面接対策

【圧迫面接で訴訟を考える際のポイント】法律違反になる可能性

圧迫面接で訴訟に踏み切ることはできるのか

圧迫面接を受けると精神的な苦痛を感じやすく、訴訟に踏み切ることはできないのかと考える人は多いです。企業によっては、就活生のさまざまな能力を見るために圧迫面接をおこなう場合はありますが、実態はさまざまです。能力判断のためにあえておこなっていることなのか、単に企業の悪習としておこなわれているのかは判別がつきませんし、悪意があるのかを見分けるのは難しいことです。

しかし、悪意の有無に関係なく、圧迫面接によって傷つく人は多くいます。なかには、自信をなくして就活を続けられなくなってしまう人もいます。企業側に目的がある場合もありますが、基本的には圧迫面接は許されるものではありません。圧迫面接とはどんなものかを知って、訴訟が可能なのかも知っておきましょう。

圧迫面接の特徴

面接官の中には、突き放すような態度や発言をして意図的に就活生にストレスを与える人もいます。面接中に「これは圧迫面接かもしれない」と気付くことで、冷静に対処する必要があるのです。圧迫面接には、就活生の発言を頭ごなしに否定したり、興味のない態度を示したりする特徴があります。

圧迫面接をする面接官は、「そんな自己PRじゃダメ」「うちの会社に向いてないんじゃない」などと、就活生を否定するような冷たい発言をするケースが多いです。ストレス耐性を試すためにしていることとはいえ、精神的にショックを受ける就活生は多いでしょう。

就活生の人格や経歴の否定

圧迫面接の特徴としては、就活生の人格や経歴の否定などが挙げられます。面接は質疑応答の形式で進みますが、就活生の発言に対してすべて反論し、間違っているといい続けたり、履歴書をみてこれまでの経歴を馬鹿にされることもあります。面接中の発言や履歴書などを確認しながら就活生の評価を決定するのが面接官の役目であり、否定をするのは役割にはありません。

どんな内容であっても、冷静に判断するのが本当の面接ですので、極端に否定的な場合は圧迫面接であると考えてもいいでしょう。圧迫面接だからといって、必ずしも大声を上げて怒鳴ったりするわけではありません。就活生のことを否定した発言や態度を取るのも、圧迫面接のひとつであることを覚えておきましょう。

面接官の態度が悪い

面接官の態度が悪いことも、圧迫面接の特徴のひとつです。企業によって面接官の雰囲気は違いますが、フランクな場合も厳しい場合も基本的には厳格な姿勢で面接に臨んでいます。しかし、圧迫面接の場合は、溜息をついたり足を組んでいたり、常識的に面接をおこなうような態度ではありません。

面接官の態度は、すぐにわかりやすいポイントでもありますし、普段の面接とは違うと感じれば、圧迫面接の可能性を疑うようにしましょう。圧迫面接かどうかを知っているだけで気の持ちようは変わってきますし、心に余裕を持つこともできます。

面接官は就活生と対等な立場であって、決して上の立場にいるわけではありませんので、面接官の態度が悪い場合は注意しておきましょう。

就活生の回答を掘り下げようとする

圧迫面接では面接官の態度が悪く、やる気がなさそうに見えることも多いですが、実際に質問数などは多い傾向にあります。就活生の回答を深追いし掘り下げようとし、少しでも詰まるようであれば容赦なく畳みかけてきます。通常の面接でも回答に対して深掘りをされることはありますが、圧迫面接の場合はさらに深追いし、答えられなくなるまで質問を続けることも多いです。

答えられなくなれば罵倒し、次の質問もしつこく答えられないところまで聞くという、同じサイクルが繰り返しおこなわれることもあります。深追いされれば誰でも答えられなくなりますし、言葉に詰まってしまうものです。圧迫面接では、少しのミスでも厳しく追及しますので、一言一句注意を払って発言しなければなりません。

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圧迫面接を取り締まる法律は存在しない

圧迫面接を受けたときに訴訟を起こしたいと思った場合は、どのような法律のもとで起こすことになるのでしょうか。労働者を守る法律として有名なのは労働基準法です。しかしながら、圧迫面接は求職者としての立場で経験するもので、労働者とはみなされないため、労働基準法で守られる対象ではありません。

そのため、圧迫面接について労働基準法で訴訟というのは難しいです。そのほかの多くの職業安定法規においても、圧迫面接そのものを禁止する法律はありません。

採用方法は企業の自由=圧迫面接は法律違反と判断されにくい

男女差別や年齢制限を設けたりすることを禁じられるなどの法律はあったとしても、どのような人を採用するかは基本的には企業側の判断になります。面接の内容も必要に迫られて実施された内容であれば、基本的には法律違反と解釈されることはないと判断されるでしょう。

