キャリア講義

「好き」と「得意」の区別が後悔ない選択の鍵となる|目先の内定よりも将来を見据えた選択を!

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目次

  1. 松本 光司 さん(スピリスター 代表取締役)
  2. 就活には社会経験のなさから陥りがちな落とし穴がある
  3. 同じ仕事も実態は多様で一括りにするのは間違い

松本 光司 さん(スピリスター 代表取締役)

Koji Matsumoto・大学卒業後、2017年に人材系ビジネスのネオキャリアに入社。エージェント事業部に配属となり、グループマネージャーを経て19年からは同事業部の大阪支店長を務める。2021年10月にスピリスターを起業し代表取締役に就任

企業詳細:コーポレートサイト採用ページ

Q.現在スピリスターの代表を務めておられますが、松本さんは独立・起業についていつ頃から意識していたのでしょうか。

かなり幼い頃からですね。自営業だった父の影響でしょうか。中学生・高校生の頃から漠然と自分で事業を起こしたいと考えていました。とはいえ、大学に在籍中や大学の卒業後すぐに、とは考えてはいなかったですね。

というのも学生時代に取り組んでいたアルバイトでは店舗運営全般にかかわらせてもらっていたのですが、その経験から人のマネジメントや経営に携わることの難しさを痛感していたからです。まずは企業に入って自分を鍛え、ビジネススキルを身に付けなくてはと考えていました

Q.かなりやりたいことやそれに向けてやるべき道のりがはっきりされていたようですね。そんな目的意識を持っていた松本さんの就活はどのようなものだったのですか?

まずは人材系ビジネスの会社を目指そうと決めていました。のちのち独立してなおかつ経営を波に乗せるには、企業を経営するうえで欠かせない「人材」というリソースをうまく使えることが必須だと考えていたからです。そしてそのスキルを身に付けるためには人材系ビジネスが最適だと考えました。

また、当時のイメージではありますが人材系や広告系はキャリアアップが早いイメージがありました。責任ある立場に早く就いて経験を積み、経営的なスキルを身に付けたかったのも人材系を目指した理由の1つです。

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Q.ファーストキャリアに選んだ会社では狙い通りのキャリアを歩めましたか。

入社前に思い描いていたのは「3年くらいで知識やスキルを身に付け独立・起業」という計画。今振り返ってもなかなか計画通りにキャリアを歩めたのではないかと思っています。

生まれも育ちも大阪だったこともあって、入社後はまず大阪のエージェント事業部に配属されたのですが、その翌年、入社2年後に大阪支店を任されることになりました。同事業部としては当時最年少の支店長でした。

総勢30人ほどの支店をまとめ上げていくなかで人のマネジメントも学べましたし、事業運営の仕組みも理解でき、ファーストキャリアに期待していた成果は得られたと思います

就活には社会経験のなさから陥りがちな落とし穴がある

Q.いま就活を支援するビジネスに携わる立場で、就活生に対するアドバイスをいただけますか。

志望業界や職種を選ぶに当たって「好き」と「得意」を混同しないことです。「好き」は自分の感覚ですから間違いようがないのですが、「得意」となると事情が少し違ってきます。「得意」を「自分に合っている」と言い換えることもできますが、好きと得意を混同してしまう人は少なくありません。

とくに社会人経験や仕事の経験がない就活生は、好きイコール得意と解釈して落とし穴にはまり、志望先の選択を誤ることがあります。そうなると、人生の多くを費やす仕事の時間、おもしろくない思いを抱えたまま過ごすことになり「こんなはずじゃなかった」と後悔することになります。

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Q.そんな落とし穴にはまらないためには、どうすれば良いのでしょう。

自分が得意なこと、自分に合った仕事を見つける手助けになるのは外からの目です。自己分析ではなく他己分析。自分以外の第三者から見たほうが本人の得意不得意が見えやすいことがあります。友人・知人などから見た自分の得意分野をたずねてみて、それと自己分析を掛け合わせて考えてみると良いでしょう。

自分が「得意」だと思っていたことが実は「好き」なことであったかもしれません。それに気づければ、キャリアの軌道修正は可能です。

同じ仕事も実態は多様で一括りにするのは間違い

Q.自分に合っている業界や業種がわかったとして、次は企業選びをしなければなりませんよね。その際、企業のどこを見るべきなのでしょうか。

業績情報はその企業の成長性や将来性を測る参考になりますが、自分との相性は測れません。だから「この会社が新たに入社する新人に何を求めているのか、どういう人材に来てほしいと考えているのか」を見抜くことが大切だと思います

会社のミッションや理念を出発点に、その会社が社員に求めていること、さらには新入社員に望むであろう条件などをたどっていきましょう。企業によって社員に求める条件はさまざまで、それらは会社ホームページなどからも垣間見ることができますから。

そのうえで先ほど見つけた「得意」など、現状で自分が持っているスキルセットが会社の求めに応えられるかを考えてみてください。ここはできるだけ細かく突き詰めるほど良いですね。

Q.「細かく突き詰める」、もう少し具体的に教えていただきたいです。

たとえば営業職ひとつをとってもその内容は大きく異なります。顧客と個別に交渉して気に入られるパターン、とにかくテレアポなどを数多くこなして「質より量」で結果を出すパターン、企画力をふんだんに使い提案そのもので相手の納得を引き出すパターンの3種類の営業手法があると思います。そしてどのパターンなのかによって使う仕事の「筋肉」は異なるのです。

1つ目であればおそらくコミュニケーション能力など人との関係を円滑に進めるスキルが求められるはず。2つ目であれば強靭なメンタルや行動力が、3つ目であれば発想力や分析力などが必要となるでしょう。

同じ「営業職」でもこんなに違うのです。そしてこれほど違う仕事の内容を、営業として一括りにして判断してしまえば失敗の原因になりますよね。求められているスキルに対して応えられないのであればどうしてもその会社に入ることは難しいかもしれません。自分の望む未来をかなえるのは少し遠回りになります。

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Qでは、今の就活生が入社後、新卒社員となって活躍していくためにはどのような力が求められていくでしょうか。

すべての変化速度が上がっている時代ですから、それについていける人材が求められます。言葉を変えると、新しいことを学ぶ努力を怠らない人、どんどんチャレンジする姿勢がある人。「これしかできない」と考えるのでなく、「こうはできないだろうか」と発想転換できる人材は多くの企業が欲しいと思います

あとは点の仕事で終わらせずに、線の仕事につなげていける人。ひとつの仕事を完了させるだけの人材より、完了した仕事を次につなげて線として仕事をどんどん伸ばしていく。それを周りの指示によってではなく自分から率先して取り組んでいく人がますます必要になってくる。それは経営者としての実感でもあります。

Q.ではここまでの話も含め、これから社会に飛び出す就活生の皆さんへ向けて松本さんから就活生へのメッセージをお願いします。

就活には大変な面もありますが、自分の将来を真剣に考える絶好の機会でもあります。このチャンスを活かすために心掛けてほしいのは、目先の内定や就職が大切なことはもちろんなのですが、先々の将来を見据えた発想を忘れないという点です

「○○だったらいいな」のレベルでもかまわないので自分の将来に目を向けて希望を持つこと。先々になっても自分の選択に納得できる就活をしてほしいと思います。そのために未来を見据えて考えてみることをすすめますね。

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