目次
- 出版社への就職は難易度が高い! 選考ごとの具体的な対策が重要
- 出版社就職における実際の難易度は?
- 出版社への就職は難易度が高い理由・背景
- 就活生に聞いた! 出版社への志望理由
- 業界理解を深めよう! 出版業界の特徴
- 押さえておこう! 出版業界における昨今のトレンド
- 出版社の仕事内容
- 当てはまるかチェック! 出版社での仕事に向いている人の特徴4選
- 就活生に聞いた! 出版社への採用を勝ち取るためにできること
- 難易度が高いからこそ! 出版社に就職するための5つの事前準備
- 特徴を押さえて対策しよう! 出版社の選考対策3つのポイント
- 出版社の書類選考対策のコツ
- 出版社の筆記テスト対策のコツ
- 出版社の面接のコツ
- 出版社の就職に役立つ可能性もあるおすすめの資格3選
- 出版社への就職は選考別の対策を理解して早期に備えよう
出版社への就職は難易度が高い! 選考ごとの具体的な対策が重要
出版社は、例年、就職倍率の高い業種の一つです。
本が好きな人や作家や著名人に興味がある人、最新トレンドに敏感な人など、出版社で働いてみたいと思っている人は多いですよね。競争率が高い業界だからこそ、どうしたら就職できるのかと悩んでいる人もいるのではないでしょう。
就職難易度が高い出版社だからこそ、正しい対策をおこない、自信を持って就活を進めることが重要です。
この記事では、出版社への就職の難易度が高い背景から、選考突破に向けた必要な準備や選考対策のコツなどを解説します。出版社への就職を考えている人は、こちらの記事で対策をしていきましょう。
出版社就職における実際の難易度は?
「出版社への就職は狭き門」と言われていますが、実際のところ、どの程度なのでしょうか。結論、採用人数は大手出版社でも年間で10〜30名程度で、採用数はかなり少ないと言えるでしょう。
大手もこのように難関ですが、中小の出版社でも、年に1、2名のみ募集という会社も多いため、狭き門であることは明らかです。
また、一定以上の国語力を問われることが多いので、知識や文章力などが必要な観点からも難易度が高いと言えるでしょう。
出版社の就職には学部による有利・不利はあまり関係ない
出版社は、何となく文学部が有利なのではないかというイメージを抱いている人も多いかもしれませんが、有利な学部はなく全学部が対象です。また、理工学部だからという理由で不利な状況になることがないため、安心しましょう。
出版分野は幅広く、たとえば理系雑誌の場合は理工系の知識が必要になります。そのため、専門知識だけではなく、さまざまな好奇心を持って挑戦してくことが求められ、専攻よりも人柄を見られるケースが多い業界です。
あなたが出版社に向いているか、確認してください
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
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出版社への就職は難易度が高い理由・背景
出版社への就職は難易度が高い理由や背景は人気が高いからということもありますが、それだけではありません。出版業界での仕事として、専門性が求められる場合が多いことから、新卒入社のハードルが高くなっていることも一つの要因として挙げられます。
ここからは、出版社の就職難易度が高い理由を解説していきます。難易度が高い理由は出版社ならではの部分もあるので、業界理解も深めていきましょう。
①そもそも採用人数が少ない
出版社の近年の採用事情として、正社員数を数十年前のようなペースでは増やしておらず、フリーランス(業務委託)の編集者や、編集プロダクション(会社)へ依頼することも増えています。
会社としては、未経験の新卒社員を育てていくよりもすでに実力のある編集者を確保するほうが、特に中小の出版社としては「即戦力」であり、編集者としての独り立ちも早く歓迎されやすい傾向にあるためです。
また、正社員と異なり、業務委託であれば、契約解除もしやすいという理由から正社員をとりたがらない傾向があります。以上のような事情もあって、新卒の採用人数は少ない傾向にあるのです。
②一般企業と比べて文芸など専門分野への理解が問われる
一概に比較することは難しいですが、一般企業と比べて「入社してからいろいろなことを少しずつ学べば良い」ということではなく、漫画や文芸、扱うコンテンツそのものへの知識は必須になります。
特に、エンタメや文芸の領域に関しては、一長一短で身に付けられる知識ではないので、そもそも好きであることが条件となります。そのため書類選考や面接においても、一定以上の知識や興味関心がないと通過することは難しく、ある種の専門性を求められますよ
また、出版分野は会社によりますが、幅広く以下のジャンルを取り扱っています。
出版業界に就職するためには、それぞれの専門分野への理解や、分野を横断した知的好奇心が問われるので、いわば「教養」を求められると言っても良いでしょう。
就活生に聞いた! 出版社への志望理由
出版社を志望している学生は、どのような理由で出版業界を目指しているのでしょうか。
人によってさまざまな理由はあると思いますが、大きな傾向を知ることで差別化を図るなどさまざまな選考戦略を練ることにも役立つはずです。
今回は学生の皆さんにアンケートを取り、出版社を志望する理由を教えてもらいました。
本が好きだからという回答が最も多い
最も多くみられたのは「そもそも本が好きだから」という理由でした。
活字離れの昨今でありながらも、出版社の普遍的な人気を感じる回答といえるでしょう。ある種の専門性が求められる出版社だからこそ、根本的に本が好きという気持ちがあることで知識の取得につなげられますね。
「本が好きだから」という理由以外の回答も
また、「本が好きだから」という理由のほかにもいくつかの回答が寄せられました。
出版社を志望する理由はさまざまですが、出版社が持つ社会的な役割や貢献に対して、関心を持っていることがわかりました。
たとえば、昨今では賛否両論あるものの、週刊誌が政治・芸能界のスキャンダルを明かすことにより、社会にある種の自浄作用をもたらしているとも指摘されています。
ほかにも文芸のような、収益にはつながりづらい文化の保存・伝承という意味で、文芸誌を出し続けていることなど、社会的意義のある側面もうかがえます。
業界理解を深めよう! 出版業界の特徴
