キャリア講義
体育会系の強みと経験はキャリアを伸ばすエッセンス|自ら下した決断は自らで正解に変えろ
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伊地知 和義 さん(スポーツフィールド 取締役副社長)
Kazuyoshi Ijichi●学生時代はラグビーに打ち込む。新卒で体育会就職支援企業に入社。スポーツフィールドでは創業メンバーとして活動し、営業の統括として営業メンバーをまとめる
企業詳細:コーポレートサイト
Q.現在、体育会系の学生支援に取り組まれているとのことですが、伊地知さん自身も体育会系の学生だったのですか?
はい。大学4年間はすべてラグビーに捧げました。大学4年の12月まで言葉通りずっとラグビー漬け。それまで就活はほとんど出来ていなかったですね。時期は競技によると思いますが、運動部に所属している学生は、その部活動の方針によって就活ができないという学生が今も存在しているのではないでしょうか。
Q.そのままラグビー選手を目指さなかったのですね。
はい、ケガの影響もあって選手になるのはそこで断念しました。4年の12月から就活を始めましたが、その翌月には内定を頂いています。
内定を頂いた数社の中からどの企業に内定を承諾しようかと考えたときに、ふと思いました。どれも「受けられる会社」を受けただけで、特段私の「働きたい・やりたい会社」ではないなと。これから始まる社会人生活をそのような企業でスタートさせていいのかという迷いが生じ始めました。
ここで改めて自分のやりたいことを考え直してみた結果、「自分と同じような体育会系の学生の就活を支援したい」と思い至ったのです。そこからの就活はなかなか力技でしたね。
頂いていた内定はすべてお断りしました。行きたい企業は見つけたのですが、そこが新卒採用をやっていなかったのです。インターンとして入社し、働きが良ければ採用という条件だったので、それはもう頑張りました。その結果、努力を評価してもらい、卒業間際の3月に無事内定を頂けたというわけです。
体育会系での経験を活かして築いたキャリア。体育会系だからこその強みは社会で活かせる
Q.そんな体育会出身の伊地知さんだからこそ思う、体育会系の学生の強みとは何でしょうか。
継続力や目標達成力だと思います。スポーツでは、誰しもが壁にぶつかります。また、そもそも大学でスポーツに励む学生は、そのスポーツにおいて何かしらの目標を掲げてその大学に入学していることが多いはず。
壁を前にしても打ちのめされることなくトレーニングを続けて、自分の課題をクリアしたり大会で勝てたりと、その壁を乗り越えてチームの目標や、当初掲げた自分の目標を達成していきます。
つまり、体育会系の学生は目標に向けて頑張れる資質を持ち合わせており、なおかつその目標を達成する力も高いということです。
Q.たしかに、それは体育会系の学生ならではの強みといえますね。
そうですよね。でも、意外と体育会系の学生はそれに気づけていないことが多いように感じています。
というのも、壁を越えるために努力を重ねることは、これまで切磋琢磨してきた仲間も同じこと。かつスポーツとは勝敗などで優劣が明確に表れる世界です。仮に敗戦が多かった人であれば、自分にはその努力が足りていないのだと思いがちではないでしょうか。
だから、自分のその能力が強みであると、すごいことであると気づけていない体育会系の学生が多いのです。
Q.ちなみに、それは社会・企業においても活きるものですか?
