身だしなみ

【フォーマルスーツとは】リクルートスーツとの違いを解説

フォーマルスーツとは?

フォーマルスーツは、ぱっと見たときには普通のスーツと同じように見えますが、実は礼服の種類のうちの一つです。そのため、一般的なスーツとは用途が全く異なります。

では、礼服とはどういうものでしょうか。それは、冠婚葬祭に着ていく洋服です。夜に着る正礼装が燕尾服、昼間に着る正礼装がモーニングコート、昼夜問わず着用できる準礼装がタキシードで一番格式の低い略礼装がフォーマルスーツと分類されます。

フォーマルスーツはネクタイの色を替えれば慶事にも弔事にも使うことができるので、社会人になると必ず一着は持っておくべきアイテムといえます。

一般的に冠婚葬祭で着用する

フォーマルスーツは、慶事にも弔事にも使うことができるスーツです。フォーマルスーツの「formal」という英単語の意味は「公式の・儀礼的な・礼式の」という意味です。ですから、冠婚葬祭のような公式的な行事において、また礼儀作法が必要とされる場において、ふさわしい服装なのです。

スーツ文化の欧米では、フォーマルスーツ=公式の場の服装として認知され、スーツ服飾文化が発達しました。社会人になってから参加機会が徐々に増える冠婚葬祭時のマナーとして、フォーマルスーツを一着仕立てておくのも良いでしょう。

フォーマルスーツとリクルートスーツとの違い3つ

フォーマルスーツは冠婚葬祭に着る略礼服であることが分かりました。しかし色や形など、ひと目見ただけではリクルートスーツとの違いは分からないような気もします。

就職活動において、リクルートスーツの代わりにフォーマルスーツを着用しても、面接官からは気づかれないものなのでしょうか。リクルートスーツとフォーマルスーツの違いを3つのポイントからみていきましょう。

①生地の色

フォーマルスーツとリクルートスーツを並べて明るいところで見比べると、違いがわかります。同じ黒でも色の濃淡に違いがあることが分かります。フォーマルスーツの方が、明らかに黒色が濃く見えるでしょう。

フォーマルスーツとリクルートスーツにこのような色の差が出るのは、使用している生地の質が違うからです。略礼服として作られたフォーマルスーツは、礼装の王道生地であるドスキンや軽量でつやのあるタキシードクロスなど高級な素材で作られています。スーツの生地は高品質なものほど濃い色になるという特徴があるため、フォーマルスーツは深い黒色の仕上がりとなっているのです。

一方リクルートスーツはウール100%かポリエステル混のことが多く、安価に作られています。スーツによっては、黒ではなくダークグレーに見えるほど色が薄いこともあるでしょう。

②生地の質感

結婚式など慶事で着用することが多いフォーマルスーツは、華やかさを演出するためつややの光沢のある作りになっています。良い生地であればあるほど、高級感あふれる仕立てになっているのです。

一方、リクルートスーツはウールのほかにポリエステルを使用しているため、光沢はありません。仮にウール100%のものだったとしても、フォーマルスーツに比べると光沢は抑えた作りになっています。そのため、リクルートスーツを着用している学生の中で一人だけフォーマルスーツを着ていると、場違いな華やかさが出てしまいます。悪い意味で目立ってしまうことになるでしょう。

③ディテール

フォーマルスーツとリクルートスーツでは、細かい部分のデザインも違います。

一つ目は、ベントの有無です。ベントとは、動きやすくするためジャケットの裾に入っている切れ込みのことをいいます。リクルートスーツにはベントが入っていますが、フォーマルスーツにはありません。

二つ目はラペルの形です。ジャケットの襟は、刻み部分の切り替えをゴージライン、ゴージラインから上の襟をカラー、下の襟をラペルといいます。リクルートスーツのラペルは、ゴージラインがまっすぐで襟の刻みが菱形のノッチドラペルで作られています。フォーマルスーツは、ラペルの先端が鋭角で上向きになっているピークドラペルです。ノッチドラペルとピークドラペルでは襟の形が全く違うので、フォーマルスーツを着ていることはすぐに気づかれてしまうでしょう。

