キャリア講義
キャリアは人生の目的を考えるための手段|自分の幸せを追える選択をしよう
- 7860 views
千手禅二郎さん(ルビーイン・代表取締役社長)
Zenjiro Senju●ルビーイン 代表取締役社長。筑波大学心理学類卒。学生時代に逆求人型の就活イベントで出会った不動産会社に入社し、2社で不動産関連の業務を担当。その後人材系の会社に入社し、新卒採用のイベントの運営を担当。2020年7月にルビーインを設立
Q.現在はルビーインの社長として企業と学生の出会いの創出をおこなっておられますが、まずはファーストキャリアを決めるまでの過程を教えてください。
学生の頃から、「夢を持つ人には全力でその夢を追いかけてほしい、夢を持つ人と並走したい」という夢や目標を持っており、それをかなえるためには経営者になるべきだと考えていました。ただ大学を卒業してすぐに起業というわけにもいかず、「将来的に経営者になるためにどんなスキルが必要か?」と考えたときに、目を付けたのが営業力でした。
営業力は商品はもちろん企業そのものを売り込むために欠かせないものですから、営業力があれば何かあったときでも自社を守ることができると考えたのです。
もともと大手志向が強かったのですがそういった方向性を決めたことで、ファーストキャリアは営業力を身に付けるために、大手ではない不動産会社の営業職に就きました。
Q.ファーストキャリアから自分の将来をしっかり考えた選択をされていたんですね。そのあとはどのようにキャリアを歩んできたのですか?
もともとその不動産会社に長く勤める気はなく、3年以内で辞めようと考えていました。以前から何事も期限を決めたほうが頑張れる性分なんですよね。
石の上にも3年という言葉がありますが、自分の中では3年がタイムリミットだと思っていました。たとえば5年だと、20代後半に差し掛かってしまいます。夢に取り組める時間も短くなりますから、それまでにここで得られるスキルはすべて得ようと考えていました。
キャリアは人生の目的をかなえるための手段であることを念頭に置こう
Q.千手社長がキャリアを考えるうえで重要なことは何だと思っていますか?
キャリアとは人生の目的であるべきだと考えています。幸せな人生を送るための手段のひとつがキャリアだと考えると良いですね。
キャリアを考えるうえで、まずは就職したい企業を考えるのではなく自分の幸せについて考えるようにしてみることが大切です。そういう意味では就活は自分の人生について考えるためのキッカケであるといえますね。
Q.ではそれを踏まえて、社会人の第一歩となるファーストキャリアだからこそ学生が持つべき視点について教えてください。
絶対に持っておいてほしい視点は2つありますね。まずは自分が将来的にやりたいことやなりたい姿に対して、最適な道を選んでください。一度きりの人生です、自分がやりたいことに一番時間を使うべきです。
よく、自分自身の成長のために就職先を決める人もいますが、それは少しもったいないなと感じていますね。
ただ、今は転職が当たり前の世の中になってきましたし、私のように将来の自分像をかなえるためにまずは就職するというのもおかしくないとも思います。そこで持つべき視点の2つめが自分の市場価値が上がる企業を選ぶということです。
ここでいう市場価値とは自分のスキルのことを指します。たとえ今やりたいことやなりたい自分像がない人でも、どこの企業でも活かせるスキルを持っていれば、それはいつか生まれるであろう夢をかなえる転職時に役に立ってくれるはずです。
Q.そういった視点を踏まえて、業界・企業選びを進めるコツを教えてください。
企業選びの際は就活の軸を考えますよね。軸として決断のものさしにするのは「自分が幸せになれるかどうか」にするよう伝えています。
このときに決める軸はひとつで十分だと考えています。いくつも軸を持ってしまうと、結局無難な選択をしてしまいますからね。自分が幸せな人生を送るうえで本当に欲しいものを探してみてください。
もちろんあったほうがいいもの、あると嬉しいものなどはたくさんありますよね。人によってはその分別がつかず譲れないものがいくつもあるという人もいるかもしれませんが、そういった人たちはまずは3つ程度に絞ってみましょう。
それからその3つを見比べてみてください。どれも同じ優先度ではないと思うので、自然と優劣がつくはずですよ。一番優先度が高いと感じたものが就活の軸となるものです。
就活は人生を幸せにするためのターニングポイント
Q.最後に、就活中の学生に対してメッセージをお願いします。
仕事は生きていくうえでの基盤となるものです。何のために生きているのかを考えて、自己分析をしっかりやりましょう。
入社後は、5年がんばること。向き合い続ければつまらなくても仕事の面白みや価値がわかるようになります。とはいえ長く続けるのはやる気がおきないかもしれません。だから、まず5年続けようと考える程度で大丈夫です。
もし途中で壁にぶち当たり、行き詰まりを感じてしまったら、「何のために入社したのか?」と当初の目的に立ち返って考えてみてください。「自分がやりたいことは本当にこれだったのかな」と迷うこともあると思います。
でも、基本的にやりたいこと探しは相対評価です。どんなに「これがやりたい!」と思っていても、いつかそれよりやりたいことに出会うことだってよくあります。
だから、やりたいことがはっきり明確になるまでは、その暫定一位のやりたいことをやり続けてみてください。それが自分にとっての一番のやりたいことになることも、逆にやりたいことがはっきり見えてくることもありますよ。