企業探検隊
チャレンジを促すオープンでフラットな社風|ヒトカラメディア
- 347 views
ヒトカラメディアの東京本社オフィスは、「世界で最もクールな50の街」で2位に選ばれたこともある下北沢にあります。街の中心にはライブハウスや小劇場、古着屋なども多く、サブカルチャーが根付く下北沢は若者に人気の街でもあります。
ではなぜオフィスが集まるビジネス街ではなく、下北沢にオフィスを構えることにしたのか。それは、ヒトカラメディアが手掛ける事業の内容に大きくかかわっています。
会社の中身や、そこで働くメンバーたちの素顔を知り、ヒトカラメディアをより深く理解するために、人事・採用を担当する中村雅俊さんの案内で企業探検してきました。
ヒトカラメディアの働き方
Q.オフィスの内装がDIYだと聞いて驚きました。
自分たちが働きやすいオフィスについてみんなで意見交換しながら、社内メンバーによるDIYも交えて作ってみました。現在のコンセプトは、フェス感のあるオフィス。共に創り同じ時間を楽しむフェスの雰囲気をオフィスで再現しようという思いが込められています。数年前に、当時新卒2,3年目の社員が自発的にオフィスリニューアルプロジェクトの立ち上げおよび推進をになってくれて、社内では「オフェスプロジェクト」なんて呼んだりもしています。
ヒトカラメディアの主要な事業の一つがオフィスづくりで、空間プランニングや施工の専門家もいます。メンバー全員でワークショップを実施し、アイデアを出し合うことで、なかなか良いオフィスができました。オフィスのフロアが地下1階にある制限があるなかで、自分たちで話し合いを重ねて作ったからこそ最大限快適なオフィス空間にできたと思っています。
地下ではありますが天井が高く開放的な作りになっています。DIYのキッチンや本棚はレイアウトを変えられるので、みんなの使い勝手に合わせて日々進化させています。
Q.オフィス内にキッチンがあるんですね。
わいわいとおしゃべりしながらランチをしたり、就業中も、コーヒーを淹れるためキッチンへ来た者同士でおしゃべりしてひと息ついたり気分転換したり、みんなが自由にキッチン周りのスペースを使っています。
ときには、料理好きなメンバーが仕事終わりに腕を振るってみんなにご馳走してくれることもありますよ。
半円型のカウンターキッチンを囲うような形で、メンバー同士のコミュニケーションが生まれる場所になっています。
会社には自然な形でメンバー間のコミュニケーションが生まれるような空間があるのが理想的です。キッチン以外にも、社内の風通しを良くするためにコミュニケーションが生まれやすい動線をつくる工夫をする。固定デスクではなくフリーアドレスにして、より多くの人とコミュニケーションできる環境と空間を用意する。そのあたりはオフィスづくりのプロですから多くの工夫を凝らしました。
Q.メンバー間のコミュニケーションをかなり重視しているようですが、オフィスのレイアウト以外にはどのような工夫をしているのでしょう。
たとえば社内チャットツール「Slack」でもさまざまな工夫をしています。業務関連のチャンネルや事業部単位で1週間の出来事を共有する「#ヒトカラ週報」のほか、個人が仕事や日々の出来事から感じたこと、思っていることを自由に共有する「#自由帳」、オフィスで起きた出来事やメンバーの様子を投稿する「#today_hitokara」、読んだ本やお勧めの本を紹介する「#ヒトカラ読書部」など、業務に関係ないチャンネルを通じたコミュニケーションも活発です。
また、「まぜごはん」という社内制度があります。現在は正社員が50名、パートやアルバイトが20名の合計70名ほどのメンバーがいますが、これに代表や取締役など経営幹部を含めた会社の全メンバーを5名程度のチームに分け、毎月1回チームでランチに行くという制度です。
チームは固定ではなく毎回メンバーを入れ替えています。役割や部署、性別、社歴は一切関係なく毎回シャッフルするので、たとえば代表と人事担当者、新卒メンバー、アルバイトが一緒にランチするといった組み合わせもあります。他部署のメンバーとの交流を深めるきっかけとなっています。
ですから新卒メンバーから経営陣まで日頃から気軽に声を掛けられる距離感が社内に生まれ、とてもフラットでオープンな雰囲気が感じられると思います。
余談ですが、最近面談した24年春入社の新卒メンバーが「会話したことがないメンバーはもう社内に1人もいません」と言っていました。それくらい社内コミュニケーションは活発です。