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フォーマルスーツの選び方

冠婚葬祭時の着用マナーともいえるのがフォーマルスーツです。礼服であり、公式的な行事への参加の際に必要となる服飾とお分かりいただけたでしょう。ですから、失礼のないスーツを選ぶ必要があります。お店で陳列されている数あるフォーマルスーツの中から選ぶのも一苦労ですよね。

どのようなフォーマルスーツを購入すればよいか、見分けるコツについて紹介していきます。

長く使うことを考えて選ぶ

毎日毎日、冠婚葬祭があることは確率としては大変低いです。そして人生においても、ビジネスとして着用するスーツより出番は極端に少ないでしょう。ですから、今後のことを踏まえて、長く着用できるスーツを選ぶことがおすすめです。そして、飽きのこないデザインで、シンプルかつ質の高いものを選ぶことがコツになります。

ほとんどのフォーマルスーツには裏地ありの秋冬・裏地なしの春夏タイプがあります。どちらかのタイプを1着持っていると安心です。1着購入する場合、保温性のある裏地ありの秋冬タイプを購入してください。1年のうち秋~冬、そして春までは肌寒い日が続きますので、夏以外で購入の機会がある場合は秋冬用で事が足りるのです。

裏地なしの春夏タイプは、レンタルで借りるか、次のシーズンで購入をすれば良いでしょう。秋冬・春夏の2種類を持っていると安心ですが、見た目からは区別があまりつかないので、自分が室内では暑がりか・寒がりかなのかということも加味して選ぶと、長く着用できるでしょう。

一般的なシンプルなデザインのものを選ぶ

このように、フォーマルスーツは長い付き合いになるスーツです。前述の通り、デザインはシンプルなものを選び、長く使えるようにしましょう。ここで注意しなければならない点は、スーツ業界にも流行があるということです。その時々の細かなデザインやディテールのブームに目移りしないようにして、購入する際は流行デザインのものは控えておきましょう。

ちなみに、フォーマルスーツにもダブルとシングルがあります。どちらも格式や礼儀に違いはありません。シングルの方が体になじみやすく、すっきりして見えるので無難です。

スーツのサイズは、購入当時の自分の体のシルエットにフィットするタイプより、少し大きめのものを選ぶと良いでしょう。3年後、5年後、10年後。自分の体形維持に自信があれば、細身シルエットのものを購入しても構いません。出番が少ないフォーマルスーツですから、どんなシーンにも・どんな時間軸でも、フォーマルスーツを着続けることができるように選ぶことが重要になります。そして、飽きのこないシンプルなものこそ、他人に配慮ができる、マナー=気遣いの現れでもあります。

フォーマルスーツを着る場面【メンズ編】

それでは、シチュエーション別にフォーマルスーツの着用の仕方やコツを紹介します。冠婚葬祭は一生のうちに頻繁に参加することがない数少ない機会ですから、TPOを守り、失礼にならないように参加したいですよね。

・葬式の場合

・結婚式の場合

・卒業式の場合

上記の3つのシーンに分けてご紹介します。それでは、まずはメンズ編からご紹介していきます。

①葬式の場合

まずは、お葬式の場合です。お葬式は「故人を偲ぶ場」です。控えめな服装を心がけましょう。そのために正装をしますので、一般的にはフォーマルスーツを着用します。フォーマルスーツにも様々ありますが、お葬式では生地に光沢がないものを着ていきましょう。

スーツはダブル、シングル、どちらもOKです。殺生・死を連想させる毛皮や革は着てはいけません。もし冬にお葬式に参加することになった場合は、コートは会場に入る前に脱ぎ、手に持っておきましょう。

業務を終わらせて、会社からお通夜に直接向かうことも想定されます。その場合、フォーマルスーツを持参していないことが考えられますので、派手なスーツでなければ参列は可能です。ただし、ネクタイは黒色のものを着用してください。最近ではコンビニ、キオスクでも販売しています。もしくは会社のロッカーや車に1本は常備しておくことをおすすめします。いずれにせよ、訃報が届いても慌てず、事前にネクタイやフォーマルスーツ一式を備えておきましょう。