出版業界は経済的不振や景気低迷と称されており、紙の本の売れ行きは低迷し、初版発行部数も少なくなっていると言われています。それは、電子書籍の台頭やスマートフォンを通じて無料の情報普及が、進んでいったことが背景ともされています。
電子書籍のシェアは増えてきているものの、紙の本における根強いファンは多く、今後は、紙と電子本の相互共存と繁栄が求められるでしょう。
就職活動では、志望する業界の特徴を把握することが重要です。入社後のミスマッチを防ぐために、出版社の市場規模やビジネスモデルについて解説します。
市場規模
全国出版協会出版科学研究所「出版指標」によると、2023年1〜12月の紙と電子の合計を表す「出版市場規模」は、1兆5,963億円でした。拡大していた市場規模が、直近2年では減少傾向にあります。
また、同研究所による「日本の出版販売額」において、出版市場全体を見てみると、2016年に書籍と雑誌の売り上げが逆転しました。書籍市場は雑誌と比較して健闘していますが、読者は高齢者へシフトしています。
電子出版については、電子コミックの成長が著しく、今や8割強を占めています。紙と電子は、2019年以降は4年連続でプラス成長となりました。
KADOKAWAをはじめとした各出版社は、書籍の販売だけではなく、電子書籍市場のシェアを獲得するための事業を展開しています。そして、Web関連事業や著者や専門家のイベントやセミナー、IP(知的財産)ビジネスの普及などの新たなマーケティング戦略をおこない、事業拡大を進めていますよ。
主要な4つのビジネスモデル
活字離れが進み、紙の書籍が年々縮小傾向にある出版社ですが、大手に関しては、書籍や雑誌の販売に限らず、複数のビジネスモデルを両立させ、リスク分散を図る場合が多くあります。
また、リスクを分散させるどころか、世界的なアニメブームなどを受けて、人気作品を保有する出版社はグローバルに事業を展開し、収益を伸ばしているケースも出てきています。複数のビジネスモデルを展開することは、ネガティブな意味合いだけではありません。
むしろ、次世代の出版社の可能性についてはさまざま期待もされているので、多面的な事業の在り方について押さえておきましょう。
以下の主要な4つのビジネスモデルについて、解説します。
①書籍・雑誌の販売
書籍や雑誌の販売は、もともと出版社では主要な収益源で、今でも週刊誌や漫画の部数は多くを占めています。
たとえば、文藝春秋の「週刊文春」などは、日本雑誌協会の調査によると、印刷証明付き発行部数(自己申告ではなく第三者機関による認定を受けた部数)で、434,923部(2023/10〜2023/12)ほど売れています。
しかしながら、業界全体では、右肩下がりになってきているのが現状です。
背景としては、電子書籍の購買だけでなく、インターネットやスマホの普及により無料で読める情報が増えるなど、情報産業の大きな変化を受けていることがあります。
今後の書籍や雑誌販売は、さらなるデジタル対応への連動が求められるだけではなく、出版社だからこそ提供できる価値の高いコンテンツを改めて定義し、届けていくことが求められています。
②広告収入(WEB・書籍・雑誌)
これまで、書籍や雑誌はそれらの売上だけではなく、広告も掲載することで収益を成立させていました。その書籍や雑誌に広告を載せることで、商品の購買が期待できる企業などが掲載する形です。
同じように、出版社のWEBメディアや電子書籍に広告を掲載し、収益を得ることも増えてきています。
代理店を通じて掲載広告主を探す方法や、直接広告主から出稿してもらう方法だけでなく、Googleなどの広告システムを通じて(Googleアドセンス広告)、自動でWEB記事に広告を表示させて収益を得るような手法も出現しました。
これに限らず、今後も、さまざまな外的環境の変化に応じて、新たな広告ビジネスが生まれていく可能性があります。
③イベント・セミナーの開催
出版社では、書籍の販売だけではなく、イベントやセミナーの開催により収益化をおこなっている場合もあります。多くの出版社や書店で開催される、著者によるトークイベントやサイン会は当たり前の光景となりました。これは、読者が著者と直接交流することで、販売促進のブランディングを図っています。
また、幻冬舎メディアコンサルティングなど書籍出版に興味がある企業・人に対して、出版に関するセミナーや研修を開催している会社もあります。
たとえば、自費出版の方法、ライティング講座などをテーマにしたセミナーがあります。受講者からの受講料や協賛企業からの支援により収益化が見込まれるほか、出版の企画・制作代行などで収益を得ることもあるのです。
④IP(知的財産)ビジネス
IP(知的財産)ビジネスとは、特定のキャラクターやストーリーなどの知的財産を活用したビジネス展開のことです。アニメや小説などに登場するキャラクターを商品化し、複数のコンテンツや商品に展開することで収益を生み出しています。
「ドラゴンボール」「北斗の拳」「ONE PIECE」など、世界的に人気な作品であればあるほど、収益に見込める相乗効果は大きくなります。
出版社に限らない総収益になりますが、米国の金融企業タイトルマックス社の調査によれば、「ドラゴンボール」で約240億ドル、「北斗の拳」で約218億ドル、「ONE PIECE」で205億ドル(いずれも累計)と、莫大な金額であることがわかりますね。
人気作品を活用することでファン層を拡大し、多角的な収入源を確保しています。市場の変化や競合の激化に対応するためには、創造力や戦略力が求められるでしょう。
売上の大きい5つの主要企業
出版大手3社といえば、講談社、集英社、小学館が挙げられます。しかし、実際に売上の大きい出版社とはどこでしょうか。
出版社で売上の大きい会社についてそれぞれ見ていきましょう。売上の大きな出版社について知ることで、出版業界のおもな動向を押さえることができます。面接などでも使える基礎知識として、覚えておきましょう。
なお、売上は会社全体の売上を指しており、書籍・雑誌の販売に限らないものです。
①KADOKAWA(2554億円)
KADOKAWAは、映像やWebサービス、教育など幅広い事業展開をする出版社です。「ニコニコ動画」や「ニコニコ生放送」といった動画プラットフォームの展開もおこなっています。
旧・角川書店の時代から、映像およびマルチメディア戦略で有名な会社で、角川春樹社長の時代には、「犬神家の一族」「人間の証明」「探偵物語」「時をかける少女」など、話題作の数々を残しています。
現在も、KADOKAWAのグループ会社には映画会社が含まれており、原作小説の映画化もされています。
