業界研究

【文学部の就職先】人気の業界や就職を有利に運ぶポイントをご紹介

文学部の就職状況とは

就活生が気になるのが、自分の所属している学部の就職率ではないでしょうか。個人の能力が大事だと分かっていても、実際にどの程度自分の学習経験が判断されるのか心配になってしまいます。

特に文系の学部では、「英文科」「国文学科」「哲学科」のような文学部よりも、「社会学部」「法学部」「経済学部」のような社会科学系の学部の方が就職に強いと言われています。

そのため、文学部の学生は「自分の学部で就職できるのか」「ほかの人よりも限られてしまうのではないか」と不安を抱える人も多いです。しかし、果たして実際にそのような「就職率の差」はあるのでしょうか。

本記事では文学部の就職率、公務員試験における有利・不利、就職を有利にするためのポイントまでを解説しています。文学部の就職について理解を深め、就活を優位に進めましょう。

文学部の就職率は86.9%

学部別の就職率
文・人文・外国系:86.9%
法学系:87.6%
経済系:89.3%
商・経営系:90.2%
国際系:87.3%
家政・生活・栄養系:93.5%
看護・保険・医療系:92.9%
福祉系:90.8%
農学系:91.6%
薬学系:85.0%
理工系:92.4%

主な文系学部(社会学部、経済学部、商学部)と比べて、文学部の就職率はどの程度なのでしょうか。大学通信オンラインが発表している「2020年 学部系統別実就職率ランキング」によれば、文学部の就職率は86.9%となっています。

就職率とは、就職希望者が就職に至った割合を表す数値のことであり、「就職者/就職希望者」となります。

このように文学部の就職率は、文系の他学部よりは少々劣ってしまうかもしれません。しかし文学部の学生は、大学院進学する人も多いと言われており、単純に数字だけで比較できるものではありません。

文学部の学生に人気の4つの業界

文学部に人気の4つの業界を表した図

学部によって人気の業界は変わってくるのでしょうか。文学部の就活生は、専門的な職業に進む理系学生に比べて進路に悩むことも多いです。

文学部であっても、就職先の選択肢は多くあります。そこでここでは、文学部の学生に人気の業界についてご紹介していきます。就職先に悩んでいる文学部の就活生は、ぜひ参考にしてみてください。

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1.金融業界

直接金融と間接金融を表した図

金融業界の種類
・銀行
・証券
・保険
・クレジットカード
・リース
・資産運用
・政府系金融
・外資系金融
・消費者金融

文学部の学生に人気の業界として、金融業界が挙げられます。金融業界はお金の流通に携わる仕事であり、多くの就活生から人気のある業界です。そのため毎年、金融業界の企業にエントリーする人も多く、文学部の学生からの人気も高い業界になっています。

金融機関は上記の図の通り、「間接金融」と「直接金融」に分けることができます。

直接金融は、「資金を必要としている人」と「資金に余裕がある人」がお互いに条件を提示し、仲介人を介さずに、資金の貸し借りや投資を行う仕組みです。証券会社などがこの直接金融を事業としている金融機関です。

一方で、間接金融は「資金を必要としている人」と「資金に余裕がある人」の間に、金融機関が仲介役として入り、取引を行う仕組みです。仲介取引をした際に生じる、仲介手数料が間接金融の利益になります。銀行などが、間接金融にあたります。

また、消費者金融やクレジットサービス業も金融業界に含まれます。このように、金融業界といっても幅広く、職種によって仕事内容も大きく異なります。そのため、金融業界に興味を持った場合は、自分がどの業種に就職したいのかをきちんと考えて就活をする必要があります。

金融企業の基礎知識については、こちらの記事で詳しく解説しています。

2.サービス・インフラ業界

サービス業と製造業の違いを表した図

サービス業界の種類
・情報通信業
・運輸業、郵便業
・不動産業、物質賃貸業
・学術研究、専門・技術サービス業
・宿泊業、飲食サービス業
・生産関連サービス業、娯楽業
・教育、学習支援業
・医療、福祉
・その他サービス業

インフラ業界の種類
・エネルギー(電力、ガス、石油)
・交通(鉄道、バス、航空機)
・空間(公共施設、バリアフリー、音声ガイダンス)
・生活(ごみ処理場、上下水道、電話、インターネット)

