目次
玩具業界とは
こどもの頃からお世話になってきたおもちゃの数々は、大人になってからも大切な記憶として残ります。子供にも大人にも夢を与えるおもちゃの世界である玩具業界は、人気があり、自分が携わった商品が世に出る喜びなど、達成感の高さも想像できます。
しかし、就職となれば夢や希望、憧れだけでは務まりません。また、一口に玩具業界といってもその業務内容は多岐にわたります。業界の動向や職種など、職業として玩具業界のことをしっかり把握しておきましょう。
玩具業界の概要
玩具業界は子供が遊ぶ、いわゆる「おもちゃ」だけでなく、カードゲームやジグソーパズル、模型・ホビー、知育・教育などがあります。テレビゲームを含めるかどうかは調査元によっても異なりますが、これはテレビゲームを含めるか否かで市場規模が大きく変わるからです。
業種は、メーカー、流通、卸問屋、小売店などに分かれます。企業自体が分かれている場合もあれば、同じ企業の中でも部署によってこれらの担当が違うこともあります。
玩具業界の業績推移について
- 業界規模:4兆0,184億円
- 平均年収:738万円
- 勤続年数:1位サンリオ19.1年 10位タカラトミー8.9年
業界規模は家庭用ゲームを含めた数字です。業界規模の伸び率は2016年は前年比8.3%のプラス成長で2012年から5年間連続で上昇しています。しかし、ずっと増加傾向にあるわけではなく、2007年から2012年までは減少し続け、2016年になってようやく2009年時程度まで回復してきました。
平均年収はやや高めですが、各社の利益率を見ると上位15社の中でもマイナスになっている会社もあるため、平均自体は高くても今後の見通しとしては厳しさが垣間見えます。
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玩具業界の現状と課題
近年のスマートフォンの普及と高度化により、家庭用ゲーム機の不振が続いているのが現在の玩具業界の課題です。スマートフォンだけで手軽に遊べるソーシャルゲームや、子ども向けのアプリなどが台頭してきたことが一番の原因ですが、あわせて少子高齢化によりおもちゃを買い求める子どもの数が減少しているのも理由の一端といえます。
その点を踏まえて、スマートフォンと連携して遊べるデジタル玩具やゲームソフトの開発によって、課題を克服しようと取り組んでいます。それだけでなく、かつて玩具で遊んでいた世代向けのアニメ商品を復刻したり、クオリティの高い商品にリメイクするなどの大人・マニア向けの商品展開もおこなっています。
玩具業界の細かい職種分類について
- 企画
- 営業
- 設計・デザイン
- 生産
- マーケティング
- 物流
- 販売
メーカーから流通、販売までさまざまな職があります。メーカー内でも企画やデザインといった生産に関わる仕事だけでなく、営業が重要となります。とくに国内メーカーでは新卒の入社では営業に配置されることが多くあります。現場を知った上で需要を把握し、その後企画へ移る方が効率的という理由です。
生産や物流、販売はメーカーが直接担うわけではなく、子会社や別会社、工場が担当することがほとんどです。販売時に店頭に並ぶポップなどはメーカーが監修しています。このように、玩具業界の中でも数多くの仕事があるため、どの仕事につきたいのかよく考えてみましょう。
主要企業10選紹介
玩具業界は企画から販売にいたるまでさまざまな企業が関係しています。また、フィギュアの制作などは個人事業主や小企業が行っていることもあり、それらも含めると生産元、販売元だけでも数多く存在します。
玩具業界全般ではなく特定のものを専門とした企業を志望する場合は、企業研究を進めることをおすすめします。まだ玩具業界全体に興味があるという人は、企画、生産、流通、販売などさまざまな業種において、どんな企業があるのかを見ていきましょう。
①ソニー
- 企業名:ソニー株式会社
- 社長 兼 CEO:平井 一夫
- 従業員数:128,400名(連結)
- 設立年月日:1946年(昭和21年)5月7日
ソニーの2016年の連結売上高は7兆6,033億円、玩具業界の売上高としてはトップで2016-2017年は14,797億円とされています。2017年に「トイオ・コレクション」という新しいトイ・プラットフォームを発表しました。
「ロボット×遊び」によって五感で楽しめること、子供が手を動かして自由に遊びを生み出すことを特徴にしています。玩具が単純な娯楽ではなく、知育・教育も取り入れながら楽しめるものという考え方がソニーの特色といえます。
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②バンダイ
- 企業名 :株式会社バンダイ
- 代表取締役社長:川口 勝
- 従業員数:1,229名
- 設立年月日:1950年7月5日
バンダイは創業当初のセルロイド製玩具の販売から現在に至るまで長年、日本の玩具業界を牽引してきた企業です。2005年にナムコと経営統合しており、バンダイナムコHDのトイホビー事業を担う主幹会社となっています。企画、設計、生産、プロモーション、営業、管理などの職種があり、静岡県に工場ももっています。
