業界研究

【お菓子業界研究ガイド】主要企業10選と就活に役立つ情報を解説

お菓子業界とは

お菓子は嗜好品という位置づけのものになりますが、一日三食の食事とは違うけれども間食にしたり手土産にしたりするなど私たちにとって身近なものです。

普段なにげなく手にしているお菓子は、身近だといっても販売されている商品を手にする機会があるくらいです。お菓子業界が具体的にどのような仕事をしている業界なのかは、はっきりと知らないのではないでしょうか。

お菓子業界を志望するのであれば、まずはお菓子業界の基本的な情報を把握しておきましょう。

お菓子業界

お菓子業界は菓子の製造をおこなう製菓メーカー、菓子の流通をする専門商社、菓子の販売を専門にする専門店の大きく3つにわけることができます。その中で知名度が高いものは製菓メーカーです。

東京や大阪に本社を置く大手製菓メーカー、地方に本社を置く大手製菓メーカーの他、中小製菓メーカーも多数存在して、いろいろなブランドのお菓子を製造しています。

お菓子の専門商社は製菓メーカーと販売業者をつなぐ役割のものです。流通を中心としながらも、海外生産を活かした低価格のプライベートブランドの商品を製造、販売していることもあります。

販売専門店では、立地にあわせて客層に応じた店舗を展開し、各店舗が分権経営をすることで急成長している企業もあります。

お菓子業界の業績推移について

  • 業界規模:1兆3,558億円
  • 平均年収:595万円

お菓子業界の過去の推移をみていくと、平成17年から20年までは増加傾向にありましたが、21年から25年では横ばいとなりました。25年以降はわずかながら増加傾向にあり、現在の業界規模は1兆3,558億円となっています。

円安の影響で、材料の多くを海外から輸入しているお菓子業界にとって、厳しい状況が続いてきました。最近は景気は回復傾向にあるとはいえ、個人消費はまだまだ低迷が続いている中で、生産数量、生産金額、小売金額ともに、前年をわずかながら上回る結果になっています。

近年の少子化の影響もあり、国内市場は縮小傾向ですが海外進出の拡大に注目が集まっています。

お菓子業界の細かい職種分類について

  • 商品企画部
  • 研究・開発
  • 営業・販売
  • 製造・生産
  • 物流部門
  • 機能部門

商品企画部門は、営業やお客さまサービスセンターを通じて得た声や、研究開発部門をはじめとするさまざまな部門と連携をして商品を作っています。研究・開発部門は、新しい製法や、食感・口どけなどを追及し、研究して新商品の開発をしています。

営業は出来上がった商品を、スーパーやコンビニなど小売業に、新商品やイベントに合わせて売れ筋商品の提案するなどしています。販売は商品を陳列して商品管理をしながら販売し、商品説明やクレーム等にも対応しています。

製造・生産部門は最新の設備や、技術のアイデアを具体的に実現化して、実際にラインにのせて商品を製造しています。機能部門は人事部や経理部、資材部など専門的な機能をもち、企業活動を円満に支える仕事をしています。

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主要企業10選紹介

お菓子は暮らしに身近にあるもので、大手企業に限らずひとつヒット商品が出れば有名になる中小企業も含め、企業数は非常に多くあります。私たちのよく知る企業では製造している製菓メーカーや、販売を担当している専門店が多いですが、その間の流通を担当する専門商社もあり、グループ化している企業もあります。

お菓子業界を詳しく知り就活の参考にするためには、主要な企業を知っておくことが大切でしょう。ここでは、主要企業を順番に紹介していきます。

①江崎グリコ

  • 企業名 江崎グリコ株式会社
  • 代表者名 江崎 勝久
  • 従業員数 5,364人
  • 設立年月日 1922年(大正11)年2月11日

江崎グリコは栄養価の高いグリコーゲンの成分を使って、治療ではない予防として国民の健康に貢献したいという考えが、創業のきっかけになった企業です。創業者の「うちは単なる菓子屋ではない。大切な国民栄養補給の一端を受け持つ栄養業であり、この崇高な使命を誇りとしておる」という言葉が残っています。

この「おいしさと健康」を届ける先は、今や日本だけはありません。世界の人々へむけてグローバル化を進めている企業で、タイ、中国を軸にアジア市場での存在感を一層高め確立した後、世界中に展開することを目指しています。

