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毎年人気の石油業界
世の中には様々な業界がある中で、石油業界は毎年志望する人も多く、人気の業界の一つです。ガソリンや灯油、アスファルトなど、生活に欠かせない製品を取り扱っていることから人気の業界とされています。
しかしながら、そのようなイメージで選考に進んでしまうと、入社前の理想と入社後の現実のギャップに苦しんだり、選考で落とされてしまう可能性もあります。
本記事では石油業界の基礎知識から主要企業まで解説しております。石油業界の業務内容や動向などを知ることで、業界研究や企業研究を進めることができ、自分に合っているかどうか判断することができます。石油業界の理解を深め、就職活動を優位に進めましょう。
石油業界とは
石油製品
・LPガス:ガスレンジの燃料、タクシーの燃料
・ガソリン、ナフサ:乗用車の燃料、プラスチック、合成繊維、化学肥料、合成ゴム、塗料、その他
・灯油、燃料油:石油ストーブの燃料、ジェット機の燃料
・軽油:トラックの燃料
・重油:船の燃料、火力発電所の燃料
・アスファルト:道路
石油業界は、原油を精製した石油を、各商品に変え販売しています。石油の原料である「原油」は、加熱炉で温められ、通称トッパーと呼ばれる常圧蒸留装置で温度別で石油蒸気が分けられ、製品へと変化します。
原油の多くは海外からの輸入に頼っていますが、大手の企業では原油の採掘から輸送・精製・販売までをグループでおこなっているところもあります。
また、企業によっては現在、石油以外のエネルギー関連事業もおこなっており、例えば天然ガスや石炭開発などは、多数の石油企業が主力事業として取り組んでいます。石油業界は、20世紀初頭に船舶や自動車の燃料用の石油の市場が確立すると、急速に発展していきました。以後、石油産業は現在まで一定の需要を保っているでしょう。
石油業界の現状と動向
石油業界の動向について解説します。石油業界の動向について理解することで、「業界全体ではどんな過去や課題があるのか」「今後の展望により、就職することでどのようなメリットやデメリットがあるか」などが分かります。
そのため、自分にあった企業を探すための業界研究や企業研究を進めることができます。石油業界を理解するためにも、現状の課題や今後の行方にもしっかり注目しておきましょう。
国内の石油業界の企業は、原油の調達をほぼすべて輸入にたよっている現状があります。そのため原油価格によってその動向が左右される傾向にあります。
原油価格は産出量だけでなく、産油国を中心とした国際的な政治経済によって左右される傾向にあり、そうした懸念から業界の再編成も進んでいる状況にあります。
上記の図は「出光興産」と「コスモエネルギーHD」の再編の歴史を表しています。石油業界はこれらのような再編が多く、今後も進むと予想されています。
石油業界の業績推移について
業界規模:19兆8,000億円
平均年収:824万円
平均継続年数:18.1年
図では、「業績規模」「平均年収」「平均勤続年数」のカテゴリーのうち、それぞれトップの「卸売」「総合商社」「電力」の業界と石油業界を比較しています。
業界動向リサーチの「石油業界の現状・動向・ランキング・シェアを研究-業界動向サーチ」によれば、航空業界は毎年順調に業績を伸ばし続け、現在では業界規模19兆8,000億円となっています。業績の伸び率は+14.6であり、142業界4位と高くなっています。
一方平均年収は824万円となっており、総合商社と比べると低いものの、サラリーマンの平均年収が400万円程度と言われているため、平均と比べると高めとなっています。
また平均勤続年数は18.1年となっています。国税庁が公表している「平成29年分 民間給与実態統計調査」によれば、全体の平均勤続年数は12.1年であるため、平均より高い勤続年数であることが分かります。
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石油業界の職種と仕事内容
技術系の職種
・プロセス管理
・プラント管理
・セールスエンジニア
・研究開発
事務系の職種
・事務系
