業界研究

【製粉業界徹底研究ガイド】概要と主要企業を一挙大公開!

製粉業界とは

製粉業界は、小麦粉を取り扱う業界です。小麦粉は今や、日本人の食卓に無くてはならない物となっています。パン・パスタ・うどん・ラーメンといった主食はもちろん、ケーキ、クッキーといった嗜好品まで、さまざまなものが小麦から作られているのです。

しかし、これだけ身の周りにあふれている小麦粉が、どこで収穫されてどのようにして粉になり家庭に来るのかは、意外に知られていません。製粉業界は、日本人の生活にとって大きな役割を担っています。製粉業界への知識を深めて、就職活動に役立てるようにしましょう。

製粉業界の概要

小麦粉はその名のとおり、小麦を粉にしたものです。現在日本は、国内で消費する小麦の90%を輸入に頼っています。小麦は食糧管理制度の対象であり、そのため、需給の調整を行っているのは日本政府です。製粉企業は、決められた価格で政府から小麦を買い取り、一定期間の保管の後、小麦を粉にしています。そしてその粉が、製パン・製めんなどの食品産業や外食産業に卸されたり、スーパーから消費者の手元に届くという流通システムになっているのです。

製粉業界は、近年かなり緩和されたとはいえ、まだ規制の厳しい業界です。それだけに、為替の変動・天候といった条件以外では打撃を受けにくく、安定した業界でもあります。しかし近年国産小麦のニーズが高まってきており、各企業ともそちらに目を向け始めました。国産小麦の品種改良・用途研究なども、注目すべき点です。

製粉業界の業績推移について

  • 業界規模 1兆2,576億円
  • 平均年収 634万円
  • 平均継続年数 16.4年

製粉業界の業績推移は、2009年から2010年にかけて少々冷え込んだものの、その後は順調に推移しています。穀物相場や為替の変動に影響は受けるものの、極端に落ち込むことも無く、堅調な業績です。しかし、異常気象などによる穀物相場の変動に備える必要もあります。今後は各社とも、業績をさらに安定させる工夫が必要になってくるでしょう。国内生産の小麦の需要が高まっていることもあり、今後は大手メーカーによる「顔の見える国産小麦」の争奪が始まることが予想されます。

近年大手は、海外での製粉工場設備を整え始めています。これは、日本の技術力とブランド力で、その国にとって必要な形で安心できる小麦粉を提供しようという戦略です。

製粉業界の細かい職種分類について

  • 営業
  • 設備
  • システム
  • 製造
  • 管理

営業は、製粉会社の代表的な職種です。企業で作られた小麦粉のうち多くは、ベーカリー系をはじめとした大手食品などの2次加工メーカーや、外食産業に回されます。街のパン屋やうどん・ラーメン店なども営業先の1つです。その新規開拓と継続が主な仕事になり、営業先の受注状況に応じて、提案を行うこともあります。

設備・システムは、工場のシステム管理や、機械のメンテナンス、新しい製粉機械の開発を行います。製造・管理は、実際に機械を動かし、製粉をする現場です。在庫管理は事務や営業が行うこともありますが、倉庫の在庫を管理して、現場の立場から需給を把握する仕事をしています。この他にも人事や総務を行う事務や、海外事業部なども重要な仕事です。

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主要企業5選紹介

製粉業界は現在、大手による寡占状態です。上位4社だけで国内全体の70%シェアを握っています。地方の中小企業の中には、その地元の小麦農家と提携し、独自のブランドとして小麦粉を売り出している会社もあります。しかしそれらも、インターネットなどの口コミでしか全国に知られる術は無く、大手4社に対抗できる力は備えていません。今後、中小企業の製粉会社を大手が支え、業界を盛り上げていかれるかに注目が集まっています。

①株式会社日清製粉グループ本社

  • 企業名 株式会社日清製粉グループ本社
  • 代表取締役社長 見目 信樹
  • 従業員数 6,440名(グループ連結)
  • 設立年月日 1900(明治33)年10月

株式会社日清製粉グループ本社は、売上高で国内44%と、半分近くのシェアを誇る最大企業です。製粉事業を行っている「日清製粉株式会社」をはじめ、小麦粉とそれから作られるパスタやパスタソースなどの食品販売を展開する「日清フーズ」などを傘下に持ちます。パスタでは「マ・マー」が有名です。小麦粉の生産だけではなく、小麦粉についての特製・加工法の研究開発もさかんで、公的機関や各大学の研究部などと連携を取り、日々穀物科学や健康素材・バイオなどの研究も行ってきました。大学3年生のインターンシップを募集しており、仕事を体験することができます。募集は職場受入型とグループワーク型、事務があり、併願が可能です。

