キャリア講義

ビジネスが成り立つ起点はあなた自身|「失敗か成功か」より「経験を積めた」ことがはるかに重要

COFFISO 白﨑誠志朗さん

目次

  1. 白﨑 誠志朗 さん(COFFISO 代表取締役)
  2. 壁など意識せずガムシャラに進めば見えてくるものがある
  3. 就活では、会社を実際に動かす社員の声に耳を傾けるべき

白﨑 誠志朗 さん(COFFISO 代表取締役)

Seishiro Shirasaki●大学時代の海外留学経験から教育事業に興味を持つ。OA機器販売のベンチャー企業の内定を得てすぐ、在学中から営業担当として就業。2015年の卒業と同時に正式入社し、新規事業の立ち上げも手掛ける。2017年にCOFFISO(コフィッソ)を立ち上げ現職

企業詳細:コーポレートサイト採用ページ

Q.人材業界に身を置かれている白﨑さんですが、ご自身の就活はどうでしたか?

当然ながら就活するのは初めてですから驚くことが多かったですね。大学3年の初期から始めた就活では、最初は大手企業を受けました。単純に大手企業なら大きなことができると思っていたからです。

ところが就活をしていくうちに疑問が膨らんでしまいました。いくつか大手のグループ面接を受けたのですが、志望者がみな同じように優等生的な受け答えしかしない窮屈さにびっくりしたのです

自分は言いたいことを普通に言ったつもりですが、面接官の反応に手応えはなく、受けは良くなさそうでした。とはいえ自分を表現できないまま終えるよりも、言いたいことを言おうと決めていましたから、結果が出なくても後悔はありませんでしたね。

Q.そこから企業選びを仕切り直したのですね。

そうですね。そんな経験もあり大手企業は自分に向いていないとわかったので、もう一度自分は何がしたいのかを見つめ直した結果、いずれ独立し起業したいと望む自分をはっきり自覚できました。

それで、まずは起業に欠かせない営業力を身に付けられる会社であること、加えて経営者の近くで仕事を学べる職場環境を軸に会社選びを進め、条件に合う複数のベンチャー企業に的を絞って就活を再開。

面接でも「いずれ独立する予定で、ここでビジネスを勉強したい」と正直に伝えていました

白﨑さんの就活軸の変化

Q.そんなにはっきりと起業の意思を伝えていたのですね。それで就活は順調に進んだのですか。

「長く勤める社員が欲しい」といって断られた会社もありましたが、大部分の会社から内定をいただけましたよ

初めから独立起業する予定を正直に打ち明けておいた方が、まわりに自分の覚悟を理解してもらったうえで協力も受けやすいですしね。

私の場合は面接中に「独立はいつしたいのか」とたずねられ、なんとなく「5年か10年で独立したい」と答えると、社長が「よし3年で独立させてやる」と言ってくれたベンチャー企業があり、そこに決めることにしました。

Q.ベンチャー企業は特に起業を本気で考えるくらい意欲あふれる人材が欲しいのでしょうね。それからは独立起業へ向けて一直線でしたか。

はい、内定直後からそのOA機器販売のベンチャー企業で営業の仕事を開始し、大学4年の約1年間は社員並みに働きましたね。大学卒業と同時に正社員となり、1年目で営業トップ成績を収め、加えて新規事業の立ち上げなども経験させてもらいました。

そして、内定者時代からトータル2年間で身に付けた自信をもとに23歳で独立。そのあと半年ほどは、前の会社と代理店契約を結んで個人事業主として開業資金を貯め、2017年に晴れて起業の夢を実現しました。

Q.どういったビジネスを起業するか決めていたのですか。

教育や人材育成の分野で起業することは決めていました。大学時代にカナダへ留学したのですが、その1年間で日本人の良さと弱さの両方を痛感したのです。

とにかく各国から集まる学生たちの自己主張やメンタルの強さは衝撃的でしたね。たとえば、こちらが1+1=2を前提に筋道立てて主張したことを、1+1は3とか4とか平気で言ってくるし自分の主張を通そうとする。

日本人は真面目ですから、とてもそこまで無茶な主張はできません。でも日本人の真面目さと他国の人の自己主張の強さの良い点を兼ね備えた人材を育てられたらおもしろくないですか。教育や人材育成の分野に興味を持ったのは、それがきっかけです。

良さを伸ばし、弱みを解消するには、人の成長に大きな影響を及ぼす教育から変えていく必要があると思い至りました。そうして、教育の面で日本を変えて、世界に通用する人材を育てる仕事をしたいと思うようになったのです。

COFFISO 白﨑誠志朗さん

壁など意識せずガムシャラに進めば見えてくるものがある

Q.起業してからもいくつも壁にぶつかることは予想できたと思います。仕事を始めてからわずか2年ほどで起業するのにためらいはなかったのですか?

