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就職偏差値とは?
就職偏差値は、企業の入社難易度を数値化した指標を指します。大学受験や高校受験の際に参考にする偏差値の就活版とも言えるでしょう。しかし、働き方の多様化が進む現代において、この就職偏差値は本当に意味を成すのでしょうか?
就職偏差値がどれだけ信憑性のあるものなのかを知ることは、就活を進めていく上で知っておくべきことでしょう。そこで本記事では、IT業界における就職偏差値の意味や就職偏差値以上に魅力がを持つ企業がある点についてご紹介いたします。見た目だけの数字に惑わされずに、自分にとって最適な就職活動を行うためにもぜひ参考にしてみてください。
就職偏差値を信じてはいけない理由
就職偏差値の上位企業を見てみると、金融・出版・広告・商社などの業界が軒を連ねていますが、どの企業も一部上場している大手企業ばかりです。この中には、いわゆるベンチャーやスタートアップと呼ばれるような企業はありません。歴史のある中小企業すら名前が挙がらないほどです。
すなわち就職偏差値には、誰もが知っていて就活生がとりあえずエントリーしておくような大手企業の名前しか挙がりません。大手企業は有名大学の学生がこぞって応募するため人気度は高く、採用倍率も高くなるため、自然と就職偏差値も上がってしまう傾向にあると言えるでしょう。
企業は大学ではない
まず考えていただきたいのが、大学偏差値と就職偏差値の違いです。大学入試の場合、入学許可者を選定する指標はテストによる点数化になります。そのため、根本的に学力の高い人間が集まることになるでしょう。一方で、就職における新入社員を決める試験は、SPIなどの学力だけでなく、面接やグループディスカッションなどの人間性が起因する部分があります。
そのため、就職偏差値が高い企業に学力の高い人間が集まるわけではありません。言い方を変えると、学力の低い人間でも就職偏差値の高い企業へ入社できる可能性が出てきてしまうということです。
就職偏差値は噂に過ぎない
就職偏差値を信じてはいけない大きな理由は、就職偏差値の作成者が入社直後の新入社員や就活生、就活前の学生である場合が多いということです。そのため、企業が明確にデータを調査し、点数化しているものではなく、個人が趣味の範疇で発信している情報がまとめられてしまっているのが現状といえます。
もちろん、中には信頼性の高い情報を提供している方もいるかとは思われますが、職務経験の浅い方や主観のみで情報発信してしまっている方がいる可能性があります。その点を鑑みると、正確なデータとして捉えるのは難しく、噂の領域を脱せない情報となってしまっているでしょう。
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就職偏差値では測れないIT業界の魅力
冒頭でも記載した通り、就職偏差値の高い企業は規模がかなり大きい大手企業ばかりとなっています。そのため、情報社会の変革により、知名度を増してきているIT企業などの名前は上位に上がらない状況にあります。しかしIT企業の中には、ユーザー価値が高く、高利益率を出している企業もあるのです。勤務形態や給与内容なども、大手企業に優るとも劣らない企業が存在します。
ましてや、誰しもが情報発信ができる社会となった現代では、自身が作ったサービスを生活の中で容易に実感できるようになりました。日々の中で、仕事のやりがいを感じることができる仕事がIT業界にはあります。
新しい価値を生み出すことができる
現代社会において、ITの担う役割は絶大なものとなっています。デジタルな機能をなくして成り立っている事業はかなり少なくなってきている状況です。そのため、IT業界で開発されたシステムやサービスは社会貢献度が高く、社会にとって欠かせないものとなり得ます。業務の効率化やサービスの自動化をすることで、パートナーの事業を一変させるような大きな役割となる場合もあります。
また、従来の情報発信はマスメディアが主体となってきていましたが、インターネットの普及により誰もが容易に情報発信をできるようになりました。これらから生まれるサービスは、IT業界の産物ともいえます。誰もが情報発信でき、誰もが情報収集ができる現代において、IT業界は企業価値のみならず生活者にとっても価値の高い業界です。
