大学事務について
大学の一般的な仕事を支える職業でもある大学事務は、通常の事務職と違い、様々な業務をおこないます。大学の運営に関わる幅広い業務をおこなうことから、大学に通っている人は、どこかでこの職業の人と関わったことがあることでしょう。
この大学事務に就職を希望する場合、志望動機はどのようにまとめれば、人事担当の目に止まるでしょうか。志望動機の印象の良くなる書き方や、NG例をまとめてみました。
大学事務の主な業務内容
大学事務は、一般的な事務職に加えて、大学全般に関わる業務をおこなう職業です。その内容は多様で、大学の広報活動や説明会などの準備、学生への証明書の発行や学生生活に関わる処理も大学事務の仕事です。
その他、大学内の授業準備や講師への研究費の支給・管理も大学事務の職務の一つです。このように、大学事務は幅広い業務をおこなうことになります。
大学事務は、一般事務と比較しても他者と関わる機会の多い職業です。特に学生生活の支援をおこなうことから、大学生と直に関わることが多いのが特徴です。そのため、コミュニケーション能力や問題解決能力を求められます。
大学の置かれている状況と課題
大学事務への就職を目指すのであれば、大学が置かれている状況や課題について知っておくことは必須です。特に現在、大学は大きな変化の中にあり、大学事務職に求められるものも変わってきているといえます。
大きな要因の1つは、少子化です。大学に通う人口はどんどん減少していくため、大学間の競争は激化します。その中で生き残っていくためには、大学が独自の強みを持たなくてはならないでしょう。
また、企業が即戦力となる人材をこれまで以上に求めるようになったことも大きな変化です。社会に出てから即戦力になれる人材育成を企業が大学に求めていることもあり、それらを踏まえた上で大学のあり方が問われているのです。大学の事務職も、そのような大学スタッフの一員として、新しい大学作りに参加することになるでしょう。大学の置かれている状況に理解を深め、自分なりの考えを持っておくことはとても大切なことです。
志望動機を書く際のポイント
志望動機を書く際には、大切なポイントがあります。ここからは、それらのポイントについて見ていくことにしましょう。そもそも、なぜ大学側は志望動機を求めるのでしょうか?それは、応募者が自分自身や大学のことを深く理解した上で志望しているかどうか、大学の方向性と応募者の目指す方向性は一致しているか、応募者の人柄はどうか、採用後に活躍できそうかなどを吟味するためです。
採用側の意図を踏まえ、それらに適切に答えていくことがまずは大切です。その中で、できる限り自分を採用することのメリットが伝わる志望動機を作っていくのがよいでしょう。そのためのポイントを3点に絞り、紹介していきます。
なぜ大学事務の仕事をしたいのか書く
まず最初に、志望動機で問われていること、すなわち「なぜ大学事務の仕事をしたいのか」を明示することが必要不可欠です。そのためには、大学事務の仕事をできる限り深く正確に把握しておく必要があるでしょう。これができていないと、「他の職種に就いた方が自分の希望が叶うのでは?」と思われてしまうような的外れな志望動機になってしまうリスクがあります。
同時に、十分な自己分析もしておかなくてはなりません。自分が大学事務の仕事を志望するのには理由があるはずです。自分自身に「なぜ?」と問いかけ、具体的な動機を見つけましょう。大学事務を志望するきっかけやエピソードなどが思いつけば、それらを志望動機に盛り込むのも有効です。具体的な体験は自分という人間をわかってもらうのにとても役立ちますし、説得力も生まれます。
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応募先大学のどこに魅力を感じているのか伝える
続いて、応募先の大学のどこに魅力を感じているのかも盛り込んで伝えていくのが良いでしょう。先述の通り、大学は競争が激しくなっており、各大学がそれぞれ特色のある取り組みに力を入れています。これらを踏まえた上で志望していることを伝えていくことが大切です。
よくあるのが、大学事務を志望する理由は書かれていても、その大学でなければならない理由が書かれていない志望動機です。「他の大学でも良いのでは?」と思われてしまえば、採用を勝ち取ることは難しくなってしまうでしょう。
大学は変化の中にあるため、その大学のことを本気で考え、熱意を持って取り組んでくれる人材を求めています。そのため、その大学の特色や取り組みを深く知り、理解していることが示せないと、求める人材像に合わないと判断されてしまう可能性があるのです。
大学事務で活かせるスキルを述べる