②結婚式の場合

では、結婚式の場合はどうでしょうか。お葬式とは相反して慶事の場となります。フォーマルスーツは、お葬式では生地に光沢がないものを着用するべきでしたが、結婚式の場合は生地に光沢があるものでもOKです。光沢は華やかさを演出するため良いとされています。

そして、ある程度のお洒落や服飾は許容されますが、主役は新郎新婦ですから、過度なお洒落は失礼にあたる可能性があります。上品なお洒落で装いましょう。シャツは、柄のない白色の無地シャツをおすすめします。スーツは光沢があるものでもよいのですが、光沢のある白色シャツは、白色がメインの新郎と被るので、結婚式では着用を控えるのが一般的です。

逆に黒いシャツは、お祝いの場では暗い印象を与えます。お洒落はしてもいいのですが、あくまでも上品に、そしてお祝いをする立場だという自覚をもって参加しましょう。

③卒業式の場合

最後は卒業式の場合についてです。社会人になり、結婚をして、子供が生まれる。そうなると、必ずやってくる行事が子供の卒業式ですね。いつか「父親」として参加をすることになるでしょう。

子供の学業の節目に、フォーマルスーツを着用する機会が出てきます。卒業式も略礼装であるフォーマルスーツで参加をします。ただし、昨今の卒業式の場合、父兄の皆さんはビジネススーツを着用している方が多く見受けられます。色も黒ではなく、ダークグレーや紺、ストライプが入ったものを着用している方もいます。

フォーマルスーツを着る場面【レディース編】

メンズのシチュエーション別の着用場面は分かりましたね。それでは次はフォーマルスーツを着る場面【レディース編】について解説していきます。レディースはメンズに比べて、お洒落の幅がグッと広がるので、過度に派手にならないように着用しましょう。

①葬式の場合

男性の場合、お葬式に参列する際はフォーマルスーツを着用して控えめな格好を順守します。では女性はいかがでしょうか。もちろん男性同様、女性も控えめな格好を守り、肌をあまり見せないようにします。

黒のワンピースやブラウスを着用し、ストッキングと靴も黒色のものを履きます。故人を偲ぶ場ですから、明るい色の髪飾り、カバン、靴は避けます。弔事の場ですので、基本的には黒色で揃えた方がよいです。

②結婚式の場合

次にご紹介するのは結婚式でのフォーマルスーツについてです。結婚式となると、花嫁よりも目立つことは禁止ですが、せっかくのお祝い事ですから、新郎新婦の心中としては招待客の皆にもお洒落を楽しんでほしい、華やかな時間を一緒に過ごしたいというのが本音でしょう。

現在ですと、ほとんどの女性の方はワンピースにジャケット、もしくはパーティードレスにストールを羽織るというスタイルが広く見受けられます。もちろんフォーマルスーツで結婚式に参加することもOKです。着まわしが利くジャケットコーディネートを、冠婚葬祭で着まわしたいと思っている女性もいるでしょう。

・ワンピースは露出が多いので、できれば避けたい

・親族の結婚式なので、落ち着きのある服装にしたい

・冠婚葬祭で長く着まわせる服装が1着あれば嬉しい

上記の方にフォーマルスーツはおすすめ。華やかさの演出には少々劣るかもしれませんが、上品さ、清潔さ、落ち着きのある格好になりますので気品が出ます。地味で控えめな格好だなと感じたときは、アクセサリーや小物でアレンジをして、自分だけのオリジナルスタイリングを生み出せます。フォーマルスーツでも十分にお洒落を楽しめます。

③卒業式の場合

最後にご紹介するのは卒業式の場合です。冠婚葬祭で着まわしができて、卒業式にも着用できるのがフォーマルスーツの利点です。卒業式が行われるのは3月の春前がほとんどです。肌寒い日が続いている最中ですから、保温性があるフォーマルスーツは大変おすすめ。ジャケットとお手持ちのブラウス、スカートを合わせたり、寒い日にはパンツスーツを履いてもよいでしょう。将来は、服装はきちんと感を出して、子供の記念すべきセレモニーに出席しましょう。