②集英社(2096億円)
集英社は特に、漫画に力を入れており「週刊少年ジャンプ」は大きな売り上げを誇っています。歴代の連載作品には、先にも挙げた「ドラゴンボール」「スラムダンク」「ONE PIECE」など、有名な作品が多くあります。
根強い漫画ファンの支持を得られていることから、今後も幅広い読者が増えると予想できます。
また、集英社の2025年度の定期採用紹介ページによると、NFT(ブロックチェーンを活用した暗号資産)関連の事業や、XR(仮想世界と現実世界を組み合わせた技術)関連の事業など、最新のテクノロジーに着目した新規事業にも取り組んでいるようです。
③講談社(1720億円)
講談社は、小説や雑誌などに強みがあり、多くの有名作家を輩出しています。群像新人文芸賞や野間文芸賞なども有名で、文芸全般に強みをもっています。
また、いまでこそ「週刊文春」に発行部数は抜かれているものの、いまだに「フライデー」「週刊現代」は人気の週刊誌です。
2016年には、ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」(漫画原作が講談社)などが社会現象にもなりましたが、社会的意義と話題性のどちらももった作品の多くを出していることでも知られています。
講談社では、「おもしろくて、ためになる」物語をつくりたい人材を求めています。創立100年以上の歴史があり、時代の流れや読者ニーズに常に対応していることが特徴です。
④Gakken(1641億円)
Gakkenはグループ企業として、児童書や専門書など幅広い事業を展開しています。書籍や教材において海外の出版社と連携し「学びの楽しさ」を伝えています。
個人向けだけでなく、保育園・幼稚園向けに備品や用具の販売などもおこなっていたり、小学校・中学校・先生向けの専門誌の販売もおこなっています。
また、児童教育向けのイメージが強いGakkenですが、医療・看護分野での出版や模擬試験の事業や、就職試験向けの教材販売などまでおこなっており、広義の教育全般で幅広く展開していることが特徴的です。
⑤小学館(1084億円)
小学館は、児童書や図鑑、辞典などに強みを持っています。小説や漫画など幅広く展開していることも特徴です。ドラえもんやポケットモンスターといったキャラクターを軸に、出版物を幅広く展開しています。
また、2017年にはディー・エヌ・エーとの共同出資でMERY(20代の女性向けWEBメディア事業を展開)を設立しました。さらに、2018年にはVOYAGEグループとの共同出資で、C-POTを設立するなど、他企業との協業によっても事業成長を図ろうとしています。
既存IPのみに依存していない、意欲的な企業といえるでしょう。
押さえておこう! 出版業界における昨今のトレンド
昨今の出版業界は、この20年ほど出版不況と言われています。出版社が今後衰退してしまうのではないかと不安を抱いている人もいるでしょう。ただし、ここまでも触れている通り、各社さまざまなビジネスモデルに各社挑戦しており、それらの中には大きな可能性を秘めた事業もみられています。
就活の対策をするためにも、まずは出版業界全体のトレンドを押さえておくことが必要です。出版業界の現状を把握し、就活対策に活かしていきましょう。
①紙媒体の縮小傾向
書籍や雑誌などの紙媒体の縮小傾向が続いています。全国出版協会出版科学研究所「出版指標」によると、2023年度の売り上げは、書籍が1兆931億円、雑誌は1兆5,633億円でした。
出版業界だけでなく、新聞業界などでも同様の傾向が見られており、紙媒体そのものの低迷は一つの大きな特徴です。
紙媒体が縮小している背景としては、スマホの普及などが大きな要因としてあげられます。後述する活字離れの問題とは別にして、電子書籍で読む、SNSなどを通じて無料のコンテンツを読むなど、紙に限らなくても、多くの情報を得ることができるようになったためです。
雑誌の廃刊・休刊も進んでおり、ここ10年では、「CUTiE」(宝島社/2015年廃刊)、「AneCan」(小学館/2016年廃刊)、「アサヒカメラ」(朝日新聞出版/2020年廃刊)、「週刊朝日」(朝日新聞出版/2023年休刊)などがあげられます。
活字離れが顕著に表れている
紙媒体が縮小している要因とも関連しているのが、若い世代を中心とした「活字離れ」です。もちろん、SNSなどを通じて活字を目にしてはいるものの、数百ページといった書籍のようなかたちで情報を得る機会が減っていることは明らかです。
また、Youtubeなど動画メディアの台頭もあいまって、活字を読む機会が減ってきています。
面接などで聞かれる可能性もあるのが、「そんな時代になぜ出版社なのか」という問いです。その問いに対して、自分なりの答えを用意しておく必要があるでしょう。
一方で、若者は活字離れをしているのではなく、読むコンテンツの種類が変わっただけという考え方・見解もあるので、両方の立場の意見は押さえておくとより良いでしょう。
WEBメディアや電子書籍などの活用事例も増えている
先にも触れたとおり、スマホやタブレットなど手軽に利用できるアイテムにより、無料で情報を得られる時代です。そうした時勢を受けて、これまで紙媒体のみで出していた雑誌なども、WEB版のサイトを立ち上げるなどの動きが2010年代などから特に、顕著に進んでいきました。
冒頭のみ無料で読めて、途中から有料で購読するようなタイプのメディアもあれば、完全に無料で読めて、広告掲載で収益を担保しているメディアもあり、そのかたちはさまざまです。
また、WEBメディアだけでなく、インターネット書店やオーディオブックが浸透し、今後の電子書籍市場に注目が集まっています。
紙離れはネガティブな話であるだけでなく、電子書籍・WEBに移行することで書籍を簡単に読める状況になり、今後の可能性はさまざま期待されています。
②IP(知的財産)ビジネスへの大きな期待
IPビジネスとは、知的財産を活用して収益を得ることです。
たとえば、自社で開発したアニメやゲームなどのコンテンツ販売や、コンテンツ使用の権限を販売するライセンスビジネスなどを指します。出版社にとっては、著作権、特許、アニメ、小説、映画などのコンテンツとキャラクターがIPの代表例といえます。
収益に対する大きな期待がある一方で、知財管理の問題の難しさなどもあげられます。
作品のブランドイメージを維持するためには、キャラクターの適切な利用が必要ですが、海賊版などで悪用されたり、出版社側の意図にそぐわないかたちでキャラクターグッズが販売されるなどの問題もあります。
