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NPOに就職するまでのフロー|メリットやデメリットもご紹介
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目次
NPOに就職を希望する新卒
就職活動の志望業界を検討するにあたって、株式会社ではなくNPO法人への就職を検討している就活生も毎年少なくはありません。しかし、周りには同じことを思っている学生もしくはその道に詳しいOBやOGが少なく、「どう動けばいいのかわからない」「お給料や昇進などの形態はどうなっているのだろう」という悩みを抱えている就活生もいるのではないでしょうか。
そんな悩みを抱えている方に、就職に至るまでのフローや業務内容・給料など、「NPO法人への就職」に関して知っておいてほしい情報をまとめてご紹介いたします。さらに、NPO法人に就職することのメリット・デメリット双方を解説なども含めて、NPO業界を研究の参考にしてください。
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NPO法人とは
そもそもNPO法人とはなんでしょう。NPO法人が実施している取り組みと同様あるいは類似した事業を他の企業も行っているという場合も多くあります。そのため、NPO法人と一般企業の違いが分かりにくいという方も少なくはありません。
就職を希望するのであれば、まずはNPO法人とはどのような性質を持っているところで、一般企業とはどのように異なっているのかということを理解しておく必要があるでしょう。NPO法人への就職を検討している就活生は、最低限必要な知識として頭に入れておいてください。
営利を目的としない非営利団体
NPO法人の「NPO」とは「Nonprofit Organization(非営利組織)」の略称で、狭義には「営利を目的とせず社会貢献をする団体」のことを言います。「非営利」ということで、「無償だったとしても社会貢献のために働くという意思がなければいけないのか」という疑問が浮かんだ方もいるかもしれませんが、そうではありません。
ここでいう「非営利」とは「お金を受け取ってはいけない」ということではなく、株式会社などと違って「株主などに利益の分配をしない」ことを指します。そのため、職員のお給料は普通に支払われますし、団体の事業拡大のために報酬を受け取る仕事をしてもかまわないのです。
ボランティア団体ではない
「NPO法人=ボランティア活動」というイメージを持っていて、学生時代のボランティア活動の経験を活かしたいという考えのもと動いている方もいるかもしれません。ですが、そのイメージは必ずしも正しいとは限りません。確かに無償でボランティアをする団体として活動しているところも多く、ここから「ボランティア=無償奉仕」というイメージを抱く方が多いのでしょう。
しかし、NPO法人にも活動の報酬が支払われるケース多くもあります。事実、団体の活動を完全無償で運営していくことは不可能です。報酬がもらえないような事業ばかりを行っていると、素敵で熱い想いを掲げている団体であっても長く続けていくことは困難になってしまいます。
お金の内訳は団体によって様々ですが、国は地方公共団体の事業を委託することによる報酬や行政機関からの助成金、寄付金などが主な収入源となり、諸々の経費を差し引いたものの一部が団体職員の給料にあてられます。
日本では「ボランティア=無償奉仕」というイメージが根強いですが、そもそも「ボランティア」には「無償」という意味は含まれていません。「Volunteer」は「志願者、義勇(名詞)」「進んで申し出る(動詞)」などの意味を持つ英語です。ここからもボランティアが「無償の奉仕活動」を必ずしも意味するものではないことを説明することができます。
自分の信念を仕事に出来る
就活先を決める際に「自分のやりたいことを仕事にしたい」と考えていても、実際にそれを叶えている社会人はさほど多くはありません。特に民間企業は営利を目的とした集団ですから、夢だけを追って仕事が出来るほど甘い世界ではありません。
しかしNPOは、社会的使命を達成することを目的にした団体ですから、営利に縛られず理想に向かって仕事をすることが出来ます。逆に考えると自分がこうしたいという信念が無ければ周りの人とのギャップが発生する可能性もあるということです。
一般的な「就職」とは分けて考える部分も必要
NPOは非営利団体ですから、利益を上げることを目的としている企業とは違って、仮に利益があがっても団体の活動目的を推進する費用に充てなければなりません。従って成果を挙げて沢山の給与を貰いたいとか、早く出世したいなどの目標とは無縁になります。
所属する団体員には、純粋に団体の使命や目的に共感し、その達成に向けて自分も頑張ろうという思いで働くことがまず求められます。利益を求めない社会的な活動という意味ではむしろボランティアに近くなりますから、一般的な就職とは分けて考える方がいいでしょう。
NPO法人に就職するまでのフロー
NPO法人に就職することを決めたとしても、「どのような行動をとればいいのかがわからない」、「一般企業のそれとは違った特別な対策をしなければならないのだろうか」と悩んでいる就活生も少なくありません。そんなNPO法人に就職するまでにかかるフローを次にご紹介していきます。採用担当者からは、どのようなところを重点的に見られて評価されているのかをしっかりと把握して行動しましょう。
