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やりたいことが見つからない人はまず「人の役に立てること」を探そう

就活.salon講師北口さんの紹介

就活.salon講師北口さんの写真

大学卒業後、91年に大手人材サービス会社に入社。各企業に新卒・中途採用戦略を提案するコンサルティング営業部門に配属され、8年間で600社以上の企業、約2,000名の人事に対して採用戦略のアドバイスを行う。 その後、2000年に日本で初めてとなる新卒紹介事業の立ち上げ責任者となり指揮。日本に本格的な新卒紹介事業を定着させる立役者となる。

新卒紹介事業を率いたその8年間で約630社の企業と約7,500名の学生を内定へと結びつけた。就職指導では、これまでに2万5千名を超える。現在は、経営者や人事部門に対し、経営・採用コンサルティングを行う傍ら「就活.salon」の講師として最前線で活躍中。

新卒で「やりたいこと」を見つけるのは難しい

ーー学生が「やりたいことが見つからない」と嘆く原因はなんでしょうか

北口さん:やりたいことが「見つからない」ことと、「嘆く」ことを別々に考えてみるとよいかもしれません。

まず、「見つからない」という原因には、2つあげられるかと思います。ひとつは「まだ社会人経験がない学生が就活中に見つけるのは難しいのではないか」ということ。

多くの人は、年齢と共に様々な経験を重ねることで、「あぁ、自分は〇〇がやりたいんだな」と見えてくるものだということです。

もうひとつは『何がやりたいか?』は、本人は分かっているけれど、それが仕事として収入を得て生活が成り立つとは思っていない。ということを理解しているので、みつからないと感じる。ということ。

そして、見つからないと「嘆く」という原因には、周囲の人たちから「やりたいこと見つかった?」と、よく聞かれるので、学生は見つけなきゃ!と焦ってしまうのだと思います。

また、メディアの影響もあると思います。マスコミが好んで取り上げる、「やりたいことをやって活躍する人たち」です。

そういう方たちをメディアでよく見るので、それが普通のことのように見えてしまいがちですが、おそらく人口の数%しかいません。しかも組織でないことが多いです。

多くが個人事業主とか、『プロ』といわれる人であったり、サラリーマンではなく役員として労働契約を結ばないような人たちが中心だと思います。だから会社員になることを前提とした就職活動とは土俵が異なっているのですが、社会に出て成功している多くの人が『やりたいこと』をみつけているから、見つけないとダメなんだ!と感じてしまっているのだと思います。

やりたいことではなく、適職を探すことが大切

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北口さん:上でお伝えした通り、皆さん自分の好きなことややってみたいことは知っていると思うのです。

ただ、仕事としてやることではない。ということが同時に分かるから迷ってしまうと思うのです。やりたいことを会社に入ってやろうとするから難しく感じてしまう。

だから「やりたいことを見つける」ではなく、「適職を見つける」ことの方が簡単だと思っているのです。適職を見つけようとする時は、「世間を知る」「自分を知る」の2つの掛け算で考えるとシンプルでわかりやすいと思います。

「世間を知る」とは、業界や企業のことです。「自分を知る」とは自分の個性や良いところを把握することです。よく言われるのが、日本だったら52業界とか言われますけど、それを全部知っていて、かつ自分の個性や良いところも知っていて、その2つを掛け合わせるとその学生の能力が最大限活かせるのが適職になるわけです。

ーーどうすれば適職は見つかるのでしょうか。

北口さん:1人でも自分の個性を自分で見つけて、社会勉強する、ということができれば時間はかかりますが見つかると思います。ただ、その方法で適職を発見できたとしても、「頭では分かった」が先に来て、そのあと「間違いない」って感じるのは、感情の問題なので納得はできないはずです。理論と感情が同時に自分の中で、しっくりこないと適職だって感じないと思うのです。

この感覚的なものとは、人は相対比較でしか理解できないからだと思います。例えば、人が熱いという感覚を理解するには、冷たいという感覚を知らないとわかりませんよね。人の感覚って、比較しながら自分が好きか嫌いかを納得していく工程になっているので、いろいろ会社を見て感覚値に乗せないと、分かりにくいというか、腹落ちしない。感情的な部分は行動して、会社という比較する対象が増えてくれば納得できると思います。