サービス・インフラ業界は、文学部の学生に人気の就職先のひとつです。サービス業は「人」に対して直接的に価値を提供できる業態が多いです。文学部は特に女子学生の比率が高く、「人に喜んでもらいたい」「誰かの役に立ちたい」と考えるホスピタリティ精神の強い女子学生から人気の業界となっています。

サービス業には、ホテルや旅館のような宿泊業や、飲食業などがあります。他にも、法律事務所や福祉、介護関係の仕事もサービス業に含まれます。個人や社会に対して、奉仕的な活動を行う産業です。

このように「サービス」の中でも多数の産業があるので、「無形商材を扱っている企業が良い」という方は、どの産業に行きたいのか志望理由をはっきりさせ、志望動機に織り込むとよいでしょう。

インフラ業には、電力・ガス・石油のようなのエネルギーを扱う業種や、鉄道や航空のような交通機関などが挙げられます。インフラ業界は金融業界と同じく、学部による有利不利が無いため、文学部の学生からの志望も多くなっています。

インフラは無くてはならない存在のため、世に必要とされる基盤をつくりたいという人に向いているでしょう。毎年就活生からの人気が高く、特に高学歴の学生が多いのも特徴です。また部署によっては、学部や学科を問わない場合も多いです。気になる企業があるときは、募集要項を確認してみましょう。

インフラ企業については、こちらの記事で詳しく解説しています。

3.小売業界

小売業界のビジネスモデルを表した図

小売業界の種類
・コンビニエンスストア
・スーパーマーケット
・ドラッグストア
・ホームセンター
・100円ショップ
・雑貨屋
・百貨店
・デパート

小売業界の中には、百貨店やスーパーマーケット、コンビニエンスストアがあります。小売業界は、製品を仕入れて消費者に販売する業種です。

小売業界も、サービス業と同様に「人」に対して直接的に価値を提供できる業界であり、「人に喜んでもらいたい」「誰かの役に立ちたい」と考える学生から人気の業界となっています。そのため、人と接することが好きな人に向いている職業といえるでしょう。

小売業界では、主にスーパーマーケット、コンビニエンスストア、百貨店が挙げられます。「小売」と聞くと、昨今の消費者の購入意欲低迷により、利潤が少ない産業であると感じる人も多いです。

しかし、近年では富裕層に向けた限定販売、外国人観光客に向けた施策、オンラインショップにも参入したりと常に新しい商法にチャレンジしています。IT化・グローバル化が進み、小売業はアクティブな業界ともいえるでしょう。

また小売業界の就職を考える場合は、企業選択が大切です。コンビニエンスストアひとつとっても複数の競合会社があり、なぜその企業に就職したいのかという根拠を明確にする必要があります。業界・企業研究を念入りにおこない、自分が重視したい働き方やビジョンを明確にしておきましょう。

4.製造業

モノの流れを表した図

製造業の種類
・素材系
・加工組立系
・生活系

製造業は、原料に手を加えることによって商品を作り上げて販売する業種です。メーカーとも呼ばれ、自動車メーカー、食品メーカー、化粧品メーカーがあります。商品を作り上げ販売するというところは一致していますが、商品自体はまったく違うため、何のメーカーかによって仕事内容も違ってきます。

製造業では、「化粧品」や「食品」「飲料」など、日々の生活に大きくかかわっている製品が多いです。文学部は他学部に比べ、女性の比率も高く、コスメやファッションなどで「自分の好きな商品に携わりたい」「プライベートブランドの新商品を企画したい」と考える学生も多く、人気となっています。

原料を加工して商品を作り上げる部分については、理系の職種である場合が多いです。文学部の学生は、製造業の中でも事務や販売が主な仕事になるでしょう。

日本は戦後、物資が乏しい国でした。しかし、製品を加工して商品をつくる「加工技術」の向上により、新しい技術や新商品である自動車や家電製品、化粧品を次々と開発し「技術大国」として日本の発展をけん引してきました。

また自動車業界のような市場規模の大きい製造業は、部品や製造ロボットなど、関連する産業にも与える影響が大きいです。そのため、どの製造業に携わろうと、日本を支えている実感を得ることが出来ます。

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文学部から公務員就職は可能なのか

公務員の種類を表した図

他業種と比較して「収入や将来が比較的安定している」という理由から、公務員を希望する学生は多い傾向にあります。結論から言えば、文学部でも公務員に就職することは可能です。

