企業探検隊

サステナビリティ領域のトッププレーヤーを目指す集団|TBM

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インタビュー取材のため本社にうかがうと、案内されて会議室へ向かう途中に社員の皆さんから次々に「いらっしゃいませ」と笑顔のお出迎えを受け、取材前から好感度は急上昇。今回はサステナビリティ革命の実現に向けて邁進するユニコーン企業、TBMを探検していきます。

TBMは環境に配慮したプラスチックや紙の代替素材となる独自に開発した日本発の新素材LIMEX(ライメックス)開発・製造・販売を行うスタートアップとして2011年に創業。現在は、素材事業に加え、CirculeX事業や国内最大級のリサイクルプラントの運営などの資源循環を促進する事業にも力を入れています。推計企業価値は1,000億円を超え、日本では数少ないユニコーン企業の一つとされています。

東京・日比谷に本社があるTBMは、ここから日本発のサステナビリティ革命を目指そうという本気の集団。TBMのピープル&カルチャー本部カルチャー・アーキテクトの島津凱さんによると、「さまざまな分野から集まったスペシャリストたちと新卒で入った20代が融合し、社員がみな同じゴールを目指しています」とのことです。実際にはどのような目標を掲げ、どのような人たちが働いているのか、探検してみましょう。

来客の迎え方からわかる感謝と謙虚が形作る企業文化

TBMの企業文化

Q.会社の受付からこの会議室まで案内される途中、社員の皆さんから次々と「いらっしゃいませ」の声をかけていただきました。気持ちが良いものですね。

「体育会系か⁉」と突っ込まれそうですが、そういうわけではありません(笑)。ただ会社の文化として、感謝や謙虚さを大切にするという考えがあります。人として当たり前といえばそうなのですが、当たり前だからこそつい忘れてしまうことってありますよね。代表の山﨑は会社の5つのバリューの一つに「感謝と謙虚でつながろう」を掲げています。数多くのステークホルダーの皆様にご期待、ご支援を頂きながら挑戦をさせていただいているフェーズですので、このバリューを大切にしています。

その結果、このバリューがオフィスに訪れた来客に対して挨拶をしっかりするという社員のアイデアから生まれた文化に現れているのです。

Q.イメージしていたベンチャーやスタートアップとは少し社風が違うように感じましたが、いかがでしょうか。

TBMには、さまざまな業種・業界で活躍し実績のある多様で能力のある人材がTBMの実現したい未来や理念に惹かれて集まっています。大手広告代理店や有名経済誌の編集長、外資系メーカーの高分子技術のトップ研究者、商社、金融など多彩な面々がいて、他のスタートアップと比べて比較的30~40代の社員が多く在籍していると思います

新卒採用は2021年からなので、20代の社員は中途採用を含めて全体の20%ほど。TBMのメンバーは人柄も素晴らしいので、優秀な中途入社メンバーから学べることが沢山あります。

また、TBMはそもそも年功序列とは無縁でフラットな組織風土です。年齢、役職、ポジションに関係なく、能力と覚悟があればさまざまなチャレンジを任される、まさにスタートアップらしい会社だと思います。

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Q.年功序列がないといえば、島津さん自身もTBMに入社してすぐ20代の仲間と一緒に、人事(採用)を担う役員直下のチームであるPeople Communication=PC(現People & Culture本部)の立上げを任されたそうですね。

労務を除く人事領域を幅広く担当するのがPCで、当時チームの3人は全員が23歳でした。私は前職で営業職に従事していたときに、TBMがこれから採用に注力する為にチームの立ち上げを行いたいので興味はないか? と当時1人で人事の専任を任されていた同い年の友人に声をかけてもらい、勤めていた会社を辞めて2019年7月にTBMにジョインしました。

2018年に新卒で人材系企業に入社したばかりの社会人2年生。そんな私を含む23歳の3人に、企業で重要な役割を持つ人事領域の仕事を任せてくれる会社には良い意味で驚かされましたし、確実に自身の視座が高まり成長スピードの加速につながりました

ちなみにですが、PCというチーム名も3人で話し合って決めました。現在は1つの本部となっていますが、名残りがあるのも嬉しいですね。

TBMの事業概要

TBMの事業展開の2本柱

Q.事業概要を教えてください。

TBMは代表の山﨑が、「わかりやすく世の中の役に立つ」「グローバルで挑戦できる」「兆のつく事業を作る」という3つの思いを実現し、100年後も挑戦し続ける会社の土台を残そうと考え創業した会社です。その原点から出発し現在、サステナビリティ革命の実現を目指し、エコロジーとエコノミーを両立する事業を展開しています。

