業界研究

【食品業界研究】業界の現状・特徴や今後の動向を徹底解説

食品業界の業界研究をしよう

食品は生活に欠かせない重要な分野であり、需要の高さ、安定性の高さから人気があります。また、食べることが大好きで、美味しいものをとことん追求したいと考え、志望する人もいるでしょう。志望理由は当然人によって違いますが、志望者が多く倍率が高いことは確であるため、就職を目指すなら事前準備を徹底しなければなりません。

まずすべきなのは業界研究であり、食品業界とはどのような業界、分野なのかを細部まで把握することが大切です。食品業界=食品、食べ物、食べることに関係する業界という認識は間違いではありませんが、就職を目指すならこれだけでは不十分です。業界の現状から今後の動向、将来性まで把握することが、業界への理解を深めるには必要になります。

食品業界とは?

食品業界への理解を深めるには、まずは基本的な知識から身につける必要があります。ひとくちに食品業界といっても範囲は広く、実は複数のジャンルに分かれて構成しています。業界全体の分野、ジャンル、構造を知ることが、業界研究をより深めていくためのベースの知識となるでしょう。根幹の部分を理解していないと、どれだけ情報を積み上げても知識として吸収できないため注意しなければなりません。食品業界とはどのような業界か、基本部分からおさらいして考えることが大切です。

原材料と加工食品のメーカー

一般的に食品業界と聞いてイメージされるのは、食品を作るメーカーの存在です。これらが業界の中心を担っているのは確かですが、実は食品メーカーには原材料メーカーと加工食品メーカーの2つがあることは理解しておかなければなりません。例えばパンを作ると考えた時に、主な材料で必要なのは小麦です。この小麦を作るのが原材料メーカー、小麦を仕入れてパンにするのが加工食品メーカーと考えましょう。

原材料メーカーは食品業界の根幹を支える重要な立場を担っており、国産ブランドの高品質な原材料を生産している企業が多いです。また、これらは完全に分けられているとは限りません。原材料メーカーが自社生産で加工食品を作っている、加工食品メーカーが自社ブランドの原材料を作っていることもあります。

外食産業も該当

食品業界の中では忘れられがちですが、実は外食産業も分野のひとつです。外食産業は原材料メーカー、加工食品メーカーとは一線を画すように思われがちですが、実はこれらは密接に繋がっています。外食産業の例としてはレストランが挙げられ、レストランが営業し、料理を提供するには食材が必要です。

レストランによっては市場で直接仕入れをすることもありますが、規模の大きいチェーン店だと原材料メーカーや加工食品メーカーから仕入れをすることもあるでしょう。食品として提供する、料理として提供するという違いはあるものの、両者の関係が深いことは確かです。外食産業でも自社生産で原材料、加工食品を作っている場合もあり、それぞれの分野が複合的になっていることも覚えておきましょう。

業態の基本はBtoB

食品業界全体で見ると、基本的な業態はBtoBです。外食産業に限っては、料理を直接消費者に提供する点ではBtoCですが、仕入れ面で見るなら取引としてはBtoBと言えます。原材料、加工食品メーカーはともにBtoBが基本で、これは仕入れと出荷の両方が該当します。原材料メーカーは原材料となる種、苗木などは業者から購入し、それを育てて加工食品メーカーへ流すのが基本的なルートです。

加工食品メーカーは生産した食品をスーパーや小売店に販売し、消費者への売却を委託してもらいます。BtoBが基本であるため、消費者との直接的な関わりが少なく、メーカーの場合はカレンダー通りの休みになりやすいのも特徴です。ただし、現在ではECサイトの発足によって、メーカーから消費者に直接発送するBtoCの領域が拡大しつつあることは頭に入れておきましょう。

食品業界の仕事

業界への理解を深めるには、仕事内容を知ることも大切です。ここではメーカーの仕事に絞って紹介しますが、実際にどのような仕事がおこなわれているか、イメージできていない人は多いでしょう。新卒の段階では、就職してすぐに配属になる部署は固定されていることも多いですが、ゆくゆくは異動の可能性もあるため、知っておいて損はありません。就職後すぐの仕事はもちろん、将来どのようなことをしたいかも考え、業界での仕事への理解を深めることが大切です。

