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【IR情報の見方】就活生が企業研究に役立てるポイントを紹介

IR情報の見方を知っておくと就活に有利

皆さんは求人を探すとき、どのようなことを重視していますか。人によって重要視する項目は違いますが、自然と給与額や福利厚生に目線がいってしまう方も多いでしょう。ただし、条件だけでは本当に理想の働き方ができるのか判断できません。

給与額がよくても、実は業績が悪く人材難に陥っていて、経営が危うい会社だとしたらベストな環境での就業とはいえないのです。反対に、業績がよくても、正当に社員に利益を還元していない企業も数多くあります。

実は、そのような企業の見定め方に役立つ方法があります。企業のIR情報には、その企業の展望や今後の動きを予測できるようなヒントが詰まっているのです。この記事では、企業の本質を紐解くためにも、IR情報の見方について解説していきます。

IR情報とは

そもそもIR情報とは、企業が投資家に対して発表する経営や財務の情報を指します。英語でInvestor Relations(インベスター・リレーションズ)と書きます。会社の状況や業績の動向に関する情報が発信されるので、投資家はIR情報を参考にしながら投資先の判断をします。

IR情報の内容は、一見難しい内容と感じるかもしれません。会社説明会ではなかなか解説されない情報でもあるので、就活生には馴染みのない情報といえるでしょう。しかし、そんなIR情報を見ることで、企業の今後の戦略や事業の方針が把握できます。一度IR情報の見方を覚えれば、他社のIR情報を分析できる力もつくので、これを機会にIR情報にも注目してみましょう。

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IR情報の見方

それでは、IR情報の見方について説明をしていきます。IR情報には主に、売上高、営業利益、経営利益、経営方針、事業の状況説明などが記載されています。特に事業の状況説明では、好調な場合は売れ行きがいい理由を述べていて、不調な場合はその要因について考察が書かれています。他社と比較する際は、この事業の現状を参考にするだけで、競合他社の比較や業界の特性を見出すことが可能になります。

・企業公式HPのIR・投資家情報を開く
・業績ハイライトを見る
・経営計画を見る
・IRリリースを見る
・決算説明会資料を見る

次の項目では、以上5つのポイントに分けてIR情報の見方を解説していきます。ポイントに沿ってIR情報を分析できれば、多忙な就職活動中でも効率的にIR情報から企業情報を入手することができるようになるので大変おすすめです。

企業公式HPのIR・投資家情報を開く

IR情報を見るためには、まずは企業の公式HPの「IR・投資家情報」を開きます。そこから資料がダウンロードできるようになっていたり、WEB画面上で公表していたりすることが多いです。多くの企業は公式HPのトップページの上部、または下部の方に「投資家の皆さまへ」「IR・投資家情報」という項目があります。見つけたらクリックしてみましょう。

IR情報は、プレゼンテーションのようにわかりやすくデータをまとめてくれている企業もあれば、文章だけの報告書のように作成している企業もあります。基本的には投資を増やすための資料になりますので、わかりやく作成されている資料が多く、初心者でも理解しやすい内容になっていることが多いです。数字や要因などを項目ごとに掲載しているので、投資判断がしやすく、企業理解をするにはもってこいの情報が満載です。

業績ハイライトを見る

まずは、IR情報内の業績ハイライトを見てください。業績ハイライトは、動きのあった数字を掲載していることが多いです。売上収益や財務指標などを前年度と比較してまとめていたり、前年度からどれくらい変化があったのかを一目で把握したりすることができます。

よりわかりやすくするために、直近の売上や利益をグラフ化して、目視で変動がわかるよう工夫している企業もあります。売上高は、商品やサービスを販売して得られる総額を表します。売上に関わる数字を見ることで、期間中にどれくらい勢いがあったのか、または低迷してしまったのかがわかるようになっているのです。

数字やグラフだけでは内部の事情まで把握できませんが、事業が好調に進んでいるかどうかの判断材料になるので、まずは業績ハイライトを確認することをおすすめします。

経営計画を見る

IR情報を見る時は、経営計画も見てください。経営計画には経営方針が書かれていて、企業の今後の動きが見える項目になっています。投資家にももちろん必要な情報になっていますが、就活生にも企業理解をするうえで重要な内容でもあります。