志望動機は、自分がその大学の事務職に就きたいという熱意を伝えるだけでは不十分です。なぜなら、それだけでは大学側に採用するメリットがないからです。就活に限らず、仕事の場においては自分のメリットだけでなく、相手のメリットも考えなくてはなりません。自分の側のメリットと相手側のメリットが一致して初めて意味のある対話ができるのです。
自分が志望する側であっても、「自分だけでなく大学側にメリットがあるので志望します」というニュアンスを入れる必要があるのです。そのためには、就職後に活かせるスキルを述べるのがわかりやすいでしょう。どのようなスキルが役立ちそうかは事前に調べ、自己分析で明らかになった自分の得意・不得意と照らし合わせてみると良いでしょう。取得した資格がある場合は積極的に伝えるのがおすすめですが、その資格が就職後に役立つものかどうかは吟味してアピールしたほうが良いでしょう。
大学事務の志望動機例10選
では、注意すべきポイントを踏まえつつ、実際に人事採用の目に止まる志望動機を作るには、どうすればいいのでしょうか。例文を参考に志望動機を考えてみましょう。
志望動機の例文①
私が貴校に就職を希望する理由は、貴校の「自ら考える人材を育てる」という教育理念に魅力を覚えたからです。また大学事務という職業が様々な業務や人々と関わることになると知ったため、元々学生生活の中で人と関わることに魅力を感じていた私には、非常に意欲を感じられる職業だと思っております。
貴校に就職した際には、学生の大学生活をより豊かなものにできるように、自分でも大学を良い環境にするための業務を考えながら職務をおこないたいと思います。
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こちらも経験についてはやや曖昧ではあるものの、学生生活をイメージしやすい内容ではあります。また人と関わり、大学生活をよくするという大学事務の基本的な方向性を理解している内容とも言えるでしょう。常に自分から考えることは、大学事務の多様な業務をこなす上で大事な部分です。
この例文なら、職務を任せられるという安心感を採用担当の方に与えられるでしょう。
志望動機の例文②
志望動機は、多種の業務に関わることで自分の成長を促したいという理由です。一般的な事務経験や問題への対処は、アルバイトや大学でのサークル活動などで経験があります。これらの活動に関わる中、今の能力を活かし自分の成長を促せるような職に就きたい、と思うようになりました。
貴校の教育理念の「学びで自己を成長させる」という考えは正に私が考えていたことでもあり、貴校に勤め大学事務や学生たちに携わることで、より己を成長させることができるのではと考えております。
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自身の成長を促したい、という内容ですが、その思いを得た経験について分かりやすく記載しています。自己の成長を促したいという傍ら、他人と関わる経験も積んでいるであろうと読み手に思わせる内容でもあります。
その点についてさらに掘り下げ、「他人と関わる」という点を意識していることが、より直接的に盛り込まれていてもいいでしょう。
志望動機の例文③
貴校を志望した理由は、学生生活を送る中で、母校に勤め貢献したいと考えたからです。私自身大学事務の方にお世話になることが多く、特に悩み事などにも積極的に乗っていただき、解決した経験がございます。その経験から自分も同じように、学生生活における様々な問題を解決するお手伝いができればと考えておりました。
また、勉学に勤める後輩と積極的に関わり、後輩たちが勉強に集中できる大学にしていくことができたら、とも思っております。
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お世話になった母校で勤めたい、と大学事務を希望する就活生も多い中、この文章は特に大学事務の職員にお世話になったことを経験として記載しています。学生生活の中で特に印象に残った経験を載せるというのは、自身がなぜそこに就職を希望するかを語る上で、役に立つことでしょう。
志望動機の例文④
私が貴学の事務職を志望しますのは、貴学の地域への貢献と学生の自律性を重視する理念に共感したからです。現在、大学のあり方が問われている中、私は「人材育成や研究の成果で地域に貢献すること、社会に出て貢献するために自ら動く自律的な学生の育成」こそが大切だと考えています。
学生時代はイベントサークルで、地域のさまざまな団体と連携し、音楽イベントなどを実施してきた経験があります。さまざまな立場の人と連携して動くスキルや絶対にプロジェクトを成功させるという責任感を貴学でも活かしたい所存です。