チームワークで1つのプロジェクトに向かう
IT業界と聞くと、パソコンの前に向かって黙々と作業をしているイメージを思い浮かべる方も多いかも知れません。しかし、実はそうではありません。ひとつのプロジェクトを完遂するためには、1人だけで行う業務では極めて難しいでしょう。そのため、プロジェクトを進めるにあたり、さまざまな人が関与します。そして、その協力は時に社内だけでなく、他社の人と協力して行うこともあります。
ひとつのプロジェクトをいかに効率よく、最高の形で終わらせるために、さまざまな議論や連携が交わされるでしょう。そのようなコミュニケーションの中で、IT業界のプロジェクトは完成に向かうのです。
専門知識や専門技術が身につく
IT業界では、さまざまな専門性が重要です。この専門分野は多岐に渡るので、さまざまな人材が必要になります。その専門分野のエキスパートを揃えることがベストではありますが、そこには大きなコストと時間がかかってしまいます。時には、知識0の状態から専門性を身につけていくことも必要となってくるでしょう。
初めてIT業界を知る人にとってはハードルが高いように思えますが、学生時代ではなかなか身につけることのできない分野であるため、社会人になってから習得していくといった人がほとんどです。初めはわからないことだらけかもしれませんが、そこで身につけた専門性は自分のスキルとなり、自身のキャリアの幅を大きく広げることになるでしょう。また、IT業界に特化した国家資格などもあり、目に見えて成長を実感することができます。
IT業界の就職人気ランキング
IT業界の就職人気ランキング
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NTTデータ
- Sky
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伊藤忠テクノソリューションズ
- SCSK
- 日本IBM
さて、ここまではIT業界の魅力について説明してきました。それでは次に、IT業界の就職人気ランキングを見ながら、IT業界にはどのような企業があるのか確認していきましょう。ここでは、東洋経済ONLINEで公開されている「最新版!『業界別』で見た就職人気ランキング」という記事より「通信・IT・ソフトウェア」部門のランキングを参考にしました。
①NTTデータ
IT業界の就職人気ランキング第1位はNTTデータです。企業HPによると、資本金は 1,425億2,000万円(2017年3月末現在)、従業員は単独11,200名、グループ全体111,700名(2017年3月末現在)です。主な事業は「システムインテグレーション事業、ネットワークシステムサービス事業、その他これらに関する一切の事業」となっております。
NTTデータはIT業界でもトップクラスの規模であり、知名度も高く、就活生からの人気が高い企業です。その規模の大きさからも、会社の目標として、2025年度頃をターゲットとした「Global 3nd Stage」に向けて「Trusted Global Innovator」になることを掲げています。日本国内だけではなく世界に展開しているサービスは、世界中からの信頼も厚く、グローバル市場で大きく活躍している企業といえます。
②Sky
IT業界の就職人気ランキング第2位はSkyです。企業HPによると、資本金は4億5,000万円、従業員は単体2,484名、グループ全体2,602名(2018年9月1日現在)です。主な事業は「ICTソリューション事業、クライアント・システム開発事業」となっております。
Skyは「SKYSEA Client View」「SKYMENU Pro」などで有名なICTソリューション事業をはじめ、カーエレクトロニクス開発、デジタルカメラ開発、モバイル開発、ソフトウェア評価といったクライアント・システム開発事業を展開しています。Skyは専門的な分野で最先端技術を駆使して業界を牽引しています。私たちの生活に根差した製品を多数開発しており、社会に大変貢献している企業です。そのため、IT業界を志望している就活生からの人気は非常に高いです。
③伊藤忠テクノソリューションズ