もちろんです。企業にもそれぞれ、達成したい目標がビジョンやミッションとして掲げられています。また取り組む仕事においても数多くの企業で、個人やチーム、部署に対して数値などの目標が課されるでしょう。
企業として、そして個人やチームとしての目標を達成するためにあきらめず努力することは社会において大前提であり、そしてそれは体育会系の学生がこれまで当たり前のようにやってきたこと。
入社後も目標に向かって努力をし、結果を出してくれるだろうと期待できます。だからこそ継続力や目標達成力という、体育会系の学生が持っている力が企業で活きるのです。
また体育会系の学生は自己犠牲精神も強い傾向にあり、それも企業に入ってから活きる強みとなり得ます。仲間のために・勝利のために努力を惜しまないその姿は、企業から求められやすいと思います。
自分の決断をやり抜けば、それが正解になる
Q.実際伊地知さんもその強みを活かしてこれまで走ってこられたのですよね。
そうですね。学生時代もこれまでのキャリアでも、壁には何度もぶつかりました。しかし、壁にぶつかっても乗り越えるということは学生時代にも幾度となくしてきたことですし、正直あの頃よりきついことなんてないですから(笑)。
あとは、体育会系の学生だからこそ仲間も多かったと思います。チームメンバーはもちろん先輩や後輩、OB、また対戦相手など、 さまざまな人とのつながりのおかげで社外にも仕事の悩みを相談しやすい環境があったから、それも頑張る活力になっていたと思います。
Q.では伊地知さんがここまでキャリアを積み重ねられた理由や、働くうえでの心構えなどについて詳しくお伺いしたいです。
やはり体育会系だったからでしょうか、負けず嫌いさは人一倍ありました。同じ会社の仲間はもちろん、今は別のところで頑張る当時のチームメイト含め「あいつには負けたくない!」という感情でここまで走ってきたと思います。あいつもこれだけ頑張ってるんだから、俺もそれ以上に頑張らなければ勝てないと思って仕事に臨んできました。
与えられた時間は全員平等です。だからこそ一歩抜きんでるためには与えられた以外の時間をどうするかが大事になると思っていました。そこで私は、積極的に人に会って学びを得るようにしました。
そもそもスポーツしかやってこなかった私です。自分以上に頭がよくスキルがある人はたくさんいましたから、追いつくためには時間でカバーするしかなかったのです。
思い返せばそれは学生時代のラグビーでも同じでした。周りの選手に比べて体格の小さかった私がほかの人に追いつくためには、人と同じことをやってもダメだと思っていました。だから毎日全体練習の前後に個人練習をおこない、自分の強みとなるスピード面を強化する。それと同じことでした。
当時は先輩、取引先、さらには友人の会社の社長など、学生時代に培われた人脈もありとても幅広くさまざまな人と会えましたね。
Q.仕事以外の時間で「人に会う」ということを選択したのには、どういった考えがあったのでしょうか?
人から学ぶことが一番成長にも成果にもつながりやすいと思ったからです。上司や先輩のほうが業界やその領域の知識も多いはずですし、成功につながるノウハウを持っているはず。
友人の会社の社長とは、呼ばれなくても飲み会に参加してつながりを持ちました。そこから取引先となることもありましたが、それ以上に業界人として、社会人として得られることが非常に多かったです。
いろいろなことを吸収する中で、キャリアや仕事に対する自分なりの考えや「この人みたいになりたい」という理想像も生まれました。また悩んだときに相談して助言をしてもらえる人との出会いもありました。スポーツをやってきた中で心がけていたことがこうして社会人になっても活きるということを肌で実感しましたね。
Q.ここまで仕事に本気で打ち込めたのは、一体何が要因だったのでしょうか。
あのとき、「自分はここで人生を決めていいのか」と思えたこと。
そして、やりたいことを考え直して就活をし直そうという決断をしたからこそだと思います。
そして、やりたいことができる企業に入社したのももちろんですが、入社企業を自分の意志で決断したこともここまで頑張れた要因としては大きいと思っています。
正直なところ、大学4年の1月に内定を断り、就活をし直すというのはかなりリスキーな決断だったでしょう。親にも反対されましたしね。だからこそ「自分の決めた道を正解にしなければ」という思いは大きかったです。それと同時に「この壁を乗り越えたらきっとより成長できるだろう」というわくわく感もありました。
Q.たしかに、結果として正しい決断だったと思いますが、当時はかなり思い切ったことですよね。
そうですよね。ここでもし、「親に反対されたからこの企業にしよう」と就職先を決めていたら、おそらく働く中で理不尽なことや嫌なことがあったときに逃げ出してしまっていたと思います。
その瞬間はその決断が正しいかは誰にもわかりません。でも、自分で決めた道を自分で正解にすることはできますから。結果として、私は当時あの判断をしたことが正解だった、正解といえるほどにできたと思っています。
Q.ご自身の経験と紐づいたお話とメッセージをありがとうございました。最後に今就活を取り組む学生にアドバイスをお願いします。
就活は将来を決める重要なタイミングです。特に体育会系の学生は、周囲に比べると就活のスタートがかなり遅くなることでしょう。焦ってしまい迷うこともあると思います。
気持ちはわかりますが、そこで焦りに飲み込まれずに真剣に考えて自分の意志で決めることが何より大切です。納得した決断をして、これからの社会人生活をスタートさせましょう。