【公務員の退職金の金額とは】計算方法や支給率・平均支給額なども紹介

定年による公務員の退職金は平均2,200万円

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公務員の退職金は勤続年数や理由によって大きく変動します。平成28年度に国家公務員を退職した人数は32,585人、任期付き職員の任期終了などによる退職を除けば19,601人となります。

その中最も数が多いのは「定年による退職」で12451人、続いて「自己都合による退職」が5,672人、最も少ないのが「応募認定による退職」で1478人となっています。

退職金平均支給金額は、定年による退職が2,168万円、自己都合による退職が371万円、応募認定による退職は2,759万円となっており、国家公務員を長く勤めあげた人は平均で約2,200万円の退職金をもらっていることになります。

3月末で退職の人は翌月の4月中に支払われる

定年退職で、3月末日に退職ならば、翌月の4月中に支払われます。役所の年度予算は、次年度の4月までに使い切らねばなりません。定年退職の場合、退職日が決まっているため、あらかじめ年度予算として組み込まれていますので、次年度の4月までに支払われます。

注意が必要なのは、自己都合で中途退職の場合です。自己都合で中途退職の場合、もらえるのが何ヵ月もかかります。さらに、退職金の申請も退職者本人がやることになります。申請が遅れると、支給日も遅れます。加えて、自己都合の中途退職では、失業者の退職手当というものがあります。

民間企業でいる雇用保険の失業手当になります。この失業者の退職手当も、退職者本人でて手続きする必要があります。失業者の退職手当は、手続きを忘れるともらえません。注意が必要です。

定年以外の応募認定と自己都合とは

前述の通り、公務員の退職金は、定年とそれ以外では大きく支給額が変わりますが、「応募認定」や「自己都合」とはどのようなものでしょうか?

  • 「応募認定退職」
    平成25年より、職員の年齢別構成の適正化を目的とした早期退職募集制度が創設され、各省庁の大臣の募集に応じて応募者の退職が認定されるようになりました。応募資格は45歳以上の職員で、応募や応募の取り下げは自発的な意思にゆだねられるため、いわゆる民間企業でいうところの「肩たたき」とは違います。
    応募者は原則的に全員認定されますが、公務運営上に必要な人材と判断された場合には認定されないこともあります。定年退職の場合よりも支給される退職金が高いのが特徴です。
  • 「自己都合退職」
    職員の家庭の事情、健康上の理由など個人的事情、キャリアアップの為の転職や独立など個人の意思による退職の事を指します。民間企業では、「会社都合退職」の対義語のように使われていますが、公務員の場合は民間企業で諭旨退職や退職勧奨にあたる「分限免職」はあまり行われることがないため、「定年」「応募認定」以外の退職はほぼ「自己都合」と認定されてしまいます。自己都合退職は他の退職理由と比べて退職金の支給額が大幅に減額されるのが特徴です。

国家公務員の退職金の計算方法

ではその計算方法を見てみましょう。内閣官房のホームページによれば、国家公務員の退職金は以下の計算式で一律に算出することができます。

退職手当=基本額(退職日の俸給月額×退職理由別・勤続年数別支給率)+調整額

基本額のうち「俸給月額」というのは、公務員の給与に関する法律に別表として添付されている「俸給表」によって定められているものです。これは税金を財源とする国家公務員の給与については、恣意的に支払われてはならないという考え方から、国民の代表者である国会において金額を法定したもので、見やすいように一覧表のかたちにまとめられています。

国家公務員の退職金は俸給表により定められる

この俸給表は「一般職」「公安職」「教育職」などの業務内容によって細かく分かれています。そして同じ俸給表であれば、役職が上がって「級」が上がっていけば、俸給月額が上がっていくことが一目でわかるようになっています。公務員の退職金といえども財源は税金ですから、まずは法律で定められた額であるところの「俸給月額」が基準になるのですね。

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地方公務員の退職金の計算方法

退職金の計算方法は、次の式になります。

退職金支給額= 基本額+ 調整額

基本額は、

基本額= 退職日の俸給月額 × 退職理由別・勤続期間支給率

となります。

退職理由別・勤続期間支給率とは、退職理由ごとに8つの支給率に分けられ退職理由と勤続年数によって、支給率が変わります。例えば、退職理由が任期満了で、勤続期間が30年の場合、退職理由別・勤続期間支給率は、42.4125です。この支給率は、国家公務員退職手当支給率早見表に記載され、公表されています。

調整額とは、職員区分に応じた月額×その職員区分で従事した月数です。職員区分とは、公務員退職手続法に定められた区分で、11区分に分けられています。職員区分に対応する職員ごとに、調整月額が決められています。

(例)

退職日の俸給月額   386,200円

値職理由        任期満了

勤続期間        30年

退職理由別勤続期間支給率 42.4125

職員区分        区分76級

調整月額        33,350円

退職手当支給額=386,200円×42.4125+33,350円×(12ヵ月×30年)=16,379,708(基本額)+12,006,000円(調整額)