研究・開発

研究・開発は、新しい食品を生み出す基礎・応用研究をおこなう仕事です。原材料メーカーの場合は、種や苗木の段階の品種改良をイメージすると分かりやすいでしょう。加工食品メーカーの場合は、新商品の開発、および開発のための研究が該当します。食品を生み出す心臓部ともいえる部署であり、メーカーにおいては重要な役割を果たします。

単においしいだけではなく、便利に調理できる、健康に優しいといった、商品ごとに違う条件を満たさなければなりません。加えて、納期が決まっていることも多く、成果が求められやすい仕事であることも理解しておきましょう。また、新商品の研究・開発だけではなく、既存の商品のマイナーチェンジ・改良も業務の一環です。

生産・品質管理

生産・品質管理は、実際に形になった商品を大量に製造する工場ラインの仕事と考えましょう。基本的には商品の生産は完全オートメーション化されていることが多いですが、商品によっては一部手作業や目視での確認が必要な場合もあります。工場のラインに入ってそれらの実務をこなしたり、生産数や在庫、売上を見て製造量をコントロールしたりするのが主な仕事です。

また、数の管理だけではなく、品質の管理も重要な仕事で、一定の基準を満たしているかどうかもチェックしながら梱包、出荷まで見届けなければなりません。工場のラインだからといって、単純作業をおこなう仕事ではなく、むしろ数字の管理や商品のチェックといった複合的な仕事であることは覚えておきましょう。

マーケティング

マーケティングは、市場調査によって、新商品や既存商品の開発案、キャンペーン企画を考える仕事です。企業によってはマーケティングを完全アウトソーシングしている場合もあり、必ずしも部署があるとは限らないため注意が必要です。マーケティングの主な仕事は市場の調査・分析であり、分析結果をもとに企画の立案、場合によってはプレゼンテーションまでおこないます。

他社とコラボする場合は他社へのプレゼンテーションが必要で、競合がいる場合はコンペになることもあるでしょう。また、自社内で製造が完結する場合でも、研究・開発、生産・品質管理の部署と連携を取って、仕事を進めなければなりません。トレンドに敏感で数字に強いことはもちろん、高いコミュニケーション能力が求められる仕事でもあります。

営業

営業は商品の販売や買い付けをおこなう部署です。新卒での募集は営業職が多く、まずは現場を経験してから、他の部署に異動となるケースが多いでしょう。営業の主な仕事は商品の販売で、原材料メーカーなら加工食品メーカーや卸売をおこなう商社、加工食品メーカーなら、スーパーや小売店に自社商品を売り込みます。

業態がBtoBであるものの、最終的に届けるのは消費者であるため、エンドユーザーを見越した魅力的な販売・提案が求められるでしょう。また、買い付けも営業職にカウントされる場合がありますが、企業によっては買い付けはバイヤー職として独立していることもあります。バイヤー職が存在する場合は、営業職は販売メインで動くと考えましょう。

食品業界の現状

食品業界の現状

食品業界への理解をさらに深めるには、現状の分析も必要です。業界全体がどのような現状を抱えているかを知ることで、成長傾向なのか、それとも縮小傾向なのかが分かります。また、業界が持つストロングポイントからウィークポイントまで把握でき、詳細部分まで理解が深められるでしょう。今後の動向や抱えている課題を考える上でも、現状把握は重要です。食品業界の現状から少し先の動向まで考えてみましょう。

業界全体は成長傾向

食品業界は、業界全体で見ると成長傾向で推移しています。もともと食品は生活する上では欠かせないものであり、業績が大きく変動することはありません。基本的にはなだらかな変化で、成長も縮小も極端にならないことは理解しておきましょう。現在の成長傾向も、あくまで緩やかなもので、爆発的に成長しているわけではありません。

ただし、あくまで成長傾向にあるのは食品メーカーの話で、外食産業についてはややマイナス成長気味であることは覚えておきましょう。景気の回復に伴い、少しずつ勢いを盛り返してはいますが、人手不足による仕事量、退職者の増加、サービスの品質の低下によって苦しんでいる企業は多いです。食品業界内でも、分野や企業ごとに現状が異なることは理解しておきましょう。