あくまでも主役は子供。昨今の教育現場の公式セレモニーは、服装に関して比較的自由度が高くなりましたが、ミニスカート、高級バッグ、大きなアクセサリー、派手な髪飾り、濃い化粧、ピンヒールなどはそもそも式に参加する格好ではありません。子供の学業修了を称える式ですから、その場その場にあわせたふさわしい上品な格好を目指しましょう。

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就活にフォーマルスーツは不適切

フォーマルスーツとリクルートスーツの色や光沢、生地やディテールについて違いを見てきました。一見リクルートスーツと同じに見える黒のスーツでも、生地やデザインに大きな違いがあります。

そのため、就活にフォーマルスーツを着ていくことは不適切にあたります。

男女関係なく着てはいけない

就活でフォーマルスーツを着てはいけない理由として、フォーマルスーツがビジネスの場には合わない作りだからです。

就職活動では、自分という人材がいかに企業の力になれるのかをプレゼンテーションしていかなければなりません。そこで求められるのは誠実さや清潔感、真面目さです。フォーマルスーツの深い黒とドレッシーな光沢といった華美な装いは、就職活動中は必要ありません。

フォーマルスーツを着て面接を受けに来た学生がいたら、「なぜ就職活動に冠婚葬祭用の礼服を着てきているのだろう。この学生は何をしにここに来ているのだろうか」と面接官を不思議がらせてしまうでしょう。社会人としての常識が欠けているとして、マイナス評価が付いてしまうことになります。

証明写真の撮影時も着ないのが当然

就職活動を開始してまず取り掛かるのが、履歴書の作成です。証明写真も、一緒に揃えなければなりません。リクルートスーツは用意できていないけれどフォーマルスーツならば持っている、という場合にはフォーマルスーツで証明写真を撮っても良いのでしょうか。

これも答えはNOです。黒色の濃さは写真では分からないかもしれません。しかし、採用担当者は光沢や襟などのディテールで、リクルートスーツでないことにはすぐ気が付きます。社会人としての常識がない、準備不足という評価を付けられてしまうでしょう。

証明写真は、採用担当者に初めて自分自身の顔を知ってもらう大切なものです。書類審査を通過した後も、履歴書とともに面接の度に何度も見られます。就職活動を成功させるためには、きちんとしたリクルートスーツ姿で証明写真を撮りましょう。

就活で選ぶべきスーツとは

就職活動で面接官に好印象を持ってもらえるスーツは、社会人としての常識と新入社員のフレッシュさ、清潔感が感じられるスーツです。これらを満たしているのは、やはり就職活動用に作られたリクルートスーツだといえるでしょう。

近年は黒い色のリクルートスーツが主流ですが、黒以外にも紺やダークグレーでも構いません。光沢が少なく、体にフィットしたサイズのものを選ぶようにしてください。

就職活動中は、移動などが多く汗もかきます。二着用意して、しわや汚れのケアをしながら着ると、いつでもきれいなスーツで面接に臨むことができます。

就活はフォーマルスーツではなくリクルートスーツを着用しよう

就職活動で初めて本格的にスーツを着用するようになる学生のみなさんは、リクルートスーツとフォーマルスーツを並べてみても違いがあまりピンと来ないかもしれません。しかし、社会人として毎日スーツを着ている面接官には、リクルートスーツとフォーマルスーツの違いは一目で見抜かれてしまうということをしっかりと覚えておいてください。

働いていない学生にとって、スーツは大きな買い物です。せっかくスーツを買うなら冠婚葬祭にも使えるフォーマルスーツと兼用したいという気持ちも分かります。しかし就職活動は、自分の将来を決める大事な活動です。就職活動用に作られたリクルートスーツを準備して、万全の状態で面接に臨むようにしましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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