今度は逆に、自分の個性・特徴を知らないまま、たくさんの企業を回る人がいますが、あまりおすすめしません。回れる企業には限界があるので、必要な数を回るための時間が足りなくなります。数が足りないと不安がずっとつきまとってしまう。で適職が何かわからないまま時間がすぎていく可能性が高くなってしまいます。

また、理論だけで決めるのもおすすめしません。理論どおりに会社に入ったとしても、その後、感覚値がないからずっと迷っている状態に陥ってしまう。だから理論と感情の両方がないと「これ自分に向いている仕事だな」って納得できないのだと思います。

「これ自分に向いている仕事だな」という実感を得るには、理論的なこと、あと自分の経験値を上げて納得する、この2つが必要なのだと思います。

本当に自分がやりたいことは会社ではできない

ーー今のお話を聞いて、就活生に向けて「やりたいことはなんですか?」と聞くこと自体が間違っている、ナンセンスではないかと思いました。

北口さん:そうですね。だから、適職とは何か?を理解している社会人なら、そういう聞き方をしないと思うのです。

ーー自分のやりたいことが明確な、適職とは何か?を理解している社会人は、就活生にどのような聞き方をしますか?

北口さん:「やりたいことを探そうと思っていない?」と聞くと思います。
「それは、難しいよ」って。会社という組織に入って自分のやりたいことをやろうとしたら、そもそも難しい。

1,000人とか10,000人規模の会社で、1人のわがままが通るわけがないですよね。やりたいことをやれるわけがない。でも安心安定が手に入る。これが会社という組織ですよね。

本当にやりたいことがやりたいなら、自分で会社を作れ。と言われるのが普通です。「それなら自分でやればいい」という発想になるので、そこでまた迷ってしまう。だから「やりたいこと」と「適職」を同時に考えていると難しいのだと思います。

適職だと感じるためには褒められる環境が大切

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北口さん:本来はやりたいことをやるっていうのが先じゃなくて、「役に立つことが何か」だと思うのです。人の役に立てることは何か。例えば、会社に入って、営業でお客さんを担当するとします。そこで、1回も褒められたことがない、「ありがとう」も言われたことがない、で10年間仕事やっていても適職だとは思えませんよね。自分がどんなに好きな仕事だと感じていたとしても、たぶん10年もすると嫌になっちゃうと思うのです。

ーーその状況で10年は続けられないですね。

北口さん:だから会社に入ったら、まずお客さんか同僚の役に立って、「いつもありがとう」と感謝されることが大切かなと。そういうサイクルが回ってないと、適職だと思えないので、「人の役に立つ」ことがすごく大事な要素になってくると思います。

役に立って「ありがとう」まで言われようと思うと、誰にでもできることをしても満足できません。例えば「物が落ちた」「はい取ってあげます」だと満足できない。

他の人にとって「僕には無理、できない」という仕事をやってあげたら、すごく感謝してくれる。この状況が一番「適職」を実感できる環境なのです。周りの人はあまりできないけど、自分はなんとなくできるという感覚が「個性」なんです。この個性が繰り返し発揮できる会社を探すことが適職探しだと思います。

自然と褒められる環境探しのアドバイスをしてあげるのが一番です。褒められないで成長することが難しい。モチベーションが維持できないからです。

個性や才能は自分ではなかなか気づけない

北口さん:褒められる環境を見つける上で大切なのは、その褒められるために全身全霊を使って努力し続けることは無理があると思います。疲れちゃって。嫌になる。才能や個性とは、息を吸うように自然にやって褒められる要素の入っているもの。その人にとって自然にやっているわけです。子供の頃から。

例えば、人に教えるのが昔から得意で、色々な事を教えていたら、周りから感謝されて、だけど本人からすると「別に普通のことを毎日やっています」という顔をしている。

「教えること」なのか、「アドバイスをすること」なのか、「教える記事を書くこと」なのか、要素はいくつかありますが、その普通にできてしまっている事を活かせる仕事をした方が、その人にとっては自然で楽でストレスがない。