例えば、今後どのような事業に重きを置いて経営していくのか、どのような商品をどのような分野に向けて開発していくのかなど、企業の経営方針が書かれているのです。企業によっては、会社説明会で説明してくれる内容かもしれません。

しかし、投資家向けに説明している内容のため、詳細に説明している項目が多く、会社説明会以上の内容量が期待できます。読むのが苦痛にならないよう、企業側も工夫してわかりやすく掲載していることもあるので、まずは気になる企業の経営計画から分析してみましょう。

IRリリースを見る

上場している会社は証券取引所の規定により、一定の事実が発生した際に、すぐに事実を公表しなければなりません。これを適時開示情報といい、IRリリースと呼ばれています。企業によってはプレスリリースとも呼んでいます。そのため、IRリリースのページはタイムリーに更新されていて、多くの投資家はIRリリースを常時チェックしているのです。

主に、株主総会の情報や、業績予想の修正報告などをします。良い点、悪い点ともに公表しなければならず、正直に発表しなければなりません。当たり前ですが、企業は嘘を発表することはできません。

そして、あくまでも上場している立場なので、不正をしていないということを証明するためにも、IRリリースを通して情報を公開します。人事異動発表などで個人名や配属部署が発表されている場合もありますが、それは証券取引所の規定に従っているためです。

決算説明会資料を見る

IR情報を見る際は、決算説明会資料を見ましょう。こちらは、一番わかりやすくIR情報がまとめられている資料になります。決算説明会とは、上場企業が主に投資家やアナリスト、専門家に対して企業の業績や今後の方針を説明する会のことをいいます。

年に2回以上行われる説明会で、企業の代表がスピーカーをすることが多いです。近年、大企業では遠方の参加者のために、ライブ配信やインターネットで動画を公開しています。決算説明会資料は、決算説明会で使用された資料のことで、説明会終了後に企業HPにアップロードされます。

決算説明会資料には、例えば、売上収益、事業収益、現状報告、今後の主な取り組みなどが掲載されており、一読することで企業の実情と今後の事業展開予想ができます。企業側も、数字やグラフを使用して読み手にわかりやすく解説した資料を作成しているので、IR情報の見方に困った場合は決算説明会資料を見るとよいでしょう。

売上収益

まず、決算説明会資料の売上収益について解説していきます。営業利益とも呼ばれ、売上からコストを差し引いたお金を指します。決算説明会資料には事業ごとに売上収益が載っていることが多いので、事業ごとに数字を比較して、売上が好調な事業と、変動のない事業、マイナスに進んでいる事業というように区別することができます。

単純に全体の売上からコストを引いているだけなので、諸経費込みの数字にはなりますが、売上収益の数字から事業の成長具合を考察するには問題ありません。会社説明会では説明されない事業の裏側を紐解くことができるので、まずは売上収益を見るようにしましょう。

事業収益

先述したように、決算説明会資料には事業ごとに売上収益が載っていることが多いです。事業ごとに数字を比較して、企業の事業別の収益を確認することができます。企業が展開しているサービスごとに、事業が好調であるか、成長しているかを判断する材料になり、投資家たちが着目している部分でもあります。

1つの事業が不調だからといって、その企業の成長の可能性を見限るのではなく、その他の事業の特性も踏まえたうえで、投資家は投資をするか決定します。この考え方は、就職活動中でも非常に役立つ考え方です。

会社説明会で説明されない企業の負の面を知ることにより、現状の企業の在り方を知ることができます。どうすれば課題を突破できるのか、どうすれば全体的に企業の経営がよくなるのかを考えることで、企業理解は深まっていきます。

現状報告

現状報告では、良い面、悪い面ともに公表されています。現状がどのような状態であるかを発表することにより、投資家の投資判断を適性にさせることができます。というのも、企業がIR情報をリリースしたり決算説明会をおこなったりするのは、投資家の投資を勧誘するためではありません。

もちろん投資してもらうことが狙いではありますが、あくまでも投資は自己判断のもとにおこなうものです。せっかく投資したのに事業が失敗してマイナスになってしまったとクレームになっては困りますので、正式な情報を公表することで投資の適性判断をしてもらいます。

