目次
物流業界の需要が高まってきている
近年、物流業界の需要が急速に高まっています。かつて物流業界は「きつい」・「汚い」・「危険」と悪条件ばかりがそろった3K産業といわれ、どちらかといえば不人気業界に数えられていました。
しかし、各業界の流通販売方法の主流が変化しているとこと、また労働力の不足などの社会的な影響を受けて最も需要が伸びている業界の一つです。
また、各業界のビジネスモデルの変化に伴い、物流企業の役割にも変化が生じています。
そんな変化が著しく、需要が高まっている物流業界の選考を受ける際に企業側に熱意を伝えることができる志望動機のポイントについてご紹介します。
なぜ今、物流業界が必要とされているかという背景を正しく理解し、物流企業のニーズに答えられる人物であるとアピールしましょう。
大手物流企業の活躍が著しい
大手物流企業を中心として、物流企業の業績が大幅に伸びています。新聞やテレビなどで頻繁に目にするのは主に個人向け宅配事業の大手物流企業です。
しかし産業別の新聞や物流専門誌などを見てみると、個人向けの物流企業に限らず企業間物流を主とする企業も好調であることがわかります。志望動機を作成する前に、まずは業界研究として物流業界についての知識を持ち、その上で個々の企業に対する理解を深めましょう。
大型物流倉庫の新設ラッシュ
最近の物流業界の目立った動向としてあげられるのが、大型物流倉庫の新設です。その背景にはインターネットショッピングの急速な拡大があります。インターネットショッピングは、家に居ながらにしてさまざまな商品を比べることができ、数日後、ときには当日中に手元に商品が届きます。また、共働き世代の増加などを受け、日用品や消耗品の配送まで行うネットスーパーも登場しました。
インターネットショッピングを経由して商品を発注すると、商品の在庫がある倉庫に発注情報が提供されます。そして倉庫では、発注情報をもとに商品をピックし、梱包と輸送の手配が行われて発注者の手元に届きます。
この一連の流れを実際の店舗で行うことはできません。また、取り扱う家電から消耗品まで、一つのインターネットショッピングサイトが取り扱う商品の幅が広がっているため、大型物流倉庫の新設ラッシュが続いているというわけです。
物流業界は人員強化が急務
施設が次々と新設されている物流業界ですが、他業界に先んじて人手不足が叫ばれています。今後、日本では人口の減少によって各業界が人手不足に陥ると予測されています。人手不足を補うAIやロボット技術の導入が期待されていますが、人手不足を補うために活用できるまでには少し時間がかかりそうです。
自動化や無人化がまだ十分に活用できない状況にも関わらず、各社で物流拠点が次々と新設されて拡大している物流業界では、人員の需要に対して供給が圧倒的に下回っています。現場で作業を行う人員はもちろん、現場の管理を行う人員、そして営業担当として顧客と調整を行う人員、人員全体を管理する事務の人員、この全てを強化することが急務とされているのです。
物流業界で求められる能力
物流業界への就職を目指すなら、どのような能力が求められるのかを知ることが大切です。ひとくちに物流業界といっても範囲は広く、職種によって業務内容は異なるため、必要な能力も違ってきます。
しかし、どの職種でも共通して必要になる能力はあり、就職に向けて最低限それらは身につける努力をすることが大切です。求められる能力とその理由を知り、物流業界に関する理解をさらに深めていきましょう。
体力
ネット通販市場の拡大を受けて、物流業界の需要は高まりをみせています。そのため、配送や倉庫といった現場での仕事は激務になることも多く、膨大な業務量に耐えうる体力が求められます。
現場での業務は肉体労働になることも多いため、もともと体力は必要でしたが、需要の増大や人手不足という問題のある現在では、さらに必須の能力といえるでしょう。また、現場に限ったことではなく、その他の部署でも同様にハードワークになりやすいため、体力は必要です。
仮にデスクワークだったとしても、捌かなければならない仕事の量は多いため、体力がないと集中力が持たず、業務を円滑に進めることが難しくなるでしょう。職種や配属先によって求められる程度は違うものの、物流業界では全般的に体力勝負になりやすいことは理解しておく必要があります。