だけどそれを懸命に努力してやろうとしている人、「自分は教えるのは苦手だけど教える仕事に就きたい」と考え教える仕事をしても、自然にできる人には勝てない。で教え方が下手だって怒られながら成長することになるのだけど、たぶん耐えられなくなる。

やりたいことがないと悩んでいる人のために、就活塾に通わなくてもできる対策を教えてください

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まずは業界を理解するためにたくさんの企業を見る

ーーやりたいことがないと悩んでいる人のために、就活塾に通わなくてもできる対策を教えてください。

北口さん:体験をどんどん積むってことはやった方が良いよ。とアドバイスします。仮に塾入ろうが入らなかろうがやらなきゃいけないことですから。

いろんな会社を回れば、回らないよりは少しずつ少しずつ理解していけると思います。試して欲しいのは、好きな業界ばかり回っていると感覚が麻痺してくるので、あえて興味のない業界とか説明会やインターンに参加してみる。そして、なぜ興味が持てないのか?を自分で理解すると良いと思います。何が嫌と感じるのか。何が好きと感じるのか。好きだという感情は自分にとって何なのだろう?とか。その問答です。

塾に入ると講師から、「なんでこの業界良いと思ったの?」「なんでこの会社は良いと思わないの?」と聞かれます。本来自分でやらなきゃいけない作業を人から聞かれると、また深く考えることができるようになる。

でも1人でやるなら、自問自答しながら、毎日ノート取るとか、日記書くのか、特に自分の感覚値に対して、客観的に見ることを続ければ、自分の感情が整理できて、割と早めに腹落ちできるかと思います。

あと、業界の理解を深めたいなら、様々な業界について詳しい人に話を聞くのも良いと思います。例えば、いろいろな業界を取材し、いろいろな会社の人たちと会って、いろんな業界の人たちを見てきた人とかに。「自分の個性はこうだと思うのだけど、これ活かせる会社や業界はどこだと思いますか?」って。そういう経験をしてきた人に聞くと、1秒で出てくると思うんです。

自己分析の本は自分を説明するために使う

北口さん:本屋に自己分析の本がありますが、その本をやれば適職が見つかると…あれはそもそも無理。それを書いた人に、無理でしょ?って、聞きたくなりますよね。

「長所すら分からないぞ」と。長所は他人が「ここ良いよね」と言ってくれるもので、それを他人に言われもしないのに、自分で見つけるのは思い込みになってしまう。

自己分析は、今までの人生の出来事の整理整頓はできます。だから自己分析の内容を人にみてもらうと他己分析になりますから、人に見せるために使うと良いのではないかと思います。

例えば、学生が就活の相談に来たとして、いきなり「適職教えてくれ」って言われても「いやわかんないよ」となってしまう。そこで、自己分析の本やワークシートでまとめた内容を「自分の人生、こんな感じです」と見せれば、相談相手もわかりやすいし、相談に乗りやすいでしょう。

1人で適職を見つけようとするなら、自己分析の表を作って人に見てもらう、社数をまわる、あとできるなら、日本中の会社のことを熟知している人に相談できたら一番良いと思いますね。

まとめ

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北口さん:まず一番シンプルなのは「やりたいこと」を見つけるのもいいけれど、「人の役に立てること」を探そうとしてほしいです。人の役に立てることを探そうと思ったら、これまでの人生を振り返って、友達とか先生とかによく褒められたとか、「ありがとう」って言われた出来事を思い出す。それが一番早いのではと思います。

ーー「やりたいこと」ではなく「人の役に立てること」というベースで考えを深めていくんですね。

北口さん:その方がわかりやすいと思います。自分が「苦痛を感じずに、人の役に立てることはなんだろう?」と。些細なことで良いと思うのです。

ーー北口さん、本日はありがとうございました。大変貴重なお話が聞けました。

北口さん:こちらこそありがとうございました。

本日お話いただいた北口さんが講師を務める「就活.salon」では、総合コース、エアラインコース、留学生コースの3つのコースで就活の対策を行っています。

「どう対策をしていいか分からない」と1人で悩んでしまっている方も、相談してみてはいかがでしょうか。

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監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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