健康食品に注目

食品メーカーの分野は緩やかに成長を見せており、特に健康食品の分野が注目されています。これは、高齢化による社会構造の変化が大きく関係しているでしょう。高齢者が増えたことで健康に関心を持つ人が増加しており、健康食品への注目、需要は高まっています。既存の商品のブラッシュアップはもちろん、新商品の開発に乗り出す企業も増えており、拡大が見込まれる市場の開拓に注力する企業は多いでしょう。

健康食品のように、プラスアルファの価値を持った食品が望まれる傾向にあり、今後もこの流れは大きくなると予想されます。高品質で安全性が高く、かつ付加価値を持った食品が求められる時代であり、健康問題への関心は幅広い年齢層で高まっているでしょう。

海外展開に積極的な企業の増加

食品市場の拡大は国内だけにとどまらず、海外に目を向ける企業は増えています。海外では日本食がブームであり、国内では低迷気味の外食産業も、海外展開を考え、国外での利益を求める企業は少なくありません。また、海外展開は食品メーカーも同様で、特に経済発展が著しく、かつ日本の食品への信頼が高いアジア地域に注力して展開する企業は増えています。

海外市場は拡大しつつあり、大手を中心に拠点を広げる企業も少なくありません。2020年の東京オリンピックの開催で、諸外国から注目されていることもあり、海外市場の成長は著しいです。現在ではまだまだ国内消費が売上の大部分を占めているものの、今後比重が変化し、海外消費はさらなる増加が見込まれるでしょう。

食品業界の今後

就活をさらに有利に進めるには、現状だけではなく今後にも目を向けなければなりません。業界の今後を知ることは、就職先への将来性を測る上で非常に重要です。就活は就職して終わるわけではないため、就職してから先、何年後、何十年後のことまで視野に入れる必要があります。今はよくても、将来的に衰退していることが目に見えていると、本来やりたかったことができなくなる可能性すらあります。本当に就職していいかを見極めるためにも、今後の動向を知ることは大切です。

長期的には需要は減少

現在は緩やかに成長傾向で推移している食品業界ですが、長期的に見ると業界全体の需要は減少し、規模は縮小する可能性が高いです。これは少子高齢化に伴う人口減少が原因で、食品業界への関心云々ではなく、社会構造の変化が関係しています。そのため、人口減少による需要の減少、業界規模の縮小は食品業界に限ったことではなく、ほぼ全ての業界で同じことがいえるでしょう。

人口減少によって国内での消費は減るため、今後ますます海外市場への注目が高まると予測されます。国内市場で失った分の需要を、海外でどれだけ取り戻せるかが、業界、企業の今後を占うともいえるでしょう。縮小傾向で推移する見込みですが、業界全体の未来は暗いわけではありません。

介護食・健康食への注目はさらに高まる

社会構造の変化に伴う影響では、食の志向の変化も考えられるでしょう。現在高齢化が進んだことで、健康食品が注目され、ニーズが高まっていますが、今後高齢化は加速するため、需要がさらに高まります。また、介護食も注目されつつあり、医療や介護の分野と連携して食品を提供する可能性が考えられるでしょう。

現在でも増えつつあるように、単身世帯でも消費できる小さいサイズの加工食品や自宅への配送サービスといった、「個食」に関するサービスは今後さらに増加する見込みです。社会構造の変化や家族の在り方が多様化し、未婚化・晩婚化が進んでいることも個人向けの食品が増えることの一助になっているでしょう。大人数向けの食品だけではなく、個人の生活環境に合わせたバリエーション豊かな食品が、今後は増えると考えられます。

食品業界は生活に欠かせない重要な業界

食品は生活に欠かせない重要なものであり、人が生きている限りなくならない業界です。しかし、社会構造の変化に伴う人口減少によって、市場規模が縮小するのは免れず、長期的に見ると国内市場はマイナス成長するでしょう。国内で求められるのは、多様化するライフスタイルに合わせた食品や介護・健康食といったもので、付加価値を付けた食品が、今後さらに登場すると考えられます。

また、国内市場が縮小した分、ターゲットは海外市場に見定められており、現在でも海外展開に注力して、高い利益を獲得する企業は多いです。食品業界自体がなくなることはありませんが、時代の変化によって業界の構造が変わることは理解しておきましょう。その時の現状、今後の動向、将来性まで見て、業界研究をおこなうことが、スムーズに就職先を決めるために重要です。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也
(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

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