SI業界とは
SI業界は、IT業界をさらに細分化させていった中にある業界です。主にシステムを構築して、それによってそのシステムを使用する企業の悩みを解決できるようにし、かつそれの保守まで行っていくというのが、業態です。IT業界自体が就活生の人気が高い業界になるのでそれに伴ってSI業界も人気の業界になります。
SIとはシステムインテグレーションの略
SIとはそもそも何のことでしょうか。SIとは「システムインテグレーション」の略であり、社会に必要な仕組みをITを使って提供していく企業のことを指しています。IT業界内においては、「SIer(エスアイヤー)」という名称で呼ばれることもあります。
顧客は幅広い業界の企業であり、基本的にBtoBです。顧客の業務を踏まえた上で、ITを使った課題解決のためのコンサルティングをおこない、実際のシステムの設計から開発、運用、保守までを担っていきます。
これらの全行程を一社で担う企業もあれば、一部の工程のみを専門的に請け負う企業もあります。同じSIであったとしても、実際の業務は企業によって異なる可能性があるため、自分が興味を持ったSIがどの工程を担っているのか、事前に確認しておくとよいでしょう。
SI業界の概要
SI業界には、大きく分けて3つのジャンルがあります。ひとつはメーカー系。パソコンやソフトウェアを開発するようなメーカーからSI業務を行う部署が独立して成り立つのがメーカー系です。ふたつ目はユーザー系です。
ユーザー系は、自分たちの業務の為にシステムを開発して活用しているような企業の、そのシステムを開発活用しているところが独立してできたものです。そしてもうひとつが、独立系です。独立系とは、最初からどこかの企業の為にシステムを構築して運用していくということを業務としていく為に生まれた企業になります。
これらの3つにはそれぞれに強みがあり、一概にどれが良くてどれがダメと言えるわけではありません。自分に合ったところに進むことが大切です。
SI業界の業績推移について
- 業界規模 10兆807億円
- 平均年収 600万円
- 平均勤続年数 10年
SI業界の業界規模は、受託ソフトウェア開発と情報処理サービスを足した数字になり、10兆円規模の巨大な市場規模を持つ業界になります。平均年収は600万円程度と、業界規模から見るとあまり高くないように見えますが、かなり年収が高い企業もあれば、逆に低い企業も少なくないので、結果的にこのくらいの数字でしょう。
SI業界の中でもある程度の企業に就職していくことができれば、その分年収も高くなると言えます。平均勤続年数も、企業によってばらつきがあり、短いところで4年にも満たないところもありますが、長いところでは逆に20年近いところもあり、平均すると10年程度になります。
SI業界の細かい職種分類について
- 営業
- コンサルタント
- ITアーキテクト
SI業界でメインとなる職種は、営業、コンサルタント、ITアーキテクトの3つです。営業は、コンサルタントしてシステムを開発し運用していくことによって、どのようなメリットがあるかをクライアントに説明して、それにより契約につなげるのが仕事です。
コンサルタントは具体的にクライアントにどのような悩みがあるのかということを把握して、その解決の為にはどんなシステムが必要かということを詰めていくポジションになります。問題把握能力やコミュニケーション力、さらにITに対しての知識まで、求められるものが多いのも特徴です。
ITアーキテクトはコンサルタントによって導き出された、「こういうシステムがあればよい」という設計図を基に、実際にシステムを作成していくのが業務になります。
SIの顧客
顧客は幅広く、公共サービスをおこなっている省庁や独立行政法人、自治体の他、金融業界、小売・流通業界、建築・不動産業界、メーカー、マスコミやサービス業界などです。現在はどのような業界でもITを使用しており、SIはITにおける課題解決を担っているといえます。
もはやITを使わない業界はほとんどないため、特定業界ではなく、あらゆる分野の企業が顧客になりうるといえるでしょう。そして、IT分野が発達していることで、さらなるビジネスチャンスも生まれています。
これまでは顧客の課題解決のためにITを駆使ししていくというのがSIでした。しかし最近では、時代のニーズを先取りし、ITによってそれを満たすべく新規ビジネスが創出されるというケースも生まれています。今後もIT分野の発達やニーズの拡大により、SIの担うビジネス領域が拡大していく可能性があるといえるでしょう。
SEとSIの違い