ネットや行政機関で情報を探す
最近では就活ナビサイトでもNPO法人の求人を見かけるようになりました。しかし、団体の規模が小さく求人数も少なかったり、非営利団体では媒体に求人を掲載する費用の捻出が難しいなどといったこともあり、ナビサイトで求人を掲載していないケースもよくあります。
そのような場合はNPO法人のホームページで求人募集を行っていたり、新卒応援ハローワークに求人票を提出して募集しているケースもあるでしょう。また、学校のキャリアセンターに求人が来ていたりすることもあります。求人は民間企業以上に丹念に探す必要があると言えるでしょう。
NPOを検索できるサイト
どのようなNPOに就職するか決めていない人は、NPOポータルサイトを使って検索することをおすすめします。こちらのサイトでは、都道府県別や活動分野からNPO法人を探すことが可能です。また、税額控除の対象となるNPO法人を探し出すこともできます。
検索結果一覧を開くと、所轄庁の都道府県名、法人名称、主たる事務所の所在地、認証日、最終更新日が表示されます。さらにNPO法人を選択すると、定款に記載された目的として、NPO法人が設立された目的を確認することができるのです。また、実際の事業報告書や定款も閲覧できるため、情報収集に役立ちます。
説明会に参加する
NPO法人へ就職するまでに至る流れは、実のところ一般企業のそれとさほど変わりはなく、「説明会への参加」から始まることが多いです。マイナビやリクナビなどの就職情報サイトにもNPO法人の求人情報は掲載されていますので、気になる事業を行っている団体をリサーチ・ピックアップして、まずは説明会に参加しましょう。
説明会ではネット上には掲載されていない詳しい情報や、実際に働いている職員の生の声を聞くことができます。就職活動においては貴重な機会になりますので、少しでも気になるところであれば参加するようにして、自分が欲しいと思っている情報は積極的に得るようにしましょう。
書類選考
説明会に参加したのちにその団体への就職を希望するのであれば、次は「書類選考」を経ることになります。NPO法人の書類選考では「経験」を重視されることが多いため、学生時代にボランティアをしていたという経験などから、志望度の高さを判断している場合もあります。
未経験だと圧倒的に不利で絶対不採用だということはありませんが、それでも事の大小を問わず何かしらの社会活動をしていたほうが効果的なアピール材料となるといえるでしょう。また、一般企業の書類選考のケースでも同様のことですが、書類に記述している内容に矛盾点がないかどうかには細心の注意を払うようにしてください。
志望するNPO法人について調べておく
書類選考に通るためには、志望するNPO法人について調べておく必要があります。NPO法人が設立された目的や、実際の取り組み内容などをおさえておきましょう。その上で志望動機や自己PRを作成することが大切です。NPO法人の取り組みをよく理解していないと、志望意欲を疑われる可能性もあります。
高い志望意欲を示すためにも、公式HPや広報誌などに目を通しておきましょう。また、他のNPO法人との比較をしておくこともおすすめです。他のNPO法人との違いを知ることで、志望するNPO法人を選んだ理由をより厚くできます。
面接
書類選考を通過すれば、次は面接ですが、この段階で見られるのは、就活生個人の「真意」や「やる気・熱意」になります。世間一般には「NPO=無償ボランティア」のイメージが根強く、学生時代の活動の延長でお給料が発生するという印象を抱いている就活生が多いです。
しかしNPOであっても一般企業と同じで、就活生自身が本当に団体職員として働きたいという想いを持っているのか、将来的に活躍していく見込みがある人物なのかなど、面接官はその「真意」をちゃんと見ています。どうしてもその団体に就職したいと思っているのであれば、心に抱いている熱い想いを担当者に正直にぶつけてアピールしましょう。それが半端な思いでない限り、きっと担当者に気持ちは伝わるはずです。
貢献できる点を具体的に話す
面接では、NPO法人に採用された際に貢献できる点を具体的に話す必要があります。NPO法人で活かせる知識やスキルなどがあれば、それらをアピールするとともに活かし方まで伝えると高い評価を受けるでしょう。面接官にNPO法人で活躍する姿を想像させることが大切です。
また、直接活かせる知識やスキルがなくても、どのような形で事業に携わるのかをアピールしましょう。NPO法人に入ることだけが目的になることはNGです。NPO法人に採用された後が大切であるため、将来のビジョンをアピールしましょう。
NPO法人に就職するメリット
就職までの流れを見ていきましたが、NPOは一般企業とは違う性質を持っていると感じている方も多いのではないでしょうか。ここではさらに、NPO法人に就職するメリットを2つご紹介いたします。NPOという世界が自分に合うのか、合わないのかを判断する基準にもなるでしょう。
一般企業では得られない大きなやりがい
NPO法人はお金を稼ぐことが目的ではありません。そのため、困難を抱えている人や危機に直面している社会の事柄の改善や救済を目的に、全力で活動します。NPO法人は、自分たちが「何のために動くのか」という目的意識や理念を明確にして活動している団体が多いです。それぞれが掲げる想いに共感したうえで就職すれば、達成したときのやりがいは一般企業に勤めた場合のそれに比べると何倍も大きなものになるでしょう。
仕事の裁量が大きい