圧迫面接を受けたとき、その違法性について訴訟を起こす場合には、労働関係法規ではなく刑法など他の法律のもとでということになってきます。

表向きはストレス耐性と臨機応変さの確認で通している

圧迫面接を取り締まる法律がない理由としては、表向きはストレス耐性と臨機応変さの確認で通していることも挙げられます。圧迫面接自体は違法性が高いものの、企業としても方針を持った上でおこなっていることで、業務の一環として認められてしまっている場合が多いようです。面接では就活生のさまざまな能力を判断しますが、圧迫面接をおこなう理由は、就活生のストレス耐性と予想外の状況での対応を確認するためとされています。

おこなう理由が明示されているため、業務上の方針として捉えることしかできず、法律で取り締まることは難しくなっています。理由はあるものの、ほとんど後付けであることが多いので、耐えられなかったからといって、能力の低さを嘆く必要はありません。

圧迫面接は採用選考の一環

就職活動においては、基本的に求職者がどのような人物か、どのような能力があるかを判断して採否を決めることになります。したがって、面接官はさまざまな質問などを通じて求職者本人が自社に適した人材かどうかを判断することになります。

一般的に圧迫面接と呼ばれるような、面接官が威圧的な態度を取ったり、答えに窮するような質問をしたとしても、仕事をする上での資質をみるための質問等であれば基本的に不適切な質問や発言とみなされる可能性は低いといえます。

度を越えた態度や発言は名誉棄損や侮辱罪へ繋がる場合もある

しかしながら圧迫面接の中で、度を越えた威圧的な態度や、答えに窮する質問がでた場合については、名誉棄損罪や侮辱罪に該当し、訴訟に発展する可能性があります。

これらの罪に該当するかどうかは個々の状況を見て判断することになりますので、確実に当てはまる圧迫面接のケースを断言することはできません。しかし、もし訴訟を起こして名誉棄損罪や侮辱罪に該当する場合には、当然のことながら、犯罪として罰せられることになってきます。

セクハラ発言は男女雇用機会均等法違反になる

圧迫面接と一口にいっても、面接の特徴はさまざまですが、中にはセクハラまがいのことをする面接官もいます。圧迫面接を取り締まる法律はないものの、セクハラ発言は男女雇用機会均等法違反になるため違法です。

面接であるかどうかに関わらず、そもそもセクハラ自体が法律違反となりますので、セクハラを受けた場合は必ず被害があったことを申し出るようにしましょう。

セクハラ被害を訴える先としては、面接を受けた別の部署でも構いませんし、外部の機関などでも構いません。セクハラであれば訴訟をおこなうことも可能ですし、第二、第三の被害を食い止めるためにも、きちんと申し出ることが大切です。セクハラを受けた場合は、自身の身を守ることが第一ですので、身の危険を感じれば面接中であっても逃げるようにしましょう。

圧迫面接は損害賠償訴訟の対象になる可能性アリ

圧迫面接の中での面接官の発言が、採否のための質問にとどまらず、求職者の人格までを否定するような内容で精神的苦痛を受けた場合には、損害賠償請求訴訟の対象となる可能性があります。面接官に認められる権限は、あくまでも採用に関する採否についてであって、人格までも否定する権利はありません。

にもかかわらず、圧迫面接中に採用に直接関係のない質問や発言で人格を否定されるようなことがあった場合には、先述の刑法上の名誉棄損罪や侮辱罪の他にも、民事上の損害賠償請求訴訟の対象となりうることもあります。

面接は採用に関する採否を見極めるもので人格を否定する権利はない

面接においてどこまでが適切な質問で、どこからが不適切な質問かなどという線引きが難しい面もあります。圧迫面接に対して損害賠償訴訟を起こした場合に、認められるかどうかはやはり個々の状況に応じてということになるでしょう。

しかし、耐えられないような圧迫面接を受けた場合には、一度、学校の就職課や信頼できる人に相談してみるのもひとつの方法です。その上で訴訟に踏み切るのか、気持ちを切り替えて就職活動を再開するのかを決定するべきだといえます。

精神的苦痛に対しての慰謝料請求はできる

圧迫面接自体は法律では取り締まることはできませんが、圧迫面接によって受けた精神的苦痛に対しての慰謝料請求はできます。企業側から精神的苦痛を受けたことが証明できれば、慰謝料の請求は可能です。訴訟するのであれば、まずは証拠を集めておく必要があります。証拠としては音声データなどが有効ですので、可能であればスマホなどで録音しておくようにしましょう。