具体的には環境配慮型の新素材事業と資源循環を促進する事業の2つが主な事業です。環境配慮型の新素材・事業では、新素材LIMEX(ライメックス)の開発・製造、またLIMEXを使用した製品開発・販売をおこなっています。LIMEXは石灰石を主原料とした新素材でプラスチックや紙の代替となるもの。

石油由来のプラスチックと比較して原材料の調達から処分までのライフサイクル全体でGHG排出量を大幅に削減できます。また紙と比較して製造段階において森林資源は一切使わず、水の使用量においても大幅に削減できるのが特徴です。

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資源循環事業としては、再生素材「CirculeX(サーキュレックス)」を用いた製品展開や国内最大級のリサイクルプラントの運営などを行なっています。CirculeX事業は使用済みのLIMEXや世の中に流通しているプラスチック製品などを適切に回収、再資源化し、再製品化する事業です。

リサイクルプラント運営事業では、近赤外線を用いた選別技術で、回収したLIMEX と汎用プラスチックを自動選別し、再生利用する世界初のプラントを運営しています。2022年11月竣工した横須賀工場はプラスチックのリサイクルプラントとして国内最大級の規模を有し、今後の展望として、同様の工場を国内外に展開予定です。

これらの事業をスタートアップらしい圧倒的な規模とスピードによって成長させ、サステナビリティ領域のトッププレイヤーを目指しています。

Q.各事業、どのくらいの市場規模がある事業なのでしょうか。

それぞれ非常に大きな市場性があることは間違いありません。世界において気候変動、資源枯渇、水資源の危機等の環境課題が急速に進行しており、国はもとより企業レベルでの対応が必至となっています。人口増加や新興国の経済成長に伴い、例えば世界のサステナブルプラスチック市場(バイオ由来プラスチックや生分解性プラスチック等)の市場規模は2020年から2030年まで年平均成長率13.3%で成長し、2030年には8,288億米ドルに達すると予測されており、環境配慮素材のグローバル需要は拡大していく見込みです。現在のLIMEXは産業資材や企画印刷物として導入されるケースが多いのですが、より高付加価値な用途として、例えば自動車、物流、建築資材などにも活用範囲を広げていきたいと考えています。

資源循環の分野においても、環境省の試算で、2050年のグローバルの環境関連ビジネス市場規模は2,340兆円と発表されており、実に、その内の1,390兆円が廃棄物処理や資源有効活用の市場であり、非常に大きな需要があると言われています。参考までに、太陽光や風力、電気自動車は地球温暖化対策分野の392兆円の中に含まれますが、資源循環分野はそれよりはるかに大きいことがわかります。

TBMの社風

TBMの社風

Q.社風を教えてください。

「和気あいあい」と「切磋琢磨」の2択から選ぶのであれば、「切磋琢磨」という言葉がふさわしいかもしれませんね。といっても机を並べている同僚たちと競うのではなく、相手は環境課題というか、より大きな地球規模の課題に対して志を持って向き合い続けています。「甲子園を目指す高校球児の集まりだ」と表現している社員もいましたね。採用活動においては、よく「一緒に感動できる人を採用しよう」というメッセージを社内外に対してメッセージしていますが、みんなで力を合わせて大きな課題に挑戦し、それを乗り越えた先に“感動”は得られるものと考えると、この言葉からも弊社の社風が感じ取ってもらえるのではないかと想います

TBMはTBM Compassと呼ぶ企業理念体系をとても大切にしています。VISIONは「過去を活かして未来を創る。100年後でも持続可能な循環型イノベーション」、MISSIONは「進みたい未来に橋を架ける」です。
また、創業当初から大切にしてきた価値観をベース にしながら、改めて TBM ではたらく一人 ひとりに大事にして欲しいことを5つのバリューとして掲げています。

TBM’sValues

いまTBMは企業として生みの苦しみを経験するフェーズ。エコノミーとエコロジーというこれまでは両立が難しいとされてきた事業を何としても成功させねばなりません。この難所を何とか乗り越えようと仲間と一緒に頑張っています。

時代は違いますけれど今では日本、そして世界を代表するトヨタやソニー、パナソニックやホンダにも必ずそんなフェーズがあったはずです。TBMは必ず世界を代表する会社になるので、いまのTBMはそんな会社の創成期にあたると考えることができます。

