就活の悩み

就職浪人して大企業に内定?不利にはならないの?─理由があって就職留年するか迷っている方へ

先輩から学ぶ「就活でしくじらないために」行きたかった5大商社すべてに落ちたので留年して就活やり直し

まだ内定がない、納得できる企業から内定をもらっていないなどの理由で「就職浪人」を考え始める人もいるのではないでしょうか。就活生時代の筆者は内定先の企業に入りたくなさすぎて2月に内定辞退と就浪を決意しました。

しかし「留年したら次の就活で不利になるのでは…?」という不安を持つ方もいらっしゃると思います。そこで今回は、1回目の就活で志望企業にすべて落ちた4年生の6月に就職浪人を決意したKさんから、就浪時代の行動や当時の想いなどのリアルなエピソードを伺いました。

志望企業にすべて落ちたあと早々に就職浪人を決意

― 今は大手IT企業にお勤めですが、元々はずっと商社を受けていたんですね。企業選びの軸は「業界(商社)」だったのですか?

いえ、当初は特に明確な軸などなく、商社に行きたいと思うようになったのは3年生の冬頃でした。セミナーで出会った商社の社員さん達が魅力的だったことと、仕事をハードに頑張りたい・ある程度高い収入を得たいという自分の理想に商社がマッチしていたからでしたね。

こうだと決めた方向へ一直線に進んでいく性格なので、自然と商社1本で選考を受けていた、という感じです。

― 商社1本の就活、上手くいきました?

全っ然だめでしたね。びっくりするぐらいだめでした。

ネームバリューも実績もある5大商社への就職を志望していたので、その5社の選考が始まる前に練習として小さな専門商社を何社か受けていました。ですが、面接で自分の考えを整理して伝えられずにダラダラ話していて、たぶん選考官には「結局なにがしたいのか分からない」と思われていたんじゃないかなと。ちなみにあの時は「発展途上国の支援がしたい」という話をしていました。

― そうやって失敗しながらも場数を重ねっていったんですね。それで、本命の5大商社の選考はどうでしたか?

結局、ほぼ1次面接で落ちて、1社だけ2次に進んだけどそこで落ちました。

― おぉ。残念でしたね。

そうですね。残念という気持ちと、あとはどこか「やっぱりな」という気持ちがありました。良い面接ができたと確信を持てたことがなく、自分の面接はなにかが間違っているのかなと思っていたので、あぁやっぱりかと。

同じ大学で5大商社に受かった内定者の先輩たちの話を聞いたのですが、全員大学時代にすごい経験をしていて、それを就活では上手にアウトプットしてきたみたいで。こういう人たちが受かるんだろうなと思いつつ、自分にはそんな経験も、明確な軸があったわけでもないので「このままじゃ伝わらないんだな」と感じたんです。

今の自分のやり方をつづけた先に内定を取る未来が見えず、がらっと自分のやり方を変える必要があると思いました。

それで、5大商社の選考に全て落ちた6月の時点で、完全に就活を辞めて就職浪人を決めました。

― 随分早い。

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就職浪人時代に徹底した2つのこと

― なぜこの早い段階で就活浪人を決めたのですか? まだ6月ですし、今の課題を改善しながら就活を続けることもできたと思うのですが。

自分のやり方を変えるにはすごく時間がかかると思ったからです。あとは、やり方を変えた上で来年また同じ会社を受けたかったからですね。

― 就職浪人をすることに抵抗や不安はなかったですか? 周りの目や企業からのイメージなどを気にされる方もいます。

そんなに不安はなかったですね。

確かに留年理由は聞かれるだろうし、就職留年を理由に不採用にする企業もあるなとは思っていました。だけど、たぶんそういう企業と自分は相性が悪いんだろうなと(笑)。留年やその人の特殊な経験を嫌がる企業は、入社してからも新しいチャレンジを許さないようなイメージがありました。

「自分を変えるために留年してもう一度就活に挑戦する」という自分の判断を受け入れてくれて、その上で自分と組むことを選んでくれる企業に行きたいと思っていました。

― なるほど。留年に対する企業側の反応で相性を見る、というのは就職浪人を逆手に取った新しい企業の選び方ですね。

ちなみに2回目の就活で、銀行はすべて1次面接で落ちました(笑)。

― 業界との相性があるんですね。では、留年を決めてから就活再開まではどのように動いていたのですか?