ビジネス開発を進めていくうえで法的論点も多いので、法律に詳しい学生であれば、こうした角度から考察を深めてみると、シャープな意見を出せるのではないでしょうか。
③海外進出が進んでいる
日本の漫画やアニメは世界的な人気をほこっているため、出版社は、自社の漫画やアニメの海外進出を進めています。
たとえば、講談社であれば過去に、アメリカや中国に現地法人を設立しているだけでなく、あらためて、2019年にグローバル展開の方針を出しています)。
また、出版社側の動きだけでなく、Netflix、Amazonプライム・ビデオ、U-NEXTなど、日本のアニメを海外に配信するプラットフォームが増えたことで、さらに漫画やアニメファンの獲得につながっています。
海外進出に関しては、出版社でもまだまだ試行錯誤中の事業であり、確固たるノウハウが固まりきっているわけではありません。そのため、もし海外での日本アニメ需要について詳しかったり、そうした主題を扱う学部やゼミに所属している場合は、アピールポイントの一つにもなるでしょう。
出版社の仕事内容
続いて、出版社の具体的な仕事内容について見ていきましょう。
仕事内容を正確に理解していないと、応募をしたとしてもそもそもその企業とのミスマッチが発生します。また面接などでも具体的な話ができず、選考通過が難しくなるので、しっかりと理解しておくことが重要です。
一般企業と同様に営業や人事、総務などの管理部門もあります。自分が出版社のなかでどんな役割が合うのかについて知るためにも、仕事内容の詳細を押さえましょう。
①編集
編集は、小説や漫画、実用書などの出版物の企画や編集をおこないます。出版社と聞いて、もっともイメージするのは編集職ではないでしょうか。
たとえば月刊誌であれば、以下のような流れで雑誌を作っていきます。
雑誌一つをとっても多くの人が携わるため、スケジュール管理をしながら業務を進めることが重要です。
また、編集者が自らライティングをおこなうケースもあり、文章力も求められます。また、コミュニケーション能力や交渉力などのスキルも必要です。
また、編集の仕事は人によって、部署によって何をするかもかなり異なるため、形式的なことだけではなく、「良い作品を生み出すにできることは何でもする」という姿勢が求められます。
アイデアを求める作家であればアイデアを提供し、情報収集を求める作家であれば資料をまとめて提供するなど、担当する作家・クリエイターによっても、アクションは変わってくるものです。
②デジタル・通販
デジタル・通販は、電子書籍や電子コミックなどの企画、製作をおこないます。
昨今の出版社は、電子媒体の売り上げを伸ばしており、企業の業績にも直結する仕事自社の未来を担う業務です。今後も事業拡大が期待される分野といえるでしょう。
編集の仕事が「作る・生み出す」ものだとすると、デジタル・通販は「届ける」仕事ですあり、消費者理解やマーケティング理解が求められます。そのため、社外でマーケティングのセミナーを受けたり、自分で勉強するなど、意欲的な学習が必要になります。
出版業界に限らず、マーケターと交流したりして、知見を深めていく必要がある仕事です。
③営業
営業は大きく、広告営業と書店営業に分けられます。
まず広告営業は、出版社が自社の書籍や雑誌・WEBメディアに企業の広告を掲載し、企業から報酬を得る仕事です。担当する書籍や雑誌・WEBメディアなどの媒体理解はもちろんのこと、社外で幅広く人脈を広げていく必要があるでしょう。
書店営業は、書店員に対し自社の出版物をうまくアピールする必要があります。読みどころだけではなく、どんな人にどのような評判が得られそうな本なのか、端的かつ魅力的に伝えられる能力が求められます。
多くの学生がイメージする出版社といえば編集職かもしれませんが、出版業界を理解するうえでは、欠かせない仕事・職種です。
④版権
版権は、著作権のことを意味しています。版権とは、独占的権利であるため、第三者が無断で使用することはできません。
出版社で版権を扱う部署のことは、「ライツ事業・ライツ部門」と表現されたりします。
昨今は、漫画や書籍などの原作をもとに映画やアニメが制作されることも増えています。版権は、自社の原作をもとにさまざまな作品展開をしていく仕事ですが、「原作以外の作品展開すべて」を担うことが多いです。
たとえば漫画がアニメ化されるとなったときには、企画の立ち上げから契約、脚本、アフレコ、宣伝、グッズなどすべてにかかわることができる仕事です。
仕事の範囲としては幅広く、編集者よりもビジネスプロデューサー寄りの仕事内容となるため、幅広いスキルが求められます。
⑤校閲
校閲は、書籍や雑誌の文章に誤字脱字がないかのチェックをおこなう業務です。
出版後の信頼性を損なわないための最後の砦といえるでしょう。正確な作業が求められるうえ、膨大な量のチェックをこなさなければなりません。
高い文章力と集中力、責任感などが求められ、誤りを見落とすことで出版社にとっての打撃を左右するため、非常に重要な業務です。
一見すると地味かもしれませんが、たとえば、太陽が昇る描写で地理学上の矛盾がないかや、歴史的人物の描写で事実を大きく逸脱していないかなど、正誤だけではなく、幅広い教養が求められます。
そういう意味では、知的にも追求・探求しがいのある仕事といえるでしょう。
⑥管理
管理は、一般企業と同様に4つの管理部門があります。いわゆる、バックオフィスのことを指します。
出版社での管理は、著作権をはじめとした契約やルールの相談窓口も担います。管理の業務も、本作りには欠かせない部署です。
先にも触れたとおり、知財や著作権など法的論点が多い問題もありますし、人事・労務などでは、業界的に多い残業問題にどう取り組むかなど、出版社ならではの挑みがいのある仕事がたくさんあります。
またM&A(企業の買収・統合)を積極的におこなっている出版社などであれば、法務・財務はM&Aの仕事に携わることもあるでしょう。このように、管理の中でもどの部署をたんとするかによって仕事内容や求められるスキルは変わるので、志望する仕事について理解を深めておきましょう。
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就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。
AIを活用して自己PRを完成させよう!