Q.そこまで社内コミュニケーションに力を入れる理由を教えてください。
社内の風通しの良さや良好なコミュニケーション環境は、どんな会社組織にとっても成長と発展の基盤となりますが、ヒトカラメディアがとりわけコミュニケーションを大切にする理由があります。
そもそもヒトカラメディアという社名には、「ヒト」が「媒体」となり世の中に良いメッセージを伝播していくという思いが込められています。そして「熱源を、ともにつくる」を会社のバリューとして掲げています。
「熱源を、ともにつくる」という言葉には、「人と人がつながることにより新たなコトやアイデアが生まれ、それが熱源となって新たなビジネスにつながっていくという価値観を大切にしたい」という思いを込めています。そんなバリューをクライアントに提供する企業として、まずは自分たちが何かを生み出すための豊かなコミュニケーション環境を実現し、「熱源を、ともにつくる」会社になろうと考えているのです。
ヒトカラメディアの事業内容
Q.ヒトカラメディアはどんなビジネスを手掛け、どのように事業展開しているのですか。
会社のビジョンとして掲げているのは「『都市』も『地方』も『働く』も『暮らす』ももっとオモシロくできる!」です。人と人がつながるからこそ、新しいものが生まれ、新しいコトが起こると考え、あえて事業領域を広げ、都市でも地方でも、働くことにも暮らすことにもかかわり、幅広い領域で欲張りにチャレンジしていこうという思いをビジョンに込めました。
このビジョンを実現するために、「場」づくりをはじめさまざまな事業に取り組んでいます。具体的には3つの事業領域があります。
1つ目は「オフィスプロデュース」。企業の成長段階や組織の特徴をふまえて、最良の働く場と働き方が実現できるようクライアントを支援。オフィスの仲介や、オフィスの空間プランニング、内装、施工をおこないます。
2つ目は「不動産開発・運営支援」。これからの社会で求められる「場」づくりを実現するため、不動産開発に取り組みます。開発のコンセプトづくりや設計・デザイン、ビル管理や施設運営まで幅広くかかわります。
そして3つ目が「地域プロジェクト支援」。都市部での再開発に留まらず、さまざまな地域における地域活性化の案件などを手掛け、コミュニティ醸成や新規事業創出のための支援をおこなっています。
Q.事業について、もう少し詳しく教えてください。
オフィス移転支援に関しては、比較的規模の大きい企業からスタートアップ企業まで、さまざまな企業のオフィス移転やリニューアルプロジェクトを担っています。事業計画や採用計画などについても詳細にヒアリングをおこなったうえで、物件選びからオフィスの空間デザイン、そして施工までをワンストップで引き受けられるのが強みになっています。
かつて歓楽街のイメージしかなかった五反田が、いまではベンチャーやスタートアップが集まる街として「五反田バレー」と呼ばれていますが、これはヒトカラメディアを含む複数の仲介会社が五反田に多くの企業のオフィスを誘致した結果、街が変わった事例です。ただ場所を決めたり内装を作るだけではなく、組織や街にまできっかけや影響を与える仕事です。
不動産開発では、おもにデベロッパーや電鉄会社とともにプロジェクトに取り組んでいます。ときには街づくりにかかわることもあります。たとえば、下北沢は、数年前までオフィスを構える企業はほとんどありませんでした。 ヒトカラメディアは京王電鉄とともに、商業施設「ミカン下北」内にワークプレイス「SYCL by KEIO」を開業し、継続してコミュニティを育んできたり、下北沢を起点とした事業共創プログラムを実施したり、街に新たな“働く”という文脈を作るチャレンジをしてきました。その結果、今では下北沢にオフィスを構える企業が増えました。
実は東京本社を2020年に中目黒から下北沢に移転したのも、こうした取り組みの一環でもあるのです。
このほか東京都が主催する、離島の魅力向上や地域課題の解決を目指す「Tokyo Islandhood」プログラムに運営パートナーとして参画していたり、島根県・隠岐諸島の県立高校の視聴覚室を生徒主導でリニューアルするプロジェクトをサポートしたりと、さまざまな地域でのプロジェクトにも取り組んでいます。
ヒトカラメディアの社員
Q.ヒトカラメディアで活躍している社員の共通点はありますか。