社名の由来は永遠に変わらないことを意味する「萬代不易」からですが、それを頑固に変革をしないということではなく、永遠に人々の心を満たす企業の発展として、グローバル化も推進しています。
③サンリオ
- 企業名:株式会社サンリオ
- 代表取締役社長:辻 信太郎
- 従業員数:759名
- 設立年月日:1960年8月10日
サンリオはキャラクターのライセンスビジネスはもちろん、実店舗やオンラインショップの運営も行っています。キャラクタービジネスが主力であるため、一般的な玩具以外にも、企業へのソリューションとしてのグッズ展開や、ギフト商品の企画や販売も特徴の一つです。
「サンリオ」はSanが聖なる、Rioが河を意味しており、大きな河の周囲に文明が築かれてきたことから、集まる人々の友情の輪を広げていくこと、心を贈ることを理念としています。
④ハピネット
- 企業名:株式会社ハピネット
- 代表取締役会長兼最高経営責任者:苗手 一彦
- 代表取締役社長兼最高執行責任者:榎本 誠一
- 従業員数:843名(連結 単体: 468名)
- 設立年月日:1969年6月7日
ハピネットは1994年にバンダイが株式を取得し、現在はバンダイナムコHDを筆頭株主とするバンダイナムコグループの一員となっています。玩具の企画、製造、販売を行っています。
また、業界の最適流通システムの実現を目標として、2002年に玩具卸売業の株式会社トヨクニと、子会社のハピネット・ジェイビーを合併、同じく玩具卸売業の松井玩具から営業譲渡され、2004年はハピネット・ジェイビーを吸収合併しています。
上記の沿革からもわかるように玩具の企画販売のみならず、中間流通の最大手として幅広い商品の供給、システムの構築、提案を行っているため、常に各分野へアンテナを張る情報収集力と提案力が求められます。
⑤トイザらス
- 企業名:日本トイザらス株式会社
- 代表取締役社長:ディーター・ハーベル
- 従業員数:約6,500名(アルバイト含む)
- 設立年月日:1989年(平成元年)11月21日
トイザらスは1991年に日本1号店をオープン以降、現在まで約160の実店舗とオンラインストアを運営しています。子供向けの玩具や用品はトイザらス、マタニティやベビー用品はベビーザらスに分かれています。
品揃えが豊富で、「記憶に残るショッピング体験」の提供をモットーにしています。現在はオンラインにも力を入れていますが、実店舗の従業員に求められるものは、自ら考えて動けること、マネージメント力、チャレンジ精神です。主体的な行動力と人を動かすバランスが強みとなります。
⑥任天堂
- 企業名:任天堂株式会社
- 代表取締役社長:古川 俊太郎
- 従業員数:5,944名(連結社員数)
- 設立年月日:昭和22年11月
任天堂は、古くから花札を製造・販売していた玩具業界では古参の企業でもあります。何より、ゲーム業界の先駆者でもあるファミコンを製造した企業としても有名です。その後も複数のゲーム機を世に送り出しており、日本のゲーム会社としても歴史のある企業といえます。
現在は最新ゲーム機である「ニンテンドースイッチ」の売上が目立っており、自社製品のゲームソフトも一定以上の売上をみせているようです。またそれだけではなく、ここ数年はスマートフォンアプリを制作するだけでなく、スマートフォンとゲーム機を連携させて楽しむシステムなども開発しています。
ゲームと連動するデータ入りのフィギュアを販売するなど、年齢を問わずゲームを幅広く楽しめる事業展開を続けています。
⑦セガサミー
- 企業名:セガサミーホールディングス株式会社
- 代表取締役社長:里見 治紀
- 従業員数:149名
- 設立年月日:2004年10月1日
セガサミーは過去家庭用ゲーム機の製造や「ムシキング」のような児童向けアーケードゲームを製造するなど、ゲーム業界でも比較的古参の企業でもあります。
また、玩具部門であるセガトイズは、その時代の流行や子ども達の好みを反映した様々な玩具を製造しており、一部は大人にも人気があることで知られています。特に家庭用プラネタリウムである「ホームスター」は「世界で最も先進的なプラネタリウム」としてギネス認定された物も販売され、親子で楽しめる玩具になっています。
近年は女児向けのオシャレ小物を手作りできる玩具や、デジタル玩具の販売など子どもが大人の真似を楽しめる玩具なども製造しているようです。また、独創的なキャラクター玩具もあわせて開発・製造しています。
⑧コナミ
- 企業名:コナミホールディングス株式会社
- 代表取締役社長:上月 拓也
- 従業員数:10,392名(連結従業員数)
- 設立年月日:1973年3月19日
コナミは、年齢を問わず楽しめる玩具やアーケードゲームに注力している企業です。特に漫画から派生したトレーディングカードゲームである「遊戯王カードゲーム」を製造している企業として有名です。アーケードゲームでは、主に音楽ゲームを中心に製造・運営しています。
