企業探検隊
一口サイズの「笑顔の起点」を作り出すクリエイター集団|チロルチョコ
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誰もが知る国民的な一口おやつの「チロルチョコ」。60年以上もの間多くの人に愛されるブランドで、多様なパッケージデザインやフレーバーに惹かれて手に取る人も多いですよね。
チロルチョコは月に1~3種類もの新商品が発表されることもあり、これまでに発売されたフレーバーは500種類以上。一口サイズのチョコレートでありながら多彩なアイデアが生まれる現場には、社員同士の交流が盛んで周囲を徹底的に思いやるホスピタリティあふれた雰囲気があります。お互いの笑顔があってこそ、誰からも愛される製品が生まれる。そのポリシーを大切に、一人ひとりが切磋琢磨し実力を十分に発揮できる環境が整っています。
多くの人々の心をつかむアイデアは誰が、どのようにして生み出しているのでしょうか。チロルチョコで働く人が大切にする精神や、社内の雰囲気について、人事課の係長を務める飯塚さんに話を聞きました。
企業探検隊の発見|チロルチョコの社風
Q.チロルチョコの企業理念は「『あなた』を笑顔にする」ですが、企業理念にとどまらず、多くの場面で「あなた」というワードを大切にしていますよね。
「あなた」というキーワードは、全社員が日々意識しています。この理念は現在の4代目社長である松尾裕二が作ったもので、良い会社、良い商品、良い仕事は、「あなた」の笑顔の先にあるという考えがもととなっています。
社員の皆が笑顔で働くことができれば、おのずと良い商品ができる。そしてそれを口にしたお客様が笑顔になって、それがまた社員の笑顔につながる。その笑顔が連鎖して、社員の家族やお得意さまも笑顔になる。チロルチョコにかかわっている人すべてを「あなた」として、その全員を笑顔にするという理念を表しています。
私自身も中途採用で入社し5年ほど経っていますが、この「あなた」への思いが社内に浸透していることを日々感じますね。
Q.「あなた」には社員の皆さんもふくまれているということなのですね。
そうですね。なので社員同士も一人ひとりがホスピタリティを持ち、お互いが良い状態で仕事ができるように工夫をしています。
福利厚生制度の一つとして、昨年からスタートした「ワンチームサポート」という取り組みも、その一環です。社員同士のチームワークやコミュニケーションの向上を図るため、決起会やプロジェクトの打ち上げの分科会・会食を支援します。実際に多くの社員が活用してくれていて、コミュニケーションの活発さを改めて感じます。
あとは意識の共有や部署をまたいだ交流を目的とする「チロルサミット」を毎年開催していて、社員が一堂に会してイベントを楽しんだり、ときにはリモートでおこなったりしています。
Q.楽しそうですね! チロルサミットは毎年どれくらいの方が参加されるのですか?
基本的には社員全員が参加しています。毎年プロジェクトの担当者が選出されてイベントの内容を考えたり、司会進行をしてもらったり、社員皆で一つのイベントを作り上げる雰囲気がありますね。
内容もその年によってさまざまで、表彰をしたりゲームをしたり、司会者が番組っぽく司会進行をしてくれるテイストだったり──。とにかく社員の皆が仲良くなれるような催し物を考えてもらっています。
やはり実務上、各現場同士の社員がやりとりをすることが少なくなる場合もあるので、誰がどこで働いていて、どのような仲間がいるのかを知ってもらう場として活用しています。
企業探検隊の発見|チロルチョコで築けるキャリア
Q.チロルチョコと言えばチョコレートのデザインやフレーバーが豊富なのが印象的なのですが、やはりデザインや開発の部署は人気ですか?
開発部門は毎年希望者が多いですね。とくにフレーバーを作り上げる研究部門は人気があります。
ただし開発部門の採用人数は多くはなくて、基本的には少数精鋭です。そのため毎年新卒採用ができるわけではありません。
また本人の希望以外にも適性を見て配属する部署を決めているので、やはり理系の学生や食品についての知識がある人はフレーバーの研究に、デザインの知識がある人はパッケージデザインにといったように本人が持っている能力を基準として決める場合もあります。
Q.ということは、希望をかなえられない人もいるのでしょうか?