当てはまるかチェック! 出版社での仕事に向いている人の特徴4選
出版社へ就職を目指している人の中には、出版社に興味があるけど、出版業界で働いていけるのか悩んでいる人もいるかもしれません。
出版社の仕事は、書籍や雑誌が好きであることが必要ですが、それだけで内定を得ることはできないでしょう。「好きである」ことは、あくまでもスタートラインです。
出版社に就職しても、編集職に就くとは限りませんが、そのほかの業務でも共通して必要な素養があります。出版社での仕事に向いている人の特徴をチェックしておきましょう。
ポイント①日常的に本を読む習慣がある
大前提ですが、本や雑誌を読むことが好きで、日常的に本を読んでいることは必須です。
実際に仕事をするとして、自社の出版物に興味がないとやりがいを持てません。本が好きな気持ちが欠けていると、乗り越えられないトラブルが発生した場合、対応が難しいといえます。また、締め切り前の忙しさにおいて、プライベートの時間を削りながら業務を進めるケースもあるでしょう。
また、一定以上の読書量がなければ、そもそも作家や編集部内で話が通じず、仕事を円滑に回していくことが難しい場合もあります。
志望する出版社の愛読書がある場合は、積極的にアピールをしましょう。単に好きであるということだけではなく、あなたの多様な読書経験を通じた感想を言葉にしてみましょう。
ポイント②作品について考え言葉にする能力が高い
編集であれば作品の感想・意見を作家に伝えたり、営業であれば魅力を書店員や広告出稿を検討する企業に伝えることが、仕事の根幹です。単に「おもしろかった」ではなく、「どういうところが・なぜおもしろかったのか」を自分の視点でとらえ、伝えられる必要があります。
また、編集であれば、作家に修正を依頼することもあるでしょう。そのときに、作家の気分を害さずに良い方向に修正を依頼することが重要です。そのためには、「どんな言葉で伝えれば、納得してもらえるか」を、作家と同等かそれ以上に作品そのものについて考え、言葉にすることが求められますよ。
日ごろから、読んだ本や観た映画の感想ブログを書きためるなどして、鍛えることができる能力なので、今から始めてみましょう。
ポイント③いろいろなタイプの人間と深く付き合うことができる
いろいろなタイプの人間と深く付き合うことができる素養も、出版社で働くうえでは大きなポイントです。
編集であれば、担当する作家が同じようなタイプとは限らず、いろいろな作家がいることでしょう。しかしながら、締め切りまでに良い作品を出さなくてはいけないというゴールは一緒です。
そのためにはさまざまな作家と信頼関係を築いて良い作品を作っていくスキルが求められます。表面的な付き合いというよりは、作品の理解を通じた信頼関係が重要です。
営業であればなおさらで、多くの関係者と付き合いながら自社の商品をアピールしていくわけなので、広く人間関係を構築できる能力は欠かせません。
学生のうちから海外経験や年齢の離れた大人との交流経験などさまざまなを積んでおくことで、タイプの違う人とうまくかかわることができるようになるので、ぜひ挑戦してみてください。
ポイント④好きなものを最後までやり遂げる体力・精神力がある
出版社は、特に編集職だと基本的に激務と言われており、締め切り間際の作業は徹夜になる場合もあります。
また、作家の原稿を待ち続けながらも、印刷所からもデータ入稿を催促され、板挟みの状況で、原稿をもらわなくてはいけない場面もあるでしょう。ようやく原稿をもらえたとしても、編集長・デスクから修正依頼がかかるケースも多くあります。
長時間の作業に耐える体力が必要であることは前提として、そうした危機的状況をくぐり抜けるための精神力も求められる仕事です。
学生生活をふりかえってみて「好きなことを最後までやり遂げた経験はあるか」「修羅場はあったか」「また、それをどう乗り越えたか」など考えてみることで、アピールポイントのとっかかりが見つかるかもしれません。
就活生に聞いた! 出版社への採用を勝ち取るためにできること
就職難易度が高い出版社に就職するためにはどうした良いのか気になっている学生もいるでしょう。また出版社へ就職するために学生が努力していることを知りたい学生もいますよね。
今回は学生の皆さんに、出版社への就職に向けて努力していることを聞きました。出版社を志望する学生はぜひ参考にしてください。
何かしらの出版物に目を通している
出版社を目指す学生は、日々活字に触れていることがわかりました。
出版社への就職に向けて、さまざまなジャンルの出版物を読み、内容や構成、表現方法を分析しています。新聞から情報を得ることで、社会情勢や世の中の動向を意識していることがわかります。
また、大手出版社に限らず選考で作文が設けられている会社が多くあります。ここが多くの学生にとって、難関とも言われているので、具体的な対策を立てて進めていきましょう。
難易度が高いからこそ! 出版社に就職するための5つの事前準備
出版社はほかの業界と比べてやや特殊な業界でもあるため、独自の対策が必要となります。特にエンタメや漫画などは好きな人は多く、ただファンであるというだけでは仕事は務まりません。
個別の選考対策についてそれぞれ考えていく前に、まずはここからみていきましょう。
①『マスコミ就職読本』は必ず目を通す
『マスコミ就職読本』とは、通称『マス読』と呼ばれる、マスコミ志望者のためのガイドブックです。マスコミ約1000社の試験内容が掲載されています。
各社の人事などへ求める人材についてのインタビューや、学生の合格体験記、各社ごとの過去の採用人数実績、過去出題の作文・論文テーマなども載っており、まずはこの本を読み込むことで、全体像を理解できるでしょう。
会社ごとの社風の違いなども大枠つかむことができるので、どこを第一志望とするかまだ決まっていない場合、候補を検討するのにも役立ちますよ。
②業界の最新トレンド情報も押さえる
自分の好みの情報だけではなく、出版業界の最新のトレンドを押さえることも必要です。いくつかやり方はありますが、以下のような習慣を付けてみると良いでしょう。