また、投資された結果、業績を正式に報告することで、投資と投資される側の関係を守ることができます。つまり、就活生にとって、企業の情報を最も公平に見ることができる部分でもあるということです。普段見えない企業の表裏を見ることで、企業研究をより深いところまでできるようになります。

今後の主な取り組み

企業は目標がなければ事業を成し遂げることができません。決算説明会では今後の主な取り組みを発表することで、次の決算説明会までの目標を設定します。不調だった事業の改善案を述べたり、成長中のサービスをいかに拡大して利益を上げるかといった方針を発表したりします。

このような情報は、会社説明会ではなかなか知ることのできない情報です。広報でも情報を発信していない事業計画の予告をしていることもあるので、今後の主な取り組みについての発表は確認しておきましょう。

IR情報や決算説明会の内容まで把握している応募者は、周りと大きく差をつけることができます。志望動機やエントリーシートに、IR情報から得た情報を参考にした文章を盛り込んだり、面接の質疑応答で発言したりすることで、一歩リードした就職活動にしましょう。

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IR情報の統合報告書は企業研究に役立つ

IR情報の統合報告書は企業研究に役立つ

IR情報の統合報告書は企業研究に非常に役立ちます。統合報告書とは、企業の売上などの情報や、資産、環境保全などの社会問題への取り組み、ガバナンス、経営戦略などをまとめた報告書です。こちらも投資家向けに作成される書類です。

企業のHPで公表されています。統合報告書は幅広い内容が掲載されているので、いつでも確認できるように、PDFでダウンロードしておくと便利です。パソコンやタブレット、スマートフォンにPDFデータにして保管しておきましょう。

パソコンとスマートフォンを同期設定して、パソコンに格納しているデータをスマートフォンでも閲覧できるようにしておくと、電車の移動やアルバイトの休憩時間中にも統合報告書を確認できます。統合報告書を見る時は、意見や疑問を持ちながら内容を確認しましょう。

PDFでダウンロードしておくと便利

おおよその企業はHP上で統合報告書を公開しています。統合報告書をPDFデータにすると、コンビニのコピー機で印刷する際、データ互換などがなく、スムーズに印刷ができます。また、他者からのデータ改変もされず、確定版のデータとして見ることができるので、どこにいても安心してデータを閲覧できます。

就職活動が始まると、ついつい手が足りなくなってしまい、企業研究をする時間がなかなか取れなくなります。統合報告書は企業研究に役立つコンテンツばかりなので、読むようにしてください。内容が濃いので時間がかかるかもしれませんが、少しでも効率よく時間配分できるようにしておくと、後々便利になっていきます。

意見や疑問を持ちながら内容を確認する

IR情報の統合報告書を見る際は、「なぜこの事業がうまくいかなかったのか」「なぜ企業はこの選択をしたのか」と考えると、企業の強みや弱み、今後の展望や不振の要因を自分なりに考えて導き出すことができます。企業の主体的な考察を読み解くことも必要ですが、自分の視点で分析していくことも重要です。

そうすることで、他社分析もできるようになっていき、就職活動で重要な企業研究や業界研究が自然とできるようになります。会社説明会では、企業のいい側面しか見ることができません。「弊社は事業破綻のリスクを抱えています」「この事業は不調で、事業撤退を考えています」と説明してくれる企業はありません。企業の抱えているリスクも見抜くことで、本当の企業理解ができるようになるでしょう。

IR情報の見方をおさえて就活の企業研究に役立てよう

企業研究をする際は、パソコンやスマホひとつで知ることのできるIR情報をぜひチェックしてください。IR情報は、自分には関係のない情報だと無関心だった人も、選考に進んでいる企業のIR情報だけでも確認するようにしましょう。

そうするだけで、見えてくる世界が大きく変わってきます。IR情報を分析するだけで、企業研究や業界研究にとても役立ちます。最初は難しい内容だと感じるかもしれませんが、コツコツやることで耐性が付き、会社が好調なのか、不調なのかを判断できるまでになります。普通に就職活動をしているだけでは知り得ない側面から研究することで、周りと差がつく就職活動ができるでしょう。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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