やはり全員の希望をすべてかなえるのは難しいですね。とはいえ、可能な限り本人が希望する部署で働くことができるようにはしています。そのほうが社員のモチベーションも上がりますし、企業としても理想の形だと思っているので。
内定を出した後は配属先の希望を最初に聞くようにしていますが、開発側を希望する人と営業側を希望する人とではやはり雰囲気に共通点があるように思いますね。開発は自己表現が個性的だったり、やりたいことに一本筋が通っている人が多い印象です。一方で営業はコミュニケーションが得意・好きだという人が多い印象なので、やはり「たくさんの人へ自分の手で商品の魅力を広めたい」と考える人が多いのかもしれません。
ただどうしても希望をすべて実現することができない場合があることをふまえ、最低限「これだけは絶対にやりたくない」ということは可能な限りかなえるようにしています。
社員としてその人の人生を預かる立場にあるということは常々意識していて、だからこそ本人の希望もしっかりと考慮しています。
Q.社員の人生を預かっている、という観点で見ると配属先は重要ですよね。適性などはどのように見ているのでしょうか?
入社後に3カ月間のOJT(実際に業務に携わりながら学びを深める学習方法)を実施していて、入社した社員には全部署を回ってもらっています。
部署は大きく分けるとセールス、デザイン、マーケティング、研究開発の4つに分かれていて、それぞれを体験しながら本人の希望を固めてもらう機会としています。実際に業務に携わることでイメージが変わったり、これまで知らなかった楽しさを見出せることもあるのではないでしょうか。配属先で働いている姿などを見て、企業としても適性を見極めていますね。
あとは採用の選考過程でも適性をある程度判断したり、希望を聞いたりということはしています。面接以外にも学生と社員がかかわる機会は多く設けていて、選考中はもちろん、内定承諾前にも社員との交流会を実施しています。内定が正式に決定してからも人事からのフォローアップはありますし、入社後にも研修制度があるので、入社いただける学生さんの不安をできるだけ払拭できるような仕組み作りをしていますね。
やはり選考時に聞きづらいことはあると思っていて、特に内定を承諾するまでに「最終的にどうしようか」というところは悩みやすいポイントでしょう。そういったときにミスマッチな選択をさせてしまわないよう、全部署の人と学生が交流する場を作り、ざっくばらんに話をしてもらっています。
なかには「この部署に行きたいのですが、どうすれば良いですか?」「選考ではセールス希望と言ったけど本当は開発も気になっていて、どう思いますか?」といった、意思決定においてはかなり重要になる部分も質問してくれる場合があります。もちろんしっかりお答えするので、そういった質問も大歓迎です。
Q.なるほど。しっかり適性を見てくれている安心感がありますね! ちなみに各部署でどのような人が適性があるのでしょうか?
チロルチョコを大きく分けると販売部門と開発部門の2つがあります。
販売部門ではベテランから新卒まで、幅広い層の社員が在籍しています。年齢や目指すキャリアに関係なく切磋琢磨し合っていますが、全員に共通するのは互いに情報交換をし、目標達成に向けて協力し合う姿勢。今月売れた商品、商品が売れやすい地域、評判など、日々活発に情報が行きかう環境です。こういった団結力が強いのは、販売部の特徴ですね。
開発部門では比較的若い20~30代がメインで構成されています。毎月のように新商品を発売しているため、常に新しいトレンドへの関心を持ってアンテナを貼っているメンバーが多いです。一方で一つの商品にとことん向き合う姿勢もあり、一人ひとりがそのバランス感覚を持って働いているのが特徴でしょう。
Q.配属された部署によって雰囲気が異なるのですね。ちなみに、配属後のフォローはどのようなものでしょうか?
チロルチョコの教育制度において大きな特徴の一つが、ブラザー制度。これは本配属後の1年間は一人の社員に対し一人の先輩社員がつき、指導する教育方針です。
この教育方針にはさまざまな利点がありますが、何よりもお互いが関係構築をし合いながら丁寧なフォローができるのが魅力です。実際にもともとの希望とは異なる営業職に配属された新卒の社員が、1年の教育を経て「今では営業に配属されて心から良かったと思える」と言ってくれたことがあり、とてもうれしかったのを今でも覚えています。
そのように言ってくれる人が一人でも増えるよう、これからも企業としてしっかりフォローアップしていきたいですね。
Q.その後はどのようなキャリアを積めるのですか?