また、ただそれらを観る・知るだけではなく、自分なりの理解をおこなう必要があります。自分の意見を展開するための切り口としては、「賛成・反対どちらか、その理由はなぜか」、「今後どうなりそうか、その理由はなぜか」というふうに発展させてみると良いでしょう。
メモなどに残しておいて、友人や社会人と議論して知見を深めていけるとさらに理想的です。
③出版社ごとに作品を5つ以上語れるようにする
採用面接では、好きな書籍とその理由について問われることがあります。必ずしも、その会社の作品で述べる必要はないのですが、別の会社の作品を挙げる場合には「そのうえでなぜ弊社なのか」という問いに答える必要が出てきます。
そのため、志望する出版社ごとに、作品を5つ以上語れるように準備していくのが良いでしょう。また「なぜその作品が好きなのか」「ほかの作品と比べてどこが魅力なのか」などを聞かれるケースもあります。
読書感想文のようになってしまうと、好印象にはつながらないため注意が必要です。「社会的な意義からみてその作品はどうなのか」などの切り口から掘り下げてみると、シャープな考察が生まれやすいので、試してみてください。
④「作品のファン」で終わるのではなく業界の課題解決案を持つ
「御社の〇〇という作品が好きで」という学生は多くいますが、それではファン止まりで、企業側がファンを採用する理由はありません。
実際に編集者やプロデューサーとして作品を世の中に届けるためには、ただ好きなだけではなく、世の中の動向を客観的に深く考察できたり、さらに踏み込んだ思考力が求められます。
作品への理解が深いことなどは前提としつつも、昨今の出版業界においては、昔ながらの編集者だけでなく、課題解決型の社員を求めています。日々変化していく外的な環境に対して、どう自社のコンテンツを発信していくかなど、考えるべきポイントは多くあります。
各社ごとに自分であれば、どう各企業が抱えている問題や課題を解決するか、掘り下げて考えてみましょう。
⑤OB・OG訪問をする
就職難易度が高い出版社へ就職するためには、OB・OG訪問をおこない、先輩からのアドバイスをもらうことが重要です。就活の準備や入社してからの働き方などを確認し、対策につなげましょう。
特に出版社の場合は、他業界と比べるとオープンになっている情報も少ないので、OB・OGから直接確認できる一次情報の価値は大きく、積極的に活用するのがおすすめです。
出版社への就職は簡単ではないからこそ、実際に選考を突破した社員の話は貴重といえるでしょう。
OB・OG訪問のやり方については、以下に詳細を書いた記事があるので、こちらも参考にしてみてください。
特徴を押さえて対策しよう! 出版社の選考対策3つのポイント
実際に選考対策を進めていくにあたっては、選考ごとにそれぞれ注意事項があります。選考の特徴を意識しながら準備を進めることで、選考突破を狙いやすくなるます。
また出版社への就職にグッと近づくためのコツについてはこのあと解説するので、まずは各選考段階でのポイントを押さえていきましょう。
①書類選考は設問の意図を押さえる
出版社に限らず、就活の書類選考において設問の意図を押さえることが重要です。
特にマスコミ業界を志望する学生がやりがちなのが、「自分が思う主観的な面白さ」を全面的に押し出したり、ある種、設問を「大喜利」と理解した回答をするケースがあります。
いずれも、聞かれたことに対して答えるという社会人の基本からは逸脱してしまうので、よほどの自信がなければやめておくべきです。あくまでも、「設問の意図は何か」 ということを押さえ、それに対して自分で回答できる範囲内のことで答えるのが良いでしょう。
また、設問の意図を理解するには各社の社風や考え方なども理解しておく必要があるので、そもそもの企業研究をしたうえで考えましょう。
②筆記試験は作文対策を念入りにおこなう
出版社の筆記試験では、教養などを問う問題も出される一方で、多くの学生にとって難しいと言われるのが、作文・論文試験です。書類選考と異なり、聞かれている質問に答えるというよりは、もう少し自由度の高いもので、これまでの生き方や世の中のとらえ方などが問われます。
もちろん、文章の構成能力や正確な文法にそった文章は必要です。この辺りは、特にほかの学生と差がつく点ではないので、最低限、基本をさらっておきましょう。
一方で、問われている質問に対して、どんな「切り口」で答えるかというのが重要です。
定番ですが、朝日新聞連載「天声人語」は、その「切り口」に関して、参考になるので書き写したり考察するなどで研究してみましょう。
③面接では「テンプレ」ではなく自分の考えを伝えよう
出版社の面接では、単なるテンプレート回答ではなく、自分の考えや強みを明確に伝えることが求められます。
周りと同じような意見を述べたところで、選考倍率が高いのが出版社です。それでは選考を通過しないので、自分なりの言葉や意見についてしっかり向きあってみましょう。
自分の意見で伝えるためには、日ごろから周囲の人と時事問題などをピックアップし、トピックに合わせてディスカッションをするのがおすすめです。その際に周りの人の意見や流れに流されるのではなく、自分はどう思うのかを考えることが重要ですよ。
出版社の書類選考対策のコツ
それでは個別の選考ごとの対策のコツを見ていきましょう。
まずは書類選考です。そのほかの選考と違って考える時間は十分あるので、応募内容やESが発表されたらすぐに、対策を進めていくようにしましょう。
おもな対策のポイントは以下の通りです。
①「説明能力」を問われる設問に対してはわかりやすく答える
書類選考においてもさまざまな能力が問われますが、先にも述べたとおり、目を引こうと極端な内容を書けば良いというものではありません。
出版社で働くうえでは、編集・営業いずれにおいても、高い国語力が問われます。そのため、まずは問われていることを正しく理解し、それに対してわかりやすく答える練習からはじめましょう。基本を徹底することが大切です。
たとえば、以下のような内容が問われます。
読みやすさという観点では、「主張(結論)+理由+まとめ」の順番で記述することを心掛けましょう。それら基礎が出来ているうえで、あなた自身の体験やストーリーをそこに折り込み、独自性を出していくと良いでしょう。