石油業界の職種については、分けると技術系と事務系の二つです。まずは技術系の主な5つの職種について簡単に説明します。
「プロセス管理」は、石油精製や石油化学製造に関わり、石油生産の計画管理全般を担当します。主に、石油の需要予測や生産計画の立案、実行管理、進捗管理を行います。
「プラント管理」は、石油プラントの設計から新設・補修などプラントの管理を行います。プラントとは、資源を作り出すための装置であり、主に原油を熱するための装置を指します。プラントを新築する際はもちろん、施設の改修や補修するのもこの職種の仕事です。
「セールスエンジニア」は、潤滑油や石油化学製品の販売からメンテナンスを行う技術営業職です。原油は日本へ輸入後、常圧蒸留装置により精製され、ガソリンや軽油として日本全国の販売店に卸されます。
卸先としては、「ガソリンスタンド」があげられます。ガソリンスタンドでは、ガソリンを供給するために専用の機器を使用するため、製品を卸しつつ、機器のメンテナンスを行うことが仕事となります。
「研究開発」は精製プロセスや触媒、科学材料の研究開発に携わり、石油製品の開発を通じて商品化を行います。新製品を開発では、コストを抑えた精製方法を提案や、新機器の導入など、企業の収益に直結する研究が行われれています。
「事務系」については、販売や経理・人事のような一般的な職種はもちろんありますが、なかでも石油業界特有の業務としては、原油のような「一次エネルギーを調達する仕事」が挙げられます。このように専門性の高さが求められるものが多いのが、石油業界の職種の特徴です。
石油業界の主要企業3選
石油業界売上高ランキング
- 1 ENEOSホールディングス8兆4,194億円
- 2 出光興産6兆0,458億円
- 3 コスモエネルギーHD2兆7,380億円
引用元:【2021年最新版】メーカー業界の平均年収ランキング【令和版】
石油業界の企業は、基本的に石油を販売する事業を扱っています。しかし、その規模や経営方針によっては、多様な事業を扱う企業も少なくありません。また業界再編も激しく、企業ごとの事業や経営方針の特徴を掴むことは、今後の動向を知る上でも大切なことです。
主要な企業は国内では大きな利益を挙げていますが、今後の成長を持続させるために各社さまざまな方針を打ち出しています。主要な企業の情報を知ることで、業界の大きな流れを把握しましょう。
また本記事に掲載されている情報は、2020年3月時点での有価証券報告書を参考に作成しています。
1.ENEOSホールディングス株式会社
企業名:ENEOSホールディングス株式会社
代表取締役社長:杉森 務
従業員数:40.983名
平均年齢:42歳
平均勤続年数:16年
平均給与:1,129万円
設立年月日:2010年(平成22年)4月1日
ENEOSホールディングス株式会社は国内の石油業界でダントツの売上を誇る有力企業です。石油精製販売などのエネルギー事業の他にも、石油・天然ガス開発や金属事業を手がけています。
2010年、新日本石油株式会社と新日鉱ホールディングス株式会社の経営統合によってJXホールディングス株式会社となり、その後東燃ゼネラルの吸収合併に伴い2017年に今の社名となりました。国内燃料油50%の販売シェアを誇り、売上高は10兆円に及ぶ国内有数の企業グループです。
しかしながら国際情勢や資源価格の不安定な状況、国内での石油需要の減退やグローバル市場の競争激化に警戒心を強めています。そのためにリスクに強い事業を構築し、それを育成・発展させるという成長戦略を掲げており、その実現にふさわしい人材を求めています。
2.出光興産株式会社
企業名:出光興産株式会社
代表取締役社長:木藤 俊一
従業員数:13,766名
平均年齢:42歳
平均勤続年数:19年
平均給与:911万円
設立年月日:1940年3月30日(創業1911年6月20日)
出光興産株式会社は「アポロマーク」のガソリンスタンドでおなじみの国内有数の大手企業です。2016年度は連結業績で過去最高益を達成しています。さらにロイヤル・ダッチ・シェルから株式を取得し、昭和シェル石油株式会社の筆頭株主となり、経営統合の意欲を示しています。