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この例文では、志望大学の理念への共感が強く打ち出されています。大学の理念を引用するだけでなく、自分の言葉で言い換え、自分の考えと一致していることを示しています。本当に理解・共感していることが伝わり、説得力が生まれているといえるでしょう。学生時代の経験とそれをどう活かすのかが明確で、採用担当者に好印象を与えられます。
志望動機の例文⑤
私が貴学の事務職を志望しますのは、自分が培ってきた能力をさらに磨き、貴学に恩返ししたいと考えたからです。学生の自主性を重んじ、自由に学べる環境の貴学で、私は専攻した経済学だけでなく、興味のあった人文学などについても学び、幅広い教養を得ることができました。
また、資格取得のための講座も充実しており、TOEIC700点、簿記2級も取得することができました。貴学で身に付けたスキルを、今度は後輩たちが学ぶ環境を支えるために使っていきたいと考えております。
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この例文は、自分の母校を志望しているケースです。自分が所属していた大学を志望する場合、母校に対する想いを具体的に伝えていくのがよいでしょう。この例の場合は、大学でさまざまな学問を学べたこと、資格取得ができたことなどを「感謝」という気持ちでまとめています。取得したスキルを就職後に活かしたいこと、今度は後輩を支えたいという想いも伝わってきます。実際に在学しており、大学の理念なども実感しているというのが強みといえるでしょう。
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作った志望動機は選考で活用できるものになっているので、ぜひ活用して採用される志望動機を完成させましょう。
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志望動機の例文⑥
私が貴学の事務職を志望しますのは、学生時代の留学経験・語学力を活かし、国際交流の活発化に貢献したいと考えたからです。貴学は国際関係や外国語教育に力を入れ、今後ますます加速するグローバル化の中で、活躍できる人材育成を進めていらっしゃいます。私も、これからの大学はグローバルな世界を射程に入れた教育を進めていくべきだと考えます。
学生時代はオーストラリアに留学し、多国籍の友人と共に学びました。その経験と培った英語力を活かし、貴学に精一杯貢献したいと考えます。
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この例文では、自分の留学経験や語学力をアピールしています。語学力については具体的に書かれていませんが、資格の欄などに記載するとよいでしょう。グローバルに活躍できる人材を育てるため、国際交流に力を入れるという大学の特色をきちんと押さえています。また、自分自身の大学への考え方も理念に沿って述べられており、説得力があります。貢献できるスキルが明確なのも好印象でしょう。
志望動機の例文⑦
私が貴学への就職を志望しますのは、貴学が既存の大学という枠を超えて、学生のビジネスと研究の成果・地域貢献をリンクさせている点に共感したからです。私は学生時代、地域おこしの研究をしておりましたが、○○市の地域おこしに、貴学の学生ベンチャー企業と○○ゼミが協力しており、高い成果を出していることを知りました。
大学の地域貢献はこれからますます大事になると考えますが、既にその成果を出している貴学に私も貢献したいと考えました。学生時代はゼミの研究に粘り強く取り組み、優秀学生賞をいただきました。貴学でも粘り強く業務に取り組みたい所存です。
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この例文では、地域おこしに貢献して成果を出しているという大学の特色を挙げ、自分がそのような大学のあり方に共感していることが示されています。自分自身が学生時代に地域おこしの研究をしていたということで、大学の取り組みとの間に共通点がある点もよいアピール材料になっているといえるでしょう。就職後にどう取り組みたいのか、在学中の成果と合わせて伝えられており好印象です。
志望動機の例文⑧
私が貴学の事務職を志望しますのは、貴学が掲げていらっしゃる産学官連携に共感し、自分のスキルを活かして貢献したいと考えたからです。現在、大学は学問を伝達する場としてだけではなく、社会に実益をもたらすという意味での貢献も求められています。貴学は早い段階から産学官連携を推進し、○○分野などで高く評価されています。
私も貴学で、専門性の高い研究の成果が社会に役立つよう、貢献したいと考えます。学生時代は、バレーボール部のキャプテンとしてチームをまとめました。貴学でも責任感を持って精一杯チームに貢献したいと考えています。