いずれにしても、聞かれたことに答える力というのは社会に出てからも重要であるため、まずは減点の少ない回答作りを心掛けてみてください。
②「自分語り」は魅力的に練り込む
出版社のESでは、自分自身について聞く質問も多く出題されます。端的にわかりやすく説明することは大切ですが、「人生観」について問われているような問いも多く出されるため、自らの魅力を最大限伝えられるような内容にしましょう。
編集者であれば、作家とある程度対等にわたり合いながら作品を作っていく仕事なので、作家からも「おもしろい」と思われるような編集者が求められています。
「自分語り」を魅力的に練り込むためには、強みや経験に対して具体的な成果を含めて伝えることも大切ですが、志望する企業の社風などは念頭におきつつ、自分の人生観をあらわすような体験・エピソードを掘り返してみましょう。
誰しも、過去に一つや2つはあるのではないでしょうか。物語は調理方法もさながら「素材」が大切なので、良いエピソード探しから始めてみましょう。
③「企画系」の設問は大きな構想を描こう
出版社の書類選考で「企画系」の設問に対する設問も出題されます。そのような質問hの回答は、大きな構想を描くこと重要です。一例ですが、たとえば以下のような説明が出されます。
企画としての整合性や伝わりやすさも、もちろん大切ですが、昨今の出版社においては外的環境の変化などから、既存の枠組みにとらわれず、自由に大きなチャレンジが必要とされています。
したがって、採用担当者が「思わず一緒に働きたい・一緒にその企画を推進したい」と思うような構想を描くことが重要です。
とはいっても、急にそうしたアイデアが思いつくとも限りません。過去の出版業界におけるおもしろい企画・書籍の事例を洗い出して、それらをヒントに着想することをおすすめします。
ゼロから考えるのではなく、過去の実例を参考にして企画を練ってみましょう。
④「手書き」の場合は見やすくする工夫をしよう
基本的なことですが、手書きの書類を見やすくするためには、文字サイズや文字や行の間隔などに注意します。極端に文字と文字の間が詰まっていたり、空きすぎたりしないよう、バランスに気を配ってください。
また、当然のことながら、文字は丁寧に書き、読みやすさを意識することが重要です。書類にミスや修正が生じた場合は、キレイに修正をおこない、書き直しや消しゴムの後を残さないように気を付けます。
またミスを極力減らすためにも、一度書くべき内容の下書きを別紙にしてから、清書するのが良いでしょう。
手書きの書類は、工夫次第で見やすく整えられるため、普段から字を書く練習も必要です。字の美しさそれ自体で、アピールポイントになることは少ないですが、減点を減らすための工夫はさまざまできるはずです。
⑤基本的な日本語表現や誤字脱字のチェックをおこなう
書類の下書きを終えたら、基本的な日本語表現ができているのか、また、誤字脱字がないかのチェックをおこない、不必要な長文や表現は省きます。読み手の視点で文章を読み、伝えたい内容が簡潔にまとめられているのかを確認しましょう。
もし、さらに詳しく確認しておきたい場合は、一般社団法人共同通信社「記者ハンドブック」などを確認してみましょう。
出版社の筆記テスト対策のコツ
次に筆記テストの対策のコツを紹介します。筆記テストの内容は出版社によって異なるため、それぞれの出版社に合わせた対策が必要です。個別の傾向については、先に紹介した「マスコミ就職読本」や、企業ごとの選考口コミサイトなどを参考にしてください。
ここでは、出版社における筆記テスト全体の傾向を説明します。
筆記テストは、問題を理解し制限時間を意識しながら回答することが求められます。
なお、論述型の筆記試験は一次面接の前におこなわれることが多いですが、SPIなどは場合によっては、二次面接後の場合もあります。いつ・どのようなタイミングでおこなわれてもいいように、事前の準備はしっかり進めておきましょう。
①SPI対策は基礎を徹底して対策する
SPIは基本的にそこまで難易度が高いわけではありません。基礎を徹底して対策することで、選考突破することは可能ですよ。
特に、多くの出版志望の学生は作文対策には力を入れるものの、SPIを疎かにしてしまいがちです。ここを落とさずしっかり対策するべきです。
具体的には、練習問題や模擬テストをおこない、明瞭な回答ができるような対策をしましょう。時間配分なども考慮し、全体的に網羅できるような対策が重要です。
一冊参考書を購入し、まずは1周すべての問題を解いてみて、間違えた箇所を正解になるまで繰り返し解いていくことをおすすめします。
なお、より詳細なSPI対策については、以下を確認してみてください。
②基礎教養・時事問題は文芸・エンタメ寄りも押さえる
出版社の筆記テスト対策として、基礎教養や時事問題は、文芸・エンターテインメント関連の知識も出題されることがあります。政治・経済・社会だけでなく、幅広く押さえておきましょう。
出版物には幅広いジャンルがあるため、文芸・エンターテインメントに関するトピックや最新トレンドの傾向にも、精通しておく必要があります。多角的な視点を持つことで、問題に柔軟な対応力が身に付けられるでしょう。
一般的な時事問題に関する1問1答の本をこなしつつ、文芸・エンタメ関連の問題については、自分で単語帳などを使って、問題を作ってみてもいいでしょう。
文芸・エンタメといっても時代やジャンルが幅広いので、特に知識不足な領域で対策をしておきましょう。
③作文は可能であれば第三者から添削を受ける
練習時に書き終えた作文は、可能であれば第三者からの添削を受けることが重要です。第三者の視点は、自分の文章の改善点につながる可能性があり、より魅力的な作文を作成できるようになります。第三者の意見を取り入れることで、客観的な視点で捉えられ、自己表現力も高められます。
知人・友人などでもいいですが、できればOB・OGなど実際に合格した先輩や、就活エージェントなどプロに近い人のフィードバックを受けるようにしましょう。
