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コンサルは就活生人気が高い
コンサルは就活生から人気の高い就職先で、毎年志望する人は数多くいます。能力を活かしてバリバリ働くイメージや、幅広い業界にまたがって仕事をするという華やかなイメージを持つ人は多いでしょう。
実際のコンサルもイメージの通り華やかな部分もありますが、全てがイメージ通りなわけではありません。実際の仕事では大変なことも多く、また泥臭い仕事、地味な仕事も数多く存在します。コンサルを目指すなら、まずは「コンサル」とはどのような仕事かという、基本部分の理解を深めなければなりません。
漠然としたイメージだけでは、選考を勝ち抜くことは難しく、仮に就職できても理想と現実のギャップに悩まされる可能性が高いです。人気のコンサルを目指すためにも、コンサル志望ならではの就活方法を身につけておきましょう。
コンサルの就活は仕事を知ることから
コンサルを目指す上でもっとも重要なのは、仕事への理解を深めることです。コンサルは、企業向けのサービスを提供する仕事であり、学生のうちに実際に仕事ぶりを見たり、生活の中で関係したりすることはまずないでしょう。
そのため、イメージでしか仕事を知らず、実際に何をやっているのかはよく分かっていないという人も少なくありません。コンサルを目指すには、曖昧なイメージをいかに明確なものに変えられるかが重要です。大きく2つに分けられるコンサルの仕事を知り、理解を深めていきましょう。
企業の問題解決のための相談役
コンサルは、簡単にいえば企業から相談を受け、問題解決の方法を提案する仕事です。どの企業も事業を進める上で問題を抱えていることは多く、それを外部から見つけて解決を目指すのがコンサルの役割と考えましょう。
問題解決といっても内容は多岐にわたり、社内業務の効率化や人員の配置転換といった、込み入った仕事を引き受けることもあります。実際にどこまでやるかは企業によって違いますが、企業が抱える問題を全般的に解決するのがコンサルの仕事と考えましょう。
また、外部の目線を持って企業の問題点を洗い出し、解決策を考えますが、外から見ているだけでは分からないことも多いため、実際に企業内部に入り込むことも多いです。社内改善の相談役として企業とより近い距離で接し、内部から見た問題の改善を目指すのも重要な仕事です。
戦略的提案で企業をサポート
企業が抱えるマイナスをプラスに変えるのが問題解決の仕事ですが、それだけはなくゼロからプラスを生み出す仕事もあります。企業の強みを活かしてどのように事業を進めていくべきか、今後の進路を戦略立てて提案するのも重要な仕事です。
企業によっては力は持っているものの、その活かし方が分からないために市場を勝ち取れていないというケースもあります。コンサルは力の活かし方のノウハウが蓄積されているため、それを使って企業を導くことで、成功を目指します。
いわばプロデュースの仕事ともいえ、企業のよさを見つける、引き出すといった作業を経て、その企業が成功するための戦略を提示するのも重要な役割です。
コンサルの就活の特徴
コンサルへの就職を目指すには、実際にどのような方法で就活を進めていくべきなのかを知る必要があります。コンサルの就活は特徴的であり、他の業界や業種と異なる部分も少なくありません。
コンサルならではの就活の特徴を知っておかないと、出遅れてしまったり、選考がスムーズに進められなくなったりするため注意が必要です。特徴的なのはどのような点なのか、また特徴ごとに気をつけるべきことはなにかも含めて知っておきましょう。
ジョブというインターンシップを通して内定を出す
コンサル業界では「ジョブ」と呼ばれる特殊な選考形式を採用していることが多く、これはいわばインターンシップです。ジョブでの選考では、実際にコンサルとして働いてみること、ワーク形式で模擬的に実務を経験してみることが多く、そこでの活躍がそのまま選考での評価となります。
つまり、他の業界とは違ってより実践的な能力が見られる選考方式といえ、実力主義の企業が多いコンサルならではといえるでしょう。ジョブではきちんと仕事をこなせるかだけではなく、将来性もチェックされています。就活生がいきなり第一線で活躍できるとは企業も考えていないため、選考で見られるのは適性の部分が大きいです。コンサルとして活躍できるだけの基礎能力はあるか、仕事の本質を正しく理解できるかが、評価の分かれ目といえます。