パソコンスキル
パソコンスキルも求められることが多く、特に事務職やデスクワーク系の業務では必須の能力といえます。業種や職種による違いはありますが、配送する荷物やストックする商品などは、すべてパソコンで管理しています。
そのため、現場以外での業務はパソコン作業が中心になることも多く、最低限のスキルは身につけておかないとスムーズに仕事を進められないため注意が必要です。また、現場での作業が中心となる場合でも、荷物や商品の管理、受け渡しの際にパソコン業務が含まれるケースもあり、業界全体で必要な能力といえます。
パソコンスキルといっても高い能力が求められているわけではなく、ワードやエクセルなどの基本的な操作ができるなら問題はありません。
志望動機の基本の書き方
志望動機は選考でも特に重要視されるポイントであり、どのように書くかは非常に大切です。同じような内容でも、書き方次第で評価がよくも悪くも分かれることは少なくありません。
書き方のポイントは細かくありますが、それらを把握しておくと定型が理解できるため、スムーズに作成しやすくなります。作成のポイントについて細部まで理解を深め、自分を強く売り込める志望動機を作り上げましょう。
あなたが受けないほうがいい職業をスマホで確認してください
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
強み・弱みを理解し、自分がどんな仕事に適性があるのか診断してみましょう。
なぜ物流業界なのかを述べる
志望動機は企業を志望する理由だけではなく、業界を志望する理由を伝えることが大切です。業界を志望する理由は、志望動機の根幹部分でもあるといえ、これを提示していないとアピール全体の信頼度が下がってしまいます。
企業を志望する理由だけを述べてしまうと、労働条件や知名度だけで選んだと思われることもあるため、志望理由は必ず根本的な部分から述べましょう。業界を志望する理由といっても難しく考える必要はなく、なぜその業界に興味を持ったのかを伝えるだけで十分です。
数ある業界の中でなぜ物流業界なのか、他の業界にはない特徴や魅力を含めるとアピールもしやすいでしょう。また、自身の経験から志した理由を述べると説得力があるため、志望度の高さも伝わりやすいです。
なぜ同業他社ではなくその企業なのかを述べる
志望動機の中心となるのは、なぜその企業を選んだのかです。そのため、同業他社ではなく、なぜ該当企業を選んだのか、明確な理由を提示しなければなりません。物流業界は多数の分野がありますが、例えば倉庫や運送という個別の分野でみると、同分野内の企業では業務内容が似通っていることも多いです。
似ているポイントが多い中で、なぜ別の企業ではないのか、志望先でなければならない理由は何かを伝えることが大切です。他の企業でもできることや、他の企業でもよいと思われるような理由だと、志望度が低いと判断されます。
その企業にしかない特徴や魅力、その企業でしかできないことを軸にして志望動機を語ると、同業他社とは差別化したアピールがしやすいでしょう。
企業にどう貢献できるのか述べる
志望動機という名称から、業界や企業を志す理由を伝えるものとイメージされやすいですが、実はアピールすべきはそれだけではありません。志望動機でも自分を売り込むこと、つまり企業でいかに活躍できるかを伝えることは重要です。
志望度の高さを示した上で、自分には何ができるか、就職することで企業にいかなるメリットがあるのか、どのように利益に貢献できるかを伝えることが大切です。これまでの経験や自身に身についている能力、特徴を簡潔に提示し、それが企業でどのように活かされるのかを伝えましょう。
自分を売り込むには、仕事での再現性を意識することが大切です。自分の個性や能力がいかに企業の利益に繋がるか、仕事でどのように再現できるかを明確にして伝えていきましょう。
最初に結論を持ってくる
志望動機を印象的に伝えるためには、最初に結論を持ってくることが大切です。大まかな流れは「業界・企業を志望する理由→根拠→企業でいかに活躍できるか」となるため、最初になぜ就職したいのかを伝えましょう。