また、できればさまざまな主題ごとに添削を受けることで、自分の得意・不得意もわかってくるので、複数の作文の添削を受けるようにしましょう。
単に「てにをは」などの表現部分だけでなく、論じる切り口自体での発見が多くあるはずです。
出版社の面接のコツ
出版社の面接では、予想もしない質問を投げかけられることもあります。
当然ながら基本的な準備はしておきながらも、応用力も求められます。そのため、回答を丸暗記するのではなく、ポイントを押さえておくことが重要です。
ここでは、出版社の面接のコツについて解説するので、しっかり押さえておきましょう。
①クリエイティブな業界だからこそ元気に受け答えする
出版業界はこれまで述べてきたとおり、自分自身の考え方について問われるような場面も多くあります。
そのうえ、独創的なアイデアや視点を示す必要もあります。一方で、そのようなクリエイティブな業界だからこそ、元気で明るい受け答えを心掛けてみましょう。多くの学生にとって、盲点になりやすい点であるからこそ、第一印象で好印象になりやすくなります。
やるべきことは簡単で、元気に挨拶をして、笑顔で大きな声でハキハキ話すということです。たとえば、作文対策と比べたら、やるべきことは明確で準備をしやすいのではないでしょうか。
緊張してうまくできないという人は、本番前に自宅の鏡の前で練習したり、模擬面接をおこなうなどして、事前に備えておきましょう。
②ESに関する追加質問を想定しておこう
ESに関しては面接での質問対象になりやすいので、「面接官だったらESで書かれている内容についてどんな質問をするか」と考えて、回答を用意しておきましょう。
もちろん、自分だけで考えるのではなく、OB・OGの先輩に相談したり、友人や知人の協力をあおぐのも有効です。特に、書かれている内容の意図や理由について問われることは多いので、端的に説明できるよう練習しておくことが重要ですよ。
また、質問が1回で終わるとは限らないので、重ねてどんな質問がくるだろうかということについても考えを巡らせておけると良いでしょう。
こちらも事前に模擬面接など準備で慣れることができるため、対策せずに面接に臨んで頭が真っ白になることがないよう、事前準備を重ねておきましょう。
③一般論よりも自分なりの「意見」を用意する
どのような設問や質問においても言えることですが、世の中で一般的に言われているような意見・事柄である一般論よりも、自分なりの意見を用意しておきましょう。
考え抜いた結果として、周りと同じ意見になったということであれば問題ないのですが、そもそも考え抜くことがなく周りに同調しているだけだと「作品」に対して、対立をおそれず意見を言えない人なのではないかと思われてしまいます。
出版社では、編集でも営業でも「おもしろい」と思えるスキルがある程度は求められ、その素養があるかどうかを見られます。出版業界に関連するトピックに対して、自分なりに考え抜いて、具体的なエピソードを含めた回答を準備しておきましょう。
また、自信を持って、自分の意見を的確に表現することが大切ですよ。
出版社の就職に役立つ可能性もあるおすすめの資格3選
出版社に就職したいという思いが強い人は、学生のうちに資格を取得することも一つの方法です。
もちろん、その資格を活用する部署に配属されるとも限りませんが、スキルそのものが必要とされるのではなく、意欲をアピールするのに役立ちます。
また、当然ながら、なぜその資格を取ることにしたのかの理由についてもセットで語れるようにしておきましょう。その理由次第では、よりいっそう、ほかの学生に差をつけた自己PRも可能になるはずです。
①書籍製作技能検定
書籍製作技能検定は、出版物の製作技能を向上させ、出版文化の向上を目的とした検定です。編集や製作に関する基礎的な知識の認定をおこないます。検定の合格に向けて、「書籍製作技能検定訓練教室」などの対策レッスンも実施されています。
受検するには、日本エディタースクールのコースを修了する、もしくは、編集業務の経験が必須です。現在は4級の試験のみ実施されています。
書籍をつくるために必要な専門知識・技能が身に付くので、仕事でも活かされるでしょう。80点前後が合格点と言われています。
②校正技能検定
校正技能検定は、日本で唯一の校正技能を認定する検定です。
筆記と実技試験があり、筆記試験は、校正に必要な知識などが問われます。実務試験は、初校原稿の引き合わせや校正作業などをおこないます。合格率は30%前後と難易度が高めの検定試験です。
③DTPエキスパート認証試験
DTPエキスパート認証試験は、パソコン上でデータを製作するDTP知識における試験です。
色や文字コードなど印刷物に関する認証試験で、デザインに興味がある人におすすめです。なお、合格率は40〜50%程度の試験といわれています。
④Webライティング能力検定
Webライティング能力検定は、ライティング知識の証明をする検定です。
出版社にライターとして携わりたい人や、編集業務に興味がある人は取得しておくと良いでしょう。昨今では、出版社入社後、紙媒体の編集職を担当するとは限らないので、WEBについての理解が深いことは意欲のアピールにもつながります。
⑤ウェブデザイン技能検定
ウェブデザイン技能検定は、技能検定制度の一つであり国家資格です。
1〜3級があり、国家資格のため取得しておくことで就活に役立つでしょう。ただし、3級以外は受検対象者に制限があるため、注意が必要です。
出版社への就職は選考別の対策を理解して早期に備えよう
出版社への就職は、なるべく早めの対策準備が必要です。人気がある業種であり採用人数が少ないため、入念にアピールポイントを考えることが大切ですよ。出版社の特徴や強みを理解しながら、出版物の把握も忘れずにおこなってください。
いつまでにどのような練習・対策をするかのスケジュールを立てて、少しでも早くから備え、選考突破を目指しましょう。
【出版社の就職に関する調査】
調査方法:ポート株式会社が運営する企業口コミサイト「就活会議」会員へのダイレクトメール
調査日:2024年3月14日~3月20日
調査元:「就活の未来」を運営するポート株式会社
調査対象者:24卒・25卒の就活会議会員の61人