キャリア講義

自ら考え行動する「自走できる人材」こそ輝いていける|目標と計画立てから理想の自分を描いていこう

高橋2

髙橋 佑熙さん(prezy・代表取締役)

Yuki Takahashi●1997年生まれ。大学在学中から長期インターンに取り組み、その後prezyを創業し、現職。地方の若者でも活躍できる機会を作りたいと、若者のキャリア支援の事業を中心に展開している

Q.1997年生まれ、現在24歳でprezyの代表を務めていらっしゃいますが、学生のうちはどのような学生生活を過ごされていたのですか?

早いうちから長期インターンに参加していましたね。だいたい1年生の9月頃からでしょうか。高校までは部活や勉強など、熱く取り組むものが目に見えてしっかりと有ると思うのですが、大学からは比較的自由な感じがしていて、何に熱意を注ぎ込めばいいのかがうまく見えず空白感を感じていました。それで、自分が熱中するものとして長期インターンを選択しました。

とはいえ私の住んでいる地域では長期インターンの募集もそもそも少なかったので、特に業界などは絞らずさまざまな企業に応募をしましたね。インキュベーションをおこなうベンチャー企業で、起業家やフリーランス向けのイベントやセミナーの企画をしたり、福祉系の企業で社会復帰を目指す人たちへの就職支援をおこなったりしていました。

Q.もともと起業したい思いはあったのでしょうか。

「起業」と決めていたわけではないですが、大学に入学したときから「将来的に自分で何かがやりたい」という思いはありました。でも、まさか大学生のうちに起業をするとは考えていなかったですね。

高校生のときから経営者である父親の影響で何となくビジネスに関心があり、大学進学の際に経済学部を選びました。そこから、長期インターンでの経験や大学の先輩で実際に起業をしている人がいたということもあり、「将来的にスキルや経験を積んでから」ではなく「今できるよな」と感じて事業の立ち上げと起業を決意しましたね

Q.学生で起業することに対して、そのリスクを考えて不安になったりはならなかったのでしょうか。

まったく考えていなかったですね。そもそも日本は起業に失敗しただけで簡単に死ぬような国ではないですし(笑)。

起業も、以前は会社を起こすのに1,000万円ほどの資金が必要でしたが今は特にお金もかからず起業ができます。資金だけでなく、昔に比べて起業に必要なものは少なくなっているので、起業へのハードルが低くなっていますから

あとは当時はそこまで起業への意欲は高くなく、たとえば「この事業で世界を変えたい!」などという高い夢や目標があったわけではありませんでした。仮に失敗したとしても、その時点で就活なり転職活動なりをすればいいと思っていたのもあって、リスクに対し不安になったりはなかったですね。

Q.過度に不安を感じないその姿勢はぜひ見習いたいですね。

誰しも「失敗したら不安だな……。」と考えてしまうと思うのですが、このような漠然とした失敗だからこそ不安になってしまうものだと思います。

そうではなくて、何がリスクでどれが失敗にあたるかをできるだけ具体的に洗い出しておけば、たとえばそれを避けるための策を事前に講じたり、それ以外のアクションをすればいいわけですから

目先の「やりたいこと」にこだわりすぎない!

Q.ちなみに、「就活をやめたい」と感じた時に、起業を選択肢に入れるのはアリだと思いますか?

私はアリだと思います。やりたくないことを無理に続ける必要はないので、やめたくなったらやめてもいいのではないでしょうか。でも、「じゃあ起業するか」よりは「あとは起業するしかない」というように、せざるを得ない状況を作らなければうまくはいかないと思います。人の意志は意外と弱いと思っているので、退路は絶つべきですね。

本当に起業するとなったら、積極的に周りの人とかかわって情報を得ると良いです。資金はどうしよう、会計のスキルが必要なのかな、などいろいろ考えてしまうと思いますが、とりあえずは同じような学生起業家のコミュニティに参加したり、SNSで接触したりと情報を得ましょう。そうすることで必要なものが見えてくると思いますよ。

もし時間がかかりそうなら、休学してしまうのもOKだと思います。私自身も休学はしていますし。それくらいの軽さで考えたほうが楽に臨めるのではないでしょうか。

Q.では逆に就活をする学生が企業選びをするうえで大切にすべき視点はどこだと思いますか?

初めは自分の「やりたいこと」や「興味のあること」という視点で企業選びをすると思うのですが、それを正当化しすぎないほうがいいと思います。そもそもまだ仕事の経験がない中で「やりたいこと」は見つかるはずがありません。真に「やりたいこと」はそのうち見つかるものだと思っているので、現時点での興味ややりたいという気持ちだけで視野を狭めすぎないほうが良いと思っています

そのうえで、私自身企業選びの視点は「これから伸びそうだから」くらいでもいいと思っています。もっと詳しく言うと企業が取り組んでいる「市場」と「事業のフェーズ」を理解して、自分が活躍できそうな会社を選ぶといいですね。

Q.学生が就活をおこなううえでもっとも重要なことは何でしょうか。

業界研究や企業分析ももちろん重要ですが、実際の業務に取り組んだり何かスキルを勉強してみたり、経験やできることを増やすと良いと思います。

たとえば、長期インターンに参加してみたり何かプロジェクトを立ち上げてみたり行動に移すことがとても重要です。

もしそのような経験がないにもかかわらずすでに就活が始まっているという人は、おそらく焦っていることでしょう。しかしそのような場合でも今からでも行動するしかないと思います。私が運営するプログラミングスクールでもそのような背景で参加されている学生も多いです。とはいえもちろん時期にもよりますが、基本的には「今」から行動して遅いということはないはずです。

行動してみればガクチカのエピソードが生まれるだけでなく、できることも増えますし興味ややりたいことが見えてくるはずです。3日でも何かに打ち込めば何かが見えてくるはずですから、思い立った瞬間にぜひ取り組んでください。

目指す目標は自分で決め、それに向かって能動的に走っていこう

Q.今後活躍できる人材や需要が増すと思う人はどんな人でしょうか。

自走できる人材ではないでしょうか。つまり自分で目標を立てて行動を管理できる人です。

たとえば、塾に行かなくても勉強できる人がいますよね。こういった人は、自分の中で目標を決め、このように学習をすれば到達できるという計画立てがきちんとできているのだと思います。この状態が「自走力がある」といえます。

私も、運営しているプログラミングスクールでは自走できる人材の輩出を目指しています。会社に入れば誰かが常に教えてくれるわけではないですし、自分で成果を出し続けられる人が出世していくはずです。プログラミングなどのITスキルも常に新しくなりますから、その分常に自分で調べて勉強していく必要があるのです。

これからますますIT社会に変化していく中で、スキルがある人はもちろんですが、自分で目標を定めそれに向かって努力できる「自走力」を持っている人たちがより活躍していくと思います。

Q.ありがとうございます。では最後に今就活をがんばる就活生に向けてメッセージをお願いいたします。

私も就活をせずに起業していますし、副業や転職など、今はキャリアの選択肢が非常に幅広くあります。生涯ひとつの会社にいることが普通ではなくなってきましたから、今の段階で人生をかけてやりたいことはなくていいです。むしろやっていく中で見つかるものだと思っています。それに向けて、ぜひ目の前のことを全力で取り組み頑張っていきましょう!

高橋1

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