政府が公務員の定年を65歳に延長検討中|生涯賃金が4000万円ほど上積みされる計算に
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そもそも何歳で定年なのか
企業が何歳まで労働者を雇うかは企業の就業規則によって定められています。その一方で「高齢者の雇用の安定等に関する法律」が成立したことにより、今現在日本の会社は「定年の廃止」「定年年齢の65歳以上への引き上げ」「再雇用制度導入」のいずれかの方法により、社員を65歳まで雇うことが義務付けられました。
あわせて公務員の定年も引き上げようと検討が加えられています。定年とは時代とともに変遷を続けてきています。今日では、少子高齢化に伴う労働力の確保や、平均年齢の上昇に伴なって定年の引き上げが検討されています。
公務員を目指す場合の志望動機の書き方について、知りたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。
一般的な企業の定年は65歳に引き上げられた
これまで日本の一般企業の定年は60歳が主流でした。しかし、今では厚生年金の支給が65歳から始まることになったため、60歳で定年退職しても、5年間の年金受給不可期間があります。
その対策として、政府の「平均寿命が伸びたこともあり、働けるうちは働いてもらおう」という意図から、2004年に高齢者雇用安定法が改正され、65歳まで定年が引き上げられる、もしくは雇用継続がされるようになりました。
この改正により、2017年現在では企業のほぼ全てにおいて60歳一区切りの契約制度が組み込まています。企業側では法律施行による人件費の確保や、制度の改定が急務となっており、企業は対応に追われています。これからも医療の発達により平均寿命が伸びることがあれば、それに伴う定年の引き上げも行われる可能性があります。
国家公務員と地方公務員はどちらも60歳が定年
2017年11月現在、日本における公務員の定年は国家公務員、地方公務員共に各々の公務員法において「原則60歳」と定められているのです。かつては公務員に定年制度は存在せず、「肩たたき」と呼ばれる勧奨退職が進められていました。
それが時代の流れとともに企業での定年制導入が始まり、国家においても「新陳代謝を高め、若い優秀な労働力を取り入れる」という観点から昭和56年の国家公務員法改正に続き、地方公務員も併せて「原則60歳」の定年制度が施行されました。
その一方で、公営の診療所に勤務する医師や、労務作業員等の特別に認められた職種や補充困難な職種に関しては別に定められており、特例として60歳以上でも働くことは可能です。
定年後に再就職する公務員は多い
一部役職の高い公務員や、自衛隊員などの過酷な訓練などが必要で若年定年制を取る職業を除き、公務員の定年は60歳が中心になっています。民間企業では年金受け取りが後ろにずれている昨今の傾向や、団塊世代の集団退職に備えるために65歳まで定年延長が進んでおり、公務員もこの形に倣うように様々な見直しが進んでいます。
60歳定年後の約半数の公務員が再就職している
60歳で定年後の、実に50%以上の公務員が再就職している現実もあります。60歳で定年後に5年ほど年金などが受け取れず、無給期間がある事も問題化しています。公務員は原則として副業が出来ず、業務への専念義務もある事も大きく、サイドビジネスなどで収入を増やすと言った選択肢がとり辛く、この事も定年延長に影響しています。
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公務員の定年を65歳に延長することを検討中
公務員が再就職をする目的は、「公的年金受給年齢の引き上げ」が大きく関係しています。公務員は定年退職した後、収入がなくなるため、その後の生活は公的年金に頼らざるを得なくなりますが、その公的年金の受給年齢が段階的に引き上げられた現在では65歳からとなっています。
その結果、60歳で定年を迎えた公務員は年金受給までの5年間を無収入で過ごすことになってしまいます。政府はこの無収入の5年間を接続するために、公務員の定年を65歳に引き上げる検討を国会に提出し、2019年度から順次65歳まで引き上げ予定となっています。
少子高齢化社会の中で労働人口を増やす狙いがある
少子高齢化が予想を上回る速度で進行している日本では、労働力が減少するのは目に見えており、これまで日本の機能を支えてきた労働力が今以上に減少すれば、国家機能すら危ぶまれる状況になります。そのため、これまでの国家機能を維持するためには労働力の確保が国家にとって急務です。
そこで、定年を65歳まで引き上げることで、減少の一途をたどる労働力に歯止めをかけようとしています。これまで日本を支えてきた労働力は国家にとっても大きな財産であり、医療の発達に伴う平均寿命の延長により、「元気に働けるうちは働いてもらおう」という政府の考えの現れでもあります。そうすることで、これまでの労働力を確保しつつ、新しい若い労働力を確保することで国家機能の保全を目的としています。
公務員の定年延長はあくまで検討段階なのもポイント
公務員の定年延長がすぐさま実施されないのは、公務員の給与体系にも大きくかかわってきます。公務員の給料は民間企業の情勢などを鑑みて変更することが決められています。そのため、定年延長後の給料の計算や統計に時間がかかっており、導入が遅れているのが原因の一つになっています。
費用負担ばかり大きく慎重な対応が求められる
また、急激に定年延長を進めた場合、民間だけでなく、公務員の中からも反対の声が上がる事が予測されており、慎重な導入が求められているのです。そのため、段階的な導入を目指して、各種法律の改正などが検討されているのです。行政サービスの質や、拡充と両立しながら定年を延長させられるかも重要で、費用負担ばかり大きくならないよう慎重な対応が求められているのです。
公務員の定年延長は再任用の形で再雇用が進んでいる
システムとしての公務員の定年延長は無いのが実情ですが、一方で再任用と言う形での再雇用は進んでいます。これはフルタイムや時間限定のパートタイムを問わずに年々人数が増えており、モデルケースとしてのデータ収集の側面も持っています。国家公務員の再任用のデータは公表されており、誰でも見れるようになっていますが、この中でも短時間での再任用率が非常に高い事がわかります。
ただし労働時間・賃金の差が発生している
一方で、民間企業に転職した際は圧倒的にフルタイムでの仕事が多くなっており、労働時間や賃金の差が発生しているのも事実なのです。公務員間でも格差が存在するため、それを埋めるための改革として、定年延長が検討されているとの見る事もできるのです。
政府は「65歳完全定年制」を導入検討中
政府は、公務員の定年を65歳に引き上げることを検討しています。「65歳完全定年制」を導入するために、国家公務員法の改正案を早ければ来年の国会に提出するようです。改正案が成立すれば、2019年から公務員の定年は段階的に延長されるでしょう。
現在の国家公務員の定年は、国家公務員法第81条の2第2項により原則60歳となっているようです。地方公務員の定年は、国家公務員の制度に準じて規定されます。公務員の定年を突然65歳にするのではなく、段階的に引き上げる理由として【年金受給の空白期間がでてくるのを防ぐ】ことが挙げられるでしょう。
定年を引き上げる案に対し、「人件費が膨らむのではないか」「財源はどうするのか」といった意見もあるようです。
公務員の定年延長は検討中であり段階的に導入が行われる可能性が高い
公務員の定年延長は検討段階であり、段階的な導入を目指して法改正などを意識した調査や報告書の提出が進んでいます。導入時期こそ不明なものの、段階的な導入が行われる可能性は高く、実際公務員になる人にはプラスになる可能性も多いものです。一方で民間から厳しい視線も注がれているため、賃金面などで公平な改革が進むことが望まれているのです。
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