IT業界の就職人気ランキング第3位は伊藤忠テクノソリューションズです。企業HPによると、資本金は217億6,300万円、従業員は4,253名(2017年3月期)です。主な事業は「コンピュータ・ネットワークシステムの販売・保守、ソフトウェア受託開発、情報処理サービス、科学・工学系情報サービスサポート、その他」となっています。
伊藤忠テクノソリューションズの略称である「CTC」は、コーポレートブランドの「Challenging Tomorrow's Changes」に由来しています。伊藤忠テクノソリューションズの強みである最先端技術は、これまで数多くの国家プロジェクトに貢献してきました。規模の大きい事業にチャレンジしたい方には大変おすすめの企業です。
④SCSK
IT業界の就職人気ランキング第4位はSCSKです。企業HPによると、資本金は211億円、従業員は連結11,910名、単体7,241名(2017年3月末)です。主な事業は「アプリケーション、ネットワーク、パッケージソフトなどに関する提案、設計、開発、運用、保守およびそのプロジェクト管理・情報システムに関するコンサルテーション、製品開発および情報技術戦略の立案・顧客ニーズに応じたシステムインテグレーション、パッケージ・インテグレーション、エンジニアリング・ソリューション、ネットワークソリューションの提供・ハードウェアおよびソフトウェアの輸入販売・テクニカルサポートをはじめ、カスタマーサポート、ヘルプデスクサービスのほか、国内外のBPOセンターにより、効率的なバックオフィス業務の提供」となっています。
SCSKは住友商事グループの会社です。安定した基盤のもと、着実に事業展開をおこない、グローバルなサポートや徹底したお客様視点のサービスを提供してきました。SCSKは「働きやすい、やりがいのある会社」を目指して、環境整備を進めてきました。その結果、経済産業省と東京証券取引所が選出している「なでしこ銘柄」および「健康経営銘柄」に3年連続(2015~2017年)で選定されています。2015年12月には、政府が実施する「女性が輝く先進企業表彰」において「内閣総理大臣表彰」を受賞しました。
⑤日本IBM
IT業界の就職人気ランキング第5位は日本IBMです。企業HPによると、資本金は1,053億円(2017年4月1日)です。従業員は「会社規定により非公開」となっております。主な事業は「情報システムに関わるサービス、ソフトウェア、ハードウェア、ファイナンシングの提供」となっています。
日本IBMは、アメリカのIBM(IBM Corporation)の日本法人です。IBMは、Forbes社の「世界で最も価値あるブランド」ランキングでトップ10入りを果たしています。そして、25年連続で米国特許取得数1位を獲得し、さらに会社創立以来6名のノーベル賞受賞者を輩出しています。影響力が大きく世界を牽引する企業であるIBMは、就活生からの人気が高く、世界中から応募者が集まります。世界規模の最先端テクノロジーに携わりたい方にはぜひ挑戦してほしい企業です。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。
IT業界の主な仕事内容3つ
IT業界は大きく「ソフトウェア・情報処理業界」、「ハードウェア業界」、「通信業界」の3つに分けることが可能です。さらにそれぞれの業界の中で、職種はさらに細かく枝分かれしていき、かなり幅広い業界です。ここでは、それぞれの業界の主な職種や仕事内容に触れていき、IT業界の全容に迫っていきたいと思います。
ソフトウェア・情報処理業界
ソフトウェア業界は、システム全体を統括するOSと、OSの中の細かい部分を統括するアプリケーションソフトの2種類に大別されます。システムの設計から開発、そしてテストをおこなって正常に機能するまで、ひとつのプロジェクトを一貫しておこなう業界です。主な職種にはシステムエンジニアやプログラマーなどがあります。
情報処理業界は、SI(システムインテグレーター)とも呼ばれ、システムの開発、設計から保守運用まで幅広く業務を担う業界です。そのため、後述するハードウェア業界との連携が必要となることもあります。ここにはセールスやコンサルタントの要素も含まれるため、クライアントに課題をヒアリングし、課題解決に向けた提案をおこなっていく役割も担います。
ハードウェア業界