ヒトカラメディアでは常時150~200件ものプロジェクトが同時進行しています。しかも対象領域が幅広いことは先ほども説明した通りです。プロジェクトには決まった型がないし、顧客や関係者の顔ぶれによって提供すべきものも違ってくるため、かなり難易度の高い仕事になります。それでも「このプロジェクト難しそうだけどやってみます!」と前向きに面白がり、難易度の高さにむしろワクワクするような人が活躍しています。
難しいプロジェクトに挑戦する現場のメンバーの力をうまくまとめ上げられる人も活躍しています。幅広い領域を手掛け職種もさまざまで、各方面のプロフエッショナルがチームとして力を合わせて成し遂げるプロジェクトですから、チームメンバーの得意、不得意を理解しメンバーを動かせる人。つまりプロジェクトマネージャー志向の人にも活躍の場がたくさんあります。
もちろんクライアントに寄り添いながらプロとして結果を追求しコミットできる人であることは活躍の大前提です。
Q.そう聞くとスゴイ人たちが集まっているのだと感じます。
新卒メンバーにおいてはもちろん最初から専門領域のスキルを求めているわけではありませんが、良い意味でお客様扱いはせず入社1年目から大切な戦力として扱い、実際の仕事を通じて1人前になってもらいます。ヒトカラメディアでは手取り足取りじっくりと時間をかけた指導や手厚い社外研修は用意していませんが、各領域におけるプロフェッショナルなメンバーが集っているので、新卒・中途問わずたくさん学んで成長できる環境があります。
「月1キックオフ」という制度では毎月月初にオフィスで全メンバーが集まり、全社に関する売上等の数値面の情報共有を図るほか、各事業部からそれぞれが取り組んでいる案件が発表されます。
事業領域が多岐にわたるヒトカラメディアですが、こうして月に1回お互いの動きをキャッチアップする機会を設けることで、他部署の案件からヒントを得たり相談するきっかけを用意しています。部署横断型の案件が多い分日々の小さな交流も大切にしています。
このような環境と社風があるのを前提として、先ほど説明したようなSlackの各種チャンネルなど社内コミュニケーションツールが用意されています。ですから新人メンバーが課題に直面したときに、いずれかのチャンネルに投稿するとすぐに専門知識を持った先輩がヒントを与えてくれたり、同じ課題感を持つ他部署のメンバーが共感してくれます。それが課題解決につながったりモチベーションを刺激してくれることで個人の成長を支えています。
Q.なるほど、新人メンバーを全員でサポートする体制と社風があるわけですね。
それから社員の成長を促す要因の一つとして、チャレンジに対する許容度が高い点も挙げられます。たとえば「会社のルールを見直すPJ」「月1開催の全社会を改善していくためのPJ」「新卒採用PJ」など社内向けのプロジェクトが多数存在していますが、いずれも挙手制で自由に参加できボトムアップでプロジェクトが進められています。
実際に「会社のルールを見直すPJ」でルールを変更したケースがあります。それまで社員が週1でSlackの「#nippou」チャンネルに仕事や日々の出来事を投稿するルールでしたが、メンバーによって投稿内容にばらつきがあるのが課題でした。
そこでチャンネル名を「#自由帳」に変えタスク感を軽減させて自由に投稿できるイメージを与えることで、チャンネルがより有効に機能するようになりました。
また、誰かの「やってみたい」を面白がる社員ばかりで、巻き込むことも巻き込まれることもハードルが低いですね。そんな社風が根付いているのもヒトカラメディアの良い点。自分から手を挙げる人が多いし、手を挙げた人に乗っかる人も多いのが特徴です。誰でも自分が出発点になって、いろいろなことに挑戦できる。だからメンバー全員が積極的に手を挙げるわけです。言ってみれば「ちょうど良いおせっかい」の集まりってことですね。
もう一つ特徴としてお伝えしたいのが、お互いの活躍を称賛し合う文化があること。3カ月に1回開催する「MVM」、モスト・バリュアブル・メンバーでは、KPIなどに依らずヒトカラメディアのメンバーとして、社内外に良い影響を与えた人物を表彰しています。それも会社が選定するのではなくメンバー間の投票で受賞者を決めています。
ヒトカラメディアが求める人物像と採用面接
Q.ヒトカラメディアが求める人物像を教えてください。
会社全体として共通するのは、ベンチャーマインドが旺盛で、自ら道を切り拓くモチベーションが高い人です。結果的に入社後も常に自分の専門分野における学びを深め、オモシロイことを生み出そうと自ら進んで勉強する姿勢がある人が集まっています。反対に大手志向で受動的思考が強い人は採用が難しい傾向にあります。
