【公務員試験の作文対策】原稿用紙の使い方と内容の評価ポイント

公務員試験では作文対策が必要

公務員の試験には大きく分けて専門科目、教養科目、作文、面接などの科目が存在します。基本的には専門科目や教養科目の筆記試験を突破することが第一の関門になりますので、公務員の試験を受ける場合はこういったところから対策するのが一般的となっております。

その後、作文の対策に入るため、準備不足の人が多いのです。作文のテーマは当日わかることが多いですが、作文の基本的なルールや公務員試験における作文の評価ポイントなどを知っておく必要があります。当日になって焦ることのないように、しっかりと対策しておきましょう。

公務員試験の年齢制限について、知りたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。

文字数は600~1,200文字程度

公務員試験で作文を書く場合、文字数を指定されるケースがほとんどです。よくある文字数が、600~1,200文字程度です。400字詰め原稿用紙に換算すると、1,200文字の場合は3枚分になります。文字数が多い作文を書く際は、事前にきちんと構成練っておくことが大切です。

見切り発車で書き始めてしまうと内容が薄くなり、修正するのも難しくなってしまいます。ある程度書きたい内容を決めておき、徐々に肉付けさせていくイメージで書くと充実した内容の文章がかけるでしょう。文字数を満たしていても中身がないと意味がないため、書き始める前に全体の流れを想定しておくことが大切です。

制限時間は50~90分程度

作文は制限時間が設けられているのが一般的であり、50~90分程度のケースが多いです。制限時間が決められている場合は、時間配分を自分なりに決めておく必要があります。90分で1,200文字の作文を書かなければいけない場合は、原稿用紙1枚につき30分の時間がかけられます。

しかし、30分すべてを作文の執筆に充てるのはおすすめしません。作文の執筆だけでなく、見直しの時間も必要です。作文を書き終えた後で見直しをすると、途中で修正点を見つけた場合に後の文章がすべてずれてしまいます。できれば、原稿用紙1枚を書き終えたところで見直しをするのがおすすめです。そうすることで、ずれを最小限におさえることができます。文章の流れも確認しつつ、次の原稿用紙に進みましょう。

内容は自分の経験や希望する職への考え方など

公務員の作文で書く内容としては、自分の経験や希望する職への考え方があげられます。例えば「失敗から学んだこと」や「仲間と協力したことで印象に残っていること」などは、自分の経験が生きてくるテーマです。過去の経験談は、その人の人間性をわかりやすくあらわします。実際に考えたことや行動したことについて、具体的に書く必要があります。

アピールしたい強みがあれば、それに関連するエピソードを選ぶことがおすすめです。作文は自己PRのひとつの手段であるため、積極的に自分のよさを売り込む必要があります。また、職への考え方については公務員がどのような存在なのかを念頭に考えることが大切です。利益を求める一般の企業と何が違うのか、どのように成長していきたいのかなどを交えるといいでしょう。

公務員試験の作文の書き方

評価のポイントについてご紹介してきましたが、ここからは実際に書き方についてみていきます。書き方のポイントとしては「序論・本論・結論の構成を考える」「下書きをして文章全体の流れを見直す」「ニュース等で日々アンテナを張っておく事も大切」ということがあげられます。作文を書く練習をしているけどなかなか書き進められないという人は、ぜひ参考にしてください。

序論・本論・結論の構成を考える

作文を書く際は、序論・本論・結論の構成を考える必要があります。文章の構成は、作文が評価される大きなポイントです。全体の構成を整えることで、読みやすくなります。まずは、序論で提示されたテーマに対して最も伝えたいことを書いてください。テーマの意図を考えた上で、何を伝えるべきか考えることが大切です。

次に本論に入り、テーマに対する根拠や具体例を述べます。ここでは説得力を持たせるために、「なぜ」「どのように」などの要素を盛り込みます。最後に結論です。結論では、再度序論で述べたことを書きます。そして、今後のビジョンなどがあれば結論として書いてください。このように序論・本論・結論の流れを作ることで、スムーズに読める文章を作成しましょう。

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下書きをして文章全体の流れを見直す

書き方のポイントとしては、作文を書き始める前に下書きをすることも大切な作業です。いきなり書き始めると順序がバラバラになってしまいがちなので、一度流れを見直す必要があります。作文用紙に、上記でご紹介した序論・本論・結論を箇条書きにして書き込むのがおすすめです。

だいたいの位置にそれぞれの内容を箇条書きしてもいいですし、最後に使用する作文用紙に書いておいてもいいでしょう。最初に下書きをしておくことで、制限時間があっても焦らずに文章を作成できます。焦ると文字が雑になったり誤字脱字が生じたりするので、落ち着いて書き進めることが大切です。

ニュース等で日々アンテナを張っておくことも大切

公務員試験の作文で提示されるテーマには、知識が必要とされるものも多くあります。例えば「私が考える行政サービス」「おもてなしの向上についての考え」「最近のニュースで感じたこと」などです。行政サービスの作文については、現在おこなわれている行政サービスの知識を踏まえた上で、自分なりに新たな内容を考える必要があります。

