就活塾

自己分析ってどうやるの?内定塾の講師が教える方法とは

齋藤さんのご経歴について

内定塾講師の齋藤弘透さん

齋藤弘透(さいとうひろゆき)
大和証券株式会社で、リテール営業の資産コンサルタントを担当。就職活動時は金融業界を中心に大和証券・三菱東京UFJ銀行・野村證券の3社から内定を獲得。
人生を左右する一大イベントである就職活動で、自分の経験を踏まえ指導することで、多くの人に対して社会貢献したいと思い、内定塾の講師となる。内定を貰った瞬間だけでなく、社会人になってからも活躍することで、いつまでも笑顔を絶やさずにいてほしい、そんな想いを夢・目標として現在、講師業に従事。

――早速ですがインタビューを始めたいと思います。本日はよろしくお願いします。

齋藤さん:こちらこそよろしくお願いたします。

――まずは齋藤さんのご経歴についてお聞きしたいです。なぜ証券会社を辞めて就活塾で講師をやろうと思ったのでしょうか。

齋藤さん:それは証券会社で営業をやった時に感じたことがきっかけでした。資産を1億円以上もっているような富裕層のお客様を担当していましたが、その時に「幸せってなんだろう」とシンプルな疑問を持ちました。お金持っていても、全然幸せそうにしてない人をたくさん見たし、ステータスが高い方々とお話する機会がありましたが、生き生きしていないなあと感じてしまいました。

あとは社会人になってから3割以上の人が会社を辞めてしまうという事実を肌で感じたことも大きいです。私のいた証券会社も1年目で3割近くの人が辞めてしまう状況でした。また学生時代の友人の話を聞いている時にも。幸せそうな人と不幸せそうにしている人がいて、「何が違うのかなあ」と考えさせられました。突き詰めていった時に、ひとつ自分のなかで解としてでてきたのが、夢やビジョンや目的を持っているか持っていないかが差になるのではないかと。

就活の時にネームバリューで進路を選んでしまうとか、自分の考えというよりも第三者の意見を聞いてそのまま行動している学生は就職後、嫌になって辞める時も「自分がどうしたいか」がわからない。話を聞いていて多いのが、人のせい、環境のせいにしてしまっている人。一方で目的意識を持っている人は、夢や目的に向かって、選択肢も道筋も変えて新しい道をチャレンジして行こうって、次に向かって進んでいて、それがものすごく生き生きしていいなあと感じました。

そこで「じゃあ仕事ってなんだろう」って考えました。そこで人の初めて人のキャリアに関わる仕事がしたいと感じ、現在この内定塾で講師として仕事をしています。

自己分析の必要性とは

――なぜ就活では自己分析が必要と言われているのでしょうか

齋藤さん:一言でいうと就職活動を成功させるためです。自己分析が必要とされているひとつの要素としては、やっぱり軸を持って面接でアピールできるかどうかの差になるかなと思います。今の就職活動の面接って10年前と変わっています。より高度化されているというか、より深堀りなんかもされていて、とにかく論理的に話さなければいけない。

また選考で受かる学生の共通した特徴って「一貫したアピール」なんですね。逆に落ちしてしまう学生の特徴は「色々な自分を見せてしまう」こと。一貫したアピールをするために自分の中できちんと軸をもたせるために自己分析が必要でしょう。それができてない学生はいろんな自分を見せちゃって、結局何が言いたいかわからない、伝わらないという現象が起きて落ちてしまう。だから軸を持って話すというところで自己分析は重要かなと考えています。

――いろんな自分を見せたいとありましたが、それは「自分をよく見せたい」という欲から、その場を取り繕うことを言ってしまう学生が多いということでしょうか。

齋藤さん:はい、特に自信がない学生がやってしまいがちです。「埋もれたくない」「受かりたい」と感じた時に、ひとつの自分だけだと「埋もれちゃうかな」と不安になってしまう。だからリーダーもできますし、サポートもできますし、本当自分は多面的に貢献できる人ですと伝えてしまう。でも聞く側からは見た時に評価されるのはシンプルな学生です。シンプルな学生ほどイメージしやすいですし、理解しやすいので。