=28,385,708円となります。

公務員の退職金の変動はあるのか

公務員には、「一般職」「公安職」「教育職」など多くの職種があります。基本給や勤続年数、退職理由、調整額によっては退職金の額は変動するでしょう。上記でも述べたように、公務員の退職金は俸給表で定められています。基本給に関しては、一般行政職よりも公立学校の教員の方が高い水準であることが多いようです。

勤続年数では、勤めた年数が長ければ長いほど支給率は高くなります。退職理由では、自己都合は定年退職や整理退職に比べて支給率が低いです。調整額は毎月加算され、区分によって額が変わります。調整額は、額が多い60ヶ月分を合計したものが退職金に含まれるようです。

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休職期間があった場合の退職金

休職期間の算定には、2つあります。休職期間の1/2を休職期間として引いて計算する場合と休職期間すべてを引いて計算する場合があります。

休職期間の1/2を休職期間とする場合

ア 私傷病による休職、刑事休職及び研究休職(ただし、その内容が公務の能率的な運営に特に資す  ると認められる等の場合には除算されない。)の期間

イ 懲戒処分としての停職の期間

ウ 育児休業の期間(ただし、子が1歳に達した日の属する月までの期間は3分の1を除算する。)

上記に該当する場合、休業期間の1/2が休業期間となります。

(例)

退職日の俸給月額   386,200円

値職理由        任期満了

勤続期間        30年

休職期間        病気の為2年間

退職理由別勤続期間支給率 42.4125

職員区分         区分76級

調整月額         33,350円

退職手当支給額=386,200円×42.4125 + 33,350円×12ヵ月×30年-33,350円×12ヵ月×2年×1/2

=16,379,708(基本額)+12,006,000円(調整額)‐400,200円(休暇期間の1/2の調整額)

=27,985,508円 となります。

休職期間の全期間を休職期間とする場合

ア 職員団体専従休職の期間

イ 自己啓発等休業の期間(ただし、その内容が公務の能率的な運営に特に資すると認められる等の場合には2分の1を除算する。)

ウ 配偶者同行休業の期間

上記に該当する場合、休業期間の全休業期間が休業期間となります。

(例)

退職日の俸給月額   386,200円

値職理由        任期満了

勤続期間        30年

休職期間        職員団体専従2年間

退職理由別勤続期間支給率 42.4125

職員区分         区分76級

調整月額        33,350円

退職手当支給額=386,200円×42.4125+33,350円×(12ヵ月×30年)‐33,350円×(12ヵ月×2年)

=16,379,708(基本額)+12,006,000円(調整額)‐800,400円(休暇期間の全期間の調整額)

=27,585,308円となります。

公務員の退職金のからくりは退職理由・勤続年数別支給率

さて公務員の退職金の額は、その俸給月額に「退職理由別・勤続年数別支給率」を乗ずることになっています。要するにこの「支給率」は「給料の何か月分がもらえるか」を指していると考えるとわかりやすいかもしれません。

そしてこの「支給率」が、退職理由や勤続年数によって公務員の退職金の額が大きく違ってくる理由になるのです。たとえば、同じく内閣官房のホームページで公開されている「国家公務員退職手当支給率早見表」によれば、自己都合退職では勤続10年の場支給率が5.22で勤続20年の場合が20.445。

早見表の基本額+調節額が公務員の退職金

つまり、10年間働いてきた公務員を10年で自己都合退職すると、給料の5か月分の退職金しかもらえないことになります。これに対し、定年退職で勤続年数が40年の場合の支給率は49.59。およそ給料の50か月分の退職金がもらえることになります。

しかも支給率を乗じる俸給月額自体も高いのですから、先に述べた2,300万円もの額になるのです。最終的にはこれらの基本額に、役職に応じて0円から95,400円までの調整月額の60か月分にあたる「調整額」がさらに加わったものが公務員の退職金の額になります。

公務員の退職金の計算の仕方は俸給表を参考にすること

俸給表についても最後に触れておきましょう。俸給表は国家公務員の退職金の算定基礎となるものです。文中にも触れましたが俸給とは国家公務員の給与(基本給)の事で、国家公務員の退職金は俸給月額に支給率を乗じて調整額を足したものです。

俸給は職務ごとに「級(横軸)」と「号俸(縦軸)」に分かれて構成されており、簡潔に言えば「級」は役職、「号俸」は能力を表します。俸給表の種類は「行政職」「専門行政職」「税務職」など11種類17表に分かれており、それぞれ異なった俸給体制を採っています。

例えば、行政職の俸給表は1級から10級、1号俸から125号俸までありますが、最も俸給が高いのは10級21号俸となっています。(22号俸からは段階的に級が減り始め125号では1級のみ)俸給表は民間企業の職種別賃金を参考に作成し、人事院勧告で毎年発表されるので参考にするとよいでしょう。

以上で見てきたように、公務員の退職金は長く勤めれば勤めるほど、役職が上であればあるほど、どんどん高額になっていく仕組みになっています。俗に公務員に一度なったらやめられない、と言われるのは、この点を考えただけでも納得できていまいますね。

監修者プロフィール

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吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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