「公務員試験」を受験し、合格することで公務員になることが出来ます。

また難関試験の1つである公務員試験は、受験科目が非常に多いことでも有名です。そこで公務員試験の受験に備え、しっかりと事前準備をする必要があります。ここでは文学部の公務員試験について解説します。

公務員試験に学部は関係ない

公務員試験を受験するために、学部は関係ありません。公務員では、国家公務員、地方公務員、警察、教師など種類は様々存在しています。

大卒・高卒のような学歴に基づいて受験できる試験は分類されますが、文学部出身なら行政職(事務職)の区分で受験しなければならない等の制限はありません。

従って自分の経験を踏まえ、自身の能力が最も活かせる区分を自主的に見つける必要があります。出身の学部を気にする必要はありません。

職種によっては資格が必要になる

資格免許が必要な公務員
・保育士
・栄養士
・薬剤師
・保健師
・看護師
・獣医師
・司書

公務員の主な資格免許職は、上記の通りです。

数多く存在する公務員の職種の中でも、職種によっては資格が必須のものもあります。自分の希望する職種はどんな条件を元に募集しているのか、自分でよく調べましょう。

就職を有利にする2つのポイント

就職を有利にする2つのポイントを表した図

ここまでは、文学部の就職先について解説してきました。文系と理系に応募資格の条件はあれど、文系の中の「文学部だから応募できない」といった業界はありません。

しかし誰でも応募できる資格があるからこそ、数多い応募者を選考で勝ち抜くために、企業から内定を得るためのポイントを理解しておく必要があります。ここでは、企業に好印象を持ってもらえる主なポイントを解説しています。

少しでも就職を有利にするために、実際に行動してみましょう。

1.語学系の資格を取得

まず1つ目は、語学系の資格を取得することです。語学の資格試験で代表的なのは「TOEIC」や「TOEFL」のような、英語の資格試験です。昨今はグローバルに活躍できる人材が求められており、企業によってはTOEICの点数が出願資格に含められている企業が多いです。

面接では時に「なぜTOEIC(またはTOEFL)のを受験したのか?」という質問をされる場合があります。その時に「就職に有利だから」という理由だけでは深みがなく、企業と自分の将来を真剣に見据えていないと判断されてしまうかもしれません。

そのため、単純に資格試験で高い点数を取ればいいわけではなく、その試験を受けた「理由」「過程」のようなバックグラウンドが重要ポイントになります。

例えば、「英語力を高め、シリコンバレーの技術力を日本に広めたいから」や「発展途上国で働き、難民問題を解決したいから」など、バックグラウンドの説明ができるようにしておきましょう。

2.アルバイトでの経験

2つ目のポイントは、アルバイトで経験を積むという点です。アルバイトでの経験は、就活において実務経験と同等の価値と見なされる可能性があり、未経験者より優遇して採用される場合があります。

「飲食業やアパレルの接客業」「コールセンターの電話受付・対応」「塾講師など教育系」さらに専門性を磨きたいなら「IT系エンジニア」などがアルバイトとして該当します。自分の希望する職種に活きるアルバイト経験を企業側に示すことができれば、仕事に対する真剣さもアピールできておすすめです。

職種によりますが、アルバイトだけでなくインターンの経験を積むのも、就活において有利になって来るでしょう。インターン先の企業で結果を出し、最終的な就職に漕ぎ着けたというケースも数多くあるので、考慮に入れて損はありません。

アルバイト経験を自己PRする際のポイントについて、こちらの記事でもさらに詳しく解説しています。

文学部は就職に不利ではない

文学部出身の学生にとっては、就活は「文学部で学んだこと」が活かせる就職先という視点でのアプローチから入ると狭き門と感じるかもしれません。しかし、学んだことを専門的能力として提示できるよう資格試験にチャレンジしたり、あるいは逆に専門がないことで柔軟性をアピールするなど、就活を有利に進める手は無数に存在します。

大学受験の際、文学部を選択した理由は人それぞれでしょう。この科目がどうしても勉強したくて文学部を選んだという人や、そこまで情熱を持って入学したわけではないため就活に少々尻込みしている人もいるかもしれません。

数多く存在する学科の中で、最終的に文学部を選んだのには、文学部に何か惹かれる理由があったからでしょう。まずその原点に戻り、就活を有利に進めていくプランを立てると、文学部が決して就職に不利ではないと実感できるはずです。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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