そう考えると、なんだか私自身はロマンを感じますし、そこに魅力を感じて飛び込んでくるメンバーも多いです。

Q.まだこれから産業化が本格的に進んでいくサステナビリティ領域で、掲げた理想とビジネスを両立していくのは簡単ではなさそうですね。

誰もまだ歩んだことがない道を進むのですから、積み上げ式の発想でたとえば「20%の成長を目指し昨年度対比120%を達成する」といった考えでは、前進はできません。どれだけやっても限界がないような取り組みを成し遂げていくには、目標からの逆算が重要になります

TBMが掲げている「2030年度までにカーボンネガティブを実現する」「100万トンのLIMEXとプラスチックを50カ国で循環させる」という野心的な目標「TBM Pledge 2030」を達成するためには、この大目標から逆算して何をすべきか常に問い直していく必要があります。

Q.そういう大目標に向けて社員の気持ちを一つにまとめていくために、会社として工夫していることはありますか?

はい。さまざまな取り組みを行なっているインナーコミュニケーション施策の中からいくつかの取り組みを紹介させていただきます。

TBMの社員の気持ちをまとめるための取り組み

Same Boat Meetingという月次ミーティングがあります。全社員が参加して各部門の情報を共有する社内イベントで、ポジティブ情報もネガティブ情報も透明性を持って社員に説明しアップデートする。メンバー一人ひとりが会社のことを自分ゴト化する為の場です。

もうひとつが1年に一度、7月に社員がオフサイトで一堂に集まって1日かけて徹底的に語り合う重要なイベント、TBM CAMPです。半期の振り返りや残りの戦略について話し合うパートやTBMが100年後も挑戦し続ける組織になるために必要なビジョンなどを一人ひとりが自分の言葉で語ります。

上記以外の取り組みですと、23年度は、「架橋塾」に取り組みました。
「架橋塾」は、代表の山﨑が社員と直接接し、創業者としての考えや視点を改めて説明し継承していくための会。社員の誰もがTBMのDNAを理解し、その考えや理念をきちんと説明できるようにする取り組みです。社員を小グループに分け毎月開催し、山﨑を含めた経営陣が1年間かけて全社員と対話します

TBM記事中画像

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TBMの社員

活躍する社員の特徴

Q.TBMではどのような人たちが働いているのですか?

20代から90代までの多様な人たちが在籍しており、それぞれがミッション実現に向けた推進役を担っています。

Q.TBMで活躍する人材にはどのような共通点がありますか?

自ら進んで機会を創り、ポジティブに周囲を巻き込める人材です。また自分のキャリアを自分で切り拓く意欲にあふれ、何を目指すのかが明確な人材には活躍の大きな可能性が待っています。

社内ではよく「挑戦する権利、反省する義務」と言います。与えてもらうのを待つのではなく進んで挑戦し、主体的に行動する。挑戦した結果、成功することもあれば失敗することもある。失敗することが責められるのではなく、結果を自分に矢印を向け、次に繋げる、そういう姿勢が大切になります。

Q.逆に言えば自分から積極的に手を上げないと活躍の場が限られるということでしょうか。

象徴的なのは、今年の2月にはグローバル戦略の強化のため海外事業のメンバーを社内から部門問わず公募しました。他部門から「やりたい」と手を上げた社員の意志に期待したわけです。結果、複数名が志願し、選考のプロセスを経て数名の異動が決定しています。

また、会社側から新たな刺激を提供する仕組みもあります。たとえば新卒社員は入社後5年間で原則2つの部門を経験するという制度があります。あくまで原則であり、現在の仕事をもっと追究したいという明確な意志がある場合には、勿論継続して現在の部門で挑戦することも可能です。異動を経験することで、新たな発見や適性の発見につながる場合もあるため、重要な取り組みのひとつに位置付けています。

TBMが求める人材

求める人物像

Q.新卒の人材には何をもとめていますか?

TBMは日本のユニコーン企業の第一世代としての誇りと責任を背負いながら、事業や組織の基盤を固めながら、高い視座が求められるスタートアップです。2021年から開始した新卒採用ですが、代表の山﨑としては、新卒のメンバーに対して、TBMらしいカルチャーを作り、体現する人材となってくれることを強く期待しています

ですからTBMのミッション、ビジョンに共感し、社員の判断の拠り所であるTBM Compassに共感してくれる人材であることが前提となります。

そのうえで、自分がこれから切り拓いていこうとしている社会人としてのありたい姿と、TBMの目指す方向性がクロスしていることがとても大切な要件になります。

Q.採用担当者としての島津さんは、たとえばどんな内容を尋ねるのですか?