自己分析ができている就活生とできてない就活生の違いとは

内定塾の講師齋藤弘透さん

――自己分析できている学生とできてない学生ではどのようなところで差がでますか。

齋藤さん:準備編のところで差がでてくるポイントとしては「業界選び」ですね。どういった軸で業界を選ぶのか。自己分析ができている人の方がある程度方向性が絞れて業界を見ることができているかなと。逆にできていない人だと、ネームバリューだけで企業を判断したり特に理由がなく色々な業界を見てしまったりしています。

自己分析ができてなくても絞れている学生はいますが、その場合はただ好き嫌いで絞っている状況なので、「なんでその業界がいいの?」と聞くと答えられないです。このように就活の準備期では自己分析できている人とできてない人では効率、非効率の差がでます。あとは実際のエントリーシートや面接に進んでくると、深堀りに対する対応力に差が出ます。「それはなんで」という面接官の深堀りに答えられなくなってしまうのが、自己分析をしていない人です。

最後に自己分析ができている人の方が、採用担当者への自分の見せ方についての戦略を練りやすいです。内定塾に通っている学生は、企業ごとにというよりは、職種ごとにアピールする切り口を変えていますね。要は見せ方を変えている。仕事内容によって求める人材は変わってきますので、そこにあった強みをフォーカスして伝えていく。

逆に自己分析ができていない学生は自分のことを理解していないので、とにかく自分を真正面から見せるだけでどこを強調したいかもわからない。結果としてはやっぱり、埋もれてしまうケースが多いかなと思います。だから自分を理解していない学生は、事務職であろうが、営業職であろうが、企画職であろうが、とにかく同じ内容で伝えていくしかないので、結果面接で落ちてしまいますね。

自己分析ができない就活生にどのようなアドバイスや指導をするのか

内定塾の講師齋藤弘透さん

――実際に自己分析ができない学生にはどのようなアドバイスや指導をしますか。

齋藤さん:ひとつ条件的に学生に常に求めていることは、「自分の気持ちに素直になる」ことです。よくあるのは、最初から自分の気持に蓋をしてしまうこと。「もうできない」とか「向いてない」とか「親が反対している」とか。これをやってしまうと、答えを出そうとしているのに自分で答えを隠すことになるので、いつになっても答えが出てこないです。

まずは「自分の気持ちに素直になる」ことが大切です。できるかできないかではなく、やりたいかやりたくないか、好きか嫌いか、自分の感情と向き合うことが大事だという話はよくします。だから「欲と向き合うことが重要だよ」とよく言っています。

自分の感情と向き合った上で、もう一つ大切なことは「比較」です。他と比較しないで1人で自分を理解しようとすると、やっぱり客観性がかけてしまいます。自分の立ち位置がわからなくなってしまうので、自分の何が優れているのか、何が優れていないのか、見極めるのが難しくなります。

これまでの人生で全く人と関わってこなかったって人は誰一人いないはずなので、「比較」を常に意識して、自己分析はするようアドバイスしています。そして最終的に見つけるものが「価値観」と「強み」です。

この価値観を見極める上で、学生に言っているのは、オンの時の自分とオフの時の自分を混同しないこと。分けて考える。仕事の時はオフの時の自分ではなく、オンの時の自分で動いているので、そのオンの時の自分の感情をきちっと見極める。

自己分析ができない、わからないと悩んでしまう人は、オンとオフの二面ある自分を理解できてないので悩んでしまう。オンの時は頑張れるけど、オフの時はだらしない、という自分を分けて考えるのが大切だとアドバイスしています。

ただしこれは就活に関してのみです。人生の自己分析であれば両面見なきゃいけないですが、就活に関してはそこを割り切っちゃった方が、自分の中の仕事観、世界観がよりはっきり見えきます。

――学生の時は「オンの時」を意識しないし、基本的にないと思うんです。「オンの時」をもっと噛み砕くとどうなるのでしょうか。

齋藤さん:これは目標を持って取り組んでいる時です。ただここでも優先順位がありまして、目標を自分で立てているか、人に立ててもらったかです。自分で立てた場合は、自己分析のしがいがあります。でも人に目標を立ててもらった場合は、さらに深堀りをする必要があります。そこは辛いですが、まずは目標に向かって動いた時は、成功したか失敗したか、はっきりとした2つの結果は出ます。そこで何を学んだかをきちんと見極めます。