ためらいも恐れもなかったですね。経営も会社運営も何も知らず無知だったのがかえって良かったし、そもそも人生の決断で悩まないタイプなので。

コロナ禍でピンチに陥ったこともあったし、いろいろありましたが自分では特に壁を意識しませんでした。壁があってもなくてもやるしかないと思っているので、とにかくガムシャラに突き進みました

そのおかげで仕事や働くことに関する大切なことを学べました。

たとえば自分が一生懸命になって顧客にサービスしたりものを売ったりすることによって会社が利益を上げ、会社が利益を上げるから自分の給料が出てビジネスが成立するというシンプルな事実。

起業してガムシャラに仕事をするなかで身に沁みてわかってきた真実です。

これを、会社から給料をもらうために会社の指示に従って顧客にサービスしたり物を売ったりする。それで会社が利益を上げてビジネスが成り立っていると誤解してしまう人もいます。同じことのようですが違います。この違いを理解することが重要なのです。

つまり、あなた自身が仕事の起点であるということ。あなた自身の働きが相手からの感謝を生み利益を生まなければ何も始まらないのです。給料をもらうために仕方なく命じられたことをするのがあなたの仕事ではない。

仕事の主役はあくまでもあなた自身でなくてはなりません。

ビジネスの成り立ちにおける認識の違い

Q.就活生が会社を選ぶうえで考えるべきことは何でしょう。

完璧な会社なんてありませんから、良い点と良くない点をトータルで見て好きになれるかどうかがポイントです。

それを知るには他人事としてではなく当事者意識を強く持って会社を見る必要があります。そのために、インターンをするというのは、対象の会社について当事者意識を持つという意味で良い方法です。

Q.インターンをすればその会社の中に入ることになりますから、嫌でも自分事として考えざるを得ないですからね。

その通りです。そしてもう一つ大切なのは、その会社で大きな満足を得られると想定できるかどうか。何となく「この会社でいいか」ではなく、この会社なら自分は十分な満足を得られると信じられること。そう考えられない会社はやめた方がいいでしょう。

会社で頑張ろうと思えるのは満足感を得られると実感できたときです。だから会社のためを思えるし、同僚や仲間達のために動くこともできる。それが充実した仕事人生につながっていきます。

だからこそ、まずは自分が満足できること。会社をトータルで好きになるための、それが原点です。どれだけその会社で満足感が得られるか、最初の見積もりが大事なのです。

就活では、会社を実際に動かす社員の声に耳を傾けるべき

Q.インターンの重要性が改めてわかりました。しかしインターンができない場合は、会社を知るために何をすればいいのでしょうか。

会社を知るために話を聞くべき相手

社長が会社の理念やミッションについて語っている文章などを読むことや、就活で接触する人事担当者の話を聞くのも良いでしょう。ただそれらに意味はありますが、それ以上に重要なのは、社長や人事担当者以外の社員の話を聞くことだと思います

人事担当者は対外発信が仕事です。良い話をうまく伝える専門家ですから就活生の耳には良い話だけが残ります。また社長の役割は会社の未来を考えてかじ取りをすることですから、基本的に前向きで夢のある将来についての構想を語るでしょう。

しかし会社を今動かしている具体的な力は現場の社員が発揮していますし、構想を現実化しているのも社員です。社員の現実を知りたければ何とかして社員に直接聞くしかないでしょう。

Q.会社選びについて貴重なお話をありがとうございます。逆に企業にとって、どのような人材が求められているのでしょう。

調べることができる人でしょうか。興味のあることを納得できるまで調べ上げられる能力はこれから重要性を増します。

これだけ変化の速い時代になると、来年になったらもう今日の前提が通用しないこともあります。2カ月で変わってしまうことだってあります。現在どういうことが起きていて、次に起きそうなことは何か。調べる力があれば見えてくることもあるはずです。

また多くの人が考える方向性や世の中の動きについて調べがついたら、その逆を行くという手も使えます。逆張りができる人は少数派として目立ちますし、注目されたりチャンスが巡って来たりします。集団の中でチャンスを得たければあえて逆張りというのもひとつの方法です。

それに何が起こるかわからない正解の見えない時代ですから、逆張りが功を奏する可能性は昔以上に高まっているはずです。

Q.ありがとうございました。最後に就活生へメッセージをお願いします。

少なくとも若いうちは失敗とか成功とかを意識する必要はないと思います。どちらも1個の経験だと思えば良い。どちらも「良い勉強ができた」と考えてください。成功か失敗かを問うよりも、経験を積むということ自体が、若いあなたにとってははるかに重要なことですよ。

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