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この例文でも冒頭に結論が述べられており、大学の特色も記述されています。推進する産学官連携に共感していることで、大学の活動に興味を持って調べていることなどが伝わる内容となっています。どのように貢献したいのかという箇所では、大学の方向性と自分の方向性が合っていることもアピールできています。学生時代の経験から、チームに貢献できる人材であることも伝えられており好印象でしょう。
志望動機の例文⑨
私が貴学の事務職を志望しますのは、貴学での仕事を通し、生まれ育った○○県に貢献したいと考えているからです。貴学は学生のほとんどが県内出身者で占められ、卒業生の中には県内企業のリーダーを務める方が多いです。また、昨今は地域おこしに参加したりと、直接地域への貢献を目指す動きもされています。これからますます地域に影響力を持つ貴学での仕事を通し、○○県の活性化に貢献したいです。学生時代は韓国料理店のアルバイトリーダーを務めました。高い責任感と、慎重・正確な仕事の仕方で貢献したいと考えております。
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こちらの例文では、志望動機が自分の生まれた地域への貢献となっています。志望大学が地域に大きな影響力を与えていることから、その大学で働きたいという動機になっていることがわかりやすく示されています。アルバイトでリーダーを任されていることから責任感や人柄などが高く評価されていることがわかり、好印象でしょう。
志望動機の例文⑩
私が貴学の事務職を志望するのは、自分の経験やスキルを活かし、貴学の目指す「日本一面白い大学作り」に参加したいと考えたからです。現在、大学のあり方が問われる時代となっており、価値観の多様化や社会からのニーズの変化などに柔軟に対応することが求められていると思います。私は学生時代、イベント企画のサークルで、地域の音楽団体などと協力し、○○フェスティバルのようなイベントを作り上げてきました。
社会のニーズと大学や学生の個性を踏まえ、それらが噛み合う大学のあり方を積極的に提案していきたいと思います。これまでの経験を精一杯活かし、強い責任感を持って貴学のために貢献していきたいと考えております。
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この例文では、「日本一面白い大学作り」を目指す志望大学に対し、大学時代のイベント企画の経験でアピールしています。大学の目指す方向性が柔軟な発想を求めていることをうかがえますので、このような発想力を活かした経験をアピールするのは有効でしょう。自分がどのように関わっていきたいのかもはっきりしていて説得力があります。
大学事務の志望動機NG例
実際に志望動機を作る場合、どのようにまとめるといいのでしょうか。まずはNG例文を参考に、気を付けるべきポイントをご紹介します。
NG例
貴校を希望した理由は、教育理念である「生涯学ぶことを止めない」という考えに共感したからです。学生時代、常に自分から積極的に学ぶように意識して学生生活を送ってまいりました。その経験から、社会人として勤めながらより多様なことが学べる業務に携わりたいと考え、貴校の大学事務を希望いたしました。
パソコンの経験は、学生生活での資格取得やサークル活動で得ています。貴校に就職の際には学生達が円滑に生活していけるよう、努めたいと思っています。
業務の中でより自分を向上させたい、という思いが伝わってくる内容ですが、具体的にどのような経験から「多様なことが学べる業務に携わりたい」と思ったのか、という点で若干曖昧なのが気になります。熱意は伝わりますが、大学事務が学生に関わることが多い業務内容であることを理解しているのか、少々不安になる内容です。
大学生活で得た経験から志望動機を書くのであれば、より明確な体験を文章にするのが重要です。人事採用の方にも、そのほうがイメージとして伝わることでしょう。
大学事務の志望動機を例文を参考にして書いてみよう
大学事務は目立つ職務内容でこそありませんが、安定性があり多様な業務に関わる機会が得られることから、就職希望者が多い職業でもあります。その分、押さえるべきスキルを身につけており、業務に取り組めるかという部分を人事採用は厳しくチェックすることになります。特に大学に勤めるという形である以上、大学の教育方針や学部、学科などに関する知識を踏まえた上で就職活動に臨む必要があります。
大学生活を送る学生達を支えることが一番の業務であることを念頭に置いて、大学全般に大きく関わる大学事務の業務をなぜ志望したか、を丁寧に志望動機としてアピールすることが大事になるでしょう。