――今お話いただいたことを実際に就活生と対面しながらやるのでしょうか。

齋藤さん:そうですね。もちろんスカイプでやることもありまが、基本的には1対1の面談で行います。

――どれくらいの期間で自己分析をやりきるのでしょうか。

齋藤さん:最初の2、3回の面談で「価値観」「強み」についてある程度仮設はたてますが、立証する期間としては就活期間中ずっとです。本番までずっと「本当にこれで良いのか」と本人に問いかけます。学生が「これで絶対間違いないです」って納得、自覚するまでずっと一緒に考えます。自分の中で「これで間違いない」と落とし込めた時は、面接で何を聞かれても問題なく答えられるようになります。

――面談を重ねていくと変わっていくものですか?自信が溢れているような変化があるとか、流暢に話せるようになるとか。

齋藤さん:そうですね。実践で面接、他に集団面接の練習会とか個人面接もやりますが、それまで詰まっていたものが、すらすら答えられるようになります。内定塾では必ず入塾した時から定期的に面接の動画を撮っています。

撮った動画をよく見比べています。見比べてもらって「入塾した時これだったから、今ってすごく成長したね」と。そして学生に自信を持ってもらっています。高校受験や大学受験と違うのは、どれだけ自分が成長したかを見極める材料が非常に少ない。だから客観的に可視化できる状況を作って、必ずどういう変化があったかを共有して「たしかに成長している」ということを実感してもらいます。

――自己分析のためのワークシートってあるのでしょうか

齋藤さん:ワークシートは内定塾のテキストに載っているものと同じフォーマットのものを使っています。とにかく過去の経験や体験を書いてもらっています。

自己分析の良し悪しは、記憶力にも比例しています。どれだけ過去のことを覚えているか。ワークシートに書くことで忘れていたことを思い出してもらっています。答えを把握することに使というよりは、記憶を取り戻してもらう目的です。

――ワークシートを記入してもらって、これを元に学生の体験を深ぼっていく面談でされているんですね。

齋藤さん:そうですね。この時、学生は事実だけ羅列してしまうことが多いですが、できる限り感情も一緒に記入してもらっています。その時の自分がどういう感情だったのか、本音の感情ベースで書くようには言っていますね。……でも最初、大半の学生は書けないです。

――そうなんですね。

齋藤さん:はい。やっぱり忘れています。だけどやり続けていると不思議ですが思い出してきます。面接でも回答に対して深堀りされた時、ストックとしての記憶があるかないかも大きな差になるので、面談の時にもよく宿題にしています。

――「齋藤さん、どうしても書けないです…」という学生っていますか?

齋藤さん:いますいます。その時は一緒に大学の時の「自分」を1つ固めてしまいます。「じゃあ大学の時ってこんな子だったんだね」と。高校生の自分と大学の時の自分を比較して、「同じだと思う?違うと思う?」と、変化を過去にどんどん掘り下げて見極めます。変化があるとその変化を元に「じゃあ高校の時に何かあったかもしれないね」と深堀りします。「じゃあきっかけってなんだろう」と問いかけていくと記憶が戻ったりしますね。あと自己分析していて難しいのは、良いところだけではなく、マイナス面の自己分析も必要なんです。

――マイナス面って人に話したくない人がほとんどだと思います。学生は素直に話してくれるのでしょうか。

齋藤さん:たしかに隠したり、話したがらない学生はいます。デリカシーない部分はありますが、ストレートに突っ込んで聞いています。後で面接で面接官に突っ込まれて「あの時整理しとけばよかった」と後悔をする状況だけは作りたくないので。突っ込んで聞いた方が話してくれることもあります。

内定塾に通わず自己分析をする場合、他己分析がおすすめ

――内定塾に通わずに自己分析をする場合、どのような方法がおすすめでしょうか。齋藤さんおすすめの自己分析の方法を教えてください。

齋藤さん:自分のまわりの人に、自分についての話は聞いてほしいです。いわゆる他己分析です。人って自分が知っている自分と、自分が知らない自分の2つあるんですよね。

身近なものでいえば癖って絶対自分じゃ気づけない。でも言ってもらうことによって「自分ってそういう癖があるんだ」と気付けるんです。自己理解をする時に、知ってる部分を分析しても、面接で知らない自分を指摘されてしまうと、答えられなくなってしまいます。身近な人でいいので自分の知らない自分については聞いて欲しいです。