SIとよく間違う言葉の1つに、「SE」があります。両方とも”S”で始まるアルファベット2文字の略語ですが、その意味は全く違います。ここでは、その両者の違いについて簡単に見ていきましょう。
まず「SI」は、これまで説明してきたように、「システムインテグレーション」の略でした。ITを用いた仕組みで社会に貢献する企業であり、顧客のコンサルティングからシステムの保守までを担います。
一方、「SE」は「システムエンジニア」の略で、システム開発を専門におこなう職種です。SIはサービスの種類もしくはそれを提供する企業を指しますが、SEは職種を指す言葉であり、全く違っています。しかし、言葉の意味は違いますが、全く無関係というわけではありません。SIのサービスの中にはシステムの構築や保守、運用の業務があり、それをシステムエンジニアが担っていくのです。
あなたがSI業界に向いているか、確認してください
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主要企業5選紹介
SI業界には様々な企業があり、その規模も様々です。すごく人数が多く規模が多く世界的に展開している企業もあれば、もっと小さな規模で一つ一つのニーズにしっかり答えようとしている企業もあります。
ただ、トップオブトップの企業についてしっかりと知っておかないと、自分が興味を持ったSI業界の企業が、よい企業なのかそれともいまいちな企業なのかということすらわかりません。実際にSI業界ではどのような企業がその主軸となっているのか、以下で確認していきましょう。
株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
- 企業名 株式会社エヌ・ティ・ティ・データ
- 代表者名 岩本敏男
- 従業員数 11,200名
- 設立年月日 1988年5月23日
株式会社エヌ・ティ・ティ・データは、SI業界の企業と言えばエヌ・ティ・ティ・データというくらいのSI業界の代名詞的な企業です。取り組んでいるのはSI事業だけではなく、たとえばネットワークシステム事業に関しても行っていますが、会社規模や事業規模が大きい分SI業界の代名詞的な存在になっています。
様々な新サービスの発表も多く、挑戦的な社風が特徴です。また、海外への進出も積極的ですので、実際に海外で働くことになることもあるでしょう。海外で働くことを希望している方や、自発的に学びチャレンジすることが好きな方には、おすすめの企業になります。
日本アイ・ビー・エム株式会社
- 企業名 日本アイ・ビー・エム株式会社
- 代表者名 エリー・キーナン
- 従業員数 非公開
- 設立年月日 1937年6月17日
日本アイ・ビー・エム株式会社は、創立80周年を迎える歴史の長い企業です。世界で最も価値のある企業としてフォーブス誌において常にトップ10に入っているアイビーエム社。そのアイビーエム社の日本法人になるので、高い多様性を持ちながら価値を創造していくことができる人材が求められています。
また、世界的に優れたリーダーを排出する企業であると認められているのが、アイビーエムになります。日本法人でも当然優れたリーダーを輩出していけるように、研修プログラムやキャリア支援において、しっかりした枠組みができているところにも特徴があります。世界を舞台に活躍したいというだけではなく、一人のプロフェッショナルとして成長していきたいと考える方に向いている企業です。
シスコシステムズ合同会社
- 企業名 シスコシステムズ合同会社
- 代表者名 鈴木みゆき
- 従業員数 1,134名
- 設立年月日 1992年5月22日
シスコシステムズ合同会社は、ネットワークシステムに強いSI企業になります。世界で一番ネットワークを信じているというくらいにネットワークシステムのデザインに力を入れている企業で、インフラシステムに興味があるから、インフラにより世界のサポートをしていきたいと思っている方にピッタリな企業です。
比較的にオープンな社風で、シスコ社員同士は言いたいことはしっかりと伝えるというところに特徴があります。言いたいことはあるけれど、先輩だから言いづらいとかいうことはなく、1人ひとりが自分の意見を発信しています。自分の意見をしっかりと伝えることに抵抗がない人に、シスコはおすすめです。
富士通株式会社
- 企業名 富士通株式会社
- 代表者名 田中達也
- 従業員数 155,000名
- 設立年月日 1935年6月20日