NPO法人は今現在の社会にはびこっているリアルな課題を解決するべく、重大で責任感の求められる仕事を行う必要があります。人数の多い団体も少ないので、必然的に個人が抱える仕事の裁量は経験の浅い段階であっても大きくなりがちです。
そのため、最初から辛くて苦しい仕事にも向き合っていかなければならないこともあるかもしれません。そんなプレッシャーにも負けずにうまく仕事をこなすことができれば、その分やり切ったときの達成感も大きく、濃くて刺激的な日々を送ることができるでしょう。そんな日々を過ごせば、きっと周りにいる同年代の社会人よりも短い期間で ひと回りもふた回りりも確実に大きく成長することができます。
NPO法人に就職するデメリット
NPO法人に就職するメリットを2つ挙げましたが、一方で残念ながら良くない面もあるのが事実です。それらの点のなかには、メリットになっている点と紙一重もしくは相反しているものもいくつかあるので、そのなかでどれをもっとも大切にしたいのかをそれぞれが選んでいく必要があります。
そんなNPO法人に就職するデメリットの中でも代表的なものを2つご紹介いたします。業界研究をする上では悪い面を見るのも効果的なので、これらのことを知ったうえでしっかりとその世界について吟味してください。
キャリアプランが描きにくい
NPO法人は一般企業とは違う性質を持っているので、役職を上げたい、起業したい、スキルアップしたいなどのキャリアプランが描きにくくなっているのが実情です。また一般企業への転職の際には、企業側の「NPO=ボランティア」という固定観念や、利益を追求する企業との間に、ギャップを感じてうまくいかないというケースもあるので注意が必要があります。
給与水準が低い
利益を目的として活動していないというNPO法人の性質上、お金を稼ぐ事業基盤がしっかりとしていないために一定の収入が見込めないという状況に陥っている団体もなかにはあります。そのような団体のなかには行政機関の下請け奴隷と化してしまっているようなところも残念ながら存在しているので注意が必要です。
その「金策スキルの弱さ」が要因の一つと考えられますが、一般企業や公務員に比べるとNPO法人の職員の給料は低くなる傾向にあります。また事業基盤が不安定な団体なのであれば、同様の理由から昇給やボーナスに過度の期待を寄せることはやめておいた方がよいでしょう。このように、NPO法人のなかには金銭面に不安を抱えているところも存在しているので、「お金<社会貢献ややりがい」という強い想いや覚悟を持っている方のほうが長続きしやすい世界であるといえます。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。
AIを活用して自己PRを完成させよう!
就職支援や経済活動など分野は多岐に渡る
様々な分野や業界にNPO法人は存在しており、それだけ業務内容も多岐にわたります。NPOで長く働きたいのであれば、自分が本気で取り組みたいことに挑戦している、もしくは挑戦しようとしている兆しがみられる団体に就職するのが一番です。
しかし、自分のやりたいことだけで職選びをしてしまうと、それだけ視野が狭まってしまうという問題が生じてしまいます。この状況に陥ってしまうと、もし志望してしまったところの選考に漏れてしまった際は、一から業界研究をやり直さなくてはならなくなってしまうので、再起までにかかる時間が長くなってしまいます。
これを防ぐためには、一般企業の業界研究のように、自分のやりたいことに関連するような業務内容をしている団体を併せて調べるなど、視野を広く持って業界研究や選択をしていくとよいでしょう。
インターンシップで内容を理解してみる
NPO法人に就職してやりがいを得ることが出来るかどうかは、団体の目的や目指すものに共感できるかが最も重要になります。もちろんホームページや活動報告書をしっかり確認することは大切ですが、それだけでは十分に理解するのは難しいものです。
そこでまずはインターンシップで実際の活動を体験させてもらったり、そこで働いている人の話を聞いてみたりすることが理解の大きな助けとなります。必ずしもインターンシップを実施していない場合もあるでしょうが、それでも直接問い合わせをしてインターンシップや職場見学をお願いしてみてはいかがでしょうか。
将来的には自分で新しい団体を興すことも
NPO法人の活動内容も多岐にわたりますので、自分が所属して携わる中で団体の目的と自分の考えにズレが発生することもあるでしょう。民間企業に勤めていればそのような時は別の会社に転職するということになりますが、NPO法人であればいっそ自分で新しい団体を興すことを考えてみてもいいかもしれません。
NPOは非営利ですから元の団体と敵対したり利益相反となったりすることもありません。現在NPO法人の数は5万を超えており、ネットや本でもNPO団体設立のガイドを調べることが出来ます。NPO団体で働いた経験があればそのノウハウもきっと役に立つでしょう。
NPO法人で働くには社会貢献を営んでいく覚悟が必要
NPO法人への就職活動の流れや、団体へ就職するメリットやデメリットについてご紹介してきました。利益をあげることを目的としていないNPO法人は、やりがいや個人の裁量が大きく成長の場としてはうってつけのところであるといえるでしょう。
しかし給料や役職など、将来の安定した生活や仕事を考えていく上で、心もとない点がある世界だとも言えます。利益を目的としていないNPOだからこそ、「自分はここに入って社会貢献を営んでいくんだ!」という強い覚悟が必要になるでしょう。