②カルビー

  • 企業名 カルビー株式会社
  • 代表者名 松本 晃
  • 従業員数 3,763人
  • 設立年月日 1949年4月30日

カルビー株式会社はスナック菓子とシリアルの国内シェアはNo.1で、日本国内のじゃがいも生産量約250トンのうち約15%にあたる38.4万トンのじゃがいもを使っている企業です。

従業員が自らのキャリアを自分自身で考え、そのために自ら挑戦し、キャリアをつかみとるための人事制度が設けられています。内定後に本部長の前で自己PRや目指す人物像を伝える「ドラフト」をはじめ、いろいろなチャレンジ制度や研修、ワークショップもおこなわれています。

フレックスタイム制度、在宅勤務制度も取り入れて、ライフワークバランスの向上にも取り組んでいる企業です。

③森永製菓

  • 企業名 森永製菓株式会社(MORINAGA&CO.,LTD.
  • 代表者名 代表取締役社長 新井 徹
  • 従業員数 1,334名
  • 設立年月日 1899(明治32)年8月15日

森永製菓は「おいしく、たのしく、すこやかに」「価値と感動のある製品・サービス・情報を提供する」という理念の企業です。「世界の子どもたちに貢献できる企業になる」という夢を実現しようとしています。

キャリア開発支援体制も整っており、自らのキャリアを考えていくためにさまざまなものの提供があります。例えば社内向け研修などの情報の場の提供、通信教育や公募選抜型研修などの学習の場の提供です。また自己申告制度、社内公募、ジョブローテーションなどの経験の場の提供、キャリア面談、キャリア相談などの個別相談の場の提供も充実しています。

④亀田製菓

  • 企業名 亀田製菓株式会社
  • 代表者名 佐藤 勇
  • 従業員数 3,197人
  • 設立年月日 1957年8月

亀田製菓は「男性はどぶろくで気晴らしが出来るが、女性や子供には楽しみといえるものがない。なにか生活に喜びと潤いを届けたい」という想いが企業のきっかけです。

戦後間もない食糧難の時代に水あめづくりに挑戦するところから始めました。本社は美味しいお米の産地である新潟県で、東京オフィスに営業本部をおき、8支店23拠点を全国に持っている形態で、公式ページからのネットショップも開設しています。

国内米菓事業、新規事業に加えて、日本を代表する米菓を世界に向けて展開し米菓を通して世界中の人々に健康や幸せを届ける「グローバル・フード・カンパニー」を目指している企業です。

⑤ブルボン

  • 企業名 株式会社ブルボン
  • 代表者名 吉田 康
  • 従業員数 約4,900名
  • 設立年月日 1924(大正13)年11月20日

ブルボンは、関東大震災の影響で地方への菓子供給がストップした状況をみて、北日本製菓として創業した企業です。新潟県に本社があります。

ほかに赤坂オフィス、神戸オフィスなど15営業所を構え、「利害相反する人を含めて、集団の生存性を高める」ということを経営理念としています。オンラインショップも開設しており、お菓子をはじめ保存食としてのカンパン、クラッカー、ミルクビスケットなども手軽に購入できるようになっています。

⑥明治 

  • 企業名 株式会社 明治 (英文名:Meiji Co., Ltd.)
  • 代表者名 代表取締役社長 松田 克也
  • 従業員数 10,815人 (2019年3月31日現在)
  • 設立年月日 1917年12月21日 

明治は、2017年に創業100周年を迎えた、明治ホールディングスの子会社の内のひとつです。「明日をもっとおいしく」を企業スローガンとしており、赤ちゃんからお年寄りまであらゆる世代に対して「おいしさ・楽しさ・健康・安心」の世界を広げ、日々の生活充実に貢献することを目的としています。

研修プログラムも充実しており、新入社員研修、管理職研修といった階層別の研修はもちろん、グローバル研修やライフプラン研修、女性活躍のための研修など、キャリア研修もおこなっています。

また、産前産後休暇・育児休業後の復職率100%の数字が示すように、女性の活躍やワークライフバランスに対するサポート制度も充実しているといえるでしょう。

⑦ 不二家

  • 企業名 株式会社 不二家(FUJIYA CO., LTD.)
  • 代表者名 代表取締役会長 山田 憲典 / 代表取締役社長 河村 宣行
  • 従業員数 正社員1,161名
  • 設立年月日 1910年(明治43年) 11月16日

