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鉄道会社に就職するには業界研究が必要
鉄道会社は、新卒の就職先として高い人気を誇っています。鉄道会社は鉄道を核にインフラ事業を展開しており、例年多くの就活生が志望する業界です。鉄道会社に就職したいと考えている人は、交通インフラ以外の事業内容もしっかりと把握しておきましょう。
なぜなら、一口に鉄道会社といっても、企業ごとに特徴が異なるためです。志望する企業のビジネスモデルを理解する必要があります。鉄道会社に就職するには、事業内容や職種理解を進めていきましょう。加えて、各社の共通点や相違点を把握することも重要です。
鉄道会社の特徴や職種の違いを知り、就職試験に備えてください。新卒の就職活動において、鉄道会社は根強い人気があります。事業内容や募集職種を徹底的に理解して内定に近づきましょう。
鉄道会社に就職するために知っておきたい事業内容
鉄道会社のイメージは、鉄道を運行させている会社というのが一般的でしょう。しかしながら、鉄道会社は多角的な経営で事業を展開しています。各鉄道会社の事業内容を確認すると、その幅広さに驚きます。
その中でも、主な事業内容は3つに分けることができます。1つめは、鉄道事業です。鉄道事業はまさに鉄道会社の大黒柱であり、売り上げの半分以上を占めることが多くなっています。2つめは、流通・サービス事業です。JR東日本であればルミネなどの小売業から始まり、広告や旅行代理店業など多岐に渡ります。最近では交通系ICカードなど金融や決済事業も展開しています。3つめは、不動産開発事業です。各社は、駅や沿線周辺の施設の開発に注力して、相乗効果を狙っています。
鉄道会社に就職するためのルート
鉄道会社に就職するためには、どのようなルートがあるのでしょうか。鉄道会社に就職したいと考えているのであれば、どのようなルートを歩めば採用してもらえるのかを知っておきましょう。
鉄道会社によって、募集の形態は異なりますが、採用試験を突破しなければならないことに違いはありません。しかし、採用試験を受けるまでのルートは主に2つあります。自分に合ったルートを選択できるように、よく確認していきましょう。
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大学卒業後に就職するルート
ひとつめのルートは、高校卒業後に大学へ進学し、大学卒業後に鉄道会社へ就職するルートです。とくに大手鉄道会社の総合職を目指すのであれば、大卒は必須でしかも高い能力が求められます。これは鉄道会社に限ったことではありませんが、一般職や現業職などと違い、採用数も少なく狭き門であるためです。大学を卒業していても、競争率は高いでしょう。
一般職や現業職であれば、高卒での採用もあります。ただし、近年は大卒自体が増えているため、現業職でも大卒の割合が増えています。そのため、鉄道会社への就職を強く希望するのであれば、大学を卒業しておいた方が無難といえます。基本的には、学部・学科は不問です。
専門学校や鉄道高校を卒業して就職するルート
鉄道系の専門学校の学科を出て、鉄道会社に進む道もあります。現業職や技術職を目指す人にとっては、専門的な知識を学べるため魅力的なルートでしょう。専門学校によって学べる分野やカリキュラムはさまざまであるため、自分が何をしたいのか、どのように学びたいのかをよく検討して選ぶ必要があります。しかし、入った学科によって、卒業後に目指せる職種が異なることもあるため注意が必要です。
専門学校では、鉄道会社への就職情報を入手しやすいというメリットがあります。専門学校とつながりのある会社の情報はとくに入手しやすいでしょう。また、大学や専門学校以外には、鉄道高校もあり、卒業生の9割が鉄道会社(鉄道関連会社も含む)に就職していきます。
鉄道会社の募集職種
鉄道会社の募集職種は、企業ごとに名称や採用枠が異なります。大別すると、総合職と現業職に分けられるでしょう。現業職の中に、一般職や技術職が含まれるケースが多いです。総合職は採用数も少なく、高い能力やリーダーシップ、マネージメント力が問われます。
それに対して、現業職では専門性が問われます。鉄道会社によって、現業職として一括で採用してからキャリアを積ませるシステムになっている場合もあれば、入社時点で部署がさらに細分化している場合もあるでしょう。
