就活その他

【大学院卒として就活するメリットと注意点】大卒との違いも紹介

大学院卒と学部卒の違い

大学生活を送る中で、大きな分岐点になるのが、「大学院へ進学するのか、学部卒で就職するのか」です。理系学生に関しては、大学院への進学を前提にカリキュラムが組まれている大学もあり、そのような点で大学院への進学を選択する学生が多いでしょう。一方、文系学生に関しては学部卒で就職する学生が比較的多いです。しかしここ数年は、「専攻分野の知見を深めたい」と考え、大学院への進学を選択する文系学生も増えてきています。

就職活動を進めるにあたり、大学院卒か学部卒かでは、企業からの見られ方に違いがあるため注意が必要です。そこでこの記事では、大学院卒として就活を行うメリットと注意点について解説していきます。大学院卒での就活はメリットばかりでなく注意点もあることをしっかりと押さえておくようにしましょう。

就職先の選択肢

大学院卒と学部卒では、就職先の選択肢の幅が異なります。企業によっては、修士や院卒のみを募集している職種や、院卒の方が優遇される職種があり、そういった企業が受けられるのは院卒で就職活動を行う大きなメリットの一つです。

一方で、若さを重視している企業には、院卒がマイナスポイントになってしまう場合もあります。具体的に院卒が好まれる職種としては、理系の研究職や開発職に多く挙げられます。しかし、もちろんそれだけ企業が要求するレベルも高く、高度な専門的知識や技術力、研究実績などが求められます。

また、研究職とはいえ、企業という組織体である以上、取引先や同僚といった人たちと円滑に物事を進めるためのコミュニケーション能力も必須でしょう。院卒のメリットを最大限享受するためには、研究へ傾倒することはもちろん、研究室の仲間や教授との日々のコミュニケーションにも積極的に参加することが重要です。

特に大手メーカーの研究職は理系の院卒を求める

院卒のニーズが特に多いのが、大手メーカーの研究職です。研究職は営業職と異なり、高度な機器や工具の取り扱いスキルや深く専門的な知識が求められます。こういった能力は、短期の研修などでは中々身につくものではないので、新入社員にも即戦力が求められます。

そういった理由で、堅実な大手メーカーの研究職では院卒に対する需要が多く、修士が最低限の応募条件とされているところが多いです。とはいえ、必ずしもそのメーカーに強い親和性のある研究の実績がないと難しいということではありません。例えば、分析系の研究職であれば研究内容が違っても基礎知識や取り扱う機器が共通していれば、企業には高評価です。また、研究職とは、常にトライアンドエラーを繰り返す職種です。大学院で膨大な量の研究や修士論文の執筆をやり通したタフさも、院卒の学生が好まれる理由の一つです。

給与

大学院卒と学部卒では、給与の待遇も異なります。厚生労働省の統計データによると、平成29年度の大学院卒の初任給の平均は233,600円なのに対し、学部卒は207,800円となっており、院卒の初任給の方が学部卒より1.12倍多いことになります。

経団連の調査によると、大手企業の賃金引き上げ率は2.3%ですから、学部卒が院卒の初任給を稼げるようになるまでには、単純計算で5年間の社会人経験が必要ということになります。もちろん、最近は実力主義的な評価体制の企業も多く、初任給の差がそのまま年収や生涯賃金の差になることは考えづらいですが、社会人歴は同じでもこれだけの差がつけられているということは、それだけ院卒にはプロ意識のあるパフォーマンスが入社当初から求められているということになります。

求められるもの

学部卒と院卒では、新卒入社後に求められているものが異なります。学部卒は、文系理系関わらず、ポテンシャルを買われて採用されるケースが多いです。知識や経験の吸収力や成長の伸び代が求められ、教育することを前提として採用される傾向にあります。とはいえ、一刻も早く稼げる人材を育てたい企業にとって、長期的な時間を要する研究職や専門職の教育を新卒に課すことは難しいです。

そこで、すでに実践的な場で経験を積んで専門性の高いスキルを身につけている院卒へのニーズがあります。従って院卒には即戦力的なパフォーマンスが求められる傾向にあります。また、実験や学会発表など厳しいタイムスケジュールの中で養われた、仕事を段取りよくこなす力も企業が院卒に求める能力の一つです。理系の院卒には研究職や開発職、文系の院卒には法務や経理といった管理系の職種に企業のニーズがあります。

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大学院卒で就活する際の注意点

ここまで大学院卒で就活するメリットについて解説してきました。大学院卒はスキル面、それに伴う収入面、選択肢の広さといった点で学部卒より優位に立つ傾向にあるのです。では大学院卒で就活する注意点にはどのようなものがあるのでしょうか。以下、大学院卒で就活する際の注意点を3つ挙げ、解説していきます。大学院卒であることが就活に与える影響は決してメリットだけではありませんので、注意点にもしっかりと目を向けるようにしましょう。

経済的問題

大学院卒で就活を行う際の注意点として1つ目は、経済的な問題が挙げられるでしょう。大学院への進学を行うと、当然ながらさらに2年分の学費がかかることになります。一般的に国公立大学の場合、私立大学よりも学費は低い傾向にあり、2年間で必要になる学費が150万円程度と言われています。一方、私立大学(文系)の場合2年間で150万~200万程度、私立大学(理系)では2年間で200万~300万程度必要となるのが一般的です。

