キャリア講義

いきいきと働くにはやりがいが欠かせない! 就活も仕事も前向きに進めていこう

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久保 駿貴 さん(ABABA・代表取締役)

Syunki Kubo●1997年生まれ。関西大学環境都市工学部エネルギー環境工学科入学後、3年次に岡山大学理学部地球科学科に編入。関西大学在学時より起業の道を志し、訪日観光客と日本人とを結びつけるマッチングサービスを立ち上げる。その後2021年11月にABABAを創業。最終面接まで進んだ学生の努力が報われるようなサービスを展開している

Q.岡山大学在学中からこのABABAを立ち上げられたとのことですが、それ以前にもいくつか事業を起こされていたのですね。

はい、大学2年次の冬に「GUIBO」というサービスを立ち上げました。通訳が必要な訪日外国人観光客と英語を学び話したい日本人とをマッチングさせるサービスですね。

ちょうどその頃に東京オリンピックに向けて、ガイド法が改正されたのです。加えて僕自身も海外旅行が好きで、旅行に行った際はガイドの方だけでなく現地の一般の方々にもお世話になりました。そういった経験や背景を踏まえて、逆のサービスを日本で展開するのもアリだなと考えたのです

とはいえこういった外国人の通訳やガイドサービスはさまざまな企業がすでに展開していますから、差別化を図る必要があると考えました。そこで、料金を固定するのではなく観光客の満足度によって変動するチップ制を導入しました。

観光客へのヒアリングを重ねたり、仮説と検証を繰り返したりとかなり作り込んだサービスではあったのですが、ちょうどその頃流行し出した新型コロナウイルスの影響で、サービスの継続は一旦休止せざるを得なくなってしまったのですが(笑)。

Q.こういった事業や活動は、どういった思いからおこなっているのでしょうか。

実は過去にあるトラブルにより、悲しい思いをしたことがありました。その経験から、人からお金を得るなら絶対に人に喜んでもらいたいと考えるようになりましたね。そのうえで、自分の興味やできることの中から人の役に立ち喜んでもらえるようなことをしてきました。

Q.その思いを行動に移し、そして学生のうちから事業を起こすその行動力は本当に素晴らしいですし、尊敬します。

そうですね、行動力に満ち溢れていると思います(笑)。常に物事に対して、まず「やってみよう!」と考えていますね。リスクなどを考えて綿密に綿密に確実に失敗しないような計画を立てるよりも、まず足が動くタイプです。

そもそも、大学時代のこういったチャレンジは非常にポジティブなものだとも思っています。失敗しても人生が終わるわけでもないですし、学生のうちにさまざまな体験を積むことはのちのち絶対に活きるものです。それこそ就活においても「ガクチカ」でアピールできるエピソードにもなりますしね。

その証拠に、今お伝えした「GUIBO」も頓挫していますし、そのあとにおこなった事業も順風満帆には進んでいません。いくつか失敗も繰り返しましたが、その失敗が現在の事業に活きていますから。

仕事選びの一番の基準はやりがい! 誇りをもっていきいきと仕事をしよう

Q.現在非常にいきいきと仕事をしていらっしゃる久保さんですが、久保さんのように精力的に働くためにはどのように仕事選びをすると良いのでしょうか。

やりがいを感じられる仕事を選ぶことが大切だと思います。

仮に給料に魅力を感じて仕事選びをしてしまうと、自分が取り組む仕事そのものに大して意義ややりがいを感じられていないわけですから、徐々にやる気が喪失していってしまうと思います。

だからこそ、何十年と働くうえでやりがいは非常に重要だと思っていて、仕事に対して誇りを持てていなければその仕事を続けていくことは難しいと思います

Q.だとすると、やりがいを感じるために仕事選びの基準はどんなものが良いでしょうか。

基本的には「やりたい」や「興味」という基準で良いと思いますね。もっとも「やりがい」につながりやすいものだと思いますから。

仮に興味のある業界にすべて落ちてしまったとしても、それはその業界に向いていなかっただけです。そうなってから視野を広げ別の業界を見るようになっても良いと思いますよ。ただしその際も、もう1%でもいいのでやりがいをきちんと感じられる仕事を選んでほしいです。

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Q.多くの方から「ともに働く人が大切」というお話も耳にするのですが、その点は久保さんはどう考えていらっしゃいますか?