国内の大手家電メーカーは、ハードウェア業界に属するともいえます。ソフトウェア業界はシステムなど中身の設計・構築を担いますが、ハードウェア業界は、ユーザーが手に取る端末などの外側の設計・構築をおこなう職種です。主な職種として、ハードウェア設計技術者や組み込みエンジニアなどがあります。
ハードウェア設計技術者は、端末製品の開発・設計をおこない、ユーザーにとって魅力的で、利便性の高いサービスの発想と提供が必要になります。組み込みエンジニアは、ソフトウェアをハードウェアに実装するエンジニアのことです。
通信業界
IT業界における通信業界は、テレビやインターネットなどを利用して広告発信をしていく企業向けサービスと、SNSやアプリなど個人が利用するサービスに大別することができます。前者では、企業がどのような課題を抱えているかをヒアリングし、どのような媒体を駆使して広告宣伝していくか企画提案していきます。その後、企画を実行していくための制作業務をおこなっていくのです。
後者では、生活者にとって利便性が高いサービスの企画から開発、制作をおこなっていくのが業務です。営業や企画などの業務にはコンサルや広告代理店的な要素を含み、制作部門では専門性が高いエンジニアやプログラマーなどの要素を含みます。
IT業界が求める人材像
ここまで、IT業界かどういった業界かということや業務内容について解説してきました。社会とのつながりが強い業界で、興味を持った方もいるのではないでしょうか。ここからは、IT業界で求められる人材や向いている人材について解説していきます。
高いプログラミング能力がある人材
IT業界でもっとも必要とされる能力のひとつに、プログラミング能力が挙げられます。コンピュータの動作は、プログラミング言語といった特有の文字列を使用しておこなわれます。そのため、何かのシステムを作るといった場合には、このプログラミング言語が用いられるのです。特にソフトウェア業界や通信業界など、実際にシステムの設計や開発をおこなう業界ではマストともいえるでしょう。
実際にプログラミングをおこなうプログラマーはもとより、設計・開発・運用のすべてに携わるシステムエンジニアにとっても重要な能力となります。未経験でも採用募集をおこなっている企業もありますが、専門知識があるとアドバンテージになるでしょう。
モバイル端末関連のスキルがある人材
一方でハードウェア業界では、モバイル端末関連のスキルがある人材が重宝されます。従来の情報通信機器はテレビや電話、コンピュータでしたが、今ではスマートフォンの登場で、そのすべてが1台でおこなわれるようになりました。
そのため、モバイル端末の競争は激化しています。スマートフォンを用いて何ができるか、どこまでできるかはユーザーにとってかなり重要な指標となってきます。特にアプリ市場は、今後も競争が激しくなっていくことが予想されるため、その設計・開発ができる人材は重宝されるでしょう。時代は急速に変化していくため、流行やニーズを察知することに長けているとなおよいです。
システムの知識が高い人材
IT業界は共通して、システムの知識が高い人材が集まる業界です。ユーザーがスムーズに効率よく、簡単に使えるシステムやそのシステムを使った広告・営業活動をおこなえるかが重要です。そのため、システムの専門知識まではなくとも、システムに関する苦手意識が少ない人が、IT業界に順応しやすいといえるでしょう。
システム開発をする部門だけでなく、そのシステムを用いて営業やコンサルをおこなう部門も同様にシステムの知識があった方がいいといえます。営業やコンサル担当に知識がなく、十分な説明ができないと、せっかく素晴らしいサービスを開発しても売れなくなってしまうのです。
IT業界の就職偏差値に頼らず自分で情報を集めよう!
IT業界は、情報社会の変化によってさまざまな会社があり、働き方も異なります。また、歴史が浅くとも高い収益や満足度の高い雇用形態の企業は多くあります。特にIT業界では、就職偏差値がその会社への就職難易度の高さや優良企業の指標とはなりません。
偏差値が低くとも高い専門性がないと入れない企業もあれば、偏差値が高くても専門性に長けているだけで入れる可能性もあります。重要なことは見た目だけの偏差値に惑わされずに、自身の情報収集によって、理想の企業を見つけていくことと、その企業に入るための専門性を高めていくことといえるでしょう。