事業内容は石油の精製販売を始め、石油化学や有機EL材料など多角的に手がけています。また、石油開発事業ではノルウェーや英国、東南アジアを中心に石油・天然ガスの探鉱・開発・生産プロジェクトを推進しています。出光興産は今、社が歴史的な転換期にあると自ら語り、社員には使命感を持って協調的に事業を発展させていくことが求められています。
3.コスモエネルギーホーディングス株式会社
企業名:コスモエネルギーホールディングス株式会社
代表取締役社長:桐山 浩
従業員数:6,846名
平均年齢:40歳
平均勤続年数:15年
平均給与:928万円
設立年月日:2015年10月1日
コスモエネルギーホールディングス株式会社は、2015年にコスモ石油株式会社から持株会社体制に移行してできた会社です。コスモ石油株式会社は、1986年に大協石油株式会社、丸善石油株式会社、旧コスモ石油株式会社(精製コスモ)の3社が合併し発足しています。
コスモエネルギーホールディングスは傘下グループの経営管理の他に、風力発電やソーラー発電のような環境ビジネス事業にも取り組んでいます。傘下にあるのは、エネルギー資源開発のコスモエネルギー、石油供給事業のコスモ石油、石油販売のコスモ石油マーケティングです。
コスモ石油ではこうした生活に欠かせない石油製品や、インフラの整備をグローバルに取り組んでおり、そうした事業を支える人材が求められています。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。
石油業界研究のおすすめ書籍2選
石油業界を研究するために、書籍を読むのもおすすめの方法です。ネットやニュースでは詳しく触れられていない情報を書籍では解説していることも多く、書籍で得た知識はそれらの不十分な情報を補うことができ、知識の質がより高まります
質の高い知識を蓄えることは、複雑な石油業界の状況をより深く理解することにつながります。石油業界を志すのであれば、書籍を合わせて読むことで業界研究をより質の高いものにしていきましょう。
1.絵でみる石油ビジネスのしくみ
『絵でみる石油ビジネスのしくみ』という本は、石油に関する基礎知識を分かりやすくイラスト・図解で解説した一冊です。中東産油国の実態、石油メジャーの勢力図、そして原油先物市場のしくみをイラストや図解を用い、分かりやすく解説されています。
石油業界の就職を希望するのであれば、その世界の常識は必ず知っておきたいものです。しかし石油業界の歴史は古く、そのしくみの成り立ちも大変複雑です。本書では、そうした複雑な石油業界の知っておくべき基本的な知識を学ぶことができます。
基本的な情報をおさえれば、ニュースやトピックの情報をより深く読み解く理解力も身につきます。2006年発行とやや古い書籍ではありますが、よく理解されていない石油産業のしくみや実態を手っ取り早く知るには格好の一冊です。
2.最新《業界の常識》よくわかる石油業界
『最新《業界の常識》よくわかる石油業界』は、最新の石油業界の動向を解説した定番の石油業界研究書の最新改訂版です。本書では、石油業界とその周辺の基本知識、さらには今後の展望までを網羅しています。また、改定前の前回(2012年)から5年の間に大きく変わった最新の石油業界事情も追加で加筆されています。
石油業界はしくみが複雑であり、また次世代エネルギーの開発や普及次第で、状況は大きく変わる可能性もあるでしょう。そうした知識や知見は、石油業界への就職希望者には必須の課題です。
本書では、業界のしくみや石油製品価格の決まり方、サービスステーション経営の現状と今後など、石油業界とその周辺の基本知識や、近未来エネルギーの可能性についてまで網羅して解説していますので、理解を深めるのに役立つ情報が得られるでしょう。
業界研究ノートの作り方について、知りたい人はこちらの記事もチェックしてみてください。
石油業界を深く知って就活を有利に進めよう
石油業界は、生活に欠かせないエネルギーを扱っていますので、仕事を通して社会に貢献できます。またグローバルに展開する企業が多く、世界という大きな舞台で仕事をできるという魅力もあり、大きなやりがいを持って仕事ができる業界です。
しかし石油業界は現在大きな変化の岐路に立っており、見通しが大変難しい業界でもあります。石油業界を目指し活躍するのであれば、今後の動向を見落とさないようにに業界の理解を深めていきましょう。