人も大切な視点ですね。やりがいでの判断に迷ったら、「誰とやるか」を判断基準に追加して良いと思います。企業としても、この「人柄」のマッチ度はとても重要視しているポイントです。

ただ、この「人」の見極め方もいくつか企業フェーズで違いがあると思っていて。たとえば現在、ベンチャー企業の社長を務める私は「僕についてこい!」という精神で採用活動をおこなっています。まだ社員数も少ないですし、私自身社長ではありますが多くの社員とコミュニケーションを取る機会が多くあります。だからこそこういった規模の小さい企業であれば、社長など経営陣の考え方やスタンスに同意できるかが大切だと思います

逆に、企業規模が大きくなるにつれて経営陣とのかかわりは少なくなっていきますよね。このように規模感が大きく広い企業では、ともに働く現場の人たちに目を向けると良いと思います。どちらにせよ、一緒に働きたい人がいるかどうかは企業選びで押さえておきたい基準ですね。

やりたいことも大切! でも現実的側面にも目を向けて

Q.学生の社会人としての第一歩となる大切なファーストキャリアですが、ここで必ず持っておくべき視点は何でしょうか。

夢・やりたいことがかなえられる企業など、理想ベースの視点ももちろん大切ですが、そこはきちんと現実ベースで物事を考えることも大切だと思います。たとえば以下のような当たり前のことができない企業は避けたほうが良いと思っています。

・雇用契約書がない
・契約書の読み合わせがない
・先方都合でのリスケの際に謝罪がない

就活において企業は学生に自社を売り込みますから、いわば学生はその企業にとってお客様ともいえますし、初対面の相手に常識から外れた対応をする企業は信頼に欠けませんか。

また、過度に愛想がなかったり、冷たい空気感の企業も考えたほうがいいかもしれません。こういった空気は企業そのものの空気と直結していることが多いです。特に人事担当者はその企業の顔ですから、人事のイメージをその企業のイメージとしてとらえても良いでしょう。

Q.現実ベースでの考え方は、意外と学生は忘れがちかもしれませんね。

社長になって思うのですが、人を雇用することはつまりその人の人生を預かるものだと思うのです。だからこそ現実ベースで企業を選ぶことも本当に大切だと思います。そのときに同時に考えてもらいたいのが「キャリアプラン」ですね。

たとえばローンを組んだりすることも、その企業や給料次第ですよね。企業によってはローンが組めずに、将来的に家を建てたいと思っている人のキャリアプランがかなわないこともあるわけです。また、26~27歳で結婚がしたいと考えている人に、設立間もない発展途上のベンチャー企業は少しリスクが高いかもしれませんよね。

私自身、採用の際には会社と学生との方向性のすり合わせをおこなっています。キャリアプランを考えたうえで、そのプランと沿わせて企業を選んでみるのも忘れないでほしいですね

Q.キャリアプランを考えるのはそんなに大切なんですね。とはいえうまく考えられない学生はどうしたら良いのでしょうか。

はい、キャリアプランを考えておくのは本当に重要ですよ! でも、「キャリアプラン」と聞くと会社内でのポジションや仕事で成し遂げたいことなどを思い浮かべてしまい、難しいと感じている人も多いのではないでしょうか。

この場合、ライフプラン・自分の生活ややりたいことベースで考えてみると、考えやすくなるかもしれません。たとえば私のように海外旅行が好きな場合、それなりにお金がかかりますよね。だとすると全体平均よりも少し給料がいい企業を選ぶことができるはずです。

難しく考えすぎずに、仕事ベースを一旦置いておいて考えてみると案外簡単にキャリアプランが組めるかもしれませんよ。

不採用=縁がなかっただけ。前を向いて就活を進めよう

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Q.今就活をがんばる学生に向けてのメッセージなどはありますか?

そうですね、私自身が不採用通知が届いた学生を救ってあげられるようなサービスをおこなっているのもありますが、とにかくポジティブに就活をしてほしいです。就活はどうしても不採用通知が多く届くこともあり、落ち込んでしまうこともありますが、不採用通知で落ち込むことはまったくありません。前を向いて就活を進めてほしいですね。

Q.久保さんは、不採用通知をどのような捉え方をしているのですか?

不採用=縁がなかっただけ、です。「自分を採らなかったことを3年後には後悔させてやる」くらいの気持ちでいていいと思いますし、就活に限らず私はいつもそう思っています(笑)。

でも、本当に縁やタイミングは大きくかかわっているのですよ。たとえば、4月であれば合格となっていた学生でも、採用枠が埋まってきた6月に応募していた場合不採用となってしまうことも実際に事例としてあります。あとは特に最終面接では人柄や企業カルチャーとのマッチ度が見られているので、それは本人の努力や資質のせいではありませんから。

一定、縁やタイミングもあるととらえて気負わずに臨んでほしいです。とはいえ、逆に「何もしなくても受かるのでは?」と考えて用意も何もせずに臨むのはもちろんNGですよ!

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