キャリア講義
やりたいことから逆算して居場所を決めていこう|「うまくいかない」をなくす秘訣は納得感にあり!
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目次
加藤 佑基 さん(グローアップ 新卒事業部事業部長)
Yuki Kato●東京都市大学経営システム工学科卒。ニューラルネットワークを使った早期離職確率の予測モデルの研究をおこなう。2015年にグローアップへ入社。中途人材領域での営業を経験後、2016年より経営企画室及びマーケティングチームを立ち上げ、キミスカをはじめ中途人材領域や不動産領域に関するサービス推進を経験。全社のマーケティング及びサービス開発を統括後、「キミスカ」の事業部長に就任。1学年あたり約15万人の就活生が使うサービスへと成長させ、2022年にタレントマネジメントシステム「タレントパレット」を運営するプラスアルファ・コンサルティンググループに参画。キミスカのサービスコンセプトである「偽らない就活」を実現すべく事業の成長を加速させている
Q.新卒でこのグローアップへの入社を決められた加藤さんですが、それはどういった決め手があったのでしょうか?
グローアップに入社を決めた理由としては2つ。人が良かったことと当時は規模がまだまだ小さかったことがあります。ここでいう「人が良い」とは自分と合う人ばかりだったということです。人を悪く言う人がおらず、それが刺さりました。
そして、規模が小さいからこそ自分の力量や提案次第でできることがありそうと感じたのです。当時のグローアップはまだ小さかったため、仕事のほぼ100%が営業活動でした。その中で新しくマーケティングやサービスの仕組みづくりをやりたいと思ったのです。
Q.非常にしっかりとした軸を持ったうえでの就活だったようですね。
そうかもしれません。でも、いわゆる就活初期の自分には全然このような軸などありませんでした。
実は私は理系出身です。就職先も、自ら就活をするというより企業からの推薦が多かったのですが、推薦で届く企業はいわゆるお堅い企業ばかり。個人的には、そのような企業で働くのは合わないなと思っていました。
その後就活をしてとある企業から内定を頂いたのですが、就活中に通ったキャリアデザインスクールで大きな刺激を受けます。スクールには上位層の学生が多く、交流をする中で徐々に自分に劣等感を抱くようになりました。
自分はこれでいいのだろうか、このままではかっこいい大人になれない。そう感じてから、ITベンチャー企業でインターンを開始。海外にも行きました。大学を休学して就活をリスタートさせたのです。
Q.再スタートさせた就活では、一度目の就活と違ってどのようなことをされたのでしょうか。
とにかく行動しましたね。約100人ほどの企業の社長と出会い、話を聞きました。そうすることで、自分の中に「事業をつくる」「経営する」「何かの仕組みをつくる」などの夢ができました。
会った社長の中で、自分が憧れるような社長というのは大概0から何かをつくり出していることが多かったのです。何もないところから実績をつくるというのは、自分の自信になりそうとも感じました。
それで、大学5年ともいえる年にグローアップへの就職を決めました。
自分の脚を動かすことが納得感のある選択にもっとも有効
Q.加藤さんのように1つの企業でキャリアを積み重ねていくうえで意識されていたことはありますか?
まずは「本質を考える」ということ。これはユーザーにとっての価値を提供するうえで本質とは何かを突き詰めました。
たとえば当社で提供している「キミスカ」というスカウト型就活サービスですが、これは「偽らない就活」ということをコンセプトとしています。
自分を偽らずにいられる企業に就職しようという意図があるのですが、これを「とにかく内定を出しまくることのできるサービス」にするのも別にありです。内定を獲得できればそれに満足できる人も多いですから。
でも、就活の本質はその後のキャリア形成にあると思っています。内定がゴールではなくてむしろスタート。
就活ではキャリアをどんどん伸ばしていけるような企業に巡り会うことが大切で、そのためには「数打ちゃ当たる」理論でサービスを提供するのは本質的ではないと思ったのです。
また「意見を言う」ということも同様に意識していましたね。進言するのって勇気も要りますし、嫌われるリスクもありますがその分目立つじゃないですか。上の人たちの視界に入ることが増えて「やってみなよ!」と仕事を振ってもらえることが増えてきました。
結果「マーケティングやってみたら」とおっしゃっていただき、自分のやりたかったことを叶えることにもなりましたね。
Q.今のお話にも少し似通いますが、学生が就活で企業選びをするときにもっとも大切なことは何だと考えていらっしゃいますか?