社風は安定していてチャレンジもできる企業です。そのため退職者も少なく、給与面も十分です。しかしそのため、年功序列の空気があります。安定して長期間腰を据えて働きたい人には良いでしょう。

②日本製粉株式会社

  • 企業名 日本製粉株式会社
  • 代表取締役社長 近藤 雅之
  • 従業員数 3,519名(グループ連結)
  • 設立年月日 1896年(明治29年)9月

日本製粉株式会社は、「ニップン」の名で知られる、製粉と小麦粉、パスタ、パスタソースなどの企業です。「オーマイ」のパスタシリーズが有名です。製粉業の他、マーケティングによる需要に応じたミックス粉を次々と開発し、市場に送り出してきました。総合食品メーカーとして販売力の強化に力を入れています。ヘルスケア部門では、自然派化粧品を開発するなど手広い研究を行っています。「中食」という位置づけの惣菜事業部の事業も好調で、健康や安全に気を配った弁当を開発したり、宅配配達サービスにも手を広げていく予定です。

社風はのんびりとしていて、福利厚生も充実しています。小麦粉を使用した業務関連において、出向の研修があり、特許関係の研修にも力を入れている会社です。

③昭和産業株式会社

  • 企業名 昭和産業株式会社
  • 代表取締役社長 新妻 一彦
  • 従業員数 2,103名(グループ連結)
  • 設立年月日 1936年(昭和11年)2月18日

昭和産業株式会社は、製粉業の他「キャノーラ油」などの食用油で知られる会社です。ホットケーキミックスでは「ケーキのようなホットケーキミックス」など、細かい需要に応じたミックス粉を5種類以上開発、販売しています。食品事業の他、飼料・倉庫・不動産業にも事業を広げており、業務の幅は広いです。そのため、どこかの事業部の業績が悪くても他の事業部でカバーすることができ、社内の空気も家族的です。事業部が多いだけに、景気に左右されにくく会社自体も経営が極端に悪くはなりません。そのため、大きく躍進することもなく、良くも悪くも安定しています。女性の進出についてはこれからの企業ですが、前向きにとらえている空気はあります。

④日本食品化工株式会社

  • 企業名 日本食品化工株式会社
  • 代表取締役社長 鈴木 慎一郎
  • 従業員数 423名(グループ連結)
  • 設立年月日 1948年(昭和23年)7月

日本食品化工株式会社は、研究開発に強い会社です。でんぷん、糖質、食物繊維の研究を続け、繊維や製紙、食品、医薬品などの業界に素材を提供しています。食品用素材の他、工業用素材やファインケミカル素材の生産も行っています。コーンスターチ、とうもろこし産業においては業界をリードするリーディングカンパニーです。栄養面から健康を守るという方針で、医薬品用素材開発も視野に入れています。

女性が長く働くということに対してはまだ保守的な会社です。研究開発事業のため、景気に左右されにくく大きく傾くことはありません。有給は取りやすく、おっとりとしていて年功序列、終身雇用で腰を据えて長く働く人が多いです。

⑤日東富士製粉株式会社

  • 企業名 日東富士製粉株式会社
  • 代表取締役社長 下嶋 正雄
  • 従業員数 423名
  • 設立年月日 1914年(大正3年)3月25日

日東富士製粉株式会社は、製粉業の他は、外食産業への小麦粉提供の多い会社です。ケンタッキーなどの大手フランチャイズチェーンとの提携の他、人気のベーカリー監修の小麦粉を販売したりと、シェア上位の企業ではできないような、細かい事業を行っています。自社でのオリジナルブランド製品は少ないですが、企業向けに小麦粉をミックスすることが多いため、企業向けの営業、企業のニーズに応じてミックスを開発、研究するという方向けの業務です。

人物本位で、採用には面接を重視しています。そのため、学部や学生時代の研究テーマが違っても就職試験・採用に影響はありません。育児休暇を取っても復帰する女性が多く、製粉業界では比較的女性が長く働ける風土があります。

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製粉業界を深く知って就活を有利に進めよう!

製粉業界は、安定感のある業界です。そして、製粉に特化した会社、製粉後の加工や外食産業に強い会社、研究の方向に強い会社など個性もさまざまです。製粉業界の中で、自分が何をしたいのかということをよく考え、企業研究に役立てるようにしましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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