【国家公務員の昇給制度とは】知っておきたい民間にない俸給表や評価の仕方について徹底解説
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目次
国家公務員の昇給制度を把握しておこう
賃上げが話題になる日本ですが、それと合わせて国家公務員の昇給も話題になることが増えています。景気の改善が盛んに取り沙汰される一方で、若者の低所得が問題として取り上げられることが多いです。そんな中、公務員人気は未だに根強く、公務員の給与事情が気になる人も少なくないでしょう。
そこでこの記事では、一般的な企業とはいささか異なる給与設計が行われている国家公務員に関して、とくに昇給に焦点をあてて紹介します。どのように行われるのか、どのような昇給が存在するのか。評価するのはどこなのか、その制度や評価の在り方などについて紹介しますので、参考にしてください。
昇給について
一般的な企業と異なり、仕事の成果が客観的に見て分かりにくいのが国家公務員です。そういった環境だと、一体全体何が評価され、何に基づいて昇給が決定されるのか想像しにくいという人も多いことでしょう。実のところ、国家公務員の昇給は、原則的に法律によって定められています。そのため、民間の一般的な企業と異なっている点も少なくありません。ここからは、昇給が決定される事由とその時期について紹介ていきます。
昇給は「俸給表」に基づいて決定される
一般的にあまり知られていませんが、国家公務員の給与は、法律に基づいて設定された俸給表に従って定められています。この金額が民間企業におけるいわゆる基本給にあたります。それに扶養手当や通勤手当、期末手当、その他勤勉手当といった諸手当、定期的に一定割合の賞与が付与される仕組みです。
俸給は、役職として与えられる等級や職員の区分である号によって金額が分けられています。勤務年数、担当している職務の複雑性や責任の重さ、仕事内容といったものに応じて設定され、余程のことがなければ下がることがありません。これが、一般的に公務員の給与が安定していると言われるゆえんになります。
昇給時期は1月1日
国家公務員の昇給時期は、1月1日です。以前は4回程度昇給時期がありましたが、現在はこの日に統一されています。国家公務員には1年間の内に何度か業績評価というものがあります。直近の懲戒処分の有無や人事評価、勤務成績などを考慮した2回分の業績評価の全体評語(いわゆる昇給評語)に基づいて判断される仕組みです。業績評価はSSからBB、能力評価はS・A・Bがそれぞれ設けられています。
この評価基準に応じてAからEまでの5段階区分が設定され、その段階によってどれくらいの昇給になるかが決まってきます。評価が明確に示されることから、一般的な民間企業と比較して曖昧さが薄いと言えるでしょう。自分の仕事振りが客観的にどれだけの評価を受けているかがわかりやすいことから、納得感が高いのが特徴です。
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昇給の種類には2つある
国家公務員の昇給には2種類の昇給が存在します。一般的な企業であると、前年の仕事の成果や実績に基づいて下された人事考課の決定によって役職の変更などが行われるでしょう。それに合わせる形で昇給が行われますが、国家公務員の場合はいくらか異なります。
また前項で説明した通り、国家公務員の昇給は1月1日に行われると定められており、原則それ以外の時期に昇給することはほとんどありません。それに対して一般的な企業では、必要に応じて都度昇給が行われるため、この点にも違いが見られます。
「定期昇給」と「昇格による昇給」
国家公務員の昇給には2種類あります。先述した勤務成績などの評価によって下される業績評価に基づいて行われる定期昇給と、任命権を持った官職によって任命されることで行われる昇任の2種類です。昇任に関しては、昇給以上に要件が厳しくなっており、直近の連続した2回の能力評価を元にして判断されます。その際には1回の全体評評価が上位であり、かつ他の全体評価も上位あるいは中位の段階であること、加えて人事院が定める一定の要件に合致する必要があります。
業績評価と能力評価がある
ここまで書いてきた通り、国家公務員の昇給に関しては、その判断材料として業績評価と能力評価の2種類の評価が用いられます。この2つの評価は、それぞれ実施される期間に一定のサイクルが定められているのが特徴です。たとえば業績評価は、1年の内2回評価が行われるというサイクルが決められています。
10月に目標設定を行い、翌3月に評価され、4月に再度目標設定が行われ、9月にその評価が行われるという年2回のサイクルです。一方、能力評価は10月から9月までの1年間の仕事に対して行われます。
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昇給停止(抑制)制度がある
国家公務員は日本国内において、どこよりも安定しているイメージがあるでしょう。定期的に昇給が行われ、確実に賞与がもらえて、黙っていても高い給料をもらうことができる、というイメージが抱かれがちです。しかし、実は昇給を停止あるいは抑制する制度も存在しています。これは、国家公務員の給料の原資が国民の税金である以上、国の財政負担を過剰に膨らませることができないためです。結果、ある程度の予算範囲内で国家公務員の給与水準を抑える必要があるからです。詳しくは後述しますが、民間企業における賃金の状況と大きく乖離させない目的もあります。
人事院による勧告
一般的な会社において給与制度を握るのは給与担当者や経営層です。一方、国家公務員の場合、それらの存在にあたるのが人事院です。ニュースなどで国家公務員の昇給が取り沙汰される際に、人事院による勧告という言葉が用いられます。それが意味するところは、人事院という国家公務員の人事担当者が昇給を決定したという意味に外なりません。
また、人事院の関与は昇給にとどまりません。一般的な企業の人事同様に、諸手当の算出方法や勤務条件、賞与(ボーナス)といった、国家公務員の給与や報酬に関する内容には必ず人事院が関与して、何らかの指針を示しています。いわば、人事院は国家公務員の人事制度全般を司る存在なのです。
55歳を超えると昇給停止
これは一般的に多く知られていませんが、国家公務員の場合、給与法によって55才を超えると昇給が停止されます。これは先に書いた通り、国家公務員の給与の原資は国民の税金であり、国家に過剰な負担を負わせることができないためです。また、国家公務員の場合、年功序列制度が一般的な企業よりも色濃いのも特徴でしょう。仮に55才以降も昇給するとなると給与水準が非常に上がってしまい、とくに若い世代の給与を低く抑えるための圧力にもなりかねません。
また、元々国家公務員の給与は民間企業の給与水準を元にして設定されています。年功序列制度の関係上、際限なく昇給をさせてしまうと、民間企業の給与水準との乖離が大きくなってしまいます。それを避けるために、55才を超えた後の昇給が停止されているのです。
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国家公務員の給料はスタートは低めだが昇給する
一般的に高額な給与を安定してもらえるということで知られているのが公務員です。しかし、実のところいざ就職を考えて給与条件を見ると、入職当初の給与は一般的な大企業などと比べると遙かに見劣りする金額になっています。そのため意外に感じる人も少なくないことでしょう。とはいえ、ここまで書いたように、国家公務員は勤務成績や勤続年数を踏まえた業績評価によって徐々にしっかりと昇給していきます。
賃上げ圧力の強まる昨今、毎年働きに応じて着実に昇給していく組織というのは数少なく、その意味で言えばやはり国家公務員は安泰といえるでしょう。基本給にあたる俸給は確かに低く見えます。しかし、その具体的な内容や金額を表立って発表していない各種手当てに関しては充実した金額が設定されていることも少なくありません。それらの手当や時間外労働に対する手当などを総合的に勘案すれば、入職当初の給与であってもそれほど低く感じないことでしょう。