納得感ですね。納得できないまま企業を決めてしまうと、仮につらいことやできないことがあったときに「だからここはつらいんだ」と、納得できなかった箇所を自分がうまくいっていない理由にしてしまうと思います。
「なんとなく」ではなくて納得する要素を見つけること。そのためには選考前になるべく多く動くことです。私の場合は「人」だったので、とにかくたくさんの人に会うようにしていました。
Q.「たくさん動く」とは、具体的にどのような行動を取ればよいのでしょうか。
OB・OG訪問や、インターンシップなどに参加するので良いと思います。このとき、少しだけ自分の身の丈から背伸びしたところを選ぶとさらに良いですよ。
規模・内容・期間の長さ、何でもかまいません。「自分にはこれくらいだろう」と思えるところから一歩背伸びしたところに飛び込んでみてください。
そうすることで、私は思いもよらない出会いや、縦横問わずさまざまなつながりが生まれました。
こういう人になりたい・こういうことがしたいなどと、新たな気づきができたことで、自分が納得できる「人」のイメージがふくらみ定まったと思います。それを要素として納得できる企業を選びました。
人生を豊かにするために仕事をうまく使おう
Q.では、ファーストキャリアならではの企業選びでの注意点についても教えてください。
自分のやりたいことと、企業の方針や取り組む仕事が一致しているかの割合を見ると良いでしょう。
ここでいうやりたいこととは、仕事におけるやりたいことだけではなく自分のライフプラン・ライフイベントも加味してかまいません。なぜなら仕事は人生を幸せにする手段であるからです。
自分の人生を豊かにするために、どのようなことをやりたいでしょうか。また必要でしょうか。自分の人生においてやりたいことを書き出してみましょう。
そしてそこから逆算して、それが推奨される・かなえられる企業を選ぶこと。そうすれば、これから続く長い人生をその企業とともに歩んでいけると思います。
手っ取り早いのは、自分のロールモデルとなる人物を見つけること。その人が自分のかなえたい働き方という面では、その企業の実績となりますから。逆に「こうなりたくはない」といういわゆる反面教師を見つけるのも企業を取捨選択するのには良いですね。
大手企業・倍率の高い企業を選ぶことで生まれる優位性は、目先のものでしかなくそれは入社後になくなります。大事なことは、仕事を含めたあなたの人生をあなたが幸せに過ごすことです。
具体的な目的や用途を抽象的にとらえられる人材が伸びてゆく
Q.就職してキャリアを成長させる際の参考として、これからはどんな人材が伸びていくと考えていますか?
考えられる人材が今後伸びていくと思っています。ここでの「考える」とは、「具体と抽象を行き来できる」ということです。
就活にもいえますが、今は情報があふれて至る所に散らばっています。しかしそれがすべて正解・成功ということでもなく、そのまま飲み込んでしまうと間違ってしまうこともあるでしょう。テンプレ通りにすべてがうまくいくことはまずありません。
就活でいうなら、もっとも大切なことは伝わりやすさ。そして差別化のためにエピソードやプロセスが必要であって、だからそれらが話す内容に必要ということです。
その内情を知らずに「必要と言われたからエピソードやプロセスを話す」「どこかに上がっていたからこのエピソードを話す」というのは間違いであり、きちんと考えられていないということだと思います。
仕事においても「この作業をやっておいて」という指示に対して、ただそれを飲み込んで取り組むのではなく「どんな目的で頼まれたのか」「どういう用途があるのか」などと考えられると、作業効率も仕事の完成度も高まると思います。
そしてその思考プロセスはほかの物事に転用も可能です。
作業の具体的な「目的」「用途」はその物事ならではで、すべての作業にいえることではありません。でもそれを抽象的にとらえて、「作業の目的や用途を考えること」はすべての作業でできることです。
目的や用途をとらえて行動すること、これが具体。そしてその過程をすべての物事でおこなうこと、これが抽象。これらを行き来できる人材が今後伸びていくだろうと思いますね。
Q.ありがとうございます。それでは、学生が今後社会に出てキャリアを積み重ねていくためのアドバイスやメッセージをお願いいたします。
迷ったときは「自分のやりたいことは何だろうか」「今自分がやっていることは正しいのか」と考え直してみてください。そうするとおのずと方向修正ができます。
やりたいことと向かっている方向とが合っていれば、自分が取り組むべきことがより見えてくると思いますよ。
そしてその「やりたいこと」には自信をもって、周りに流されずにぶれずにもっておいてください。仮に批判してきた人がいたとしても、自分も相手も1年後にはその言われたことを覚えてなんていませんから。
やりたいことを根拠として、そこから逆算して、納得感をもって自分の居場所を決めていきましょう。