「ペコちゃん」のキャラクターで有名な不二家は、横浜元町に洋菓子店を開店したことから始まりました。馴染み深い「ショートケーキ」を考案したのが、創業者である藤井林右衛門氏だといわれています。「常によりよい商品と最善のサービスを通じて、お客様ご家族に、おいしさ、楽しさ、満足を提供する」を経営理念に、ケーキをはじめとする洋菓子や、チョコレート・キャンディなどの菓子類を多く発売しています。

入社後半年ほどは工場見学や店舗・工場での実習などをおこない、9月中旬に正式配属となります。その後もOJT形式での育成になりますが、入社後3年間はフォローアップ研修をおこなうなど、人材の育成に力を注いでいるようです。

⑧井村屋グループ

  • 企業名 井村屋グループ株式会社
  • 代表者名 代表取締役会長 浅田 剛夫/代表取締役社長 中島 伸子/代表締役副社長 / 前山  健
  • 従業員数 46名(2020年3月31日現在)
  • 設立年月日 昭和22年(1947年)4月

あずきバーなどで知られる井村屋グループは、「ミッション(社会的使命)」「ビジョン(ミッションを果たす道程)」「パッション(情熱、心意気、行動)」をグループ理念に掲げ、「おいしい!の笑顔をつくる」をミッションとしています。

アルファベットの「i」がふたつ連なった形をした井村屋グループのコーポレートマーク(通称アイアイマーク)は「i」を人に見立て、母と子を表現しており、人と人との繋がりや母と子の愛情・慈しみの心を持ち、社会に貢献できるように、との思いが込められています。

 ⑨寿スピリッツ

  • 企業名 寿スピリッツ株式会社
  • 代表者名 代表取締役社長 河越 誠剛
  • 従業員数 9名 (1,433名〈連結ベース〉) / 2019年(平成31年)3月現在
  • 設立年月日 1952年(昭和27年)4月25日

寿スピリッツグループは「喜びを創り喜びを提供する」を経営の基本理念にしています。また、経営理念の具現化に向け、「熱狂的ファン創り」を基本ポリシーに、活力ある魅力溢れた企業集団を創り、「高い価値を創造」する高利益企業を目指しています。

グループには、北海道地区で「ルタオ」や「グラッツェル」などを経営する「株式会社ケイシイシイ」、東京地区で「築地ちとせ」や「東京ミルクチーズ工場」、「ザ・メープルマニア」などのブランドをもつ「シュクレイ」などが名を連ねています。

観光地のお土産の品や、プレミアムギフト用のスイーツなどに焦点をあてた経営戦略をとっているようです。

 ⑩湖池屋

  • 企業名 株式会社湖池屋
  • 代表者名 代表取締役会長 小池 孝 / 代表取締役社長 佐藤 章
  • 従業員数 851名(2019年6月30日現在)
  • 設立年月日 1958年1月

ポテトチップスなどの商品で知られる湖池屋は、多くの日本人にとってお馴染みの製菓メーカーといえます。「湖」の文字を六角形で囲んだ同社の新しいロゴマークは、従来の「親しみ」「安心」「楽しさ」に「本格」「健康」「社会貢献」を加えた、新生湖池屋のコアバリューを表現しています。

従来の発想に捕らわれない、独創的な新商品を開発し続ける湖池屋の商品には「未常識を形にする」という共通項があるようです。高い品質を守りながらも、常に新しい発想に挑戦し続ける姿勢が、湖池屋の社員には求められているでしょう。

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お菓子業界ではプライベート商品の生産も多い

PB(プライベートブランド)とは、各メーカーの企画販売されているものではなく、いわゆる中身だけを各メーカーが作り、各小売店などが自社ブランドとして企画販売する物を指します。一方、各メーカーが企画販売する商品はNB(ナショナルブランド)と呼ばれます。

各小売店は、プライベートブランドを掲げることで低コストで良質な商品を販売できるというメリットがあるため、様々な小売業がこのプライベートブランドを保持しています。店舗に来店する顧客の声に合わせてPB商品を作るほか、販促・宣伝費などがかからないため利益率もナショナルブランドと比較すると高いといわれています。