結論ファーストで伝えることで、これから何をアピールしようとしてるのかが明確になります。極端にいえば、その部分を聞いただけでアピールしたいことが分かり、何も伝わらないという事態を避けられます。
結論を後回しにしてしまうと、最終的に何をアピールしたいのかが伝わりにくいです。アピール内容は同じでも、構成次第で伝わり方は大きく違ってくるため、結論ファーストの流れだけは崩さないようにしましょう。
具体的なエピソードを盛り込む
志望動機を魅力的に伝えるには、具体的なエピソードを盛り込んで、明確な根拠を提示することが大切です。どれだけ就職意欲や企業への貢献度の高さをアピールしても、それが本当であるという根拠がないと、信頼性は低くなり、正しく評価してもらえない可能性があります。
なぜ業界に興味を持ったのか、なぜその企業を選ぶのか、いかに企業に貢献できるかという3点については、必ず具体的なエピソードを用意しておきましょう。
また、具体的なエピソードを盛り込むといっても、志望動機を書く段階では細部まで説明しきる必要はありません。詳細部分は面接時に口頭で説明するため、履歴書やESに書く段階では、簡潔さを重視してエピソードを盛り込みましょう。
物流業界に就職するための志望動機の書き方
物流業界の選考を受けるための志望動機を書くためのポイントは、志望する職種や個々の会社の事業内容によって何が求められるのかをしっかりと理解することです。
例えばメーカーが製造した商品がエンドユーザーの手元に届くまでには、原料を調達するための輸送を行う企業、製造過程で拠点間の輸送を行う企業、在庫保管を行う企業、販売店までの輸送を行う企業、通信販売のために在庫を管理し輸送の手配を行う企業、個人宅への配送を行う企業など、複数の企業が関係していることが多いのです。
一口に物流企業といっても、行っていることは千差万別であるため、入社したらどんな役割を求められるかということを理解した上で志望していることをアピールしましょう。
総合職に志望する場合
例えば、輸送、倉庫、通関を行う物流企業に総合職として志望して入社して場合、すべての部門を経験する可能性があります。各部門では目の前の作業に従事するのではなく全体を見て自分から発信していくことが必要です。そしてゆくゆくは会社の幹部として活躍することが求められているのです。このように総合職は主体性が求められる職種であるため、書類選考や面接の場でも自ら発信していく力をアピールする必要があります。
自分がやりたいことを具体的に伝えて志望度をアピールするためには、HPを中心に徹底的に企業研究を行いましょう。そして企業が行っている事業を正しく理解し、自分が総合職として入社したらどのようなことを発信して企業の中で活躍していくことができるかを自信を持って伝えてください。
事務職に志望する場合
事務職としての入社を希望する場合に求められるスキルは、「作業スピード」と「正確性」です。現在、企業間の物流を行う企業も宅配事業を行う企業も、ますますスピードを求められる傾向にあります。これは、物流というものが世の中のありとあらゆる場面に関与するようになり、関係する人・企業が増えたためだと考えられます。
関わる人・企業が増えれば当然一人ひとりに求められるスピードは早くなりますし、社内外の調整を担う事務職であればなおのことです。そのため、PCの操作レベルが高い、学生時代に文書作成の経験がある、役に立ちそうな資格を取得しているということがあれば立派な事務処理能力の証明になりますので、しっかりとアピールしましょう。
物流倉庫に志望する場合
物流倉庫への就職を志望する場合、庫内でのピッキングなどの実務経験は企業側として安心して採用できる大きな要素となります。なぜなら、物流倉庫は普段の生活で目にすることがほとんどなく、入社前と後でギャップが生まれてしまうことが多いからです。特に現在、各社で次々と大型の物流施設が新設されているため人手不足が深刻です。
そのような状況でせっかく入社した人員が辞めてしまうことは、採用担当者としては絶対に避けたい事態でしょう。もし実務の経験がない場合は、社会人向けの倉庫業務に関する試験対策本を読んだり、OB訪問などを利用して倉庫の実務に関する知識を得ましょう。
物流業界に採用されやすい志望動機例文