おすすめしたいのは小学校、中学校、高校の担任の先生に聞いてもらえるといいかなあと思います。なんでかっていうと学校の先生っていろんな学生を比較した中で「あなたはこんな学生でした」と客観的なアドバイスをくれる可能性が高いからです。客観的な意見なので、自己理解が深まると思いますね。

あとは小学生の記憶がない人は通知表見てほしいですね。学校にもよるのかもしれないが、先生が「こんな子です」といったコメントを残してくれているので。「自分はそんな子だったんだ」と客観視できる材料としては使えます。自己分析をするには、情報・材料がどれだけあるかが大切ですね。記憶がある人は別に他の人に聞かなくてもいいかもしれないが、記憶がないのであれば、その情報を得るために自分の事を知っている人からどんどん得るっていう行動は必要かなと思います。

――先程もあったワークシートを1人で取り組むよりは、いろんな人の話を聞きながら、自分像を形成していく方がおすすめってことですね。

齋藤さん:はい。その方が得る情報に制限がないのでおすすめです。自己分析の本通りに取り組むと、その情報だけ得ようとして、必要ない情報を自分で排除してしまう学生が結構多いので。後々もしかしたら分析に使える材料かもしれないのに、自分で排除しちゃったから気づけないまま終わってしまうリスクがあるので、本だけで自己分析することはおすすめしていません。あとは固定概念とか先入観をいかに取り払うかが重要かなと思うので、ストレートにまわりの人に何を言われるかわからない状況の方がいいかなと。

自己分析をする時に気をつけるポイントとは

――自己分析をする時に気をつけた方が良いポイントって上の話とは別でありますか。

齋藤さん:頭の中だけでの整理は絶対やめて欲しいですね。頭の中で整理するのではなく、必ず可視化できる状況にはして欲しいです。頭の中で整理しようとすると、ごちゃごちゃしちゃって、結論にたどり着かなくなってしまいます。基本的には順を追って、後でちゃんと自分の中で整理できるようにノートでもいいですし、スマホのメモ帳でもいいので、何かしらその記録に残して欲しいと思います。

自己分析をしていて迷走した場合の対処法とは

内定塾の講師齋藤弘透さん

――「自己分析をしているとよくわからなくなる」という話をよく聞きます。何か対処法はありますでしょうか

齋藤さん:ひとつは上でも伝えた通り、オンとオフの見極めです。オンとオフを混同しちゃって「何が自分なのかわからないです」という学生は多いです。

あとは「正解を求めようとしすぎない」ということは意識して欲しいです。強み・弱みは状況によって変わるので「この強みが正解だ」と決めつけてしまうと、逆に他の良さがその人の中で見えなくなってしまいます。だから目的と目標と問題意識っていうこの3つをきちんと見極めるように動いて欲しいかなと思います。

あと対処法ともうひとつあるのは、自己分析は何を見つけなきゃいけないのか、何を理解することが必要なのか、それを理解することが重要です。自己分析の本を読んでても、やってきた経験を棚卸しましょうと書いてありますが、自分の「感情」の動きを大切にしてほしい。その部分をきちんと変化として見極められるかどうか、が重要かなと思いますね。

まとめ

今回は、内定塾の現役講師齋藤さんにお話を聞きました。自己分析についてのたくさんの参考になるお話ありがとうございました。

「オンの時とオフの時の自分を分けて考える」
「1人で考えずに必ず誰かに話しを聞く」
「自分の感情の動きを見極める」

この3つが印象的です。自己分析というと、とにかく1人ですすめる事のように考えてしまいますが、誰かに聞いた方が効率が良いというお話が自己分析に活かせるのではないでしょうか。まわりにいる色々な人の意見を参考にしながら勧めてみましょう。

内定塾の詳細は以下リンクから確認できます。齋藤さんをはじめとした、元大手企業出身の方が多数在籍しており、内定を獲るだけでなく『第一志望の企業からの内定獲得者が6割』を超える実績ある就活塾です。就活に困っている人はぜひ相談してみましょう。

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監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

多くの学生と企業をマッチングしてきた経験を活かし、『就活対策サイト「キャリアパーク!」が教える 「最高の会社」の見つけ方』(高橋書店)を出版。最高の会社を見極めるための基準や失敗しない企業選びの方法を紹介している。

全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-190515132-01459)

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