具体的にやったことは2つです。

まず1つ目に、6月からの半年間で100万円ほど就活資金を貯めました。バイトを4~5個掛け持ちしてとにかく毎日働きました。来年の学費は自分で払うと決めていたし、就活を再開したらそれだけに集中したかったので、年明けから6月までの就活費と生活費を一気に稼ぎました。

これは勝手なおすすめですが、就職浪人を考えている人は、翌年の学費を自分で出すといいと思っています。2回目の就活を頑張る覚悟が持てるので。

― 親のお金で就職浪人した4年前の私にそのまま伝えたい言葉ですね。では、お金を稼いだ後はなにをしたのですか?

それが就浪時代に徹底したことの2つ目になるんですが、「上手く伝える」ための練習です。12月までに必要なお金を貯め切って、その後は「この人から就活の指導を受けたい」と思っていた方から徹底的に個人指導を受けていました。

その方は、新卒で5大商社のうちの1社に新卒で入社して、今は起業して全国の高学歴のトップ学生向けにキャリアコンサルをする就活塾を運営されています。1度目の就活のときにその方のセミナーに行ったのですが、話があまりにもすごすぎて逆に参考になりませんでした(笑)。

でも、自分を変えて就活のやり方を大きく変えるには、内定者とかキャリアセンターの人とかじゃなく、このぐらいハイレベルな人と関わる必要があると思いました。個人指導は有料でなかなかの値段でしたが、ここは投資だと考えて、迷わず依頼しましたね。

― 金額を聞いて驚きました。就活塾ではなにをしていたのですか?

簡単に言えば、これまでの人生から「自分の軸」を見つけることと、自分の話を相手に上手く伝える練習ですね。その方から徹底的に問い詰められていじめ抜かれました。

― スパルタ。

2回目の就活は大成功。就職浪人が理由で不利になったのは銀行の選考のみ

― 自分を変えるために就活コンサルを受けて、効果はありましたか?

ありました! 軸の深堀りや自分の想いを伝える練習を繰り返したおかげで、いざ就活を再開してみると各社の選考で落ちることはかなり少なくなっていました。

― 2回目では商社一本ではなくいろんな業界の会社を受けられていますね。

商社、銀行、コンサルが中心でした。就活塾で深堀りしてもらった結果、自分の企業選びの軸は『人にチャンスをつくる仕事』だと気付けたので、その軸なら商社に絞る必要はないなと。

内定をもらって今働いている企業はIT業界ですが、地方の住民にビジネスのチャンスをつくることができる事業もあり、企業理念にもすごく共感できたので、内定をもらった時点で他の企業を辞退して就活終了しました。

― 2年間の就活お疲れさまでした。ちなみに、留年したことはやはり面接で聞かれましたか?

そうですね、大体どの企業でも聞かれました。でも、実際の面接で就職浪人の理由をつっこまれて困ることはあまりなかったですし、不利になったとも感じなかったですね。銀行以外(笑)。まあ留年が理由で落ちたかは分からないですけどね。

面接は、1問1問の回答も大切ですが、その面接時間を使って最終的にどんな印象を与えたか重要だと思っています。仮に単位が足りなくて留年した人も「単位が足りなくて留年しましたが、今はとても反省してこれだけ勉強を頑張っています!!」と前向きに伝えられたらいいんじゃないかと(笑)。

― 就職浪人した場合も、その理由と今の意欲をしっかり伝えられるといいのかもしれないですね。

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「就職浪人をした元学生」Kさんに学ぶ教訓

-就活に悩んで就職浪人を考えている人や、すでに浪人を決めたけど来年が不安すぎてやばいという人に対して、最後になにかアドバイスをお願いできますか?

もうすでに就職浪人を決めているけど来年が不安、という人には「自分が何につまづいたのかを明確にしなよ」と言うと思います。

場数や練習量が足りなかった、アピールの内容に問題があった、自分に合った企業選びができていなかったなど、要因はいろいろ考えられますが、自分の課題を明確にして戦略的にやってほしい。

あと、まだ決めかねて悩んでいる人は「決めるための行動」を早くした方がいいと思います。

例えば、いろんな人に話を聞いてから決めたいのであれば、早く行った方がいい。相談して「やっぱり就職浪人しよう」と決めるのが明日なのか1か月後なのかで、次の行動に移るまでのスピードも、来年の就活のために使える時間も大きく変わりますからね。意思決定するための行動は早くすることをおすすめします。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

多くの学生と企業をマッチングしてきた経験を活かし、『就活対策サイト「キャリアパーク!」が教える 「最高の会社」の見つけ方』(高橋書店)を出版。最高の会社を見極めるための基準や失敗しない企業選びの方法を紹介している。

全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-190515132-01459)

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