実際に物流業界の選考を受ける際に採用されやすい志望動機の例文をご紹介します。企業側としては、同じ業界のA社でもB社でもなく自社を志望してくれていて、仕事内容に具体的なイメージを持ち、活躍の仕方が明確になっている学生を採用したいと思っています。採用されやすい志望動機を作るためには、選考を受ける企業が何を行っており、自分が入社したらどのように役に立てるのかということをイメージしてください。そして可能な限り具体的に志望動機に盛り込んで、企業に対する志望度をアピールしましょう。
かんたん3分!受けない方がいい職種がわかる適職診断
就活では、自分に適性のある仕事を選ぶことが大切です。向いていない職業に就職すると、イメージとのギャップから早期の退職に繋がってしまいます。
そんな時は「適職診断」を活用して、志望する職業と自分の相性をチェックしてみましょう。簡単な質問に答えるだけで、あなたの強み・弱みを分析し、ぴったりの職業を診断できます。
適職診断で自分の適性を把握しておき、就活を効率的に進めましょう。
例文①
私が御社を志望する理由は、私が得意とする「スピード」と「正確さ」を活かしたいと考えたからです。大学時代の4年間、喫茶店でホール係のアルバイトを行い、その中でお客様全員が求めているものは提供までの「スピード」とオーダーを取る際の「正確さ」だと意識して取り組んできました。御社で最もやってみたい仕事は通関部門です。輸入・輸出には国内外のたくさんの企業と人が関わり、通関が法に触れるもの通してしまったり、また遅れが生じるとそのすべての関係者に迷惑が掛かります。私の得意とする「スピード」と「正確さ」を御社の通関部門で生かし、一つの貨物に関わる全ての人をスムーズに繋ぐ仕事をしたいと思っています。
まず、「スピード」と「正確さ」をどのような状況で培ったのかを具体的に述べており、かつ「どのような考えを持って」取り組んできたかが盛り込まれています。採用担当者は、実は何をやってきたかということ自体よりも「どのようなことを考えて、なぜ」取り組んできたかということを知りたがっています。
事実だけで終わらず、自分の考え方や人物像を伝えることが大切です。また、入社後にやってみたいこととして通関業務をあげていますが、トラブルが生じた場合まで想定しており、仕事に対する興味や理解度が伝わってきます。
例文②
コツコツと努力することが好きなことをアピールする場合
私は、「コツコツと努力すること」が得意です。この性格を御社の倉庫部門の改善活動に活かしたいと考えています。学生時代に近所の宅配便の仕分け施設で書類の仕分けアルバイトをしていました。毎日大量に届く書類を仕分ける中で、小さな改善の積み重ねで作業効率が格段の上がることに気が付きました。3か月間コツコツと改善に取り組んだ結果、作業時間を従来の3分の2にまで減らすことができました。もし御社の倉庫部門に所属することができたら、ラックの配置や作業フロー、作業エリアの動線の改善をコツコツと重ねます。徹底して無駄を省き、付加価値に変換する倉庫運営ができる人材になっていきたいです。
この例文では、学生時代の経験が志望する職種に近いという特徴があります。特に現場に近い職種を採用する場合、作業員の離職や大卒社員の入社後のギャップによる離職が多いと悩んでいることが多いです。
そのため、入社後の現場に近い状況を知っていることは採用担当者にとって大きな安心材料となります。また、入社後にやってみたいことの成功体験が実際にあること、そして専門的な知識までよく勉強していることから、志望度の高さも感じられる例文です。
志望動機を武器に憧れの物流業界で働こう!
物流業界は、あまり知らない人にとってはまだまだ肉体労働のイメージが根強い業界です。しかし、現在の物流はただ運ぶだけではなく企業活動全体を見渡して付加価値を生み出すことが求められるクリエイティブな業界へと変化しつつある成長産業です。また、機会化や自動化が進んだ将来においてもモノを運ぶ・管理するというフローは流通に欠かせないため、業界自体がなくなることはまずありません。
物流業界を志望するならば、こうした業界を取り巻く状況の変化や将来の展望、そして各企業に対する深い理解が欠かせません。業界研究や企業研究を十分に行った上で自分の得意分野ややりたいことをアピールし、企業の将来と自分の将来が重なるような志望動機で入社の意思をアピールしてください。