総合職
鉄道会社の総合職は、最終的には本社で勤務することが多くなります。しかし、まずは現場の第一線から始め、数年ごとにジョブローテンションを積み重ねます。鉄道会社もひとつの企業であるため、将来の経営を担っていくためには経験や知識を蓄える期間が欠かせません。
応募資格は大学院、大学、高等専門学校に限られます。JRであれば、ポテンシャル採用という名称で総合職の募集をおこなってきました。東京メトロでは、総合職という名称です。
いずれも採用人数は少なく、将来は経営の視点をもつことが求められるでしょう。また、総合職の中に技術系の仕事が入っている鉄道会社もあります。鉄道を安全に運行するための設計や電気関連、土木系の仕事を担っています。
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一般職
通常の企業では、一般職というと事務職や総合職の補助的な業務に従事する職種ですが、鉄道会社の場合は、現業職を指すことが多いです。通常、一般職では女性の採用がメインで、定型的・補助的な事務を担当することが多いでしょう。しかし、鉄道会社の一般職は、専門職(現業職)のことになります。
鉄道会社の場合、このようないわゆる一般職の採用はあまりありません。一般職という枠での正社員雇用が少なく、派遣社員や契約社員が雇われている側面もあります。しかし、総合職や現業職で事務の業務を経験することはあります。便宜的に総合職と一般職と区分していますが、鉄道会社の一般職は現業職と捉えておくとよいでしょう。
技術職
鉄道会社の技術職は、総合職としての採用枠と、一般職としての採用枠があります。一般職の採用枠は無い企業もあれば、高卒からでも募集している企業もあるでしょう。まず、総合職としての技術職では、大学院や理系の専門的な知識が問われます。
募集対象の専攻は、電気・機械・土木・建築などの専門領域です。技術的な部分以外にも、将来的な設備計画の立案ができるような先を見据えた視点が欠かせません。募集要項では、専門の学部学科を専攻しているのが条件のケースが多いです。
高卒でも技術職の募集をおこなっている鉄道会社があり、主に電気や車両関係の仕事が多くなります。主に工業系の高校卒業生が応募します。ただし、募集形態によっては、旅客サービスや保線の業務などに従事することもあります。鉄道会社によって異なるため、各社の募集要項をよく確認する必要があるでしょう。
現業職
鉄道会社の現業職とは、鉄道の運行に関する現場担当の仕事です。鉄道業界では、一般職と呼ばれることもあります。しかし、いわゆる一般企業の一般職のように、事務的な業務を担当するわけではありません。
あくまでも便宜的に使用されている名称です。運輸に関わる職種としては、駅員や車掌、運転士などがあります。鉄道会社によっては、採用後に現業職の中でキャリアチェンジをすることが可能な場合もあれば、採用時点で絞られていることもあります。
前者のような鉄道会社でも、最初から運転士にはなれません。まずは、駅構内で駅務の仕事に従事することになるでしょう。また、設備関係の技術職も現業職の中に含まれることもあります。JRでは総合職をポテンシャル採用、現業職をプロフェッショナル採用と呼んでいます。
エリア限定職
大きな鉄道会社では、エリアを限定した職種もあります。地域を絞った採用のことをエリア限定職と呼んでいます。鉄道会社によって異なりますが、エリア限定職のなかで総合職と一般職(現業職、技術職)の両方を採用していることが多いです。
エリアが限定される採用であるため、遠方への転機がないことが特徴です。エリアがかなり限定された鉄道会社もあれば、営業エリアが広く、広範囲をカバーしている鉄道会社もあります。鉄道会社に限ったことではありませんが、全国展開している全域型の採用であれば、全国転勤あるいは海外赴任の可能性もあるでしょう。
一方、エリア限定職では、異動エリアが限られます。地元志向が強いのであれば、私鉄の総合職やJRの現業職などがおすすめです。自らの将来設計と照らし合わせて選択しましょう。
人気鉄道会社のそれぞれの特徴
鉄道会社の中でもJRはとくに高い人気を誇っています。JRは発足してから、30年が経過しました。各社の戦略にも大きな違いがあります。JRだけも、北は北海道、南は九州の6社及びJR貨物があります。