プライベート商品を扱っている小売業

プライベートブランドを扱っている小売業は数多く存在します。例えば、普段立ち寄るセブンイレブンやファミリーマート、ローソンなどは各メーカーが企画販売している商品の他に、プライベートブランドの棚があり、そこに陳列されているお菓子がそれにあたります。

セブンイレブンは「セブンプレミアム」ファミリーマートは「ファミリーマートコレクション」ローソンは「ローソンセレクト」といったブランド名がパッケージに記載されているため、立ち寄った際に手に取ってみるとよいでしょう。また、コンビニのほかにも、イオン、ドン・キホーテ、マツモトキヨシなど、スーパーやドラッグストアといった小売り店にも多数プラべートブランドが存在しています。

プライベート商品を生産するメリット

小売業がプライベートブランドを販売するメリットは先にも述べた通りですが、一方でプライベートブランドの製造を発注されるメーカー側にも商品を生産するメリットがあります。それは、常に商品の供給をするため、販売が確約されることになり、工場の稼働率を向上させることが出来るのです。

お菓子によっては、閑散期が存在するお菓子もあります。たとえば、チョコレートを扱う商品は夏に需要はないため、ナショナルブランドの売上げが落ちてしまいます。ところが、プライベートブランドが存在することで供給量が多少減っても、一定の数量は生産する必要が出てくるため、閑散期に売上げを積み上げることができるのです。

また、プライベートブランドで製造をおこなっておくことで、ナショナルブランドの新商品の発売時に、販促活動がしやすくなるというメリットもあります。

お菓子業界研究のおすすめ書籍紹介

お菓子業界を知るためにはネットで調べたりニュースのトピックを調べたりするほかに、書籍で研究を進める方法があります。書籍は購入にお金がかかるだけあってネットやニュースなど無料で発信されているものとはまた違い、有益で信頼の高い情報を得ることができるといえるでしょう。

書籍で知った情報を活用して業界研究をより深いものにすると、志望する業界や企業を決めやすくなり面接対策にも約に立つので、おすすめです。

①わさビーフしたたかに笑う。

わさビーフしたたかに笑う。は、大手企業ではないからこそできる、中小企業ならではの戦略や、開発力の秘密を解説した1冊です。お菓子業界の中小企業である山芳製菓が生み出したヒット商品わさビーフを通じて、大手企業のまねをするような売れ筋商品をあえて作らないという独自の戦略を学ぶことができます。

海外から材料を輸入することの多いお菓子業界は、円安の影響や近年の少子化の影響で厳しい状況が続いてきました。その厳しい中で成長をとげている企業を知ることは、お菓子業界を目指すのであれば一読の価値があるといえるでしょう。

発想のよしあしに企業規模は関係ありません。トップシェア以外の会社がやるべきブランド戦略が学べる1冊です。

②「会社四季報」業界地図2018年版

「会社四季報」業界地図2018年版は、経済記者が図解する全176業界3600社の情報が載った、就活生にとって業界を研究するのに役立つ1冊です。就活が終わって企業で働くようになってからも、ビジネスパーソンにとっては顧客分析、投資家にとっては銘柄発掘に役立つ情報が満載です。

各業界の売り上げランキングや意外な提携関係もよくわかり、業界での給与格差も見逃せません。国内の上場企業予想を中心に、所在地から財務情報まで会社についての情報がまとめられたハンドブックといえるでしょう。

お菓子業界を目指している人にとっては、他の業界との関連を知ることも大切なことで、お菓子業界について深く知ることができます。就活を円滑に攻略するために必読すべき1冊です。

お菓子業界を深く知り就活を有利に進めよう


ひと言で「お菓子」といっても、チョコレートやクッキー、キャンディといった甘いお菓子もあれば、スナック菓子やおかきのような塩気のあるものあり、さらに和菓子・洋菓子といった区分けも存在します。最近では「乳酸菌配合」のような健康志向のお菓子も次々と発売されています。別の視点でみると、スーパーやコンビニなどで購入して日常的に食べられるお菓子から、お土産やギフト用の高級菓子まで、値段やターゲット層も様々です。

同じ理念を持つ企業内でも、部門によってターゲット層も商品もガラリと変わるのがお菓子業界です。そのため、企業研究は綿密におこない、求められるであろう柔軟な思考力や発想力をもって、就活をより有利に進められるように準備をしましょう。

監修者プロフィール

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吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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