このように進学先がどこであれ、大学院への進学が家計に与える影響は決して小さなものではないのです。今日、奨学金制度もあるので、大学院への進学も検討しやすい環境にはなってきています。しかし経済的問題が重くのしかかってくることは間違いないのです。

文系か理系かによって就活への影響は異なる

大学院卒で就活を行う際の注意点として2つ目は、文系か理系かによって就活への影響は異なるということが挙げられます。理系学生に関しては、研究開発職など、大学院での専攻分野に直結した部門へ就業することで、即戦力としての活躍が期待されます。専門性を身につけることで、就活における自身の価値を向上させることが可能になるのです。

一方、文系学生の場合、大学院卒の就職率は低い傾向にあります。企業が専門性を期待している分野は、研究開発分野など、主に理系としての知見が求められる分野なのです。企業が文系学生に期待しているものは、専門性ではなく、仕事における柔軟な対応能力です。大学院に進学し、専門性を身につけていると、「頭が固く、柔軟な対応が出来ないのではないか」と採用担当者に思われてしまう恐れもあるでしょう。

高い専門性を期待される

大学院卒で就活を行う際の注意点として3つ目は、高い専門性を期待されているということです。上述の通り、大学院卒の場合、高い専門性を発揮し業務に取り組むことが出来ると採用担当者は考え、採用に踏み切っています。つまり大学院卒は高い専門性を発揮し、即戦力として活躍することが当たり前のように期待されているのです。

学部卒の場合、専門性ではなくポテンシャルでの採用であることが多いことから、時間をかけて育成が行われることが多いです。しかし大学院卒の場合、もちろん力を入れて育成は行われるでしょうが、それと並行して、仕事における結果に関しても早い段階から求められるようになります。

大学院卒が就活の準備をする際の3つのポイント

では、実際に大学院卒で就職活動を行う場合、どのような事前準備を行っておく必要があるのでしょうか。ここでは大学院卒が就活の準備をする際に行っておくべき重要なポイントを解説していきます。せっかく大学院に進学し、勉強を行ったのであれば、その経験をアピールしなければもったいないです。大学院卒であること最大限活用し、アピールすることの出来るよう、以下を参考にして事前準備を進めるようにしてください。

面接で聞かれやすい質問の回答を準備しておく

大学院卒で就活を行う際、面接で聞かれやすい質問の回答を事前に準備しておく必要があります。大学院卒は学部卒とは異なる経験を多くしています。面接において、その点について聞かれることは十分にあり得るでしょう。一例を挙げると、「なぜ大学院への進学を決めたのか」といった質問を受けることがあります。このような質問に対しては論理的な回答を行うことが必要です。

「学部での勉強で〇〇という研究に関心を持った⇒〇〇という研究を深掘りするために大学院へ進学した⇒〇〇という研究の知見を活かせるよう、貴社を志望している」という風にまとめましょう。一貫した意図があり、就職活動まで繋がっていることを示すことで採用担当者にも好感を与えやすいのです。

柔軟性など大学院卒の懸念とされている点のカバー

大学院卒に対して企業がよく抱く懸念として、「自分の研究分野に関することにしか興味がないのではないか」「研究に専念しすぎて基礎的な能力が欠けているのではないか」といったものがあります。つまり、院卒は柔軟性が低いというイメージを持たれがちです。

大学の研究室ではこもりっきりで実験をしてデータをとっていることが重要だったかもしれませんが、社会人の仕事としての研究では営業マンとの社内折衝もあれば客先に出向いて直接ニーズをヒアリングする機会もあります。いわば、コミュニケーション能力や話し方、身だしなみといった基礎的なスキルも非常に重要です。日頃コミュニケーションや清潔さなども意識して生活し、自分を磨いておきましょう。また、研究内容ではなく学会を通じたプレゼンテーション能力なども積極的にアピールすると、院卒のマイナスイメージを払拭できるでしょう。

大学院ならではの志望動機を準備する

大学院ならではの志望動機を作成し、準備することも大切なポイントになります。学部卒の場合、就職後の仕事に直接繋がる研究を行っている就活生は少ないです。「マネージャーとして人を支えることにやりがいを感じた⇒一人一人を身近で支えることの出来る業界に関心を持った」のように、直接活かせる専門性を磨き、その上で志望しているわけではないのです。

一方、大学院卒の場合、専門性を身につけ、その専門性を活かすことの出来る仕事を選ぶことが出来ます。身につけた専門性を活かすために、それを活かすことの出来る企業を志望していると答えることで、説得力のある志望動機にすることが可能になります。つまり大学院での研究内容をそのまま志望動機に繋げることが出来るのです。

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大学院卒という肩書きを最大限に活かそう

この記事では大学院卒での就活においてのメリットと注意点、大学院卒を活かすためのポイントを解説してきました。大学院卒という肩書きは就活において、使いようによっては非常に効力を発揮するものなのです。大学院での勉強は決して簡単なものではありません。悩み、苦しみながら研究を進めた人も多くいることでしょう。その経験を就活において活かさないのは非常にもったいないです。

大学院卒の学生は学部卒とは違う経験をしてきたからこその強みを多く持っています。採用担当者も高い専門性を持った大学院卒の学生を求めています。就活において大学院卒という肩書を最大限活用し、就活を優位に進め、自身の進路を切り拓いていくようにしましょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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