おもてなしの向上がテーマの作文については、おもてなしに対する考えを述べる必要があるため、そもそもおもてなしとは何なのかを明確にする必要があるのです。ニュースで感じたことを述べる作文を書くには、日頃からニュースや新聞で世の中の動きに興味関心を持っておく必要があります。どのようなテーマが提示されてもいいように、積極的に情報収集をおこないましょう。

公務員試験の作文の評価ポイント3つ【基本編】

公務員試験で作文を執筆する際は、どのような点を評価されるのでしょうか。評価のポイントをおさえておくことで、採用担当者が求める基準を満たすことができます。評価のポイントは「原稿用紙の使い方や原稿の文章の量」「誤字脱字の有無や文字の丁寧さ」「語彙力の豊富さ」の3つです。作文に目を通す採用担当者が、スムーズに読み進められるような文章を心掛ける必要があります。では、詳しくみていきましょう。

①原稿用紙の使い方や原稿の文章の量

原稿用紙の使い方

・題名は2~3マス空けて書く
・名前の下は1~2マス空ける
・苗字と名前の間は1マス空ける
・段落の初めは一マス空ける
・句読点は1マスに1つ書く
・会話文の書き始めは行を変える

作文を書く上で欠かせないのが、原稿用紙の使い方や文章量です。文字数が少ないと、熱意がないと判断される可能性が高いです。どんなに難しいテーマでも、指定文字数の8~9割は満たしてください。原稿用紙の使い方は一般常識が問われる部分でもあるため、正しく使う必要があります。基本ルールとしては、上記のような例があげられます。最低限知っておきたいルールなので、ミスのないように気を付けましょう。

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②誤字や脱字の有無や文字の丁寧さ

評価基準には、誤字脱字の有無や文字の丁寧さも含められています。誤字脱字があると、学力面でマイナスの評価を与えてしまいます。正解を知っていて間違えた場合にも、注意力がないと思われてしまうのです。志望する自治体の地名や事業などに触れる際は、特に誤字脱字に注意する必要があります。

また、文字の丁寧さについてもよく見られています。雑に書かれている作文は見る気が失せてしまい、内容をきちんと読まれない可能性が高いです。自分ではない他人が読むということを念頭に置き、丁寧に書き進める必要があります。丁寧に書かれている作文はそれだけ思いが込められているように見え、志望意欲を感じさせることもあるのです。

③語彙力の豊富さ

「頑張る」の類語

・努力する
・奮闘する
・全力を尽くす
・精を出す
・精進する
・力を注ぐ

作文を書く上で身に付けておきたいのが、語彙力です。語彙力とは、どれだけ多くの単語を知っているかということです。例えば、「頑張る」という言葉ひとつとっても多くの類語があります。上記が一覧です。作文の中で「頑張る」という表現を使用する場合は、シーンに合わせて言葉を言い換えるのがおすすめです。

最も頑張ったというところでは「全力を尽くした」と書くことで、思い残すことはないくらい全力を出し切ったという状態を伝えることができます。同じ単語ばかり使うと文章が単調になるため、変化をつける意味でもぜひ取り入れてみてください。

①正確にテーマが捉えられているか

公務員試験では作文のテーマを与えられるケースが多いですが、正しくテーマをとらえることが大切です。テーマがわかったら、採用担当者が何を知ろうとしているのかを考える必要があります。多くの場合、就活生の個性や社会問題に対する考えを知ろうとするものが多いです。

個性を知りたいという意図のあるテーマが出題された際に、自分以外の人の話を長々と書くのはふさわしくありません。そこに自分の考えや行動が加わればいいのですが、多くの場合好まれないと言えます。テーマの意味を慎重に考え、明確な答えが出る文章を作成することが大切です。

②内容は一貫しているか

作文全体で、内容が一貫されているかも重要なポイントです。途中で急に話が変わっていたり、主張が変わったりしてしまうと読み手が混乱してしまいます。与えられたテーマから軸がずれないように書くことも大切ですが、自分の主張を曲げないということも忘れてはいけません。

主張がコロコロ変わると、採用担当者はどれが本当の考えなのかわからなくなってしまいます。結果的に人物像がつかめずに、印象が薄くなるのです。作文は自分の存在をアピールする方法であるため、一貫した主張を持って印象付ける必要があります。採用担当者の記憶に残る作文を書きましょう。

③自分の主張を明確に述べているか

上記で主張を一貫することが大切と紹介しましたが、ただ主張を述べるだけでは不十分です。主張は明確に述べる必要があります。簡単に言うと、説得力が必要ということです。意見を主張しても、内容が薄かったり信ぴょう性がなかったりすると説得力がありません。相手が納得する主張をするには、具体性やそれがなぜかという理由が大切なのです。

例えば「私は思いやりがある」とだけ主張しても何も伝わりません。思いやりがあると感じる理由について述べたり、思いやりを発揮したエピソードを交えたりする必要があります。これらの情報を書くことで、採用担当者に思いやりがあることが伝わり納得させられるのです。エピソードを書く際は、その出来事が起こった背景などを具体的に書きましょう。