私鉄では、関東だけでも10社以上あります。関西やそのほかの地方にも目を向けると多くの鉄道会社が存在します。しかしながら、JRと異なり、鉄道事業の比率は決して高くありません。私鉄は各沿線上の地域開発に長年力を注ぎ、多角化が進んでいます。ここでは、とくに人気が高い鉄道会社3社をピックアップしました。JR東海、JR東日本、JR西日本です。
JR東海
JR東海の正式名称は、東海旅客鉄道株式会社です。売上高は2兆円に迫る勢いです。東海道新幹線が収益の柱になっています。JR各社の中でも、JR東海は新幹線依存度が群を抜いて、運輸収入に占める割合が高いのも特徴です。
時価総額も鉄道会社では、現在トップを誇っています。在来線は12路線を保有しており、在来線の高山線は観光需要が増えています。2027年には、品川と名古屋間にリニア中央新幹線が開業する予定です。過去最高益を連続更新しています。
総合職で就職した学生の多くは、東京大学や名古屋大学、岐阜大学などが上位を占めています。世界的な企業であり、世界に羽ばたく人材の育成も力を入れています。海外にも高速鉄道を売り込み、まだまだ勢いはとどまるところを知りません。
JR東日本
JR東日本の正式名称は、東日本旅客鉄道株式会社です。山手線を筆頭に高収益の路線を多数抱えています。売上高は約3兆円あり、鉄道最大手です。社員数も7万人を超え、車両数も1万以上保有しています。
しかしながら、営業利益ではJR東海に劣ります。時価総額は鉄道では、JR東海に次いで2番目です。もっとも、首都圏は人口が増加しており、今後も増える見込みのため、成長はまだまだ続きそうです。駅の再開発や非鉄道事業にも注力しています。不動産の賃貸事業や駅ナカ物販の事業が好調です。海外でもルミネやアトレが好調で最高益を更新しました。首都圏の通勤及び観光客の鉄道利用者数も堅調です。ICカード乗車券の「Suica」電子マネーにも強みがあります。
JR西日本
JR西日本の正式名称は、西日本旅客鉄道株式会社です。北陸と山陽の鉄道事業が柱となっています。営業エリアは、北陸、近畿、中国、九州北部の2府16県に及び広範囲です。売上高も1兆5,000億円を超えています。時価総額は鉄道3位です。
山陽、北陸新幹線は好調です。一方で、近畿圏の成長の頭打ちを見越して、鉄道以外の事業拡大に舵を切っています。セブンイレブンと提携しており、駅の店舗を再編しています。また、日本旅行との連携で鉄道旅行なども展開しています。外国人観光客に人気の地域にも力を入れてきました。大阪や京都を重点的にホテルの開発も進めています。さらに、瀬戸内海汽船や国土交通省中国運輸局とも連携するなどして、地方への観光客の呼び込みにも力を入れて余念がありません。
鉄道会社の就職試験
鉄道会社の就職試験は、総合職か一般職(現業職、技術職)かによって異なります。鉄道業界の就職試験の特徴は、クレペリン検査です。正式名称は内田クレペリン検査といい、能力と性格の特徴から働きぶりを予測する検査です。
検査方法は、簡単な一桁の足し算を1分ごとに行を変えて答えていきます。他の業界でこの検査が登場することは多くありません。エントリーシートや面接などは、他の業界や企業同様に実施されます。
総合職の採用では、その鉄道会社の経営面を支える人材を育成しなければならないため、論理的思考力や発想力、専門的な知識など必然的にハードルは高くなります。くわえて、採用人数も少ないです。それに比べて一般職(現業職、技術職)は採用人数が10倍以上の場合もあります。大卒から専門学校、高卒と採用資格も豊富で、多様な人材が集まります。
人気の鉄道会社に就職するために実態を把握しよう
鉄道会社は人気の業界であるため、採用試験は一筋縄ではいきません。ただの鉄道好きだからなれるものではないことがわかるでしょう。鉄道は、安心・安全に走行することが使命です。
将来運転士を目指すのであれば、適性も問われることでしょう。総合職であれば、幅広い経験や知識が問われ、将来鉄道会社を経営の面で支えていく人材になっていかなければなりません。
そのためには、学生時代をどのように過ごすかが重要になってきます。くわえて、鉄道会社といっても各社に特徴があります。志望する鉄道会社の方針や事業展開を踏まえた志望動機作りが欠かせません。まずは、鉄道業界全体のビジネスモデルを理解して、各社の実態把握に努めてください。