富士通株式会社は、エヌ・ティ・ティ・データと同じように、SI業界の企業を挙げろと言われた際に一番に名前が挙がるような企業になります。ただ取り組んでいるのは何もSI事業だけだというわけではありません。SI事業も規模が大きい事業にはなりますが、たとえばモバイル関係の開発だったり、様々な事業を行っているところにも特徴があります。
様々な事業を手がけるということもあり、最新のトピックスや流行に敏感なところにも特徴があり、新しいことにも比較的に積極的にチャレンジする社風です。ですので、いろいろとアンテナを張るのが好きで、新しいことにはとりあえず手を出してみたいと考えている方に向いている会社だと言えます。
NTTコミュニケーションズ株式会社
- 企業名 NTTコミュニケーションズ株式会社
- 代表者名 庄司哲也
- 従業員数 6,350名
- 設立年月日 1999年7月1日
NTTコミュニケーションズは、NTTグループの企業になり、グローバルなビジネスサポートに特徴があります。世界40ヶ国以上に20,000名以上の社員を派遣して、そこでSI事業を行っています。その中には当然まだまだインフラ整備が整っていないような国や地域もあれば、すでに比較的に通信が発達している地域や国にもあります。どういう地域で仕事をすることになってもそこでしっかりと対応できる対応力が必要です。
様々な国で勤務することになる可能性も高く、同時に国と国を転々とする可能性も高いです。いろいろな国で仕事をすることを厭わないと同時に、それを楽しむことができる方におすすめの企業になります。
SI業界研究のおすすめ書籍紹介
SI業界という業界は、なんとなくわかっているようでも、しっかりと理解できていなかったりする業界になります。しかし、そんななんとなくの理解度でSI業界に進んで行こうとしても、やはり就活の段階で落とされてしまう可能性は高いです。
そこに進むためにはより理解度をあげていかないとなりません。より高い理解度を得るためには、ニュースやネットで調べるだけではなく、書籍を読んでそこにしかない知識を得ることも大切です。色々なところから知識を得て、深い理解度を手に入れていってください。
【図解】これ一枚でわかる最新ITトレンド
これ一枚でわかる最新ITトレンドという本はIT業界の様々なことを紹介している本になります。たとえばシステムの運用と開発はどのようにして行われているのかという仕事の流れを紹介していたり、なんとなくしか理解出来ていないようなIT関連の仕事の流れや内容をより詳しく把握できるようになる本です。
IT業界全体を見ている本になるので、SI業界だけに特化した本ではありませんが、IT業界全体のことを知らないと結局SI業界についての知識も深まりませんし、SI業界についてもしっかりと説明してくれているので、すごくバランスよく知識を深めることができます。忙しい就活生においては、バランスよく知識を得ていくことも大切になるため、この本はおすすめできます。
図解でスッキリ!SI(システム・インテグレータ)業界 知りたいことがスグわかる!!
図解でスッキリ!(システム・インテグレータ)業界 知りたいことがスグわかる!!という本は、その名のとおりにSI業界についての様々なことを説明してくれている本になります。それはたとえば、SI業界での仕事の流れであったり、どんなことにSI事業が役立つのかということだったり、あるいはそこで必要になる資格についてだったりを説明してくれています。
またそれだけではなく、働く上での裏事情も描かれているのでよりしっかりとSI業界での仕事についてのイメージができるようになるでしょう。たとえば、SI業界での仕事は残業が多い?ということ等実際に働く上では知っておきたいことについて記載してくれているのです。
それを知った上でSI業界に飛び込むのと、それを知らずに飛び込むのではやはり入った後の満足度には差が出てくるでしょう。
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就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
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SI業界を深く知って就活を有利に進めよう!
SI業界は、IT業界と一緒にされがちで、いまいちイメージがつかみづらい業界ではあります。そのため、IT業界と差別化していかないと入るのは難しくなります。しっかりとSI事業に対しての理解度を含めて、IT業界の中でも特にSI業界に進みたいという理由を明確にできるようにしておくとよいでしょう。