ジョブをおこなわない本選考は1~4月
実践形式であるジョブを用いて選考をおこなう企業は多いですが、全てがこれに該当するわけではありません。企業によってはジョブをおこなわず、その他の業界と同じ方法で、書類選考や面接などをおこないます。
ただし、実施時期が通常の企業とは異なっており、コンサル企業では1~4月に本選考が実施されることは少なくありません。そのため、エントリーは年明け前となっており、10月から11月ごろに応募が締め切られるということもあります。
他の業界よりも前倒しで選考をおこなうことがほとんどであるため、応募期限を逃さないようにしなければなりません。選考の対策自体も早めに進めておかなければならず、スタートダッシュを切れるかどうかが、合否を分けるポイントになるでしょう。
外資系は早めに準備
コンサルは日系企業だけではなく、外資系の選択肢も多いです。外資系の場合は通年採用が基本で、日系企業の一括採用とはスケジュールが大幅に異なるため注意しなければなりません。
企業ごとに違いはありますが、選考が集中するのは大体9~11月あたりです。秋頃から順次選考がスタートとなるため、エントリー時期はもう少し前になります。また、3回生のうちから選考が始めるのも特徴で、通常よりも時期が早いため、就活準備もさらに前倒しにしておかなければなりません。
外資系は日系企業よりもさらにハードルが高く、念入りな準備が必要です。外資系のコンサルは、就活市場でも最高難易度といえるため、事前対策は徹底しておかなければなりません。
コンサルで求められる能力
コンサルを目指すなら、どのような能力が求められるかを知り、事前に身につける努力をすることも大切です。企業ごとの方針に違いはあるものの、コンサルの世界では基本的に実力主義であることが多いです。
これは新卒であっても同じで、他の業界、企業のようにポテンシャル採用とは一線を画す場合が多いため注意しなければなりません。コンサルで必要な能力は大きく2つですが、それぞれより高いレベルが求められることは理解しておきましょう。
コミュニケーション能力
コンサルの仕事は対人業務が基本となるため、コミュニケーション能力は必須です。仕事内容にもよりますが、ひとつの企業と長期的な付き合いになることも多く、プロジェクト次第では年単位で関わることもあります。
人と深く関わる仕事で、いかに人間関係を円滑に回せるかも重要なため、コミュニケーション能力は高いレベルで身につけておかなければなりません。コミュニケーション能力は大別すると話す能力、聞く能力の2つがありますが、コンサルでは両方が必要です。
クライアントに問題の解決策や戦略を提案する際には、話す能力、プレゼンスキルが必要です。問題点を洗い出したり、ヒアリングをして企業の魅力をみつけるには、聞く能力、傾聴力が必要になると考えましょう。
論理的思考力
コンサルは常に考える仕事であり、論理的思考力も必須です。クライアントの企業が抱える問題は何か、魅力を活かす戦略は何かということを、論理的に筋道を立てて考えなければなりません。
突飛なアイデアで一気に状況を打開するのがコンサルとイメージする人も多いでしょうが、実際には地道な改善の積み重ね、状況の打開を目指すことのほうが多いです。仮に面白いアイデアが浮かんだとしても、それを論理的に考えて実行に移せない、あるいは実行しても効果が薄いと判断したなら、採用はしません。
コンサルは実際的な提案をすることが多く、確実に効果のあるアイデアをみつけるためにも、確証を持って思考を進められる論理的思考力が必要です。
コンサルでやっておくべき就活対策
選考の難易度が高いため、事前対策は念入りにおこなわなければなりません。コンサルとして就職できるかどうかは、事前対策をどこまで徹底できたかで変わるといっても過言ではないでしょう。
しかし、コンサル向けの対策として、具体的に何をすべきか分からず、困る人は少なくありません。コンサルを目指すなら、選考の内容や特徴に合わせた準備をおこなうことが大切です。
エントリーシートの内容に気を配る
コンサルでも書類選考はおこなわれ、エントリーシートの提出を求める企業は少なくありません。企業によって内容は異なるものの、志望動機や自己PRなど、基本的な項目は多いため、それらは事前に対策しておきましょう。
