。できる人は何をやってもできますから。逆にできない人はキャリアチェンジをしたくてもできない。そう考えれば誰にとっても心配はないということです。
業界・企業選びについて具体的に付け加えるならば、伸びる業界を選ぶと良いでしょう。たとえばWebマーケティングをはじめとするIT業界、SDGsがらみで注目が集まるエネルギー関連業界が挙げられます。伸びる業界であれば、今後突然職がなくなることもまずないですから。
Q.キャリアチェンジや転職は気にすることはないということですが、次のステージを目指すポジティブなものではなく、現状から逃げるためのネガティブな転職でも良いのでしょうか。
そもそも私は転職推進派です。終身雇用制は時代にマッチしておらず、欧米のようなジョブホップ型の雇用環境が必要だと考えているので。
ネガティブな転職はないに越したことはありませんが、気が進まない仕事を続けるのは現実問題として難しいです。最初は小さかったズレが時間と共に大きくなってしまうこともあり得るもの。それに、ネガティブな転職であってもそれをきっかけに活躍できるようになるかもしれません。
少し冷たい言い方かもしれませんが、企業側の視点に立てばパフォーマンスが発揮できない人材が組織に残るより、新陳代謝して新しい風を吹き込む方が良いともいえます。だからこそ、働く側も雇う側も転職が特別ではなく普通のことだと受け止めていくべきなのではないでしょうか。
いち早くチャンスのスパイラルに乗ることが重要
Q.次は、学生が実際に企業に入ってから自分を成長させていくために必要なことについて教えてください。
最初から結果を出すことですね。会社側が重要なプロジェクトを任せたいと考えるのは、最後までやり切る人材、高いパフォーマンスを発揮してくれそうな人材です。ひとたび認められれば次のチャンスも得やすくなり、いわばチャンスのスパイラルに乗れるわけです。
だからこそ最初から結果を出していち早くそのスパイラルに乗ることが重要であり、結果を出すには自分から手を上げ積極的に挑戦していくことが重要だと思っています。
Q.新卒という経験値がない状態だと、その仕事が自分にできるのか判断が付かずに手を上げることをためらう人もいそうです。
会社側もそこはきちんと理解していますし、新人の手に余るような仕事や失敗してしまうと重大な問題につながるようなミッションは与えていません。むしろ、そこで新人が見せるやる気やコミットメントを重視している面もあるでしょう。その意味でも自分から手を上げて挑戦する姿勢を示すのは重要なアクションなのです。
Q.では、そうして自分で手を上げた挑戦をものにするためには、具体的にどんな心構えが必要になりますか?
やはり結果にこだわること。サッカーで華麗なボレーシュートを決めても、蹴り損ねたキックが運よくゴールに転がり込んでも1点は1点ですよね。サッカーでも、フォワードにはシュートのきれいさが求められているわけではなく、結果にこだわる姿勢が強く求められています。そしてそれと同様に、仕事でも結果にはとことん執着すべきなのです。
経験が浅い場合は、ともすれば格好良く小ぎれいに仕事をしようとしがちですが、周りはそこは見ていません。見ているのは結果です。やはり結果を出すことが何より重要だと、こうして経験を積んできたからこそわかります。
成果を上げている人の勝ちパターンを真似る
Q.これからの時代はどのような人材が企業に求められていくでしょうか。
組織のミッションを理解できる人材ですね。与えられた仕事を言われたままにこなすのではなく、その仕事が会社にとってどういう意味があって、そして与えられた仕事そのものが最終的に会社に対してどう影響するのか。そこまで理解して動ける人材は、どの業界・業種でも必要とされます。
自分の会社はなぜこの仕事に取り組んで、自分はその仕事の何を担っているのかを、自分のなかに落とし込んでイメージできる力が重要ということですね。振られる仕事はすべて、企業のミッションを達成するための枝葉の一部です。あたりまえに与えられた仕事をするだけではなく、枝葉から幹を想像するようになれると良いです。
Q.入社早々にそれを意識しながら動くのは少し難しそうに思いますが、どうすればその力を養えていけるでしょうか。
仮説を立てることです。たとえ新入社員の立場でも、部門長やあるいは社長になったつもりで課題を見つけ、課題について考え、解決策を見出すところまでを仮説として検証する習慣を付けるようにしましょう。難しいかもしれませんが、それだけで必要な力を養えます。
さらにはライバルを作ることや指南役としてのメンターを得ることも有効です。ライバルと競い合うことでおのずとその能力が鍛えられますし、メンターの助言は自分だけでは届かなかった場所にまで自分を引き上げてくれます。
あとは成果を上げている人から徹底的に盗む。成果を上げている人は必ず勝ちパターンを持っていますから、それを良く観察して見抜いて真似をし、自分のものにしていけば良いのです。
Q.新卒でも、すぐに実践できるようなアドバイスばかりで非常に参考になりました。最後に就活生に向けたメッセージを頂けますか?
ずばり挑戦してください。失敗は学ぶチャンスです。すべてが経験として積み上がります。避けるべきは何もやらないこと。成功も失敗も、挑戦しなくては得られない貴重な経験です。
リクルート創業者の江副浩正氏は「自ら機会を創り出し、機会によって自らを変えよ」という言葉を残しています。挑戦することはまさに自ら機会を創ること。皆さんもその姿勢をもって自らを成長させていってください。