定期的なジョブローテーションなどはないので、配属後はその部署で経験を積んでもらい、リーダーやプロジェクトリーダー、マネージャーとステップアップしてもらうキャリアが一般的です。
各部門が少数精鋭の環境で仕事をしているので、必然的に成長速度が速いのが特徴ですね。結果として社歴に関係なくいろいろな経験ができ、自分に合ったキャリアパスを描くことができる環境がそろっていると思います。
企業探検隊の発見|チロルチョコの採用基準
Q.チロルチョコでは、どのような人が求められるのでしょうか?
基本的にはチャレンジ精神があり、いろいろな情報をキャッチアップしながら自分の仕事に落とし込んでいける人が活躍しやすい環境かと思います。若手のうちからいろいろな経験を積める環境がそろっているので、どんどん学んでいける人は楽しく仕事ができるのではないでしょうか。
ただし最も大切にしているのは、自社製品である「チロルチョコ」への愛情。この部分は、全社員が共通して高い意識で持ってくれています。
チロルチョコで社員として働くということは、その人の人生の一部を私たちに預けてくれるということ。社員としても、好きでないものや共感できないものに人生のうち多くの時間を投じるのは健全ではありませんよね。だからこそ、前提としてチロルチョコのブランドが大好きな方、チョコレートが大好きな方でないとお互いに良い関係を築くことはできないと思っています。
チロルチョコの選考を受けてくれる学生さんのなかには高い学歴を持っている人もいますが、実際のところそういった部分はほとんど見ていません。一番に、チロルチョコという製品が好きかどうか。この点を見ています。
Q.ということは、選考対策をするうえでもチロルチョコへいかに愛情を持っているか、という点は重視されますか?
とても重視しています。少し意地悪な質問かもしれませんが、「最近発売した商品のなかで気になっているものはある?」といったことも聞いてしまうことがありますね(笑)ここでしっかり答えてくれると、本当に好きな気持ちが伝わってくるので。あとは、「X見てます」と言ってくれた学生がいたのも印象深いです。
入社への熱意を表す言葉一つをとっても「営業成績でトップになりたい」と言われるよりも「チロルチョコが好きで、営業として少しでも世の中に広めたい」といった志を持ってくれている人のほうが合っていると思います。
エントリーシートがしっかり書いてあること、面接での質問にも1聞けば10返ってくること。そういった、基本的ながら「好き」の気持ちを熱意を持って伝えてくれる人に大きな魅力を感じます。
最近は求人サイトでなく自社サイトで新卒採用をしているのですが、それも本当にチロルチョコが好きな人に入社してほしいと思ったからこそです。求人サイトは多くの学生が見ているので必然的にたくさんの応募が来ますが、それで「本当にこの会社に入りたい人」が見極められるのか、疑問に思う瞬間があったんですよね。それよりは、わざわざチロルチョコのサイトを訪れてくれて、そこから応募をしてくれる学生のほうが熱意を感じられますから。
Q.チロルチョコへの愛情を表現することが、選考対策をするうえでのカギになってきそうですね。最後に、チロルチョコへの入社を希望する学生へメッセージをお願いします。
これまでにもお話ししたとおり、チロルチョコという製品が本当に好きで、世の中に広めていきたい、魅力を知ってもらいたいという思いを持ってくださっている方は、ぜひ未来を預ける一社として考えていただけるとうれしいです。
チロルチョコはおかげさまでブランドの認知度は高くなりましたが、企業規模としては中小企業です。目の行き届かない部分、まだまだアナログな部分もありますが、そのような点も含めて楽しく、ともに成長していける方をお待ちしています。
飯塚 浩孝さん(管理部人事課係長)
Hirotaka Iizuka・佐賀県出身。新卒で大手SIerでの営業を経験し、デザイン会社へ転職後人事としてのキャリアがスタート。入退社や勤怠管理、社会保険手続き業務を経験しながら、中途採用・新卒採用も担当。その後のキャリアとして福利厚生制度や賃金制度、社内制度改変を担当して、2020年6月から現職のチロルチョコへ入社。以降現職
企業詳細:コーポレートサイト