エントリーシートをきちんと埋められることはもちろん、のちに面接で聞かれる場合を想定して、より詳細まで話せるようにしておくことが大切です。コンサルでは仕事の性質上論理的であることを求められるため、エントリーシートもこの点を意識して作成しなければなりません。
結論ファーストで記述し、伝えたいことを端的に述べられるかどうかが重要です。アピール内容ももちろん重要ですが、論理的に書かれているかどうかも同じく重要視されることは覚えておきましょう。
筆記試験で足切りされないように準備する
筆記試験の対策も必須であり、コンサルではボーダーとなる点数が高かったり、問題自体が難しかったりすることも多いため注意が必要です。企業によって採用している筆記試験の形式は異なり、広く使用されているSPIや玉手箱から、自社で作成したオリジナルの試験を設けていることもあります。
どちらの場合でも難易度が高いことは確かであるため、適正検査の対策本を使うなどして、基礎的な学力を身につけておかなければなりません。筆記試験は自宅のパソコンなどを使っておこなう場合から、テストセンターでの受検、選考時に自社でおこなう場合などさまざまです。
どのタイミングで実施されるかも企業によって違うため、いつおこなわれてもよいように、早めの対策を心がけましょう。
コンサルならではの選考に注意
コンサルだからといって、選考の過程が特別変わることはなく、書類選考を経て面接やグループディスカッション、ワークをおこなうという基本は変わりません。しかし、選考の内容はコンサルならではのものになることが多いため、この点には注意が必要です。
例えば面接は、通常の質疑応答の形式でおこなわれるだけではなく、ある特定の場面を想定し、解決策を目指すケース面接がおこなわれることが多いです。
「○○社の新製品をより効率的に販売するには?」「○○社が今後狙うべき顧客層は?」といった、ケース別で思考力、問題解決力を問われるのがケース面接の特徴でしょう。また、グループディスカッションやワークでも同様の問題が出題され、より実践的な選考になることも多いです。
コンサルのファームの分類
コンサル業界への就職を目指すなら、ファームの種類による特徴の違いを知っておくことが大切です。コンサル業界にはさまざまな種類のファームがあり、それぞれで特徴が異なります。そのため、この違いを把握しておかないと、自分がやりたい仕事がどのファームでおこなえるのかが、わからなくなってしまいます。適切な就職先を見つけるためにも、ファームごとの特徴の違いは正しく把握して、それぞれどのような仕事をおこなっているのかを知っておきましょう。
戦略コンサル
戦略コンサルは、クライアント企業の経営問題の解決を目指してサービスを提供します。企業経営の在り方や事業の進め方を考えることはもちろん、買収や合併などについてもアドバイスをすることがあります。企業が抱えている問題を洗い出し、それを改善して企業の利益につなげることが、戦略コンサルの重要な仕事といえるでしょう。
コンサルと聞いてもっともイメージしやすい仕事ではありますが、実際にどのようなことをおこなっているのか、詳細まで把握できている人は少ないです。戦略コンサルの仕事は多岐にわたり、クライアントが抱える問題によって提供するサービスが異なります。しかし、企業の利益を追求するために問題解決を図る提言をする点は、共通しているといえるでしょう。
総合コンサル
より幅広いサービスを提供していることが、総合コンサルの大きな特徴です。総合コンサルは、企業の問題解決を図るための改善策の提案だけではなく、その実行までおこないます。つまり、ただアドバイスをするだけではなく、実際のその企業に入り込んで、より具体的な指導をおこない、問題の解決を図って改善案を実行していくといえるでしょう。
外部顧問や人事担当者としてクライアントの企業に出向することもあり、コンサル企業の社員が、改善策の実現に向けて積極的に乗り出します。ただ解決策を提示するだけではなく、実行までの責任を担う点が、大きな特徴です。サービスの範囲が広く、包括的にクライアントをサポートすることが、総合コンサルの重要な使命といえるでしょう。
その他のコンサル
戦略や総合以外にも、コンサルティングファームにはさまざまな種類があります。例えば政府機関などからの依頼を受けるシンクタンクや、ITの技術や知識を活かして企業をサポートするITコンサルなど、種類はさまざまでしょう。