また、ヒトカラメディアは事業領域が広いため担当事業や部署によってチームカラーが異なり、求められる人物像も少しずつ違います。全部で8つの部署・室がありますので、いくつかピックアップして説明します。
オフィス仲介を手掛ける「企画営業部」は、オフィス移転を検討する企業の経営者に寄り添い、ときには事業計画や採用計画などをふまえて最適なオフィスを提案する部署です。内装を手掛ける「プランニング事業部」と一緒に提案することや、オフィスビルの商品企画やリーシングを手掛ける「オフィスマネジメント事業部」と連携して移転支援をおこなうケースもあるので、チームプレーは重要です。それでも他部署と比べると個人プレーも得意なメンバーが多い印象です。
「プロジェクトデザイン事業部」は、コミュニティ醸成や事業共創プログラムの開発などを手掛けています。地方の課題解決や未来のまちづくりなど、「場」づくりを考えることが多い部署ですね。ですから想像力が豊かで妄想が得意、そのうえで社会課題に真剣に向き合えるメンバーが多いです。
Q.せっかく入社しても実際の仕事とのギャップを感じる人は、どこにも必ずいると思います。どんな人がギャップに悩むのでしょうか。
やりたいことが決まりすぎている人や、食わず嫌いな人はギャップを感じやすいと思います。たとえば「まちづくりをやりたい」と思って入社しても、最初の仕事は「オフィス仲介」というケースもありえます。でもこれは無駄な経験にはなりません。
「オフィス仲介」での経験や知見が、後のまちづくりに生かされることが十分想定されるからです。そういった未来を見すえ、会社として熟慮のうえで配属先を決めているわけです。そこに気がつけずモチベーションを保てない人はギャップを感じてしまうでしょう。
新卒は総合職として採用しているので基本的に配属先は選べませんが、面談を通してなるべく本人の意向に沿った形で決定するようにしています。実際、文学部卒で図面を引いた経験のない新卒メンバーが、空間デザインの仕事を希望しプランニング事業部に配属されるケースもありました。
会社としては本人の希望を考慮したうえで、成長に最も適した仕事内容と役割を検討し、会社が必要としている人的資源の状況をすり合わせつつ、本人にとって最適な仕事内容とポジションに就けるので、それを信じて仕事に取り組んでほしいと思います。
ヒトカラメディアが手掛ける「まちづくり」や「内装・デザイン」の仕事は、社会的な注目度が高かったり、華やかでキラキラしたイメージを持たれがちですが、そうした側面だけではありません。先ほど説明した通り、常時150~200件ものプロジェクトが動くなか、実際は多くの関係者への連絡や調整といった泥臭い仕事も多く、偏った角度からしか見ていないと実際の仕事とのズレを感じてしまうかもしれません。
Q.採用面接への心構えや準備について教えてください。
もちろん、あらかじめ会社について調べて理解を深めてもらえれば理想的ですが、その点は重視していません。就活生が企業サイトやネットから得られる情報には限りがあるからです。選考過程で経験する会社説明会や面接を通じてヒトカラメディアについての理解を深めてくれれば大丈夫です。
準備しておいてほしいのは、事前の情報収集よりも自己理解。自己分析をきちんと済ませておいてください。自分の希望やWILLをかなえるには、どういう会社が良いのかイメージする。自分がやりたいことと会社での仕事をどう重ねていきたいのか考える。そんな作業を済ませておいてほしいと思います。
仕事をするということは、会社の場で自分が成長するだけでなく、仕事を通じて社会に貢献することでもあります。その2つをふまえ、自分の未来を会社選びと社会貢献の2軸で考えてほしいですね。どういう会社環境なら自分が思い描く未来を実現できそうか。自分はどういう形で社会貢献をしたいのか。そこを自己分析としてじっくり考えておいてください。
面接では、その考えを正直に率直に伝えてほしいです。そうすれば私たちも本人の期待に会社として応えられるのかを真剣に判断しますし、入社後に一番良い成長曲線を描けるように本人と一緒に考えることができるからです。
中村 雅俊さん(組織戦略室 責任者)
Masatoshi Nakamura・大学卒業後、積水ハウス入社。リクルートに転職後は新卒・中途採用、組織開発の法人営業や人事を担当。その後、プライム上場のスタートアップ等を経てヒトカラメディアに入社。2024年7月に組織戦略室を設立し、以降現職
企業詳細:コーポレートサイト