子ども向けの玩具にもこれらの方向性は反映されており、音楽を通じて楽しめるデジタル玩具を販売するなどの事業展開をしています。
また、スポーツをモチーフにしたゲームソフトの製造、大人向けの玩具展開など、コナミの事業展開は様々な分野へ幅広くおこなわれているようです。全体的に、子ども向けの玩具よりは一定年齢以上の顧客をターゲットにした玩具・ゲーム販売を主体としているようです。
⑨スクウェア・エニックス
- 企業名:株式会社スクウェア・エニックス
- 代表取締役社長:松田 洋祐
- 従業員数:2,320名
- 設立年月日:2008年10月1日
スクウェア・エニックスは主にゲームソフト販売を事業の軸としている企業です。特に有名なRPGゲームである「ドラゴンクエスト」「ファイナルファンタジー」は事業を支えているブランドであるといえるでしょう。玩具もこれらのブランドにかかわりのあるキャラクター玩具を多く販売しているようです。
有名なゲームブランドを抱えているといっても、スクウェア・エニックスはそれだけにこだわっている訳ではないようです。新規ゲームを開発したり、スマートフォン業界へもソーシャルゲームの開発・リリースをおこなっています。
こういった経緯から、スクウェア・エニックスの玩具製造の主なターゲットは、ブランドゲームをやりこんでいた大人やマニアを対象にしている部分があります。
⑩タカラトミー
- 企業名:株式会社タカラトミー
- 代表取締役社長:小島 一洋
- 従業員数:2,199名(連結従業員数)
- 設立年月日:1953年1月17日
タカラトミーは児童向けの玩具業界でも古参の企業であり、ミニカーの「トミカ」や電車をモチーフにした「プラレール」、変形ロボット玩具の「トランスフォーマー」などのブランドを生み出しています。
また、以前からあるブランドだけに慢心せず、既に販売している玩具をさらに発展させたロボット玩具を新たに開発し、児童向けに気軽に遊べる玩具ブランドを新しく生み出しています。
また90年代に人気が出た玩具である「ベイブレード」や、長く愛される女児向け人形である「リカちゃん」などの玩具を現代向けにデザイン、展開し製造し続けています。
リカちゃん以外にも新規女児向け玩具ブランドの開発もおこなっており、タカラトミーは児童向けの玩具業界を中心に安定した売上を計上しています。
玩具業界研究のおすすめ書籍紹介
玩具業界の歴史は長く、関連する書籍もたくさん発売されています。書籍をじっくり読むことで、インターネットの情報だけでは伝わらない開発者の熱意や苦労、業界のおもしろい話や裏話などを知ることができます。職業として捉える上でこれらは有益な情報となります。
各メーカーでも有名なクリエイターが書いている書籍などもあるので、考え方や職業理解の参考にしてみましょう。歴史や開発者の熱意がわかる一冊と、ロングセラー商品に関する一冊をご紹介します。
①おもちゃクリエータになるには (なるにはBOOKS)
『おもちゃクリエータになるには (なるにはBOOKS)』は2005年の書籍ですが、玩具の制作にかかわる人々の熱意や開発工程、歴史などを知るには良い一冊です。有名な玩具に携わった方々の話が詰め込まれています。
玩具業界は自分が作りたいものを作るということではなく、消費者にとって良い商品を追求していく姿勢が大切です。長い玩具業界の歴史の中で、「おもちゃクリエータ」たちがどのように現在の業界を築き上げてきたのか、この本を読みながら考えてみましょう。
②レゴはなぜ世界で愛され続けているのか最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理
『レゴはなぜ世界で愛され続けているのか 最高のブランドを支えるイノベーション7つの真理』はタイトル通り、世界中で愛されるブロック『レゴ』のお話です。レゴは知育玩具としても大人の趣味としても愛され、2017年には日本でレゴランドが開園するほど人気の高いロングセラー商品です。
レゴは順調にみえて経営危機に陥っていた時代もあります。そんな中、いかにしてレゴらしさを保ちながら変革を遂げ、現在まで愛される存在になったのでしょうか。この書籍では、レゴがどのようにして生まれたか、変わりゆく時代の中でのどのように勝ち残ってきたかを記しています。
これを知ることは、玩具業界のみならずビジネスという視点を磨くことにもつながります。これから就職してビジネスマンになる方にはおすすめしたい一冊です。
玩具業界を深く知って就活を有利に進めよう!
玩具業界は世の中の動向によって柔軟に改革していきながら、人に愛されるという根底は失わないという、「新しい試み」と「昔ながらの良さ」が混在する世界です。どちらか一方だけでは成立できないおもしろさと大変さを理解することが大切です。
企画から販売にいたるまで様々な人々の努力と支えによって成長を続ける玩具業界の一員になるために、夢や希望を持ち続けながら、マーケティングや提案力、コミュニケーション力などを身に着けていきましょう。