その他の分野に該当するコンサルティングファームは数も増えており、特にIT系のコンサルは近年増加傾向にあります。ITコンサルでは、IT技術やシステムの導入によって、企業が抱える問題を改善することが、大きな特徴です。
ただ、技術やシステムを譲渡するだけではなく、それをいかにして活用するのか、具体的な使い方まで提言します。他にも業務改善に特化したファームや、中小企業の再建に強みを持つファームなどがあり、その他の分野に含まれるコンサルティングファームの数は、非常に多いでしょう。
主要コンサルティングファームの特徴
コンサル業界についての理解をさらに深めるには、業界内でも代表的なコンサルティングファームを詳しく知っておくのがおすすめです。業界でも高い地位を持っているコンサルティングファームについて理解を深めておくことで、コンサル業界がどのような企業の集まりなのかが理解できます。
また、企業ごとの特徴を知ることで、それぞれの強みの違いも把握できるでしょう。主要なコンサルティングファームにはどのような違いがあるのかを知り、業界全体への理解を深めておくことが大切です。
マッキンゼー
マッキンゼーは世界中に支社を持ち、幅広いエリアで活躍しているグローバルなコンサルティングファームです。本社はアメリカにあり、世界60か国以上に、105社以上の支社を持っています。
マッキンゼーは戦略コンサルであり、企業の経営問題の改善に向けて、さまざまな提案をして顧客を獲得しています。企業の特徴としては、人材教育の制度が充実しており、人材育成のノウハウが多く蓄積されている点にあるでしょう。
マッキンゼーでは、所属しているコンサルタントを、担当する業種や機能などでグループにわけて、世界中のプロジェクトに参加させます。つまり、グローバルな環境で仕事ができる土台が用意されており、幅広い経験を積むことによって、自身の成長も期待しやすい企業といえるでしょう。
ベイン・アンド・カンパニー
ベイン・アンド・カンパニーは、アメリカに本社を置く外資系企業です。世界37ヶと58拠点以上の支社を持っており、日本にもオフィスがあります。戦略コンサルとして国内でも高い地位を占めており、ホワイトな労働環境と結果主義を両立させている点が、大きな特徴です。
働きやすい環境が用意されており、アットホームな環境ではありますが、結果主義であるため、仕事に真剣に打ち込める環境が整っています。結果が出せるなら、若年層のうちからも挑戦できる環境にあるため、若いうちから裁量のある仕事にチャレンジしたい人に向いているでしょう。
ボストンコンサルティンググループ
ボストンコンサルティングファームは、本社をアメリカに置き、世界各国に拠点や支社を持っています。グループ全体でみると、世界50ヶ国に90以上の拠点や支社を持っており、日本にも支社があります。
世界的なコンサルティングファームとして知られており、在籍しているコンサルタント数が、非常に多い点が特徴です。つまり、企業としての規模が大きく、抱えている案件も多いといえるでしょう。日本国内においては政府からの依頼も多数あり、外資系企業でありながら日本とのかかわりも深い企業です。
デロイトトーマツコンサルティング
デロイトトーマツコンサルティングは、世界150ヶ国に拠点を持っています。幅広い分野を網羅しており、経営戦略の提言から合併や買収などのアドバイス、IT関連のサービスも提供しています。
それぞれの分野に専門家がいるため、専門性の高いコンサルティングサービスが提供できているでしょう。教育制度が充実している点も大きな特徴であり、外資系でありながら、日系企業にも似た特徴を持っています。
さまざまな分野のプロジェクトに参加しながら、コンサルタントとしての能力を磨いていけるため、働きながら適性をみつけスキルを高めていけるでしょう。
コンサルの就活は実力磨きが重要
数ある業界の中でも、コンサルは難易度が高く、選考を勝ち抜くのは非常に難しいです。高難易度の企業が多いからこそ、事前対策は必須であり、しっかり実力を磨いておかなければなりません。
ポテンシャルや人柄重視で採用されることの多い新卒一括採用において、実力が重視されるコンサル業界は、異質の存在といえるでしょう。人柄のよさだけでは選考の突破は難しいため、仕事での活躍を証明できる、確かな実力を備えておかなければなりません。
コンサルの就活対策は、大きく「コンサルの仕事への理解を深めること」「実力を磨くこと」の2点に分けられます。ポイントを抑えて効率的な対策をおこない、難易度の高いコンサルの就活を成功させましょう。