大学卒業後のキャリアは決して会社員になることだけが正解ではありません。他にも大学院に進んだり、起業したり、NPO・NGOなど、さまざまな選択肢があるなかで、どうして組織に属する会社員になろうと考えたのか。また弊社のようなスタートアップの中で、どんな想いで、どんなチャレンジをしていきたいのか。そこは聞きたいポイントのひとつです。

また、その人がどれだけ”渇いているか”、いわゆるハングリー精神があるか、成長機会に対して貪欲になれる人材なのかを見ています

あとは、これまでの人生の中で様々な出会いや出来事があったと想いますが、その時々で人や組織、勿論自分に対しても愛着を持ててきた人なのか、感謝や謙虚さを学んできた人なのかも重要視しています。

Q.一緒に働きたいと思える人材と、そうならない人材との違いは何ですか?

一緒に働きたいと思える人は、自分の意志で何かにチャレンジしてきた人ですね。これまで生きてきたなかで、必ず20数年間分の意思決定やチャレンジがあるはずで、それを知りたいです。インターンシップで充実した経験を積んだ人、ビジネスコンテストで優勝した人、起業経験のある人、サステナビリティの領域に関心を持ち取り組んできた人、海外に留学し視野や価値観を拡げてきた人などは、わかりやすい例です。今上げたこと以外でも誇れる実績は、人それぞれにあると思います。

逆に、思うようにならない人生の理由を自分以外の何かや誰かのせいにするような人は採用しません。また家族や友人などへの感謝やリスペクトのない人を受け入れるのも難しいですね。

必見! 入社後に新卒社員を待っている仕事とは?

新卒社員を待っている仕事

Q.採用のプロセスと仕事内容を教えてください

まず採用は4つの職種に分けておこないます。「ビジネス」は営業や事業開発の仕事、「コーポレート」は広報・人事・マーケティング・経理・SCMなどの仕事、「研究開発」は新たな素材や製品の研究開発、製造プロセスの開発を行います。「アントレプレナー」はサステナビリティ領域で起業したい方向けの職種です。

TBMでは自らの意志でキャリアを切り開いて欲しいという想いから職種別採用としています。その職種のなかでTBMには現在23部門がありますが、選考プロセスの中で各部門のメンバーなどとも会ってもらいながら、希望する部門を決めてもらっています。

Q.入社後についても伺いたいです

入社後1カ月は研修期間としています。その後は、配属された部門の中で、先輩について現場のOJTで仕事を覚えます。他部門に所属する先輩社員のメンターもつきます。たとえば私も営業で入った新卒社員のバディとして仕事やキャリアの相談に乗ったりしています。

Q.たとえば同じ営業職でも、事業によって仕事の内容は変わりますか?

変わりますね。同じ営業職でもたとえばLIMEX事業本部の営業は、世の中にまだ広まっていない新素材と製品を普及していく営業ですから、いわゆるルート営業やカタログ販売と言われるような性質の営業とは異なります。TBMという会社のファンになってもらい、LIMEX素材やLIMEX製品を応援してもらえるファンを作るところから営業が始まります。

またこのような新素材を使用した製品の導入を意思決定していただけるのは、所謂ブランドオーナーと言われる大手企業の且つ経営層などの決裁権者と言われる方であるケースが多いので、単なるモノ売りではなく、外部環境やLIMEXを導入いただくことの意義について十分に納得してもらえるように、説得材料となる情報や概念をうまく伝えるコミュニケーション能力や事前の準備が重要になります。

CirculeX事業本部の営業であれば、これまで燃やされてしまっていたプラスチックを“資源”としてお客様からお預かりし、それを必要としてくださるお客様へマッチングしていくような事業ですから、win-win-winな関係、所謂「三方よし」を意識した営業活動が肝になります。勿論競合もいますから、顧客企業の担当者と人間関係を深めながら、最後にはTBMの〇〇さんだから仕事を任せたいと言っていただけたら、営業冥利に尽きるのではないでしょうか。たとえばこの2つの事業部を取ってみてもこの様な違いがありますから、適性に合った部門とマッチングするようにしています

TBM本日の企業探検まとめ

島津凱さん(ピープル&カルチャー本部 カルチャー・アーキテクト)

Kai Shimazu・2018年に人材系企業に新卒入社し法人営業に従事し、新人賞受賞。採用チーム立上げのミッションで2019年7月にTBMに中途入社。中途採用、新卒採用、採用広報、組織開発等を担当。現在はLIMEX事業本部も兼務し、LIMEX製品の普及活動にも従事。大学ではスペイン語を専攻し、スペインで大学での交換留学やインターンシップの経験も持つ

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