キャリア講義

失敗できるのは若者の特権! まずは行動せよ|やりたい仕事より自分に合った仕事探しを

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目次

  1. 小柳智和さん(ヒトツメ 取締役)
  2. 就活生が探すべきは自分に合った仕事
  3. 人にたずねること、頼ることを躊躇するな

小柳智和さん(ヒトツメ 取締役)

Tomokazu Koyanagi●2007年就職エージェントに入社。2010年に退社しシンクトワイスの創業に携わる。新卒紹介サービスで実績を上げ、その後、新卒紹介事業部の責任者を務める。2020年に現代表取締役と共にヒトツメを創業

企業詳細:コーポレートサイト採用ページ

Q.現在はヒトツメの取締役としてご活躍をされていらっしゃいますが、小柳さんの就活生時代はどのような就活をおこなっていたのでしょうか?

大学3年の夏くらいから就活を意識し始め、企業説明会には150社ほど参加したでしょうか。多くの企業の説明を聞くうちに、年明けくらいに自分は人材系の仕事がしたいと感じるようになりました。私にとって就活は、やりたいことを見つけるための時間でしたね

Q.その中で人材系の仕事が「やりたい」と、興味を持ったのはなぜでしょう。

就活中には学生仲間や企業の担当者など多くの人たちと出会いましたが、そのなかで私の目から見てかっこよく、人生を謳歌していると感じた人は、目的を持ち、そこへ向かって進んでいるのが共通点でした。だから自分もそうなりたかったし、そういう人が多い世の中にしたいと考えたわけです

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しかし、これも就活を通じて感じたことなのですが、やりたいことを見つけ目的を持つための環境は、暮らしている地域や学歴などによって格差があります。情報格差と言っていいかもしれません。目的意識を持ち生き生きと人生を歩むモデルが身近にいれば、自分もそうなりたいと影響を受けます。ところがモデルになるような人物が多いか少ないかは、地域や学歴環境によって異なり、それが格差につながります。

この格差を解消するには就活から変えていくのが一番だと思ったのです。就活は自分を振り返ったり自分が何をしたいのか見つめ直すタイミング。だからこそここでできるだけ情報格差をなくせば、若者のこれからの生き方を変えていけるのではと考えました。

それで就活にかかわる人材系の仕事、それも新卒の就活に関わる仕事がしたいと考え、当時は日本で唯一新卒紹介サービスをしていた就職エージェントに入社しました。

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Q.ちなみに、小柳さんは自分が「やりたいこと」を基準に就職先を選びましたが、やはり就職は「やりたいこと」で選ぶのが良いのでしょうか?

そう思いますが、そうであるべきとは思いません。実際問題として、就活時に「やりたいこと」が見つかっている人は限られます。大学生のカウンセリングをしていても、やりたいことを見つけられている人は1割もいないくらいです。

むしろ見つけなくてはいけないと、強迫観念にしばられている学生が多い。だったらむしろ、やりたいことは仕事を始めてから見つければいいのでは、とアドバイスします

まずはやりたいことでなく、自分に合った仕事、自分の強みを活かせそうな仕事を探せばいい。必ずしもやりたい仕事ではなかったとしても、自分に合った仕事ならば楽しく仕事できるしパフォーマンスも上がるはずです。成果が出る、評価される、その延長線上にやりたい仕事を見つけるケースが大半だとも感じています。

就活生が探すべきは自分に合った仕事

Q.「まずは自分に合う仕事から」ということですね。しかしその仕事が自分に合う、合わないはどう判断すればいいでしょうか。

人の役に立ちたいとか社会貢献したいとか、自分の価値観が重要なのはもちろんですが、仕事の中身を細かく考えてみることも必要です。たとえば営業の仕事なら、どういう人が顧客で、その顧客から評価されるには、自分にどういう強みが必要か、一度考えてみるのがいいでしょう。

どんな商材をどれくらいの価格で誰に売るのかによっても求められる能力は変わってきます。細かくシミュレーションして自分の得意なことや強みと仕事をすり合わせれば、自分に合った仕事を見つけられるはずです