公務員試験の作文例

ここまで、公務員試験の作文のポイントについて説明してきました。ここからは、公務員試験の作文例を紹介していきます。書き方の説明を読むだけではなかなかイメージがわかなかった人も、より本番のイメージが湧くのではないでしょうか。

ここから紹介していくのはあくまで例に過ぎません。これらの例文を読んで作文のイメージを掴んだ後は、自分自身で過去問など、さまざまなテーマで実際に書いてみるとよいでしょう。

例文①

テーマ:理想の松原市役所職員のあり方とは

【序論】

私が考える松原市役所職員の理想のあり方とは、以下の二つの条件を満たしていることである。一つ目は「あらゆる層の市民への思いやりを持っていること」、二つ目は「職務遂行への努力を怠らないこと」である。
松原市役所職員には、松原市民が豊かな生活を送ることができるよう、窓口業務や産業振興、防災や防犯、福祉や教育、文化活動振興など、幅広い業務をおこなうことが求められる。これらの業務をおこない、市民の豊かな生活に貢献するためには、上述の二つが特に必要だと考える。

この例文のテーマは、「理想の松原市役所職員のあり方とは」です。具体的な問題について考えるわけではなく、自分が考える職員の理想像が求められています。このような場合には、「自分が考える理想的な職員の条件」を示し、「そのように考える根拠」を説明するのが良いでしょう。序論では「自分が考える理想的な職員の条件」を提示しています。

例文②

【本論】

まず一つ目の「あらゆる層の市民への思いやりを持っていること」であるが、先述の通り松原市役所職員に求められる業務は幅広く、そのどれもが最終的に市民の「誰か」につながているものである。現在、松原市では65歳以上の高齢者の割合が全人口の○○%を超えている。高齢化が急速に進んでいるため、福祉面など、高齢者の目線に立った貢献が今後より求められていくだろう。
しかし、高齢者だけではなく若い人たちが安心して子どもを育てていける環境を整えることも課題である。
「年齢」という切り口だけで考えてみても、赤ちゃんからお年寄りまで、あらゆる年齢層の市民に貢献していくことが求められている。質の高い貢献をするためには相手の目線に立つことが不可欠だが、思いやりがなければそれは不可能である。相手への思いやりがあって初めて、質の高い貢献や責任感、倫理観が生まれると考えている。
続いて二つ目の「職務遂行への努力を怠らないこと」であるが、いくら思いやりに溢れる職員であっても、職務遂行力がなければ相手を満足させることはできない。それどころか迷惑をかけてしまうこともあるだろう。
松原市役所職員の職務は幅が広く、数年で部署が変わることになっている。それぞれの部署で、常に求められる職務が全うできるよう、勉強やスキルアップにも貪欲に取り組むことが必要だと考える。

先ほどの序論を受けて、本論では、「なぜそう考えたのか」という部分を詳しく説明しています。前半では松原市の高齢化について言及されていますが、具体的なデータが用いられている点が好印象です。このようにデータが示せていると、実際に興味を持って調べていることが採用側に伝わるでしょう。

例文③

【結論】

以上より、私は「理想の松原市役所職員のあり方」について、「あらゆる層の市民への思いやりを持っていること」「職務遂行への努力を怠らないこと」の二つを満たしていることだと考える。
私は小さい頃に祖父母にたくさん可愛がられて育ち、お年寄りとのコミュニケーションが大好きである。しかし、お年寄りや自分と年齢の近い人以外と関わる機会は現状ではそう多くはない。これから松原市役所職員として仕事をしていくにあたり、より多くの市民とふれあう機会に積極的に参加していきたい。
また、職務遂行力を上げるため、新聞や雑誌・専門書を読む時間を毎日確保し、それ以外でも必要があれば知識やスキル取得のために積極的に時間を使っていきたい。これらを実践し、理想の松原市役所職員として活躍したいと考えている。

結論では、本論を受けて、再び「理想的な松原市役所職員の条件」についてまとめています。そして最後に、自分自身がそのような職員になるために実践したいことが挙げられています。求められる字数等にもよりますが、もし字数に余裕があれば、このように「自分はどのように取り組んでいきたいか」を書くことで熱意をアピールするのも良いでしょう。

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公務員試験の作文は基本ルールをおさえよう!

公務員試験の作文でいい結果を出すためには、基本ルールを守ることが欠かせません。原稿用紙の使い方や文字の量のほかにも、誤字脱字に注意して丁寧に書くことが大切です。内容面では、提示されたテーマを正確に捉えて内容を一貫させる必要があります。

自分の主張を明確にし、全体を通して貫くことが大切です。序論・本論・結論を意識した文章構成で、説得力のある文章を書きましょう。作文を書く前に、一度下書きをして流れを確認するのがおすすめです。文字数や時間が制限されていると焦ってしまうことがあるため、充実した作文を書くためにも書き始める前に文章の流れを考えておいてください。

こちらの記事では、公務員試験にふさわしい服装を紹介しています。

監修者プロフィール

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吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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