もちろん身の安全が第一ですので、危なくなれば逃げることが大切です。録音していることが分かれば、脅される可能性もありますし、安全面などには留意した上で証拠を集めるようにしましょう。無理に証拠を集めなくても、企業と関わりを絶てば苦痛を味わうことはありません。逃げるが勝ちと思って余計な関わりを避けるのも無難です。

39点以下は要注意!
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訴訟するのに費用と時間がかかり企業側が陳述する可能性もある

耐えがたい圧迫面接を受けて訴訟を検討するときに頭をよぎるのは、訴訟の手続き等で就職活動に割く時間が減ってしまうことだと思われます。

あるいは、実際に訴訟を起こすとなると弁護士などの専門家に依頼するケースが多いですので、費用面の不安もあるでしょう。

さらにいえば、繰り返しお伝えしているように、企業側が採否を決定する上で必要な質問だったと陳述する可能性もあります。訴訟に当たっては、メリットデメリットをしっかりと見極めて判断しましょう。

証拠が全くない場合は諦めた方が無難

企業に対して訴訟を起こすのであれば明確な証拠が必要であり、証拠が全くない場合は諦めた方が無難です。訴訟を起こすためにはお金も労力も必要になりますし、絶対に勝てる見込みがなければ、訴訟を起こすことは得策ではありません。精神的苦痛を受けたことを主張しても、企業側はほとんどの場合否定しますし、企業の証言を覆す証拠がないなら諦めた方がいいでしょう。

訴訟を起こせば企業と関わり続けなければなりませんし、余計に苦痛を感じてしまう場合も多いです。また他の企業の選考に割ける時間も短くなりますし、就活自体がストップしてしまう可能性もあります。証拠があれば訴訟を起こしても問題はありませんが、ないなら諦めて気持ちを切り替えることが大切です。

名誉棄損で訴え返されることも考えられる

面接によって精神的苦痛を受けたことは立証が難しいですし、確固たる証拠がなければ訴訟は諦めた方がいいですが、諦めるべき理由はそれだけではありません。訴えを起こしてそれが認められないだけならまだいいですが、企業側が正当な面接だったと主張した場合、名誉を棄損したとして、逆に訴え返される可能性もあります。

企業相手に訴えられれば、今度は自分自身が慰謝料などを請求される立場になりますし、大変なことになってしまう可能性も高いです。企業から訴えられていることが就活に影響してしまう可能性もありますし、訴訟を起こす場合は、慎重にならなければなりません。絶対に勝てる見込みがなければ、訴訟は諦め、余計なトラブルを避けて就活を進めていきましょう。

圧迫面接で訴訟する場合はメリット・デメリットを考えること

面接とは、求職者と会社側がお互いのことを見極める場ですので、求職者側から入社を辞退することも考えられる以上、本来は対等な立場でおこなわれるものです。それでもやはり求職者は弱い立場になりがちです。最近では圧迫面接により、うつになって就職活動が続けられなくなる求職者も増えているそうですが、まだ具体的に圧迫面接による訴訟というのは数も多くありません。

悪質な圧迫面接が是正されるべきなのは間違いのないことです。どうしても耐えがたい圧迫面接を経験した場合には、訴訟を視野に入れることもひとつの選択肢ではあります。自分にとって訴訟が大切なことか、それとも切り替えて就職先を見つけることが大切なのかをしっかりと見極めることが重要なのではないでしょうか。

監修者プロフィール

ソーシャルリクルーティングのプロフィール画像
吉川 智也(よしかわ・ともや)
1988年北海道生まれ。大学卒業後、2010年に株式会社マイナビに入社、2011年に新人賞金賞を受賞。IT・小売・外食などサービス業界の企業を中心に、300社以上の採用活動を支援してきた経験をもとに、各大学のエントリーシート・履歴書などの就活講座の講師も務め、年間3,000名以上に対して講演を実施。
現在はポート株式会社で、キャリアアドバイザーグループの責任者として、年間約5,000名の学生の就活相談に乗り、さまざまな企業への内定に導いている。

多くの学生と企業をマッチングしてきた経験を活かし、『就活対策サイト「キャリアパーク!」が教える 「最高の会社」の見つけ方』(高橋書店)を出版。最高の会社を見極めるための基準や失敗しない企業選びの方法を紹介している。

全国民営職業紹介事業協会 職業紹介責任者(001-190515132-01459)

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