企業選びは自分と企業の価値観が一致していることが大切で、仕事選びは自分の強みを発揮できる内容であるか否かが重要になってくるでしょう。

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Q.自分に合った仕事に就いて、その後やりたいことが見つかり転身する場合、キャリアを再びゼロからスタートすることに抵抗を感じる人もいそうです。

わからなくもないですが、実際それまでしてきた仕事のキャリアがゼロになることは絶対にありません。ファーストキャリアで積み上げた評価は転身先でも評価されるはずですし、逆にそうでなければそもそも転職ができません

その意味でファーストキャリアにおいては「どの会社に入ったか」よりも「入った会社で何をしたか」が問われます。何をしてきたのか誇れる実績、成果がなければ、外部の評価は「きちんと仕事に向き合っていなかったのか」「単に現職を辞めたいだけなのか」となってしまうからです。

そうすると、ファーストキャリアでは自分が成績を残せる会社に入り、成果を上げることが大切。そう考えるとやはり、自分の強みを発揮できる会社、自分に合った仕事を選ぶことが重要になるということです。

人にたずねること、頼ることを躊躇するな

Q.企業に入ってから仕事の成果を上げるには、どういう姿勢で仕事に向き合うべきですか。

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まずは行動、やってみることに尽きます。できないことには理由がありますが、そもそも行動しなければ何ができないかも、なぜできないかの理由もわからず、得意不得意も見極められません。

それから人に聞くこと、頼ることをためらわない。何かをたずねたり頼ったりすることが相手に迷惑ではないかと考える人もいると思いますが、そんなことはありません。仕事をする仲間に頼られて嫌な気がする人は基本的にいません。むしろ頼られれば嬉しく感じるはずで、誰しもそのような感覚は経験したことがあるのではないでしょうか。

そもそも自分の頭で考えられることには限界があります。上司や先輩を含め自分より仕事ができる人、優れた人にたずねて、その人の経験や考え方を吸収する。そうすれば世界観や価値観が変化するかもしれないし、それによってたどり着ける地点が上昇することだってあります。

そして、実は成功している人の勝ちパターンを聞いてしまうことが早く成長できる一番の方法でもあるのです。ビジネスはスピード重視。たとえば1週間後の提出期限の仕事上の宿題を、自分で1週間かけて考え抜いて答えを出すより、人に聞いて1日で答えを出して周りに「どうでしょう」と問う方がフィードバックを受けることもでき、1週間後には磨き抜かれた回答になる。そういう側面もありますから。

Q.積極的に行動した結果、失敗してしまうのではないかと怖がる人も多いと思います。

そもそも新米社員は失敗するもの。失敗が許される立場です。逆に立場が上がるほど失敗はできなくなります。だからこそ下っ端のうちにたくさん失敗した方が成長できますし、逆に行動しないことには失敗もできない。だからまずは行動すべきなのです。

失敗してしまったこと、できなかったことは逆にポジティブに捉えてほしいですね。できないことがわかれば、それを回避する方法やできるようになるために補うべきことがわかるからです。できないことがわからないまま進んでしまい、自分が苦手な部分で大勝負をしなければならなくなること。この方がよっぽど怖いことです。

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Q.初めから自分がやりたいことだけをやってキャリアをステップアップできれば、それに越したことはないような気がします。それは難しいでしょうか?

キャリアアップしていくには、自分ができることを広げていくしかないでしょう。キャリアアップには評価が不可欠で、できることこそ評価を得やすく、そうすることで次第にやりたいことに近づいていけます

仕事とキャリアは義務と権利の関係に似ています。与えられた仕事をこなすのは会社から課された義務です。それができれば、やりたいことをやれる権利を会社から与えられる。最初から権利だけ主張するのは筋が違いますよね。

Q.積極的に動き、できることの範囲を広げることがキャリアアップの近道ということですね。では最後に、これから社会人となる就活生に向けて、背中を押すようなメッセージを頂きたいです。

あなたの得意とするフィールドで勝負してください。就活生の多くが裁量権がある仕事をしたいと言いますが、そのためには与えられた仕事で成果を出し、評価されなければなりません。評価されるような成果を上げるには自分の得意分野で勝負するのが最良の方法です。ですから自分のパフォ-マンスを存分に発揮できる仕事と職場を選び、キャリアの第一歩を踏み出してください。

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